Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20180315+dfsg-1_all bug

名前

       rpc.ypxfrd - NIS マップ転送サーバー

書式

       /usr/sbin/rpc.ypxfrd [ -d path ] [ -p port ] [ --debug ]
       /usr/sbin/rpc.ypxfrd --version

説明

       rpc.ypxfrd  は非常に大きな NIS マップを NIS マスターから NIS スレーブサーバーに 転送する際
       に、転送を高速化するために用いられる。  NIS   スレーブサーバーは、新しいマップがあるという
       メッセージを  受け取ると、そのマップを取得するために  ypxfr を起動する。 ypxfr は yp_all()
       関数を用いてマップの内容をマスターサーバーから  読み込もうとする。この情報はデーターベース
       ライブラリを 通して保存されるため、マップのサイズが非常に大きくなると、 このプロセスは数分
       もかかってしまうことがある。

       rpc.ypxfrd サーバーは、  NIS  スレーブサーバーにマスターのマップファイルを  単純にコピーさ
       せ、転送プロセスを高速化する。スレーブサーバーが  ゼロからマップを生成するのに比べ、これは
       ずっと短時間ですむ。 rpc.ypxfrd は RPC  ベースの転送プロトコルを用いるので、新しいマップを
       生成する必要はなくなる。

       rpc.ypxfrd  は  inetd から起動することもできるが、起動には時間がかかるので、 ypserv の後に
       /etc/init.d/ypxfrd から起動するのが良い。

オプション

       --debug
              サーバーをデバッグモードで起動する。 デバッグモードでは、サーバーはバックグラウンド
              へ待避せず、  アクセス要求を受けるたびに細かなステータスメッセージを 標準エラー出力
              に表示する。

       -d directory
              /var/yp の代わりに rpc.ypxfrd が用いるディレクトリを指定する。

       -p port
              rpc.ypxfrd がバインドするポート番号を指定する。このオプションを用いると、  ルータに
              NIS  ポートへのパケットをフィルタリングさせ、 インターネットからの NIS サーバーへの
              アクセスを制限できる。

       --version
              バージョン番号を表示する。

セキュリティ

       rpc.ypxfrd はホストのチェックに ypserv と同じ機能を用いる。まず rpc.ypxfrd  は要求元のアド
       レスを /var/yp/securenets または tcp wrapper でチェックする。ホストのサーバーへの接続が 許
       されている場合には、 rpc.ypxfrd/etc/ypserv.conf から要求されたマップのルールをチェック
       する。マップの名前が  ルールにマッチしない場合には、  rpc.ypxfrd  はそのマップの YP_SECURE
       キーを調べる。キーが存在していると、 rpc.ypxfrd は特権ポートからの要求だけを許可する。

ファイル

       /etc/ypserv.conf /var/yp/securenets

関連項目

       ypserv(8), makedbm(8), yppush(8), ypxfr(8)

バグ

       FreeBSD の ypxfrd プロトコルは SunOS  のものとは互換性がない。これは残念なことではあるが、
       不可避なものであった。 Sun のプロトコルはフリーに入手できるものでは なかったし、仮に入手が
       できたとしても有用なものにはなりえなかったろう。 後者の理由は、 SunOS NIS v2  の実装がマッ
       プのデーターベースにオリジナルの ndbm パッケージを用いているのに対し、他の実装では GNU DBM
       や Berkeley DB を用いているからである。これらのパッケージはまったく異なったファイル フォー
       マットを用いている上、  ndbm  と  gdbm  ではバイトオーダーンの違いを  賢く扱うことができな
       い。したがって big endian なシステムで生成された gdbm や ndbm のデーターベースは、  little
       endian  なシステムでは読むことが  できないのである。  FreeBSD の ypxfrd プロトコルは、マス
       ターとスレーブの両方が同じデーターベースパッケージを  使っているかどうかを、また必要に応じ
       て、両システムでのバイトオーダーが等しいか どうかをチェックする。

作者

       ypxfrd プロトコルと FreeBSD への実装: Bill Paul <wpaul@ctr.columbia.edu>
       Linux への実装: Thorsten Kukuk <kukuk@suse.de>