Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20161015+dfsg-1_all bug

名前

       pthread_setconcurrency, pthread_getconcurrency - 並列処理レベルの設定/取得を行う

書式

       #include <pthread.h>

       int pthread_setconcurrency(int new_level);
       int pthread_getconcurrency(void);

       -pthread でコンパイルしてリンクする。

説明

       pthread_setconcurrency()  関数は、アプリケーションが希望する  並列処理レベル  (concurrency
       level) をスレッド実装に通知する。 希望する並列処理レベルは new_level で指定する。 スレッド
       実装はこの情報をヒントとしてのみ利用する。  POSIX.1 では、 pthread_setconcurrency() の呼び
       出した結果、 どのような並列度になるべきかは規定されていない。

       new_level に 0 を指定すると、スレッド実装は並列処理レベルを 実装側で適切とみなしたレベルに
       設定するようになる。

       pthread_getconcurrency() は、このプロセスの concurrency level の現在値を返す。

返り値

       成功すると、  pthread_setconcurrency() は 0 を返す。 エラーの場合、 0 以外のエラー番号を返
       す。

       pthread_getconcurrency() は常に成功し、最後の pthread_getconcurrency()  の呼び出しで設定さ
       れた concurrency level を返す。 pthread_getconcurrency() が それまでに一度も呼び出されてい
       ない場合は 0 が返る。

エラー

       pthread_setconcurrency() は以下のエラーで失敗する場合がある。

       EINVAL new_level が負である。

       POSIX.1-2001 には、エラー EAGAIN  も記載されている  (「new_level  に指定された値を適用する
       と、システムリソースが 超過してしまう」)。

バージョン

       これらの関数は glibc バージョン 2.1 以降で利用できる。

属性

   マルチスレッディング (pthreads(7) 参照)
       関数 pthread_setconcurrency() と pthread_getconcurrency() はスレッドセーフである。

準拠

       POSIX.1-2001.

注意

       デフォルトの concurrency level は 0 である。

       並列処理レベルが意味を持つのは M:N スレッド実装の場合のみである。 M:N スレッド実装では、あ
       る瞬間において、あるプロセスのユーザーレベルスレッ  ドの集合のサブ集合が、そのサブ集合のサ
       イズよりも少ない数のカーネルの  スケジューリング実体 (kernel-scheduling entity) に結び付け
       られる。 並列処理レベルを設定すると、そのアプリケーションの効率的な実行に必要な カーネルの
       スケジューリング実体の数のヒントを、アプリケーションはシステ ムに伝えることができる。

       LinuxThreads  と NPTL のどちらも 1:1 スレッド実装であり、 並列処理レベルを設定しても何の意
       味もない。 言い換えると、 Linux では、これらの関数は、  他のシステムとの互換性のためだけに
       存在し、 プログラムの実行には何の影響も与えないということである。

関連項目

       pthread_attr_setscope(3), pthreads(7)

この文書について

       この  man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクト
       の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。