Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20161015+dfsg-1_all bug

名前

       epoll_wait, epoll_pwait - epoll ファイルディスクリプターの I/O イベントを待つ

書式

       #include <sys/epoll.h>

       int epoll_wait(int epfd, struct epoll_event *events,
                      int maxevents, int timeout);
       int epoll_pwait(int epfd, struct epoll_event *events,
                      int maxevents, int timeout,
                      const sigset_t *sigmask);

説明

       epoll_wait()  システムコールは、ファイルディスクリプター epfd で参照される epoll(7) インス
       タンスに対するイベントを待つ。 events が指すメモリー領域には、  呼び出し側が利用可能なイベ
       ントが格納される。最大  maxevents 個のイベントが epoll_wait() によって返される。 maxevents
       引き数は 0 より大きくなければならない。

       timeout 引き数は epoll_wait() が停止する時間をミリ秒で指定する。 epoll_wait() の呼び出しは
       以下のいずれかになるまで停止する。

       *  ファイルディスクリプターがイベントを配送した

       *  呼び出しがシグナルハンドラーにより割り込まれた

       *  タイムアウトが満了する

       timeout 時間はシステムクロックの粒度に切り上げられ、カーネルのスケジューリング遅延により少
       しだけ長くなる可能性がある点に注意すること。 timeout を -1 に指定すると、 epoll_wait()  は
       無限に停止する。  timeout  を  0  に指定すると、 epoll_wait() は利用可能なイベントがなくて
       も、すぐに返る。

       struct epoll_event は以下のように定義される。

           typedef union epoll_data {
               void    *ptr;
               int      fd;
               uint32_t u32;
               uint64_t u64;
           } epoll_data_t;

           struct epoll_event {
               uint32_t     events;    /* epoll イベント */
               epoll_data_t data;      /* ユーザーデータ変数 */
           };

       返される構造体の data メンバには、ユーザーが epoll_ctl(2)  (EPOLL_CTL_ADD,  EPOLL_CTL_MOD)
       で指定したデータが格納される。  一方、 events メンバには返された利用可能なイベントのビット
       フィールドが格納される。

   epoll_pwait()
       epoll_wait()  と epoll_pwait()  の関係は、 select(2)  と  pselect(2)  の関係と同様である。
       pselect(2)   同様、 epoll_pwait() を使うと、アプリケーションは、ファイルディスクリプターが
       準備できた状態になるか、 シグナルが捕捉されるまで、安全に待つことができる。

       以下の epoll_pwait()  の呼び出しは、

           ready = epoll_pwait(epfd, &events, maxevents, timeout, &sigmask);

       次の呼び出しを atomic に実行するのと等価である。

           sigset_t origmask;

           sigprocmask(SIG_SETMASK, &sigmask, &origmask);
           ready = epoll_wait(epfd, &events, maxevents, timeout);
           sigprocmask(SIG_SETMASK, &origmask, NULL);

       sigmask 引き数には NULL を指定してもよい。 その場合には、 epoll_pwait()   は  epoll_wait()
       と等価となる。

返り値

       成功した場合、 epoll_wait()  は要求された I/O に対して準備ができているファイルディスクリプ
       ターの数を返す。 また要求された timeout ミリ秒の間にファイルディスクリプターが準備できない
       場合は、0 を返す。 エラーが起こった場合、 epoll_wait() は -1 を返し、 errno を適切に設定す
       る。

エラー

       EBADF  epfd が有効なファイルディスクリプターでない。

       EFAULT events で指されるメモリー領域に書き込み権限でアクセスできない。

       EINTR  (1) 要求されたどのイベントも発生せず、かつ (2) timeout の期限が切れる前に、システム
              コールがシグナルハンドラーによって割り込まれた。 signal(7) 参照。

       EINVAL epfdepoll ファイルディスクリプターでない。 または maxevents が 0 以下である。

バージョン

       epoll_wait()  はカーネル  2.6  で追加された。  ライブラリによるサポートは glibc バージョン
       2.3.2 以降で提供されている。

       epoll_pwait() はカーネル 2.6.19 で Linux に追加された。  ライブラリによるサポートは  glibc
       バージョン 2.6 以降で提供されている。

準拠

       epoll_wait() は Linux 独自である。

注意

       あるスレッドが  epoll_pwait()  を呼び出して停止されている間に、  別のスレッドが  wait 中の
       epoll インストールにファイルディスクリプターを  追加することがある。新しいファイルディスク
       リプターでイベントが発生すると、 epoll_wait() の呼び出しによる停止が解除されることになる。

       epoll_wait() で監視中の epoll インスタンス内のファイルディスクリプターが別のスレッドによっ
       てクローズされた場合に何が起こるかの議論については、 select(2) を参照してほしい。

バグ

       バージョン 2.6.37 より前のカーネルでは、おおよそ LONG_MAX / HZ ミリ秒より大きい timeout 値
       は  -1 (つまり無限大) として扱われる。したがって、例えば、sizeof(long) が 4 で、カーネルの
       HZ の値が 1000 のシステムでは、 35.79 分よりも大きなタイムアウトは無限大として扱われるとい
       うことである。

   C ライブラリとカーネル ABI の違い
       素の epoll_pwait() システムコールは 6 番目の引き数 size_t sigsetsize を取る。 この引き数は
       sigmask 引き数のバイト単位のサイズを指定する。 glibc の epoll_pwait() ラッパー関数は、この
       引き数に固定値 (sizeof(sigset_t) と同じ) を指定する。

関連項目

       epoll_create(2), epoll_ctl(2), epoll(7)

この文書について

       この  man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクト
       の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。