Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20161015+dfsg-1_all
名前
pthread_attr_setscope, pthread_attr_getscope - スレッド属性オブジェクトの contention scope 属性の設定/取得を行う
書式
#include <pthread.h> int pthread_attr_setscope(pthread_attr_t *attr, int scope); int pthread_attr_getscope(const pthread_attr_t *attr, int *scope); -pthread でコンパイルしてリンクする。
説明
pthread_attr_setscope() 関数は、 attr が参照するスレッド属性オブジェクトの contention scope 属性を scope で指定された値に設定する。 contention scope 属性により、 スレッドが CPU などのリソースを取り合うスレッド集合が規定される。 POSIX.1-2001 では scope に指定する値と して 2 つの値が規定されている。 PTHREAD_SCOPE_SYSTEM スレッドは、同じスケジューリング割り当てドメイン (一つ以上のプロセッサ のグループ) にある、システム上の全てのプロセスの自分以外の全ての スレッドとリソースを取り合う。 PTHREAD_SCOPE_SYSTEM のスレッドは、スケジューリングポリシーと 優先度に基づき、互い に相対的にスケジューリングされる。 PTHREAD_SCOPE_PROCESS スレッドは、contention scope が PTHREAD_SCOPE_PROCESS で作成された 同じプロセスの自 分以外の全てのスレッドとリソースを取り合う。 PTHREAD_SCOPE_PROCESS のスレッドは、ス ケジューリングポリシーと優先度 に基づき、同じプロセスの他のスレッドと相対的にスケ ジューリングされる。 POSIX.1-2001 では、これらのスレッドがシステム上の他のプロセス のスレッド や同じプロセス内の contention scope が PTHREAD_SCOPE_SYSTEM で作成 され た他のスレッドとどのようにリソースを取り合うかは、 規定されないままになっている。 POSIX.1-2001 で求められているのは、スレッド実装がこれらの contention scope のうち少なくと も 1 つをサポートすることだけである。 Linux は PTHREAD_SCOPE_SYSTEM をサポートしているが、 PTHREAD_SCOPE_PROCESS はサポートしていない。 複数の contention scope をサポートしているシステムで、 pthread_create(3) を呼び出した際に pthread_attr_setscope() で行ったパラメーター設定を有効にするには、 呼び出し側で pthread_attr_setinheritsched(3) を使って 属性オブジェクト attr の inherit-scheduler 属性を PTHREAD_EXPLICIT_SCHED に設定しておかなければならない。 pthread_attr_getscope() は、 スレッド属性オブジェクト attr の contention scope 属性を scope が指すバッファーに入れて返す。
返り値
成功すると、これらの関数は 0 を返す。 エラーの場合、0 以外のエラー番号を返す。
エラー
pthread_attr_setscope() は以下のエラーで失敗する場合がある。 EINVAL scope に無効な値が指定された。 ENOTSUP scope に値 PTHREAD_SCOPE_PROCESS が指定された。 この値は Linux でサポートされていな い。
属性
マルチスレッディング (pthreads(7) 参照) 関数 pthread_attr_setscope() と pthread_attr_getscope() はスレッドセーフである。
準拠
POSIX.1-2001.
注意
PTHREAD_SCOPE_SYSTEM contention scope では、通常は、一つの ユーザー空間スレッドは一つの カーネルスケジューリングエンティティに 直接結び付けられる。 Linux では、廃止予定の LinuxThreads 実装も新しい NPTL 実装もこれに 該当し、両方とも 1:1 で結び付けられるスレッド 実装となっている。 POSIX.1-2001 では、 contention scope 属性のデフォルト値は 実装時で定義されるものと規定され ている。
関連項目
pthread_attr_init(3), pthread_attr_setaffinity_np(3), pthread_attr_setinheritsched(3), pthread_attr_setschedparam(3), pthread_attr_setschedpolicy(3), pthread_create(3), pthreads(7)
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクト の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。