Provided by: dpkg-dev_1.17.5ubuntu5.8_all bug

名前

       deb-substvars - Debian ソースにおける変数

書式

       substvars

説明

       dpkg-source, dpkg-gencontrol, dpkg-genchanges が制御情報を (dpkg-source 用のソース制御ファ
       イル .dscdpkg-gencontroldpkg-genchanges の標準出力に)  書き出す際に、変数の置換が行
       われる。

       変数が置換される箇所は  ${変数名} という形式になっている。変数名には英数字、ハイフン、コロ
       ンを使用できるが、先頭文字は英数字である必要がある。変数の置換は、置換が不要になるまで再帰
       的に何度でも行われる。これは、置換後のフィールドの全文に対して、再度置換対象がないかの確認
       が行われることを意味する。

       置換がすべて完了した後で、文字列 ${} (これは置換対象ではない) が $ 記号に置き換えられる。

       変数の置換は、すべての制御フィールドに対して行われるが、フィールドによっては変数が置換され
       る前のビルド段階で用いられるものがある。そのため、Package, Source, Architecture フィールド
       で変数を用いてはならない。

       変数の置換は、各フィールドが解析され、切り出された後の内容に対して行われる。そのため、置換
       した結果が複数行にわたる場合も、改行の後にスペースを含めておく必要はない。これは、置換され
       た変数の内容がフィールドに展開される際に暗黙的に行われる。例えば "foo is bar.${Newline}foo
       is  great." という内容が ${Description} という変数に格納されており、フィールドの内容が以下
       のようになっていた場合、

        Description: foo application
         ${Description}
         .
         More text.

       置換後の結果は次のようになる:

        Description: foo application
         foo is bar.
         foo is great.
         .
         More text.

       共通オプション -V により変数を設定することが可能である。debian/substvars ファイル  (もしく
       は -T オプションで指定したファイル中) で設定してもよい。このファイルには name=value 形式の
       行から構成する。行末の空白文字、空白行、# 記号から始まる行 (コメント行) は無視される。

       その他に、以下の標準変数を使用することができる:

       Arch   現在ビルドしているアーキテクチャ (dpkg --print-architecture オプションより)。

       source:Version
              ソースパッケージのバージョン

       source:Upstream-Version
              アップストリームのソースパッケージのバージョン、Debian  の  epoch  が存在している場
              合、それも含まれる。

       binary:Version
              バイナリパッケージのバージョン  (binNMU などの場合、source:Version と異なることもあ
              る)

       Source-Version
              ソースパッケージのバージョン (changelog ファイルより)。この変数は、名が体を表さなく
              なってしまっているため、廃止予定である。用途に応じて         source:Versionもしくは
              binary:Version を使用すること。

       Installed-Size
              パッケージによりインストールされるファイルの合計サイズ。この変数の値はcontrol  ファ
              イルの適切なフィールドにも適用され、該当フィールドの値を上書きする。この変数が設定
              されていなかった場合、dpkg-gencontrol はデフォルト値として du -k debian/tmp  の値を
              設定する。

       Extra-Size
              パッケージのインストール時に追加で用いられるディスク領域。この変数が設定されている
              と、Installed-Size 変数の値 (明示的に設定されたものか、デフォルト値かは問わない) に
              本変数の値を足した値が control ファイルの Installed-Sizeフィールドに適用される。

       F:fieldname
              fieldname  というフィールド (大文字で指定する必要がある) の値。この変数は、展開する
              箇所を明示的に指定するという以上の意味を持たない。

       Format ソースパッケージングスクリプトによって生成される .changes  ファイルのフォーマットの
              バージョン。この変数を設定すると、.changes ファイルの Format フィールドの内容も変更
              される。

       Newline, Space, Tab
              これらの変数は、各々対応する文字を示す。

       shlibs:dependencyfield
              この形式の名前のついた変数は、dpkg-shlibdeps により生成される。

       dpkg:Upstream-Version
              dpkg のアップストリームのバージョン

       dpkg:Version
              dpkg の完全なバージョン表記

       変数が定義されていないにもかかわらず参照されている場合は、値として空文字列が想定されるとと
       もに、警告が生成される。

ファイル

       debian/substvars
              変数およびその値のリスト。

関連項目

       dpkg(1), dpkg-genchanges(1), dpkg-gencontrol(1), dpkg-shlibdeps(1), dpkg-source(1).

翻訳者

       高橋 基信 <monyo@monyo.com>.  喜瀬 浩 <kise@fuyuneko.jp>.  関戸 幸一 <sekido@mbox.kyoto-
       inet.or.jp>.  鍋谷 栄展 <nabe@debian.or.jp>.  倉澤 望 <nabetaro@debian.or.jp>.  石川 睦
       <ishikawa@linux.or.jp>.  鵜飼 文敏 <ukai@debian.or.jp>.  中野 武雄
       <nakano@apm.seikei.ac.jp>.

翻訳校正

       Debian JP Documentation ML <debian-doc@debian.or.jp>.