Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20161015+dfsg-1_all bug

名前

       pslogin - 強力なストリーム cipher 暗号化と diffie-hellman 鍵交換を用いた安全なリモート tcp
       ログイン

       forward - 任意の tcp ソケットを安全かつ暗号化されたチャネルにフォワードする

       copydir, mirrordir - 変更された最小の部分のみを用いて (ローカル、FTP 経由、安全な tcp 接続
       経由で) ディレクトリツリーをコピーまたはミラーする

       recursdir - ファイルの操作/検索や tar ファイル作成のために、ローカルまたはリモートのディレ
       クトリを再帰的に探索する

書式

       mirrordir
       [-a, --access-times]
       [-m, --strict-mtimes]
       [--no-mtimes]
       [--ignore-size]
       [-A, --mtime-threshold ext]
       [--time-offset [[+]|-][H]H[:MM]]
       [-A, --always-write]
       [-r, --restore-access]
       [--no-chown]
       [--no-chmod]
       [-D, --only-delete]
       [-b, -S, --backup-extension, --suffix ext]
       [-N, --num-backups num]
       [-O, --backup-outdate sec]
       [-B, --block-size bytes]
       [-M, --max-bytes num[K|M|G]]
       [-s, --starting-file path]
       [-i, --ignore-next-exclude]
       [[-i] -X, --exclude path] [[-i] -X, --exclude path] ...
       [[-i] -F, --exclude-from file] ...
       [[-i] -G, --exclude-glob expr] [[-i] -G, --exclude-glob expr] ...
       [[-i] -R, --exclude-regexp expr] [[-i] -R, --exclude-regexp expr] ...
       [-C, --exclude-script [expr|file]] [-C, --exclude-script [expr|file]] ...
       [-h, --help]
       [-v, --verbose] [-v, --verbose] ...
       [-V, --version]
       [-k, --keep-files]
       [-l, --no-hard-links]
       [--follow-symlinks]
       [-L, --strict-locking]
       [-p, --password password]
       [-P, --password-exact password]
       [--test-login]
       [--no-warn-first-login]
       [--read-password-from-stdin]
       [--allow-empty-ftp-dirs]
       [--no-allow-empty-ftp-dirs]
       [--netrc]
       [--no-netrc]
       [--proxy-host host]
       [--secure]
       [-z, --gzip]
       [--gzip-backups]
       [--case-insensitive]
       [--to-lower]
       [--to-upper]
       [--no-use-passive-connections]
       [-K, --key-size bits]
       [--download-scripts]
       [--tar-file filename]
       [--tar-block-size N]
       [-t, --dry-run, --test-only]
       [--nice num] control mirror

       mirrordir [-c | --copy-mode | --recurs-mode ] -[abBCdDFGhklMmNOopRrstvVX]  src  [src  ...]
       dest

       copydir -[abBCdeFGhklMmNOopRrstvVX] src [src ...] dest

       recursdir -[abBCdeFGhklMmNOopRrstvVX] src [src ...]

       pslogin [--key-size bits] [mc://][username@]hostname[:portnumber][/path]

       しかし通常は単に:
       mirrordir [--exclude path] control mirror
       copydir src [src ...] dest
       recursdir src [src ...] [-C program]
       pslogin [username@]hostname[:portnumber]

説明

       mirrordir     はディレクトリを操作したりミラーする際に便利なユーティリティの集まりである。
       ssh(1) の代替になるコマンド pslogin や、任意の TCP  ソケット接続を暗号化された安全なチャネ
       ルにフォワードする forward(1) も含まれている。

       mirrordir  は 2 つのディレクトリ controlmirror との間で異なるファイルを、 control から
       mirror へとコピーする。 修正時刻 (modification time)  またはサイズが異なるファイルがコピー
       される。  ファイルの許可属性・所有者・修正時刻・アクセス時刻 (--access-time が用いられた場
       合のみ)・スティッキービット・ デバイスタイプが複製される。  シンボリックリンクはリンク先の
       解決をされずにそのままコピーされる。  シンボリックリンクの修正・アクセス時刻 (シンボリック
       自身のもので、 シンボリックが指すファイルのものではないことに注意) は保存されない。 ハード
       リンクされたファイルは単にコピーされる。 生成時刻は、私の知る限り Unix では設定できない。

       mirrordir危険なコマンドである。 mirror にあって control にないファイルやディレクトリは
       削除されるからである。もし control が完全に空の場合には、 mirror  のすべてのファイルやディ
       レクトリが削除される。もし  mirror が完全に空の場合には、 control のすべてのファイルやディ
       レクトリがコピーされる。

       要するに mirrordirmirror をディレクトリツリー control の完全なレプリカにし、またその際
       にあらゆるものを   (定期的バックアップという目的に合致するなら)   可能な限り複製しようとす
       る。当然 mirrordir はサブディレクトリの一番深いところまで降りていく。 ディレクトリミラーの
       際には、それに必要な最小の変更のみを調べ、 可能な限り効率的に動作しようとする。

       アクセス時刻の複製は通常は必要なく、また不要な負荷を与えることになる。    よってこれはオプ
       ションになっている。

       ディレクトリ control には、何の変化も与えない。--restore-access が与えられると、アクセス時
       刻は読み込みのたびに、 元の時刻に再設定される。

       --strict-locking オプションをオンにすると、 control にあるコピー作業中のファイルは「共有読
       み込み (shared reading)」 にロックされる。これによって、  他のプロセスがそのファイルに頻繁
       に書き込みを行っている場合でも、  ファイルが不完全な状態や壊れた状態ではコピーされないこと
       を保証する。

       通常 mirrordir は問題があっても中断せず、 問題の報告を stderr へのエラーメッセージとして行
       い、 動作を継続する。

       ディレクトリ mirrordest は (たとえ空であっても) 存在していなければならない。

       ディレクトリのすべてのファイルを削除する前に、  mirrordir*--keep-me というファイル (こ
       こで * は 0 または 1 つの文字) をチェックする。 このファイルが存在すると、エラーメッセージ
       を出して中断する。 よって再帰的に削除されてはまずいディレクトリがあったら、 それぞれにこの
       ようなファイルを作っておけば良い。

       copydirmirrordir -ck --no-erase-directories ...  と等価である (-c には  -k  が含まれる
       が)。よって  copydir  は厳密な意味での cp(1) とよく似ているが、ファイル名は URL でも良く、
       かつ古いファイルだけが置き換えられる。 ファイル転送には、ほとんどの場合 mirrordir ではなく
       copydir を使うほうがよい。本当に消してよい場合に限り、 mirrordir を使うようにすること。

       recursdir  はまたもう一つのプログラムで、 コマンドライン上でディレクトリを降りてゆくだけで
       何も行わない。 これは mirrordir --recures-mode ...  と等価である。これは -C オプションが追
       加される前にできたプログラムで、より厳密な  find(1) として、あるいは見つかったすべてのファ
       イルを tar ファイルにパックする目的に、それぞれ利用できる。

       pslogin  はさらにもう一つのプログラムで、  これまでに挙げた  3  つとはほとんど関係がない。
       psloginsecure-mcserv  を用いて安全なログインセッションを開始する。  これは mirrordir
       --login-mode --secure ...  と等価である。 psloginlogindir と呼ぶべきかもしれない。後述
       の --login-mode を参照のこと。

       forward  はさらにもう一つのプログラムで、 最初の 3 つとはほとんど関係がない。 これは任意の
       サービスを安全なチャネルにフォワードできる。 詳細は forward(1) を参照のこと。

       このパッケージの重要な点は、 通常のファイル名に替えて URL を使える点にある。  よってファイ
       ルをネットワーク越しに操作できる。 現在サポートされている URL のタイプは、 ftp://mc://
       である (http:// はファイルシステムではないので、サポートされていない)。 mc://Midnight
       Commander ファイルシステムで、 secure-mcserv デーモンによってサービスされるものである。 こ
       れには、暗号化された、 強く安全なファイル転送およびログインを提供するという長所がある。

       recursdir コマンドと copydir コマンドには glob 表現も利用できる。 これらは再帰的に展開され
       る。

セキュリティと暗号化

       mirrordir  は、強力なストリーム cipher 暗号化と、 何種類かの鍵サイズでの Diffie-Hellman 鍵
       交換をサポートしている。 安全な接続は mc:// の接続で動作する。オプション --secure,  --key-
       size, --download-scripts を参照のこと。 デモは  の節を、公開鍵・秘密鍵の置場所については
       ファイル の節を参照のこと。

オプション

       --help 詳しいヘルプを出力して終了する。

       --verbose
              mirror に対してなされたファイル修正に関して、 詳しい出力をするよう指定する。 このオ
              プションは複数個指定でき、  たくさん指定するほどより詳しく出力する。 出力は標準出力
              に書き出される。

       --restore-access
              読み込むを行うごとに、 control のアクセス時間を元に戻す。

       --access-times
              control のアクセス時刻も複製する。

       --always-write
              同じに見えるかどうかに関らず、 すべてのファイルを書き変えるよう強制する。

       --recurs-mode
              これは  recursdir   ではデフォルトで有効になる。   指定したディレクトリを再帰的に読
              み、それらに対しては何も行わない。  このオプションは ファイルを検索したり、 -C と共
              に指定してシェルコマンドを実行したりするのに便利である。 なお C  インタープリタでは
              system(), exec(), popen 関数が利用できる。

       --login-mode
              このオプションは  pslogin ではデフォルトでセットされる。これは secure-mcserv をサー
              バに使う rlogin とだいたい同じになる。 ssh(1)  の代わりに使えるような、安全な暗号化
              された接続を提供する。 pslogin は暗黙のうちに --secure も指定する。このオプションを
              指定したり、 pslogin を用いた場合は、コマンドラインにはパスを 1  つだけ指定しなけれ
              ばならない。 指定の形式は [mc://][username@]hostname[:portnumber][/path] である。

              ログイン後直ちに、シェルプロンプトから cd /path が実行される。 pslogin は文字 #, $,
              > を調べ、 プロンプトが出たかどうか判断する。 これらが見つからないと、  pslogin  は
              ずっと止まったままになる。この動作を避けるには、  /path/ とすれば良い。するとロ
              グインディレクトリに留まったままになる。 あるいはシェルプロンプトを変更して、これら
              の文字を含めるようにしてもよい。

       --copy-mode
              これは  copydir ではデフォルトでセットされる。 コピー元・コピー先の各ファイルに対し
              て cp(1) と同じように振る舞う。このオプションを用いると、暗黙のうちに  --keep-files
              を指定したことになる。  コピー先の既存のファイル・ディレクトリのうち、 コピー元と同
              じ名前を持つものはすべて上書きされるが、 これ以外の理由でファイルやディレクトリが削
              除されることはない。  コピー元には複数のファイルやディレクトリを指定できる。 コピー
              先のパスはディレクトリでなければならない。

       --no-erase-directories
              このオプションを指定すると、 コピー先のディレクトリとコピー元のファイルがおなじ名前
              で、  かつそのディレクトリが空でない場合、 エラーメッセージを表示して終了する。これ
              は copydir のデフォルトの動作である。

       --erase-directories
              このオプションを指定すると、 コピー先のディレクトリとコピー元のファイルがおなじ名前
              の場合、  コピー先のディレクトリは再帰的に削除される。これは mirrordir のデフォルト
              の動作である。

       --allow-empty-ftp-dirs
              ftp サーバには、 . とか .. といったディレクトリを生成しないものがある。  そのような
              場合、ディレクトリへの読み取り許可がないように見えてしまう。 このオプションを用いる
              と、この動作を変更し、   このような完全に空のディレクトリを単に空であるとみなしてエ
              ラーにしない。  unable to open directory: *: Permission denied というエラーになった
              場合は、このオプションを試してみるとよい。 このオプションはデフォルトでは有効になっ
              ている (次項を参照のこと)。

       --no-allow-empty-ftp-dirs
              現在はディレクトリに cd してアクセス許可を調べるためにようになったので、 デフォルト
              の動作は空のディレクトリを許可するようにした。

       --only-delete
              mirror に対して、利用しているディスクスペースを  増加させるような変更は一切行なわな
              い。  これは容量の限られているドライブに対してバックアップを取る場合、 転送の最中に
              controlmirror を増加させてしまうような 変更がなされるときに便利である。  一度こ
              のオプションをつけて  mirrordir を実行すれば、 次にこのオプションをつけて実行したと
              きには、 利用できる領域を越えないことが通常は保証される。

       -i, --ignore-next-exclude
              このオプションを指定すると、次の --exclude-  タイプのオプションは、  対象ファイルが
              mirror ディレクトリにあろうと無かろうと、 それらを完全に無視することになる。 これは
              後述する --exclude-script オプションで IGNORE が返った場合と同じ効果を持つ。 これは
              特定のファイルを決して変更しないようにするのに利用できる。  例えば  /etc/named.boot
              を決して変更したくない場合には、   mirrordir    /mnt/1    /mnt/2    -i    --exclude
              /mnt/1/etc/named.boot  とすればよい。mirror ディレクトリではなく、 control ディレク
              トリのフルパスで指定することに注意。 --exclude  /mnt/2/etc/named.boot  では動作しな
              い。 後者では、ファイルを削除したくない場合には そのファイルが control ディレクトリ
              に存在しなければならない (たとえサイズ 0 であっても) という馬鹿げた動作となる。

       --exclude path
              ファイルまたはディレクトリ path を除外する。コマンドラインにたくさんの exclude パス
              を指定すると、 動作が遅くなってしまう。除外されたパスは、 mirror ツリーに存在する場
              合は削除される   (そのディレクトリまたはファイルが存在していない場合と同様である)。
              これらのファイルを削除せずに無視して保持しておきたい場合は、  --ignore オプションを
              用いること。

              除外するファイルが長いリストになる場合は、  --exclude-from   オプションを利用するこ
              と。

       --exclude-glob glob
              glob  形式の表現 glob にマッチするファイルするディレクトリを除外する。 ファイルへの
              マッチではフルパスを用いない。 シェルにおいては、glob 表現を適切な引用符で括り、 解
              釈されないようにする必要がある。

       --exclude-regexp regex
              フルパス名が  regex  にマッチするファイルやディレクトリを除外する。  シェルにおいて
              は、正規表現を適切な引用符で括り、 解釈されないようにする必要がある。

       --exclude-script [expr|file]
              各ファイルに対する処理を行なう前に、スクリプト expr を実行する。 このスクリプトは C
              言語スタイルの文ブロックからなり、`return expression;´ で終了する。 expression の値
              は INCLUDE, EXCLUDE, UNKNOWN IGNORE (上述の -ifP を見よ) のいずれかであり、そのファ
              イルに対して成すべき動作を示す。  expr にセミコロン (;) が含まれていない場合は、 こ
              れはファイル名とみなされ、そのファイルがロードされる。 それ以外の場合は、テキストは
              高速化のために  逆ポーランド形式にコンパイルされる。 このオプションは複数指定でき、
              その場合スクリプトは UNKNOWN 以外の値が返るまで、順に実行される。 UNKNOWN  が返った
              場合は、コマンドラインにあるその他の --exclude- 形式のオプションが効力を持つ。

              インタープリタがおかしなエラーを報告したり、 セグメンテーションフォールトを起こした
              場合は、 その原因となったスクリプトを私に送ってほしい。

              このスクリプト言語自体は、C プログラミング言語のサブセットである。 例えば以下のよう
              なものは正しいスクリプトである。

              /* PATH はファイルのフルパス名で、DIR は末尾に
                 スラッシュ (/) の無いディレクトリ、CWD は
                 カレントワーキングディレクトリ、dpath() は
                 フォワードスラッシュ (/) の個数-1 を返す。*/
              if (depth (DIR) - depth (CWD) > 3) {
                  printf ("%s: excluded\n", PATH);
                  return EXCLUDE;
              } else
                  return INCLUDE;

              このスクリプト言語は代入演算子をサポートしない。 したがってユーザ定義変数をサポート
              しない。

              以下の定義済みマクロを利用できる。 マクロの展開は、ディレクトリにもファイルと等しく
              同じように適用される。

              FILE   現在のファイル (パス無し)

              NAME   パス・拡張子の無いファイル名。末尾にドット (.) は付かない。

              EXTENSION
                     ファイルの拡張子。先頭にドット (.) は付かない。

              DIR    ファイル名の無いディレクトリ。末尾にスラッシュ (/) は付かない。

              PATH   フルパスのファイル名

              CWD    カレントワーキングディレクトリ

              TIME   現在時刻 (秒単位)

              C のすべての論理演算子・算術演算子・ビット演算子がサポートされている。 すなわち ( )
              >= <= > < != == && || !  - + * / % & ^ で、これらは全て C のものと同じ意味を持つ。

              さらに以下に示すマクロも利用できる。 各々は整数 (C での long int 型) を返す。  これ
              らはそのファイルに対する  lstat  (または  --follow-symlinks  が用いられている場合は
              stat) を基にしている。詳しい説明は stat(2) を参照のこと。

              stat.st_dev - デバイス
              stat.st_ino - i-ノード
              stat.st_mode  - 許可属性 (permission)
              stat.st_nlink - ハードリンクの数
              stat.st_uid - 所有者のユーザ id
              stat.st_gid - 所有者のグループ id
              stat.st_rdev  - デバイスタイプ
              stat.st_size  - ファイルサイズ (バイト単位)
              stat.st_blksize - ファイルシステム I/O のブロックサイズ
              stat.st_blocks - アロケート済みのブロック数
              stat.st_atime - 最後にアクセスされた時刻 (秒単位)
              stat.st_mtime - 最後に変更された時刻 (行単位)
              stat.st_ctime - 作成された時刻

              以下の関数はブール値を返す。

              strncmp(string1, string2, integer);
                     string1 が string2 より小さい場合は 0 以下の整数を、 マッチする場合は 0 を、
                     大きい場合は 0 以上の整数を返す。

              glob(glob, string);
                     string  が glob 表現 glob にマッチする場合は 0 を返す。 下層の実装における効
                     率を良くしたい場合は、 あなたが書くコードでの glob  表現をひとつに限ってみる
                     こと。

              regexp(regexp, string);
                     string  が正規表現 regexp にマッチする場合は 0 を返す。 下層の実装における効
                     率を良くしたい場合は、  あなたが書くコードでの正規表現をひとつに限ってみるこ
                     と。

              strstr(string1, string2);
                     string1 の長さの範囲に最初に現れる string2 の位置を返す。現れない場合は 0 を
                     返す。

              以下の関数もブール値を返す。これらは stat(2) で説明されているマクロに対応している。
              これらは、指定された条件が真の場合に非ゼロの値を返す。

              S_ISLNK(integer); - ファイルはシンボリックリンク
              S_ISREG(integer); - ファイルは通常のファイル
              S_ISDIR(integer); - ファイルはディレクトリ
              S_ISCHR(integer); - ファイルはキャラクタデバイス
              S_ISBLK(integer); - ファイルはブロックデバイス
              S_ISFIFO(integer); - ファイルは fifo
              S_ISSOCK(integer); - ファイルはソケット

              以下の関数は文字列を操作する。

              strcat(string1, string2);
                     string1string2 を連結して返す。 + 演算子も文字列を連結することに注意。

              depth(string);
                     string に現れるフォワードスラッシュ (/) の個数から 1 を引いたものを返す。

              printf(format, ...);
                     printf(3)  のように動作する。ただし重要な例外がある: long int のフォーマット
                     指定以外は使ってはならない。  これ以外の指定を行なったときの変換結果は未定義
                     である。 例えば、"%d" ではなく "%ld" を用いること。 結果は標準出力に表示され
                     る。

              以下の関数はシステムコールを実行する。

              system(command);
                     /bin/sh -c command を実行する。しかし C 言語のものとは異なり、  コマンドの終
                     了コードを返す。 つまり、一行だけのシェルスクリプト command を実行する。

              exec(argv0, argv1, ...);
                     プロセス  argv0 を引数 argv1...  で実行する。 argv0 フルパスで指定しなければ
                     ならない。 これは sh を経由しないので system より速い。

              popen([string, ] shell_command);
                     system と似ているが、 shell_command の出力を文字列として返す。 string が与え
                     られている場合には、その文字列を  shell_command の標準入力に与え、成功したら
                     0 を返す。

              以下の整数定数も利用可能で、stat.h で定義されているマクロ (説明は  stat(2)  にある)
              に対応する。

              S_IFMT  S_IFSOCK  S_IFLNK  S_IFREG  S_IFBLK S_IFDIR S_IFCHR S_IFIFO S_ISUID S_ISGID
              S_ISVTX S_IRWXU S_IRUSR S_IWUSR S_IXUSR S_IRWXG  S_IRGRP  S_IWGRP  S_IXGRP  S_IRWXO
              S_IROTH S_IWOTH S_IXOTH

              以下の定数のひとつを return 文を用いて返し、呼出し元に意図を伝える必要がある。 何も
              返さない場合は、返り値は UNKNOWN であるとみなされる。

              UNKNOWN
                     どうすべきか分からない。引き続き他の  --exclude-  タイプのオプションを実行す
                     る。

              INCLUDE
                     そのファイルを処理に含める。

              IGNORE そのファイルが mirror ディレクトリにあろうと無かろうと、 何も行なわない。

              EXCLUDE
                     そのファイルが  control ディレクトリに存在しないものとみなす。 よって mirror
                     ディレクトリからは削除される (これは  --keep-files  オプションよりも優先され
                     る)。

              以下は C のようなフロー制御を行なう。

              以下の if 文は integer が真 (つまり非ゼロ) ならば statement1, statement2 などを実行
              し、 それ以外の場合は statementA, statementB などを実行する。 else {...} の部分は省
              略可能である。

                  if (integer) {
                      statement1;
                      statement2;
                      .
                      .
                      .
                  } else {
                      statementA;
                      statementB;
                      .
                      .
                      .
                  }

              return 文は mirrordir に値を返し、スクリプトを終了させる。

                  return expression;

              exit 関数は、 mirrordir を指定した終了コードで終了させる。

                  exit(integer);

              通常  C スクリプトは、特定のファイルを除外するために用いる。 これはスクリプト言語の
              実装としてはやりすぎで、 機能のすべてを一般用途向けに書いたわけではない。  典型的な
              スクリプトは、例えばデバイスファイルを除外する、 という程度のことに留まるだろう。

              if (S_ISSOCK(stat.st_mode) || S_ISFIFO(stat.st_mode)
                       || S_ISBLK(stat.st_mode) || S_ISCHR(stat.st_mode)) {
                  return EXCLUDE;
              } else
                  return INCLUDE;

              --recurs-mode オプションとともに用いれば、 C スクリプトはファイルを検索するためにも
              利用できる (recursdir コマンドと同じ):

              /* core ファイルを全て削除する */
              /* この例は  セクションに移動した。 */

       --exclude-from file
              ファイル file に書かれているリストに含まれるパスを除外する。 空行とコメント行 (行頭
              の文字が  # の行) は無視される。 このファイルのリストはソートされ二分木探索されるの
              で、 たくさんのファイル名を除外したい場合には、  ここにそれらのファイルを書く方が性
              能は良くなる。  このオプションは複数指定でき、複数個のファイルを指定できる。  バグ:
              file の最後に与えたパスは、改行で終らなければならない。

       --backup-extension level
              ファイルを削除したり置き換えたりする前に、   それらのファイルのバックアップを作る。
              extension は C 形式のフォーマット文字列で、例えば .ORIG.%d (% へのシェル代入に注意)
              のようにする。 level は保存しておくリビジョンの最大数。 extension  がファイル名に追
              加され、古いファイルほど大きな番号を持つ。

       --backup-outdate sec
              sec 秒よりも古いバックアップファイルを削除する。

       --nice num
              時々スリープして、他のプロセスに対して行儀良く振る舞う。  --nice を指定すると、プロ
              セスはアクティブであった時間の num 倍の時間スリープする。したがって 1  を指定すると
              (非常におおざっぱに言えば)  コピーに要する時間は 2 倍になり、 3 を指定すれば 4 倍に
              なる。 これは定期的なバックアップを、 CPU  負荷を小さくして行ないたい場合に利用する
              とよい。 システムによっては --nice は利用できないかもしれない。

       --no-chmod
              通常はファイルの許可属性設定が行なわれる。 アクセス権限が制限されていて、許可属性を
              変更できない場合は、 このオプションを指定すれば許可属性設定を無効にできる。

       --no-chown
              通常はファイルの所有権設定が行なわれる。 アクセス権限が制限されていて、所有者を変更
              できない場合は、 このオプションを指定すれば所有権設定を無効にできる。

       --mtime-threshold sec
              mtime の違いがこの値よりも小さい場合には、 ファイルは上書きされない。ftp サイトをミ
              ラーした場合、 そのミラー中の mtime は分の単位の精度しか持たないので、  これを  nfs
              ミラーしようとするとすべてのファイルがコピーされる。     これを直すには    --mtime-
              threshold 60 を用いればよい。

       --time-offset [[+]|-][H]H[:MM]
              vfs な (つまり ローカルでない) ディレクトリの時刻オフセットを設定する。  例えば私は
              New  York  より  8 時間東にいるので、 New York からミラーする場合には --time-offset
              -8:00 を使っている。

       --test-only, --dry-run
              実際には変更を行なわない。 --verbose と共に用いると、  どのような変更がなされるかを
              表示できる。  これはディレクトリ間の比較をするのにも効果的な方法である。 これはテス
              トされていない。 すなわち、このオプションが本当に変更をしないかどうかは、  私は保証
              できない。

       --skip-symlinks
              シンボリックリンクは、読み込まれなかったかのように扱われる。  よってそれらが mirror
              ディレクトリにあると、削除される。

       --keep-files
              ファイルが control に無い場合でも、そのファイルを mirror から削除しない。こうすると
              mirrordir はある意味 cp(1) のようになる。

       --no-hard-links
              このオプションが指定されない限り、 mirrordir はハードリンク属性を正しくミラーする。
              指定されると、ハードリンクは通常ファイルのようにコピーされる。

       --follow-symlinks
              このオプションが指定されなければ、  mirrordir  はシンボリックリンクを適切にミラーす
              る。  指定されると、シンボリックリンクは通常ファイルとしてコピーされる。  Debian ツ
              リーをミラーするときに便利である。    注意してほしいのは、     シンボリックリンクは
              control  と mirror の両方で解決される、 という点である。 依ってシンボリックリンクが
              mirror  ディレクトリに存在していると、   それらはそのままシンボリックリンクのまま残
              る。  --follow-symlinks を指定すると、暗黙のうちに --no-hard-links も指定したことに
              なる。

       --strict-locking
              ファイルを読み込むとき、共有読み込みのロックを作成する。 これはファイルコピーの事故
              を予防する。 特にメールディレクトリに対して有効である (メールプログラムは mirrordir
              がファイルを読み込もうとしているときに、 同時にそれらに書き込みを行なおうとするかも
              しれない)。 このオプションは仮想ファイルシステムに対しては効力を持たない。

       --max-bytes [[num[k|M|G]]|num]
              このバイト数を越えると  `filled  up all blocks - first file/dir not mirrored: path'
              というメッセージが標準出力に表示される。 残りのファイルは mirror から削除されるが、
              これはリストされた順序で行なわれる。よって mirrordir が走り続けていると、アーカイブ
              の大きさが num を越えることがある。 この偶発分のゆとりをとって、 num は利用できるス
              ペースより小さくしておくこと。  またファイルシステムによっては、 完全にいっぱいにな
              る前に `No space left on device' というメッセージを出すことがある。 mirrordir  には
              --starting-file  path オプションがあり、 これを用いると別のデバイスで作業を継続でき
              る。  こうすれば、複数のデバイスに対して  mirrordir  を用いたバックアップができる。
              num  には  k, M, G (大文字小文字を区別する) のいずれかを後置でき、 それぞれキロバイ
              ト、メガバイト、ギガバイトを指定する。 どれかひとつのファイルがこの数値よりも大きい
              と、 エラーメッセージが表示される。 --block-size も参照のこと。

       --password password
              FTP  接続・mc://  接続に対するパスワードを設定する。 匿名接続の場合のパスワードは、
              デフォルトで「ログイン名@ローカルマシン名」になっている。    それ以外のログインパス
              ワードは、プロンプトが出て尋ねられる。  いつもの警告だが、 パスワードをスクリプトに
              含めるのはセキュリティ上のリスクがある。  パスワードは  ~/.netrc   ファイルに入れ、
              --no-netrc オプションを指定しないかたちの方がずっと良い。 詳細は man ftp を見よ。

       --password-exact password]
              匿名パスワードの前に  - を前置しない。 ftp の匿名パスワードでは、通常パスワード文字
              列の前に - が置かれる。私は Midnight Commander vfs がなぜこのようにしていたのか知ら
              ないが、  あるユーザがこの問題に突き当たったので、 このオプションを設け、パスワード
              を password に指定した通りに送れるようにしている。

       --test-login
              --login-modepslogin  を用いるとき、非対話的なアクセスをテストしてみたいことがあ
              るだろう (例えばシェルスクリプトで用いたいときなど)。 これを行なうには、 pslogin を
              このオプションとともに実行し、終了ステータスを見ればよい。 secure-mcserv は、ユーザ
              がパスワードサーバにログインできるかどうかを調べるために、 これを用いている。

       --no-warn-first-login
              あるマシンに対して最初に安全な接続を試みた時は、   公開鍵がローカルマシンに存在しな
              い。  よって「間に人」攻撃に対して無防備である。   この内容に関する警告が表示され、
              ユーザにプロンプトが出され、継続したいかどうか尋ねられる。 このオプションはこの警告
              を出さないようにし、 一切を無視して先に進む。

       --read-password-from-stdin
              パスワードをコマンドラインから指定するのではなく、 標準入力から与える。  これは見え
              ないパスワードをタイプ入力するのと同じではない。   こちらは端末が無い場合にでも使え
              る。 これは他のプログラムから、例えば  popen(3)  などを用いて利用する場合に都合が良
              い。 secure-mcserv は、ユーザがパスワードサーバにログインできるかどうかを調べるため
              に、 これを用いている。

       --netrc
              ~/.netrc をスキャンする。デフォルトでこのオプションは on になっている。

       --no-netrc
              ~/.netrc ファイルの読み込みを行なわない。

       --proxy-host host
              ftp ダウンロードのプロキシを設定する。 これがどのように動作するのか、  あるいは実際
              に動作するかどうかは私にはわからない。  プロキシのサポートについては mc(1) にあたっ
              てほしい。

       --secure
              (この機能はβ段階である) 私は mirrordir 用に安全なソケット層を実装した。これはこのオ
              プションで有効となり、  secure-mcserv の接続 (すなわち mc:// 形式の URL) に適用され
              る。 安全なソケットのライブラリは libdiffie.a とヘッダファイル diffie-socket.h から
              なる。 sys/socket.h の後に diffie-socket.h をインクルードし、そのプログラムを際コン
              パイルすれば、 通常のソケットが全て安全なソケットになる (これは Unix のソケットコー
              ルを用いる、あらゆるプログラムに当てはまるが、 しかしテストはされていない)。 これを
              サポートする最初のサービスは  secure-mcserv  で、デフォルトでコンパイルされ、インス
              トールされる。  よって、リモートのホストも  secure-mcserv  を走らせていれば、 mc://
              ファイルシステムは --secure オプションで利用できる (secure-mcserv -h とすればヘルプ
              が表示される)。  --secure  は、DES などのブロック cipher よりずっと安全で高速なスト
              リーム cipher を、 公開鍵サーバ認証 (Diffie-Hellman 及び p-NEW スキーム) の  離散対
              数鍵交換で用いている。  詳細はソース配布の diffie-socket.h を見てほしい。デフォルト
              の鍵のサイズは 512 ビットである。 gcc を用いている場合は、 mirrordir のコンパイル時
              に -O3 -fomit-frame-pointer -s -Wall オプションをつけると、鍵生成が高速化される。

       --key-size bits
              デフォルトの鍵サイズは    512   ビットである。   サイズを変更するには素数を生成して
              fileld.c に書き込まなければならないので、 field.c  にリストされているサイズだけがサ
              ポートされており、  現時点ではこれは 512, 768, 1024, 1536 である。 遅い計算機を用い
              ている場合には、中程度のセキュリティとなる 768 を奨める。  それ以外なら、長い目で見
              れば 1536 も非合理で偏執的な値、というわけでもない。 巨大企業・良くつないでくるハッ
              カー・政府などがあなたの接続を 盗聴している心配がなければ、512 でも構わないだろう。
              ストリーム cipher は bits/2 の長さを持つので、クラックされる確率は、 宝くじを換金し
              ているあいだに隕石にぶち当たる確率よりは低い。 ただしある人間が接続を盗聴し、長い間
              出力をとり続ければ、  破ることは不可能ではない。 20 年も経てば、1536 ビットの鍵も小
              さいと考えられるかもしれない。 また (ここで用いられている) 離散対数問題は、  素因数
              分解よりも解くのが難しいと考えられているので、  鍵は RSA よりも実効的にやや大きいこ
              とになる。 これは私の (どちらかというと無学な) 意見である。

       --download-scripts
              mirrordir には 2 つの版、International 版と US 版がある (--version を見よ)。US 版は
              暗号化に類するコードを一切含んでいない。 その代わり、必要なアルゴリズムを (南アフリ
               にある) encrypt.obsidian.co.za からダウンロードするようになっている。 これらは高
              速かつネイティブな、C  形式のインタープリタ言語で書かれている。 これらは 4 つのスク
              リプトからなる。それぞれ、 Diffie-Hellman 鍵交換サーバ、Diffie-Hellman 鍵交換クライ
              アント、  ストリーム cipher の初期化、実際にストリーム cipher を用いた暗号化、 のた
              めのものである。 mirrordir は、あなたがセキュリティ機能を用いようとすると、  自動的
              にこれらのスクリプトをダウンロードする。しかしこの --download-script オプションを用
              いると、いつでもダウンロードを実行できる。 International 版にはストリーム cipher が
              組み込まれていて、  2 つのスクリプトだけを用いるが、 これらは配布に含まれているので
              ダウンロードの必要はない。 Diffie-Hellman  交換をスクリプトで用いても、速度的な劣化
              は生じない。  しかし暗号化に関しては、 スクリプトと組み込みの間の違いが結構大きいか
              もしれない。

       --version
              バージョン番号と、  この  mirrordirInternational  版か  US   版かを表示する。
              --download-scripts を見よ。

       -z, --gzip
              mc:// 接続で圧縮を有効にする。 実際には符号化よりも低いレベルにある圧縮ソケット層を
              呼出す。 圧縮は gzip(1) の libz ライブラリを用いて行なう。圧縮の程度は、 転送時間を
              最小化するように動的に設定される。 高速なイーサネット接続なら無圧縮にまで低くなりう
              るし、 モデム経由の遅い接続では最大圧縮にまで高くなる。 このアルゴリズムは、TCP  の
              write  コールが、 同量のデータを deflate する (つまり圧縮する) 時間の 2〜5 % の範囲
              になるように、 圧縮レベルを調整する。

       --gzip-backups
              バックアップは通常は単にファイルのコピーである。 このオプションを指定すると各ファイ
              ルは圧縮され、  .gz  がデフォルトの拡張子として付加される。  バックアップの拡張とし
              て、あなたが自分で --backup-extension の指定を行なった場合は、その末尾が .gz で終ら
              ないと、比較が正しく動作しない。

       --case-insensitive, --for-Robert-Seese
              ファイル名やリンク名の比較に、大文字小文字の違いを無視する。 これは、特定の頭の悪い
              OS と通信するときに便利だろう。  このオプションがすべての状況で正しく動作するかどう
              かは、あまり自信が無い。

       --to-lower

       --to-upper
              すべての新しいファイル名を大文字または小文字に変換する。  --case-insensitive と共に
              用いると、新しいファイルを作成する場合にのみ適用される。 --case-insensitive  なしで
              指定すると、既存かどうかに関らす、   すべてのファイルが大文字・小文字に変換される。
              このときの方法は非効率的なもので、 古いファイルを一度消してから、新しいファイルを再
              度コピーする。  これは、特定の頭の悪い OS と通信するときに便利だろう。 このオプショ
              ンがすべての状況で正しく動作するかどうかは、あまり自信が無い。

       --no-use-passive-connections
              could not setup passive mode というエラーメッセージを受け取った場合、  このオプショ
              ンを有効にする必要があると考えられる。  私は `passive' の意味するところを完全には理
              解していないので、 私には聞かないでほしい。

       --tar-file filename
              これは recursdir と共にのみ用いる。tar アーカイブを GNU tar(1) と同じフォーマットで
              作成し、  filename に保存する。先頭の特殊なプレフィックスと末尾のスラッシュは削除さ
              れる。 すなわち http://machine/dir/filedir/file  になる。ファイル名の先頭文字が
              |  の場合、 テキストの残りは出力がパイプされるコマンドとみなされる。 よって gzip 圧
              縮アーカイブは、例えば以下のようにすれば作成できる。
              recursdir ftp://machine/dir --tar-file '| gzip -d > foo.tar.gz'

       --tar-block-size N
              tar 出力のブロックサイズを 512 * N にする。  これはデータをアーカイブに書き込むとき
              の単位である。 デフォルトは 20。 これはブロックデバイスに書き込むときに限って意味を
              持つ。 これを --block-size と混同しないこと。

       --block-size bytes
              デフォルトのブロックサイズは 1024 バイトである。 消費されるブロックの総数を計算する
              際、  ファイルサイズは隣接するブロック末尾に切り上げられる。 実際のブロックサイズが
              この値よりも大きいと、 書き込み時に実際に利用されるブロック数よりも、  計算値が小さ
              くなる可能性がある。  よって --max-bytes オプションを用いるときには、実際のブロック
              サイズと同じ、 またはより大きな値を指定することがとても大切である。

       --strict-mtimes
              通常ファイルをコピーする場合、 mirrordir は通常 mirror のファイルが control  のファ
              イルよりも「古い」場合に限って上書きコピーを行なう。     このオプションを用いると、
              ファイル間に修正時刻の「何らかの」差異があれば、コピーを行なう。

       --no-mtimes
              サイズが違う場合に限ってコピーする。 ファイルの修正時刻は無視する。

       --ignore-size
              ファイルのコピーを mtime に基づいて行ない、 サイズの違いは無視する。

       --starting-file path
              path はファイルまたはディレクトリ。 path が読まれるまでは、ファイルやディレクトリは
              除外ファイル  (つまり mirror にある場合は削除される) のように扱われる。 path を含む
              ディレクトリは、存在していなければ作成される。  path   が読み込まれると、ファイルや
              ディレクトリは通常にミラーされる。  path そのものもミラーされる。 path またはそのサ
              ブディレクトリが存在していない場合は、    mirrordir    は直ちに終了する。    これは
              mirrordir   が作業前に終了する唯一の場合である。   これは  path  が見つからない場合
              に、ファイルシステム全体が削除されるのを防ぐためである。

FTP のサポート

       ftp 転送が、 Midnight Commander の仮想ファイルシステム (Virtual File System: VFS) を利用す
       る形でサポートされている。  要するにつまり、URL もローカルディレクトリと同じようにサポート
       されている。 以下に例を示そう。
           mirrordir --verbose \
            ftp://lava.obsidian.co.za/pub/mirrordir \
                /home/mirrordir
       あるいは
           mirrordir --verbose /home/mirrordir \
            ftp://psheer@lava.obsidian.co.za/home/ftp/pub/mirrordir
       も動作する。ただし後者ではまずパスワードを尋ねられる。 ftp  サーバに「アップロード」を行う
       場合は、 --strict-mtimes オプションは on にすべきでない。 ftp では修正時刻の設定はできない
       ので、 すべてがコピーされてしまう。

       (--verbose を設定すれば) mirrordir が繰り返し ftp で修正時刻とアクセス時刻をセットしようと
       していることに気づくだろう。 用いている VFS のタイプにおける制限をユーザに知らせるために、
       これらのメッセージは残しておくつもりである。  これらの試行は、明らかな性能の劣化としては現
       われない。 しかしこのプロトコルを用いたアップロードの性能が悪い場合は、代わりに mc:// を用
       いてみるといいだろう。 なおダウンロードは常にアップロードよりも高速である。

       一般に cron ジョブでは ftp アップロードを用いるべきではない。 またディレクトリの同期を取る
       目的にも向いていない。  ディレクトリを同期したい場合は、反対側からのダウンロードを用いるこ
       と。 アップロードは一回きりのアップロードにしか有用でない。

       ここでは mirrordir を用いて行える、ちょっと気の効いた作業を紹介する。

       ミニマリスト的コピー
              ソースツリーが 2 つあり、 古い版をパッチを適用するために保管しておきたいとする。 こ
              れには mkdir tree.OLD して、

                    mirrordir -v tree tree.OLD

              するだけでよい。  もう一度 mirrordir を実行すれば、最小限の変更のみ (つまり更新され
              たファイルのみ) がコピーされる (実は cp(1) も同じことをする)。

       システムバックアップ
              システムによっては、 定期的なバックアップをテープアーカイブに行っていることがある。
              また RAID デバイスを用いて、 あるパーティションと同一のコピーを恒常的に保持している
              システムもあるだろう。 mirrordir はさらに別の選択肢を提供する。 システムに 2 台のド
              ライブを装備する。ひとつは普段用いるもの、 もう一つはバックアップするためのものであ
              る。 そして mirrordircron(8)  のテーブルに追加するのだ。  変更されたファイルの
              バックアップには、様々なオプションが利用できる。 バックアップディレクトリはユーザか
              ら読み取り可能にしておき、 各人のバックアップファイルを閲覧できるようにしておくとい
              いだろう。  特定のファイルの古いバージョンを取り戻したいユーザは、 バックアップから
              入手できるようになる。 mirrordir は変更されたファイルの最小限だけを処理するので、非
              常に高速である。  一日に何回も実行したり、あるいは --nice オプションを付けて 途切れ
              ることなく実行させることさえ可能である。

              マシンが壊れたときに対する備えをさらに強固にしたければ、 FTP を用いてリモートマシン
              にバックアップを行うこともできる。

       2 台のマシンを毎時バックアップする
              dar2 というマシン上で、私は次のような cron ジョブを 6 時間ごとに実行している。

              #!/bin/sh

              # (this is just in case of any bugs I don't know about,
              # but I don't think it is necessary)
              killall -9 tee
              killall mirrordir >& /dev/null
              sleep 2
              killall -9 mirrordir >& /dev/null

              (                                                               \
              date                                                        ;   \
              echo "mirrordir says (if it said nothing it is bad):"       ;   \
                  mirrordir mc://dar1:12346/ -p abcdefg /mnt/dar1/            \
                  -i --exclude-regexp '^mc://dar1:12346/var/lock/subsys/atd'  \
                  --exclude-regexp '^mc://dar1:12346/proc/'                   \
                  --exclude-regexp '^mc://dar1:12346/mnt/[^/]*/.*$'           \
                  -i --exclude-regexp '^mc://dar1:12346/boot/'                \
                  -i --exclude-regexp '^mc://dar1:12346/etc/lilo.conf'        \
                  -C                                                          \
              ´
              if (S_ISDIR (stat.st_mode)) {
                  if (!regexp ("^mc://dar1:12346/[^/]*$", PATH))
                      printf ("Backing up: %s0, PATH);
              }
              ´                                                   ;           \
              date                                                ;           \
              echo "Done"                                         ;           \
              ) 2>&1                                                          \
              | tee --ignore-interrupts --append /var/log/mirrordir.log       \
              | mail -s 'dar1 backup results' psheer@obsidian.co.za

       安全な転送とログイン
              turing.co.uk において以下のコマンドを実行しておく
                  secure-mcserv -p 12345 -d
              どこか外部のマシンから
                  copydir --secure -K 512 -z \
                  mc://alan@turing.co.uk:12345/usr/src/linux/.config .
              とすれば、512 ビットの鍵を用いた安全なファイルコピー (圧縮つき) ができる。 また
                  pslogin mc://alan@turing.co.uk:12345/
              とすれば、このマシンに安全にログインできる。

       FTP サイトのミラー
              ftp サイトでは ls の -R オプションが禁止されていることが多いので、 従来用いられてき
              た mirror (1) は失敗することがあった。 mirrordir にはこの制限はない。

                  mirrordir -v ftp://metalab.unc.edu/pub /home/ftp/pub

       FTP 転送
              よくある FTP 転送は、--copy-mode オプションを用いた  一行のコマンドで簡単に実現でき
              る。 複数のファイルをどちら向きにも、 また別々の ftp サイトにすら (間接的にではある
              が)、 cp(1) のようにコピーできる。
                  copydir -v mirrordir-0.9.15.tar.gz \
                  mirrordir.lsm ftp://metalab.unc.edu/incoming/Linux
              とすると mirrordir を sunsite にアップロードする。

              anonymous でない ftp 転送のパスワードは、標準的な ftp の慣習に従って ~/.netrc  ファ
              イルに置き、--netrc  オプションを用いるのがよい。 あるいは ftp://myname@machine/ を
              用いてもかまわない。

       ファイル探索
              recursdir / -C
              'if (!glob ("*.c", FILE)) printf ("%s\n", PATH);'
              とするとシステムにあるすべての C ファイルを表示する。
              recursdir / -C
              'if (S_ISCHR(stat.st_mode)) printf ("%s\n", PATH);'
              とすればシステムにあるすべてのキャラクタデバイスを表示する。

       FTP サイトをテープにバックアップする
              リモートサイトをテープにバックアップするには
                  recursdir ftp://user@remote.machine/ \
                  --exclude-regexp '//[^/]*/proc/' --tar-file /dev/mt
              とすればよい。

       core ファイルの削除
              これはシステムからすべての core ファイルを削除する:

              recursdir / -C ´
              long l;
              if (strncmp (PATH, "/proc", 5)) {
                  if (S_ISREG (stat.st_mode) && !strcmp ("core", FILE)) {
                      if (strstr (popen ("file " + PATH), "ELF 32-bit LSB core")) {
                          l = l + stat.st_size;
                          printf ("removing: %s, cumu. total = %ldkB\n", PATH, l >> 10);
                          exec ("rm", "-f", PATH);    /* could also use system() */
                      }
                  }
              }
              ´

環境変数

       TMPDIR 一時的なファイルを保管させたいディレクトリ。 ftp ファイルシステムは、  まずファイル
              をこの一時ディレクトリにダウンロードし、 正しい場所にそのファイルをコピーする。後述
              の バグ を参照のこと。

              TMPDIR が指定されないと、  デフォルトでは現在進行中のファイルがあるディレクトリに保
              存される。

返り値

       mirrordir は以下の値を返す:

       0      成功。

       1      何らかのエラー (書き込みエラー、許可属性エラーなど) が起った。 この場合、エラーの詳
              細は stderr に書き込まれているはずである。

       2      あるファイルが利用中でコピーできなかったが、それ以外は成功した。 この場合は `unable
              to open control file for writing' というエラーが書き込まれているはずである。 標準エ
              ラーでこのメッセージを grep し、これらのファイルに対してのみ もう一度 mirrordir  を
              実行すればよい。 grep(1) を参照のこと。

バグ

       atd  デーモンのあるバージョンでは、 ロックファイル (や pid ファイル?) をそのファイルもロッ
       ク付きで作成するため、 secure-mcserv が永遠にブロックする。 これを防ぐには、 atd  を停止さ
       せるか、このファイルを対象から除外しなければならない。

       サマータイムの時間補正があるところと ftp でミラーを行うと、 1 時間の時間のオフセットが生じ
       るように見える。   とりあえずの回避策としては   --time-offset   を用いてほしい。    これが
       mirrordir のせいなのかどうかは私にはわからない。

       mirrordir のせいで CPU が食い尽くされ、停止してしまうように見えるバグは修正された。

       コマンドラインから多数の --exclude 式を指定すると、 処理が遅くなる。たくさんのファイルのリ
       ストを除外対象したい人は、 そのリストをテキストファイルに書いて、 --exclude-from  オプショ
       ンを利用する方がよい。

       シンボリックリンク (それが指すファイルではない) の修正時刻とアクセス時刻は複製されない。

       以前にあった、ハードリンクファイルが通常ファイルとして扱われてしまうという  制限は解決され
       た。--no-hard-links オプションを指定すれば、 0.9.8 以前の動作をエミュレート可能である。

       ハードリンクがデバイスをまたいで作成されているかどうかはチェックしていない。  この場合はそ
       れに見合ったエラーが報告されることになろう。

       ftp  ファイルシステムは、まずファイルを一時ディレクトリに *ftpfs* という名前でダウンロード
       する。 これはスペースの無駄だが、vfs ライブラリのデフォルトの動作なのだ。 このディレクトリ
       に十分な容量がないと、おそらく mirrordir はハングする。 上述の 環境変数 を参照のこと。

       ファイル除外に用いる C スクリプト言語は、 実装のやりすぎである。

ファイル

       ~/.netrc
              マシンとそのパスワードのリスト。 オプション --netrc を参照のこと。

       /etc/ssocket/accept.cs
              このスクリプトは、接続のサーバ側で、鍵交換と署名生成を行う。

       /etc/ssocket/connect.cs
              このスクリプトは、接続のクライアント側で、鍵交換と署名生成を行う。

       /etc/ssocket/arcinit.cs
              ストリーム cipher 暗号化を初期化する (国際版では存在しない)。

       /etc/ssocket/arcencrypt.cs
              ストリーム cipher 暗号化を行う (国際版では存在しない)。

       /etc/ssocket/private/
              このディレクトリには、ホストの秘密鍵が置かれる。 鍵はそれぞれ別々のファイルに保存さ
              れる。 ファイル名は 512, 1024 などである。 鍵のデータベースを使うようにすると、  鍵
              管理用のユーティリティが必要になるので、  こちらのほうがよい。 すぐに Reiser ファイ
              ルシステムが標準的になるだろうから、 データベースファイルはいずれにしても不要になる
              だろう。

       /etc/ssocket/public/
              こちらは公開鍵のもの。後は /etc/ssocket/private/ と同様。

準拠

       mirrordir  は作成者の発明であり、 いかなる OS の標準にも従っていない (そうするべきではある
       が!)

入手方法

       このプログラムの最新版は、      ftp://metalab.unc.edu/pub/Linux/system/backup       または
       ftp://lava.obsidian.co.za/pub/linux/mirrordir から入手できる。

著者

       Paul Sheer  <psheer@obsidian.co.za>  <psheer@icon.co.za>

関連項目

       mirror(1),  pavuk(1),  cp(1),  scp(1),  find(1), mc(1), ftp(1), ssh(1), tar(1), rlogin(1),
       rlogind(8), forward(1)