Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20110915-1_all bug

AWK プログラムの実行
       AWK プログラムは、パターンとアクションの組の列と、(もし必要なら) 関数定
       義か らなります。

              pattern   { action statements }
              function name(parameter list) { statements }

       gawk   はまず、   program-file   (複数可)  が指定されていればそれから、
       --source の引数から、あるいは、最初のオプションではない引数から  プログ
       ラムを読み込みます。  -f--source オプションは、コマンドラインで複数
       回指定できます。 gawk は、すべての program-file  とコマンドラインで指定
       したプログラムを結  合して使用します。新しく作った AWK プログラムひとつ
       ひとつに AWK 関数のライブラリを埋め込む必要が無いので、この機能はライブ
       ラリの構築に  便利です。 また、ライブラリ関数とコマンドラインで指定した
       プログラムとを混合して使 うことも可能にしています。

       環境変数 AWKPATH により、 -f オプションで指定されたファイルを検索するパ
       スを指定できます。   AWKPATH   が設定されていない場合のデフォルトパスは
       ".:/usr/local/share/awk" です。 (実際のディレクトリは gawk がどのように
       構築/インストールされたかに依存して、さまざまなものとなります。)  -f オ
       プションで指定したファイル名が “/” を含んでいる場合は、  パス検索は行わ
       れません。

       gawk は、 AWK プログラムを次の順序で実行します。 まず、 -v オプションで
       指定された変数への代入をすべて行います。 次に、プログラムを内部形式にコ
       ンパイルします。  そして、(もし存在すれば)  BEGIN ブロック (複数存在可)
       を実行します。 配列 ARGV で指定されたファイルを順に読み、処理を行います
       (コマンドラインでファイル名が  指定されていなければ、標準入力に対して処
       理を行います)。

       コマンドラインで指定されたファイル名が  var=val  という形式ならば、それ
       は変数への代入であると解釈されます。変数  var  は値  val に設定されます
       (これは、すべての BEGIN ブロックを実行したあとに行われます)。コマンドラ
       イン での変数の代入は、AWK が入力をフィールドやレコードに分割するための
       セパレータ を実行時に変更するのに便利です。また、1 つのデータファイルに
       対し数回処理を行う必要がある場合、状態をコントロールするのにも便利で
       す。

       配列 ARGV の要素に空 ("") がある場合、 gawk はその要素を無視します。

       gawk は、入力された各レコードに対してマッチする  が AWK  プログ
       ラム内にあるかどうかを 検索します。そのレコードにマッチしたパターンすべ
       てについて、それぞれ対応する  が実行されます。 パターンは、プ
       ログラムテキストに出現した順序で検索されます。

       入力が尽きると、  gawk は (もしあれば) END ブロック (複数存在可) を実行
       します。

変数、レコード、フィールド
       AWK  における変数は動的、すなわち、最初に使用されたときに生成されます。
       変数の値は、浮動小数点数か、文字列か、あるいは両方です。変数の用い られ
       方により変化します。AWK ではまた、1  次元配列を利用することができます。
       多次元配列 も、擬似的にではありますが、利用可能です。プログラム実行開始
       時に、 いくつかの定義済み変数が設定されます。  これらを必要に応じて説明
       し、以下でまとめます。

   レコード
       通常、レコードは改行文字により区切られます。 レコードの区切りは、組み込
       み変数 RS  へ値を代入することにより、制御できます。  RS  が単一文字の場
       合、その文字がレコードを区切ります。 そうでない場合は、 RS は正規表現と
       なります。 入力中のテキストで、この正規表現にマッチするものがレコードを
       区切ります。  しかし互換モードでは、 文字列値の最初の文字だけが、レコー
       ドセパレータに使用されます。 RS  が空文字列に設定されているときには、レ
       コードは空行で区切られます。  RS が空文字列に設定されたときには、 FS の
       値にかかわらず、改行文字は常にフィールドセパレータとなります。

   フィールド
       入力レコードを読み込むごとに、 gawk はそのレコードを   に分割
       しま す。分割する際には、変数 FS の値がフィールドセパレータとして参照さ
       れます。 FS の値が1文字なら、その  文字を境にフィールドが分割されます。
       FS  が空文字列の場合、個々の文字がフィールドセパレータとなります。 いず
       れでもない場合、 FS は完全な正規表現である と解釈されます。特殊な場合と
       して FS が単一の空白のときには、フィールドは 連続した空白・タブ・改行に
       より分割されます。  (後述の  --posix  の議論を参照してください)。  変数
       IGNORECASE (下記参照) の 値は、 FS が正規表現の場合フィールド分割にも影
       響を与えることと、 RS  が正規表現の場合レコード分割にも影響を与えること
       に注意してください。

       変数 FIELDWIDTHS の値が空白で区切られた数字の列である場合、各フィールド
       は 固定長であると解釈され、 gawk は指定された幅ごとにフィールドの  分割
       を行います。この場合、 FS の値は無視されます。 FS に新たに値を設定 する
       ことにより、この FIELDWIDTHS の効果を打ち消し、標準の動作に戻すことがで
       きます。

       入力レコード中の各フィールドの値は、左から  $1, $2 等という名前で参照で
       きます。 $0  は  レコード全体です。フィールドに値を代入することもできま
       す。フィールドは定数だ けでなく、変数によって参照することもできます。以
       下の例では、入力レコードの 5 番目のフィールドの値を出力します。

              n = 5
              print $n

       変数 NF は、自動的に入力レコードのフィールドの数に設定されます。

       存在しないフィールド (すなわち、 $NF より右のフィールド) を参照した結果
       は  空文字列になります。しかしながら、存在しないフィールドへの代入(たと
       え ば、 $(NF+2)=5 ) は NF  の値を増加させ、間のフィールドには空文字が設
       定されます。  さらに $0 の値は、フィールドの値を変数 OFS の値でフィール
       ドを区切ったものとして再計算されます。 負のフィールド番号への参照は致命
       的エラーとなります。  NF を減少させると、新しい値を越えるフィールドの値
       は失われます。 $0 の値は、フィールドの値を変数 OFS の値でフィールドを区
       切ったものとして再計算されます。

   組み込み変数
       gawk の組み込み変数は以下のとおりです。

       ARGC        コマンドライン引数の個数  ( gawk へのオプションと、プログラ
                   ム指定は含みま せん)。

       ARGIND      現在処理中のファイル名が格納されている配列 ARGV  のインデッ
                   クス。

       ARGV        コマンドライン引数の配列。配列は、 0 から ARGC - 1 までのイ
                   ンデックスを 持ちます。 ARGV の内容を変更することで、入力に
                   用いるファイル名を変 更することができます。

       CONVFMT     数値の変換フォーマット。デフォルト値は "%.6g" です。

       ENVIRON     現在の環境変数の値からなる配列。配列は、環境変数名によりイ
                   ンデックスされ  、各要素の値はその環境変数の値です  (例えば
                   ENVIRON["HOME"]/home/arnold となるでしょう)。本配列に
                   代入を行っても、 gawk からリダイレクトや system()  関数によ
                   り実行される      プログラムの環境には影響を与えません(これ
                   は、将来の gawk では変更される可能性があります)。

       ERRNO       getline のリダイレクト、 getline  による読み込み、  close()
                   関数の実行時のいずれかにシステムエラーが発生した場合、変数
                   ERRNO にはエラーの内容を示した文字列が設定されます。

       FIELDWIDTHS 空白で区切られたフィールド長のリスト。もしこの値が設定され
                   ていれば、  gawkFS の値を用いてフィールド分割するかわり
                   に、固定長のフィールド分割を行 います。固定長のフィールド分
                   割機能はまだ実験的なもので、  gawk が改良されるに従って意味
                   が変化する可能性があります。

       FILENAME    現在の入力ファイル名。もし、コマンドラインで入力ファイルが
                   指定されてい  なければ、 FILENAME の値は “-” です。しかしな
                   がら、 BEGIN ブロック内では FILENAME は未定義です。

       FNR         現在の入力ファイルにおける入力レコード番号。

       FS          入力フィールドセパレータ。デフォルトでは単一の空白です。 上
                   述の フィールド を参照してください。

       IGNORECASE  すべての正規表現と文字列操作において大文字小文字の区別を制
                   御します。もし、 IGNORECASE が  0  でない値に設定されていれ
                   ば、文字列比較、ルールのパターンマッチ、  FS によるフィール
                   ド分割、 RS によるレコード分割、 ~!~ による正規表現マッ
                   チ、定義済み関数   gensub(),   gsub(),   index(),  match(),
                   split(),   sub()   において大文字と小文字の違いは無視されま
                   す。このため、 IGNORECASE が 0 以外の値なら、 /aB/"ab",
                   "aB", "Ab", "AB" のいずれにもマッチすることになります。  他
                   のAWK  変数と同様に  IGNORECASE の初期値は 0 なので、通常は
                   正規表現と文字列操作において大文字と小文字は区別されます。
                   Unix  では、大文字小文字を無視する場合、 ISO 8859-1 Latin-1
                   文字集合全てを使用できます。  注:  3.0  以前の  gawk   では
                   IGNORECASE は正規表現操作のみに影響しました。現在は文字列比
                   較にも影響します。

       NF          現在の入力レコードのフィールド数。

       NR          現在までに読み込んだ入力レコード数の合計。

       OFMT        数字の出力フォーマット。デフォルト値は "%.6g" です。

       OFS         出力フィールドセパレータ。デフォルトは空白です。

       ORS         出力レコードセパレータ。デフォルトは改行です。

       RS          入力レコードセパレータ。デフォルトは改行です。

       RT          レコードターミネータ。 gawk は、 RS  で指定される文字または
                   正規表現にマッチする入力テキストを、 RT に設定します。

       RSTART      match()   によりマッチした最初の文字の位置。0  はマッチしな
                   かったことを示します。

       RLENGTH     match() によりマッチした文字列の長さ。-1 はマッチしなかった
                   ことを示します。

       SUBSEP      多次元配列を実現する際に用いられる、配列のインデックスを結
                   合する文字。 デフォルト値は "\034" です。

   配列
       配列は、ブラケット  ([])   の間の式によってインデックスを指定しま
       す。もし式が式  のリスト(式, 式 ...) なら、式の値を変数 SUBSEP の値を区
       切りとして 結合した文字列をインデックスとして用います。これにより、多次
       元配列を シミュレートしています。例えば、

              i = "A"; j = "B"; k = "C"
              x[i, j, k] = "hello, world\n"

       は、文字列  "hello, world\n" を、文字列 "A\034B\034C" で インデックスし
       た配列 x の要素に代入しています。 AWK  の配列はすべて、文字列によりイン
       デックスを行う連想配列です。

       特殊な演算子  inif  または while ステートメントで用いることによっ
       て、あるインデックス値に おける配列の値が定義されているかを調べることが
       できます。

              if (val in array)
                   print array[val]

       もし、配列が多次元インデックスを持つなら、 (i, j) in array を用います。

       in  はまた、 for ループ中で、配列のすべてのインデックス値について繰り返
       すために 用いることができます。

       配列の要素は、  delete   ステートメントを用いて削除することができます。
       delete  ステートメントはまた、 添字を指定せずに配列名のみを指定すること
       により、 配列全体を削除するためにも使えます。

   変数の型と変換
       変数とフィールドは、(浮動小数点数の) 数値または文字列、あるいは両方とし
       て   扱われます。  変数の値がどのように解釈されるかは、変数の使われ方に
       よって変化します。 数式中で用いられれば変数は数値として解釈され、文字列
       として用いられれ ば文字列として解釈されます。

       変数の値を強制的に数値であると解釈させたい場合は、変数に 0 を加えます。
       文字列と解釈させたい場合は空文字列を結合します。

       文字列を数値に変換する必要がある場合、変換は  atof(3)  によって行われま
       す。  数値を文字列に変換する場合は、変数 CONVFMT の値をフォーマット文字
       列として用いて、 sprintf(3) により行われます。AWK  ではすべての数値は浮
       動小数点数ですが、整数値は常に整数  として変換が行われます。 よって、以
       下の場合、

              CONVFMT = "%2.2f"
              a = 12
              b = a ""

       変数 b は文字列値 "12" となり、"12.00" とはなりません。

       gawk は、以下のようにして比較を行います: 2 つの変数が数値なら数値として
       比 較します。もし片方が数値で片方が`数値'文字列なら、数値として比較され
       ます。 片方が数値でない文字列なら、数値のほうが文字列に変換され、文字列
       として         比較されます。両方とも文字列なら、文字列として比較されま
       す。POSIX 標準に従う なら、両方とも数値文字列の場合は数値として比較しま
       すが、これは明ら かに間違いです。 gawk はそのような動作をしません。

       "57" のような文字列定数は数値文字列では  、文字列定数です。「数値文
       字列」の概念は、フィールド、 getline の入力、 FILENAMEARGV の要素、
       ENVIRON の要素、数値文字列から split() によって作成された配列の要素に対
       してのみ適用されます。 基本的な考え方では、  、それも数値に見
       えるユーザ入力のみが数値として扱われます。

       初期化されていない変数は、数値としては  0 を、文字列としては "" (空文字
       列) を 持ちます。

パターンとアクション
       awk  は行指向の言語です。まずパターン、次にアクションが続きます。  アク
       ションは  {} で囲みます。パターンまたはアクションは省略することもで
       きます。 もちろん、両方とも 省略してしまっては意味がありません。 パター
       ンがない場合、アクションはすべての入力レコードに 対して適用されます。省
       略されたアクションは以下と等価です。

              { print }

       これはレコード全体を出力します。

       コメントは文字 “#” で始まり、行末まで続きます。空行は、複数ステートメン
       トの  間をあけるのに使うことができます。 通常、ステートメントは改行で終
       わります。ただし、  次の記号で行が終わる場合にはこの限りではありません:
       “,”, {, ?, :, &&, ||do または else で終わる行は、ステートメントが自
       動的に以降 の行へ継続されます。また、改行の直前に “\” を置くことで、 行
       を継続することができます。この場合、その改行は無視されます。

       “;” で区切ることにより、1行に複数のステートメントを記述することができま
       す。 (通常のように) パターン-アクション対中のアクション部におけるステー
       トメントだけではなく、 パターン-アクション対ステートメント自身も、
        “;” で区切って複数置くことができます。

   パターン
       AWK のパターンは、以下のうちのいずれかです。

              BEGIN
              END
              /regular expression/
              relational expression
              pattern && pattern
              pattern || pattern
              pattern ? pattern : pattern
              (pattern)
              ! pattern
              pattern1, pattern2

       BEGINEND  は特殊なパターンであり、入力と比較されることはありませ
       ん。すべての BEGIN パターンに対応したアクション部は結合され、  そのよう
       なすべてのアクション部が単一の BEGIN ブロック中にあるかのように扱われま
       す。 結合されたアクションは、  すべての入力ファイルの読み込みに先立って
       実行されます。同様にすべての END ブロックは結合され、すべての入力ファイ
       ルの処理後 (あるいは、exit ステートメント が実行されたとき)  に実行され
       ます。  BEGINEND はパターン式内で他のパターンと混ぜて使うことはでき
       ません。また、 BEGINEND  パターンはアクション部を省略することができ
       ません。

       /regular expression/ パターンでは、正規表現 (regular expression) にマッ
       チした入力レコードに対してアクション         が実行されます。正規表現は
       egrep(1) と同じものが使えます。あとに要約を示します。

       (relational  expression) では、後述のアクションについての節で示す
       演算子を用いることが できます。  これらは概して、特定のフィールドが正規
       表現にマッチするかどうかを 調べるために用いられます。

       演算子  &&, ||, !  は、それぞれ C 言語での論理AND、論理OR、論理NOT と等
       価です。  C  言語と同様に、評価値が確定した時点で以降の評価を打ち切りま
       す。  これらは複数のパターン式を結合するために使用されます。 他のプログ
       ラミング言語と同様、括弧によって評価順序を変更することができます。

       ?: 演算子は C 言語のものと同様です。もし、最初のパターンが真なら、 テス
       トのために  2 番目のパターンが用いられ、そうでなければ 3 番目のパターン
       が 用いられます。2  番目と  3  番目のパターンのどちらかだけが評価されま
       す。

       pattern1,  pattern2  形式は  と呼ばれます。範囲パターンは、
       pattern1 にマッチするレコードから、 pattern2 にマッチするレコードまでの
       すべてにマッチします。 この形式は、他のパターン式と混合して用いることは
       できません。

   正規表現
       awk の正規表現は egrep のものと同様に、拡張された正規表現です。  以下の
       構成要素から成り立っています。

       c          メタ文字ではない c にマッチします。

       \c         リテラル文字 c にマッチします。

       .          改行を  任意の 1 文字にマッチします。

       ^          文字列の先頭にマッチします。

       $          文字列の終端にマッチします。

       [abc...]   文字リストであり、 abc...  のいずれか 1 文字にマッチします。

       [^abc...]  文字リストの逆であり、 abc...  以外の 1 文字にマッチします。

       r1|r2      選言: r1 または r2 にマッチします。

       r1r2       結合: r1 の直後に r2 が続くものにマッチします。

       r+         r の 1 回以上の繰り返しにマッチします。

       r*         r の 0 回以上の繰り返しにマッチします。

       r?         r の 0 回または 1 回の繰り返しにマッチします。

       (r)        グループ化: r にマッチします。

       r{n}
       r{n,}
       r{n,m}     ブレース中に  1  つか  2 つの数値を記述することにより、 
                   を表します。ブレース中に数値が 1 つある場合、直
                  前の正規表現 rn 回繰り返されます。2 つの数値がコンマで区
                  切られている場合、 rn 回から m 回繰り返されます。1  つの
                  数値に続いてコンマがある場合、 r は少なくとも n 回繰り返され
                  ます。
                  インターバル表現は --posix または --re-interval がコマンドラ
                  インにて指定されているときのみ利用可能です。

       \y         語の先頭または末尾の空文字列にマッチします。

       \B         語の中の空文字列にマッチします。

       \<         語の先頭の空文字列にマッチします。

       \>         語の末尾の空文字列にマッチします。

       \w         語を構成する文字  (レター、数値、アンダスコア)  にマッチしま
                  す。

       \W         語を構成する文字以外の文字にマッチします。

       \`         バッファ (文字列) の先頭の空文字列にマッチします。

       \'         バッファの末尾の空文字列にマッチします。

       文字列定数中で用いることができるエスケープシーケンス (後述参照) は、 正
       規表現中でも使用することができます。

        は POSIX 標準で導入された新機能です。 文字クラスは特定の属性
       を持つ文字列リストの特殊表現ですが、 実際の文字集合自身は国や文字集合に
       よって様々なものとなります。 例えば、アルファベット文字はアメリカ合州国
       とフランスとでは異なります。

       文字クラスが有効なのは、 文字リストのブラケットの中の正規表現だけです。
       文字クラスは、  [:  と、クラスを表現するキーワードと、  :] で構成されま
       す。 以下に POSIX 表現で定義される文字クラスを示します。

       [:alnum:]
              アルファベットと数値文字。

       [:alpha:]
              アルファベット文字。

       [:blank:]
              空白とタブ文字。

       [:cntrl:]
              制御文字。

       [:digit:]
              数値文字。

       [:graph:]
              印字可能で可視な文字。  (空白は印字可能ですが見えません。一方  a
              は印字可能かつ可視です。)

       [:lower:]
              アルファベット文字の小文字。

       [:print:]
              印字可能な文字 (制御文字以外)。

       [:punct:]
              句読点文字   (レター、数値、制御文字、空白文字のいずれでもない文
              字)。

       [:space:]
              空白文字 (空白、タブ、フォームフィード等の少数の文字を指す)。

       [:upper:]
              アルファベット文字の大文字。

       [:xdigit:]
              16 進数の数値。

       例えば、POSIX  標準以前では、アルファベットと数値の文字にマッチするため
       には、 /[A-Za-z0-9]/ と書きました。しかし、別のアルファベット文字が文字
       集合に含まれる場合、 それらにはマッチしません。 POSIX  文字クラスでは、
       /[[:alnum:]]/  と記述することができ、文字集合の  のアルファベット
       と数値にマッチします。

       文字リスト中には、更に 2 つの特殊シーケンスを使用できます。  これらは、
       複数の文字によって表現される単一シンボル  (  と呼ばれます) を持
       ち、 複数の文字が   やソートにおいては等価であるとされる、非  ASCII
       文字集合に適用されます。 (例えば、フランス語では単なる “e” とグレーブア
       クセント付きの e` とでは 等価です。)

       照合シンボル
              参照シンボルは複数文字の参照要素であり、 [..]  で括ります。
              例えば、  ch が参照要素の場合、 [[.ch.]]  は正規表現となり、この
              参照要素にマッチします。 一方、 [ch]ch  にマッチする正規
              表現です。

       等価クラス
              等価クラスは  等価な文字リストを指すロケール固有の名前です。名前
              は [==] で括ります。 例えば、名前 e は “e,” “e`,”, “e`.”  の
              すべてを表現するために使用されるかもしれません。      この場合、
              [[=e=]]e, , e` のいずれかにマッチする正規表現となります。

       これらの機能は英語以外のロケールにて非常に有用です。 gawk  が正規表現の
       マッチングに使用するライブラリ関数は、  現在 POSIX 文字クラスのみを理解
       し、 参照シンボルと等価クラスは理解しません。

       \y, \B, \<, \>, \w, \W, \`, \' の演算子は gawk 固有であり、GNU 正規表現
       ライブラリの機能を元にした拡張です。

       様々なコマンドラインオプションによって、正規表現中の文字を  gawk がどの
       ように解釈するのかを制御できます。

       オプション無し
              デフォルトでは、 gawk は上述の POSIX 正規表現および GNU 正規表現
              のすべての機能を提供します。  しかしながら、インターバル表現はサ
              ポートされません。

       --posix
              POSIX 正規表現のみがサポートされ、GNU 演算子はサポートされません
              (例えば、 \w はリテラル w にマッチします)。 インターバル表現は許
              されます。

       --traditional
              伝統的な Unix awk の正規表現がサポートされます。GNU 演算子、イン
              ターバル表現、 POSIX 文字クラス ( [[:alnum:]] など) はサポートさ
              れません。 8 進または 16  進のエスケープシーケンスで表現される文
              字は、 正規表現のメタ文字を表現するとしても、 リテラルとして扱わ
              れます。

       --re-interval
              --traditional が指定されていたとしても、正規表現中でインターバル
              表現をサポートします。

   アクション
       アクションは、ブレース  {} で囲みます。アクションは通常の代入、条件
       文、 ループ文等からなります。演算子、制御文、入出力文は C  言語とほぼ同
       様です。

   演算子
       AWK での演算子を、優先順位の高いものから順に示します。

       (...)       グループ化。

       $           フィールド参照。

       ++ --       インクリメント、デクリメント。前置も後置も可能。

       ^           べき乗  (** も同様の意味で使用できる。また **= 代入演算子も
                   存在する)。

       + - !       単項のプラス、マイナス、論理否定。

       * / %       乗算、除算、剰余。

       + -         加算と減算。

       space       文字列結合。

       < >
       <= >=
       != ==       通常の関係演算子。

       ~ !~        正規表現マッチ、否定のマッチ。 注意: ~!~ の左辺に正規表
                   現定数 (/foo/等) を用いてはいけません。正規表現定数は右辺に
                   のみ置くことができます。式 /foo/ ~ exp(($0 ~  /foo/)  ~
                   exp) と等価であり、 これは通常意図するものとは異なります。

       in          配列のメンバ。

       &&          論理 AND。

       ||          論理 OR。

       ?:          C  言語の条件式と同様です。 expr1 ? expr2 : expr3の形式で使
                   います。もし expr1 が真なら式の値は expr2  になり、そうでな
                   ければ expr3 になります。 expr2expr3 のうち片方のみが評
                   価されます。

       = += -=
       *= /= %= ^= 代入。絶対代入 (var = value) と演算子代入  (他の形式)  がサ
                   ポートされています。
   制御ステートメント
       制御ステートメントは以下のとおりです。
              if (condition) statement [ else statement ]
              while (condition) statement
              do statement while (condition)
              for (expr1; expr2; expr3) statement
              for (var in array) statement
              break
              continue
              delete array[index]
              delete array
              exit [ expression ]
              { statements }
   入出力ステートメント
       入出力ステートメントは以下のとおりです。
       close(file)         ファイル   (またはパイプ、下記参照)  をクローズしま
                           す。
       getline             次のレコードを $0 に読み込みます。 NF, NR, FNR が設
                           定されます。
       getline <file       ファイル  file  から次のレコードを  $0 に読み込みま
                           す。 NF が設定されます。
       getline var         次のレコードを変数 var に読み込みます。 NR, FNR  が
                           設定されます。
       getline var <file   ファイル file から次のレコードを変数 var に読み込み
                           ます。
       next                現在のレコードに対する処理を終了し、次のレコードを
                           読み込み、AWK プログ ラムの最初のパターンから処理を
                           開始します。 C 言語の continue と類似した意味を持ち
                           ます。  もし、入力データの終端に達した場合、 END ブ
                           ロックが存在すれば実行されます。
       nextfile            現在の入力ファイルに対する処理を終了し、次の入力
                           ファイルからレコードを  読み込みます。  FILENAMEARGIND が更新され、 FNR が 1 にリセットされ、AWK プ
                           ログラムの 最初のパターンから処理が開始されます。入
                           力データの終端に達したときは、 もし存在すれば、 END
                           ブロックが実行されます。   注:   以前のバージョンの
                           gawk では next file と 2 語で使用されていました。こ
                           の用法はまだ認識されますが、 警告メッセージを生じさ
                           せますし、最終的には無くなる表現です。
       print               現在のレコードを出力します。 出力レコードは ORS  変
                           数の値にて終端されます。
       print expr-list     式を出力します。各式は OFS の値で区切られます。出力
                           されるレコードの最後に は ORS の値が付加されます。
       print expr-list >file
                           式をファイル file に出力します。各式は OFS の値で区
                           切られます。出力されるレコードの  最後には ORS の値
                           が付加されます。
       printf fmt, expr-list
                           書式付き出力です。
       printf fmt, expr-list >file
                           ファイル file への書式付き出力です。
       system(cmd-line)    コマンド cmd-line  を実行し、終了ステータスを返しま
                           す (POSIX に対応しない システムでは使用できない場合
                           があります)。
       fflush([file])      オープンされている出力ファイルまたはパイプ file  に
                           関連づけられているバッファをフラッシュします。 file
                           を指定しないと、標準出力がフラッシュされます。 file
                           が空文字列の場合、オープンされているすべてのファイ
                           ルとパイプのバッファを フラッシュします。
       その他の形式のリダイレクトとして以下のものが利用可能です。   printprintf  に対して、 >> file を指定すると出力はファイル file に追加され、
       | command は出力をパイプに対して行います。同様に、 command| getline  は
       コマンドの出力から  getline を行ないます。 getline はファイル終端では 0
       を、エラー時には -1 を返します。
       注: ループ中で getline へパイプ書き込みする場合または printprintf
       からパイプ読み取りする場合、   コマンドの新インスタンスを作成するために
       close() を使用することが必要です。 パイプが EOF を返すときでも、AWK  は
       自動的にはパイプを閉じません。
   printf ステートメント
       AWK での printf ステートメントと sprintf() 関数 (後述参照) は、以下の変
       換指定書式を受け付けます。
       %c     1 つの ASCII 文字。 %c に対応する引数が数値なら、その値を  ASCII
              コードとみなし  て文字に変換します。そうでなければ、引数は文字列
              であると解釈され、その 1 文字目が出力されます。
       %d
       %i     10 進数 (整数部分)。
       %e
       %E     [-]d.dddddde[+-]dd という形式の浮動小数点数。 %E 形式では e の代
              りに E が使用されます。

       %f     [-]ddd.dddddd という形式の浮動小数点数。

       %g
       %G     %e%f の短い方の形式の浮動小数点数。余計な 0 は省略されます。
              %G 形式では %e の代りに %E を使用します。

       %o     符号なしの 8 進数 (整数)。

       %u     符号なしの 10 進数 (整数)。

       %s     文字列。

       %x
       %X     符号なしの 16 進数 (整数)。 %X 形式では、 abcdef の代りに ABCDEF
              を用います。

       %%     単一の文字 % 。引数は使用しません。

       % と上記の制御文字との間にオプショナルな追加のパラメータを置く ことがで
       きます。以下にそれらを示します。

       -      左寄せ。

          数値変換において、正の値のプレフィックスは空白となり、  負の値の
              プレフィックスはマイナス記号となります。

       +      プラス記号は幅修正子  (後述) の前に使用し、 整形されるデータが正
              であったとしても、  数値変換に対して常に符号を付けることを指示し
              ます。 + は空白修正子に優先します。

       #      ある制御レターに対して「別の形式」を使用します。 %o に対しては先
              行する 0 を与え、 %x%X に対しては非 0 の結果に対して先行する
              0x0X を与えます。 %e, %E, %f に対しては結果に常に小数点を含
              めます。 %g, %G に対しては結果の末尾から 0 を取り除きません。

       0      先頭の 0 (ゼロ) はフラグとして動作し、 出力を空白ではなく 0 でパ
              ディングすることを示します。  これは非数値の出力書式に対しても適
              用されます。  このフラグが有効なのは、フィールド幅が印字される値
              の幅より広いときだけです。

       width  フィールドが指定した幅     width    になるようにパディングされま
              す。フィールドは通常空白でパディングされます。 0  フラグが使用さ
              れた場合には 0 でパディングされます。

       .prec  印字において使用する精度を数値で指定します。 %e, %E, %f の書式に
              対しては、小数点の右側に印字される数字の数を指定します。 %g,  %G
              の書式に対しては、仮数部の最大数を指定します。  %d,  %o, %i, %u,
              %x, %X の書式に対しては、印字される数字の最小数を指定します。 文
              字列に対しては、印字される文字列からとりだされる最大の文字数を指
              定します。

       ANSI C の printf() の動的な幅 width と精度 prec  の指定機能が使用できま
       す。 幅 または 精度 の指定部分に * を指定することで、その値を printf ま
       たは sprintf() への引数で指定できます。

   特殊ファイル名
       printprintf で書き込みときでも、 getline でファイルから読み取るとき
       でも、 入出力リダイレクトを行う場合、 gawk は内部的な特殊なファイル名を
       解釈します。 これらのファイル名により、親プロセス (通常はシェルです) か
       ら受け継いだ オープン状態のファイルディスクリプタを用いて入出力を行った
       り、実行中の gawk プロセスに関する情報を得ることができます。 特殊ファイ
       ル名は以下のとおりです。

       /dev/pid    現在のプロセスのプロセスID  (10  進数で、最後に改行が付きま
                   す) を 読み込むことができます。

       /dev/ppid   現在のプロセスの親のプロセスのプロセスID (10 進数で、最後に
                   改行が付きます) を 読み込むことができます。

       /dev/pgrpid 現在のプロセスのプロセスグループ  ID (10 進数で、最後に改行
                   が付きます) を読み込むことができます。

       /dev/user   このファイルを読むことで、改行で終わる単一のレコードが得ら
                   れます。   各フィールドは空白で区切られています。   $1getuid(2) システムコールの値、 $2geteuid(2)  システム
                   コールの値、  $3getgid(2)  システムコールの値、 $4getegid(2) システムコールの値です。もし、さらにフィールドが
                   あれば、  それは  getgroups(2) システムコールが返すグループ
                   ID のリストです。  全てのシステムで複数のグループがサポート
                   されているわけではありません。

       /dev/stdin  標準入力。

       /dev/stdout 標準出力。

       /dev/stderr 標準エラー出力。

       /dev/fd/n   オープンされたファイルディスクリプタ n に対応しているファイ
                   ル。

       エラーメッセージを出力するには、以下の方法が便利です。

              print "You blew it!" > "/dev/stderr"

       もしこの機能が無かったら、次のようにするしかないところです。

              print "You blew it!" | "cat 1>&2"

       これらのファイル名は、コマンドラインのデータファイル指定で使うこともで
       きます。

   数値関数
       AWK は以下の定義済み数値関数を持っています。

       atan2(y, x)   y/x の逆正接をラジアンで与えます。

       cos(expr)     expr の余弦をラジアンで与えます。

       exp(expr)     指数関数。

       int(expr)     整数への切捨て。

       log(expr)     自然対数。

       rand()        0 から 1 の間の乱数を与えます。

       sin(expr)     expr の正弦をラジアンで与えます。

       sqrt(expr)    平方根。

       srand([expr]) expr の値を乱数生成関数の種として用います。式が指定されな
                     かった場合は、   時刻が用いられます。直前の種の値を返しま
                     す。

   文字列関数
       gawk は以下の定義済み文字列関数を持っています。

       gensub(r, s, h [, t])   対象文字列  t  から正規表現  r のマッチを探しま
                               す。  hg  または  G  で開始する文字列の場
                               合、マッチする r をすべて s に置き換えます。 そ
                               うでない場合、 h は何番目の r  のマッチを置き換
                               えるのかを示します。 t が与えられない場合、代り
                               に  $0  が使用されます。  置換テキスト   s   で
                               は、シーケンス \n ただし n は 1 から 9 までの数
                               字を使用して、 n 番目にマッチした括弧付きサブ式
                               を示すことができます。  シーケンス  \0 は文字 &
                               と同様、マッチしたテキスト全体を表します。
                               sub()gsub() とは異なり、修正された文字列が
                               関数の結果として返され、 元の対象テキストは変更
                               され gsub(r, s [, t])        文字列  t 中で正規表現 r にマッチした部分をすべ
                               て s に置換します。置換の個数を返します。 t  を
                               指定しなかった場合は $0 が用いられます。 置換テ
                               キストでは、 & は実際にマッチしたテキストで置き
                               換えられます。 \& を使用するとリテラルの & を得
                               ることができます。 sub(), gsub(), gensub() にお
                               ける  &  とバックスラッシュに関する完全な議論は
                               Effective AWK Language Programming を参照してく
                               ださい。

       index(s, t)             文字列  s  中に含まれる文字列  t の位置を返しま
                               す。 t が含まれていない場合は 0 を返します。

       length([s])             文字列 s の長さを返します。 s  
                                $0 の長さを返します。

       match(s, r)             文字列  s 中で正規表現 r にマッチする位置を返し
                               ます。マッチしない場合は 0 を 返します。 RSTARTRLENGTH の値が設定されます。

       split(s, a [, r])       文字列 s を正規表現 r を用いて分割し、配列 a に
                               格納します。 フィールド数を返します。 r  が省略
                               され  た場合は FS が用いられます。配列 a の内容
                               は、分割前にクリアされます。     分割は、上述の
                               フィールド分割と同じ動作を行います。

       sprintf(fmt, expr-list) 書式 fmt に従って exp-list を整形表示し、結果の
                               文字列を返します。

       sub(r, s [, t])         gsub() と似ていますが、最初にマッチした文字列の
                               みが置換されます。

       substr(s, i [, n])      文字列 si 文字目から始まる最大 n 文字の部分
                               文字列を返します。 n が省略された場合、 i  文字
                               目以降の部分文字列が返されます。

       tolower(str)            文字列 str をコピーし、大文字をすべて小文字に変
                               換したものを返します。 アルファベットでない文字
                               は変化しません。

       toupper(str)            文字列 str をコピーし、小文字をすべて大文字に変
                               換したものを返します。 アルファベットでない文字
                               は変化しません。

   時間関数
       タイムスタンプを含んだログファイルの処理は  AWK  プログラムの主な使い道
       の1つですから、 gawk はタイムスタンプを取り出したり、フォーマット  する
       ための 2 つの関数を提供します。

       systime() 基準時点からの経過秒数を返します  (POSIX システムでは、基準時
                 点は UTC で 1970 年 1 月 1 日 0:00 です)。

       strftime([format [, timestamp]])
                 書式   format   に従って   timestamp   をフォーマットします。
                 timestampsystime() が返す値と同じ形式でなければなりませ
                 ん。  timestamp  が省略された場合、現在の日付が使用されます。
                 format  が省略された場合、 date(1) が出力に使用するものと同じ
                 デフォルトフォーマットが使用されます。 利用可能なフォーマット
                 については、ANSI  C  の  strftime()  関数の仕様を参照して下さ
                 い。パブリックドメインな strftime(3) とそのマニュアルページが
                 gawk とともに配布されています。もし、 gawk を作成するためにそ
                 の strftime  を用いた場合は、そのマニュアルに記述されている変
                 換書式が gawk でも利用可能です。

   文字列定数
       AWK  での文字列定数は、ダブルクォート (") に狭まれた文字の列です。 文字
       列内では、C 言語のようにいくつかの  が使えます。

       \\   バックスラッシュそのもの。

       \a   「警告」文字。通常は ASCII BEL 文字です。

       \b   バックスペース。

       \f   改ページ (フォームフィード)。

       \n   改行。

       \r   復帰 (キャリッジリターン)。

       \t   水平タブ。

       \v   垂直タブ。

       \xhex digits
            \x に続く 16 進数で表現された文字。ANSI C と同様に、 \x に続くすべ
            ての  16 進数字 はエスケープシーケンスの一部であるとみなされます。
            (この機能によりコミッティによる言語デザインが分かります。)    例え
            ば、"\x1B" は ASCII ESC (エスケープ) 文字です。

       \ddd 1  桁か  2  桁か 3 桁の 8 進数で表現された文字。例えば、 "\033" は
            ASCII ESC (エスケープ) 文字です。

       \c   文字 c そのもの。

       エスケープシーケンスは正規表現定数内でも用いることができます  (例えば、
       /[ \t\f\n\r\v]/ は空白文字にマッチします)。

       互換モードでは、8  進および 16 進のエスケープシーケンスで表現される文字
       は、 正規表現定数として使用された場合、リテラルとして扱われます。  それ
       ゆえ、 /a\52b//a\*b/ と等価です。

関数
       AWK では関数を以下のようにして定義します。

              function name(parameter list) { statements }

       関数は、パターンまたはアクションの式から呼び出されたときに実行されま
       す。   関数呼び出しにおいて与えられた実引数が、関数宣言における仮引数に
       受け渡されます。 このとき配列の場合は参照渡しが行われ、他の変数の場合は
       値渡しで行われます。

       元々 AWK に関数は備わっていませんでしたので、局所変数の機構はあまり  ス
       マートではありません。   局所変数は引数リストの余分な引数として宣言しま
       す。局所変数と関     数引数を区別するため、余分な空白で区切るのが慣習で
       す。例えば、以下のよ うにします。

              function  f(p, q,     a, b)   # a & b は局所変数
              {
                   ...
              }

              /abc/     { ... ; f(1, 2) ; ... }

       関数呼び出しにおける左括弧は、空白を狭まずに関数名の直後に 置かなければ
       いけません。 これは、文字列結合演算子との曖昧さを生じさせないために必要
       です。 この制限は、上述の組み込み関数にはあてはまりません。

       関数は、他の関数を呼び出したり、自分自身を再帰的に呼び出すことができま
       す。  局所変数として用いられる関数引数は、関数起動時に空文字列および  0
       に初期化されます。

       関数から値を返すには  return expr を使用してください。 値を指定しない場
       合、または関数の終りから “落ちる”  (訳注:  関数を閉じるブレースに到達す
       る) ことにより関数から戻る場合、 値は未定義です。

       --lint が指定されたとき、 gawk は実行時ではなくパーズ時に未定義関数の呼
       び出しに関して警告します。 実行時の未定義関数の呼び出しは致命的なエラー
       となります。

       function のかわりに func を用いることができます。

使用例
       “/etc/passwd” から全ユーザのログイン名を取り出し、ソートして出力します。

            BEGIN     { FS = ":" }
                 { print $1 | "sort" }

       ファイルの行数を数える。

                 { nlines++ }
            END  { print nlines }

       行番号をつける。

            { print FNR, $0 }

       全ファイルを通した行番号をつける。

            { print NR, $0 }

関連項目
       egrep(1),  getpid(2),  getppid(2),  getpgrp(2),  getuid(2), geteuid(2),
       getgid(2), getegid(2), getgroups(2)

       The AWK Programming Language, Alfred V. Aho, Brian W. Kernighan,  Peter
       J. Weinberger, Addison-Wesley, 1988. ISBN 0-201-07981-X.

       Effective  AWK Language Programming, Edition 1.0, published by the Free
       Software Foundation, 1995.

POSIX 互換
       gawk は最新版の UNIX awk との互換性だけでなく、POSIX 標準との互換性も追
       求しています。  このため  gawk には以下のような機能が取り入れられていま
       す。 これらの機能は AWK 本には述べられていませんが、 Bell  Labs  および
       POSIX 標準の awk が有している機能です。

       プログラム実行前に変数代入を行なう -v オプションは新しい物です。 AWK 本
       によれば、コマンドラインで指定された変数代入は awk が引数をファイル名と
       してオープンする際に行なわれることになります。つまり  これは  BEGIN  ブ
       ロックの実行後です。しかしながら初期の頃の実装では、引数の中でファイル
       名に  先立って変数代入が指定されている場合には、代入は BEGIN ブロック実
       行の   行われていました。そしてアプリケーションは、この「仕様」に依
       存する  ようになりました。  awk  がそのドキュメントに合うように直された
       時、昔の動作に依存している   アプリケーションの便宜を図るためにこのオプ
       ションが加えられました。 (この仕様は AT&T および GNU の開発者達によって
       合意されました。)

       独自機能のための -W オプションは POSIX 標準に従ったものです。

       引数の列に特別なオプション “--” を指定すると、 gawk  はそこがオプション
       の終わりであると解釈します。 互換モードにおいては未定義オプションは警告
       が出力され、それ以外のものは 無視されます。  通常の実行においては残りの
       引数は AWK プログラムに引き渡されます。

       AWK 本は srand() の返り値を定義していません。 POSIX 標準 では、その関数
       が使っている種を返し、 乱数シーケンスを追跡できるようにしています。  し
       たがって gawk における srand() も現在の種を返すようにしてあります。

       その他にも以下のような新機能があります。 -f オプションの複数回使用 (MKS
       awkに倣いました); ENVIRON 配列; エスケープシーケンス \a\v ( gawk で
       最初に実装され、AT&T  の  awk にフィードバックされました); 組み込み関数
       tolower()toupper() (AT&T に倣いました); printf における ANSI C 変換
       指定 (AT&T 版で最初に実装されました)。

GNU 拡張
       gawk は POSIX awk に対して多くの拡張が行なわれています。 この節ではそれ
       らについて解説します。 --traditional オプション付きで gawk を起動するこ
       とによって、   ここで述べられている拡張機能をすべて禁止することができま
       す。

       gawk が持つ以下の機能は POSIX awk では使用できません。

              · エスケープシーケンス \x 。( --posix で抑止できます。)

              · fflush() 関数。( --posix で抑止できます。)

              · systime(), strftime(), gensub() の各関数。

              · 入出力リダイレクトで利用可能な特殊ファイル名は理解されません。

              · 変数 ARGIND, ERRNO, RT は特殊変数ではありません。

              · 変数 IGNORECASE とその副作用は利用できません。

              · 変数 FIELDWIDTHS と固定長フィールド分割。

              · RS の正規表現としての使用。

              · FS      に空文字列を設定することにより各文字を切り出す能力と、
                split() の 3 番目の引数。

              · -f  オプションで指定されたファイル名についてパス検索を行わない
                こと。 よって、環境変数 AWKPATH は特殊な変数ではありません。

              · 現在の入力ファイルに対する処理を終わらせるために使用される
                nextfile 。

              · 配列全体を削除するために使用される delete  。

       AWK  本は関数  close()  の返り値を定義していません。  gawkclose()
       は、ファイルやパイプをクローズする際に呼び出す fclose(3) や pclose(3)、
       からの返り値を返します。

       オプション  --traditional 付きで gawk を起動し -F オプションへの引数 fs
       として “t” を与えた場合に、 FS の値はタブ文字に設定されます。 gawk -F\t
       ...  とタイプしても、シェルが単に “t” をクォートするので、“\t” は -F オ
       プションに渡されません。 これは少々見苦しい特殊事例ですので、デフォルト
       の動作としては  採用されていません。 --posix を指定した場合にも、この動
       作は行なわれません。 タブ文字をフィールドセパレータとして使用したい場合
       には、 クォートを使用するのが最良です: gawk -F'\t' ....

歴史的機能
       gawk  は歴代の AWK の実装にあった 2 つの機能を備えています。 1 つめとし
       て、組み込み関数 length()  は引数無しで呼び出せるだけでなく、さらに括弧
       無しでも呼び出せます!  したがって

              a = length     # Holy Algol 60, Batman!

       は以下の2例と同じです。

              a = length()
              a = length($0)

       POSIX  標準ではこの機能は “deprecated” と注意書きされており、 gawk では
       コマンドラインで --lint  を指定した場合に、この機能の使用に対して警告を
       出力します。

       もう  1 つは、 while, for, do ループ本体の外でも continue, break ステー
       トメントを使用できるという機能です。 伝統的な AWK  の実装では、このよう
       に使用した  continue ステートメントを next ステートメントと等価なものと
       して扱ってきました。 gawk では --traditional が指定された場合に、この機
       能を使うことができます。

環境変数
       環境に  POSIXLY_CORRECT  が存在する場合には、  gawk  はコマンドラインで
       --posix が指定されている時と全く同じ動作をします。 このとき --lint が指
       定されていると gawk はこの作用についての警告メッセージを出力します。

       AWKPATH  環境変数を使用して、 gawk-f および --file オプションで指定
       されたファイル名を検索するディレクトリを指定できます。

バグ
       コマンドラインでの変数代入機能を使用するには、変数への代入を直接 コマン
       ドラインに書けばよく、 -F オプションをつける必要はありません。 このオプ
       ションは昔の awk との互換性のためだけに残されています。

       ファイル /dev/fd および /dev/stdin, /dev/stdout, /dev/stderr を実際にサ
       ポートしているシステムでの  gawk からは、それらがないシステムとは違った
       出力が得られるかもしれません。 gawk  はそれらのファイルを内部で解釈する
       際に標準出力への出力を  /dev/stdout  への出力と同期させますが、それらの
       ファイルを持つシステムでは 出力はそれぞれ異なるファイルへ向けられます。
       利用者の方で気を付けるようにしてください (Caveat Emptor)。

       文法的に誤った単一文字プログラムはパーズスタックを溢れさせる傾向があ
       り、 まったく分からないメッセージを生成する傾向にあります。  このような
       プログラムの診断は驚くべきことに一般に難しく、 診断の努力はまったく無意
       味になります。

バージョン情報
       このマニュアルは gawk バージョン 3.0.6 について記載しています。

作者
       UNIX awk の最初のバージョンは、AT&T Bell Labs の Alfred  Aho  と  Peter
       Weinberger  および Brian Kernighan によって設計、実装されました。 Brian
       Kernighan はその保守と改良を続けています。

       Free Software Foundation の Paul  Rubin  と  Jay  Fenlason  が、Seventh
       Edition  UNIX  で配布された最初のバージョンの  awk と互換性を持つように
       gawk を書きました。 John  Woods  は数々のバグ修正を送って下さいました。
       David Trueman は、Arnold Robbins が送って下さった内容をもとに、 gawk を
       新バージョンの UNIX awk 互換にしました。

       DOS への最初の移植は Conrad Kwok と Scott Garfinkle によって 行なわれま
       した。  現在は Scott Deifik が DOS 版の保守をしています。 Pat Rankin は
       VMS への移植を行ない、Michal Jaegermann は Atari ST への 移植を行ないま
       した。  OS/2 への移植は Kai Uwe Rommel が Darrel Hankerson の助けを借り
       て 行ないました。 Fred Fish が Amiga サポートの提供を行いました。

バグレポート
       gawk のバグを見付けたら、電子メールを bug-gawk@gnu.org 宛に送ってくださ
       い。 電子メールには、オペレーティングシステムとそのリビジョン、 gawk の
       リビジョン、コンパイルに使用した C コンパイラ、  問題を再現するできるだ
       け小さなテストプログラムとデータを記述してください。

       バグレポートを送る前に  2  つのことを行ってください。  第  1 に、最新の
       gawk を使用されていることを確認してください。 多くの (通常微妙な)  バグ
       が各々のリリースで修正されていますので、 ご使用のものが古い場合には問題
       は既に解決されているかもしれません。 第 2  に、このマニュアルページとリ
       ファレンスマニュアルを注意深く読み、 あなたがバグだと思うものが確かにバ
       グであり、 大きく変わった言語仕様ではないことを確認してください。

       バグレポートを   comp.lang.awk   に投稿することだけはしないでください。
       gawk  の開発者達は時々このニュースグループを読みますが、 バグレポートを
       このニュースグループに投稿しても バグレポートとして信頼性がありません。
       上記のアドレスへの電子メールでお願いします。

謝辞
       Bell  Labs  の Brian Kernighan はテストおよびデバッグの間、貴重な助力を
       提供して下さいました。 感謝致します。

COPYING PERMISSIONS

       Copyright © 1996-2000 Free Software Foundation, Inc.

       Permission is granted to make and distribute verbatim  copies  of  this
       manual  page  provided  the copyright notice and this permission notice
       are preserved on all copies.

       Permission is granted to copy and distribute modified versions of  this
       manual  page  under  the conditions for verbatim copying, provided that
       the entire resulting derived work is distributed under the terms  of  a
       permission notice identical to this one.

       Permission  is  granted  to  copy  and  distribute translations of this
       manual page into another  language,  under  the  above  conditions  for
       modified  versions, except that this permission notice may be stated in
       a translation approved by the Foundation.