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名前

       chacl - ファイルまたはディレクトリのアクセス制御リスト (Access Control List) を変更する

書式

       chacl acl pathname...
       chacl -b acl dacl pathname...
       chacl -d dacl pathname...
       chacl -R pathname...
       chacl -D pathname...
       chacl -B pathname...
       chacl -l pathname...
       chacl -r pathname...

説明

       chacl  は IRIX 互換のコマンドであり、 XFS や IRIX で使い慣れているユーザのために保守されて
       いる。 アクセス制御リスト (ACL) について記述している (撤回されたドラフト) POSIX 1003.1e 規
       格に、 より準拠したツールについての説明は、 「関連項目」のセクションを参照すること。

       chacl  はファイルまたはディレクトリの ACL を変更する。 指定された ACL は pathname 引き数の
       各ファイルに適用される。

       各  ACL  は文字列であり、  acl_from_text(3)   ルーチンを使って解釈される。  これらの文字列
       は、tag:name:perm  という形式の コンマで区切られた節 (clause) で構成される。 ここで tag は
       以下の何れかである:

       "user" (または "u")
              エントリがユーザ ACL エントリであることを表す。

       "group" (または "g")
              エントリがグループ ACL エントリであることを表す。

       "other" (または "o")
              エントリがその他の ACL エントリであることを表す。

       "mask" (または "m")
              エントリがマスク ACL エントリであることを表す。

       name は ACL エントリのユーザ名まはたグループ名を表す文字列である。  ユーザまたはグループの
       ACL  エントリにおいて name が空の場合は、 それぞれファイルの所有者とファイルのグループを表
       す。 perm は文字列 "rwx" であり、 各エントリはそのタイプのアクセスを許可しないことを示すた
       めに "-" で置き換えることができる。 例えば、"r-x", "--x", "---" のように書ける。

オプション

       -b     変更する ACL が 2 つあることを表す。 1 つ目はファイルアクセス ACL であり、 2 つ目は
              ディレクトリのデフォルト ACL である。

       -d     ディレクトリのデフォルト ACL のみを設定するのに使われる。

       -R     ファイルアクセス ACL のみを削除する。

       -D     ディレクトリのデフォルト ACL のみを削除する。

       -B     全ての ACL を削除する。

       -l     アクセス ACL と (もし存在するならば) 指定されたファイルまたはディレクトリに  関連づ
              けられているデフォルト  ACL の一覧を表示する。 このオプションは XFS を Linux に移植
              するときに追加され、 IRIX とは互換性はない。

       -r     pathname をルートとする各サブツリーに対して、 再帰的にアクセス ACL を設定する。  こ
              のオプションは XFS を Linux に移植するときに追加され、 IRIX とは互換性はない。

       最低限の ACL:

         chacl u::rwx,g::r-x,o::r-- file

       ファイルの所有者は  "rwx"、ファイルのグループは読み込みと実行、 その他のユーザはファイルの
       読み込みアクセスのみという許可を持つように、 ファイル ACL が設定される。

       以下は最低限の ACL ではない。 つまり、ファイルの所有者または所有グループ以外の  ユーザまた
       はグループを指定する場合は、 マスクエントリを持たなければならない:

         chacl u::rwx,g::r-x,o::r--,u:bob:r--,m::r-x file1 file2

       newdir  対して olddir と同じ デフォルト ACL とアクセス ACL を設定するには、 以下のように入
       力すればよい:

         chacl -b `chacl -l olddir | \
             sed -e 's/.*\[//' -e 's#/# #' -e 's/]$//'` newdir

警告

       chacl  は既存の  ACL  を置き換えることができる。  エントリを追加・削除する場合は、  最初に
       chacl -l を実行して既存の ACL を取得し、 chacl の引き数を作るためにその出力を使うこと。

       ファイルの許可  (permission)  ビットを変更すると、 ファイルアクセス ACL の設定が変更される
       (chmod(1)  を参照)。 しかし、ファイル作成モードマスク (umask(1)  を参照)  は、ディレクトリ
       のデフォルト ACL によって作成された ファイルのアクセス ACL 設定には影響しない。

       ACL  はファイルシステムの拡張属性であるので、 一般的なアーカイブユーティリティでは、通常は
       アーカイブやリストアされない。  拡張属性についての詳しい情報は  attr(5)   を参照すること。
       XFS で拡張属性をバックアップする方法については、 xfsdump(8)  を参照すること。

関連項目

       getfacl(1), setfacl(1), chmod(1), umask(1), acl_from_text(3), acl(5), xfsdump(8)