Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20161015+dfsg-1_all
名前
/proc/slabinfo - カーネル slab アロケータの統計
書式
cat /proc/slabinfo
説明
Linux カーネルの内部で良く利用されるオブジェクト (バッファーヘッド、i-ノード、ディレクトリ エントリーなど) は、それぞれ自分用のキャッシュを備えている。ファイル /proc/slabinfo はこれ らの統計を与える。例を示す。 % cat /proc/slabinfo slabinfo - version: 1.1 kmem_cache 60 78 100 2 2 1 blkdev_requests 5120 5120 96 128 128 1 mnt_cache 20 40 96 1 1 1 inode_cache 7005 14792 480 1598 1849 1 dentry_cache 5469 5880 128 183 196 1 filp 726 760 96 19 19 1 buffer_head 67131 71240 96 1776 1781 1 vm_area_struct 1204 1652 64 23 28 1 ... size-8192 1 17 8192 1 17 2 size-4096 41 73 4096 41 73 1 ... それぞれの slab キャッシュごとに、キャッシュの名前、 現在アクティブなオブジェクトの数、利 用可能なオブジェクトの総数、 各オブジェクトのサイズ (バイト単位)、少なくとも一つのアクティ ブな オブジェクトを有するページの数、アロケートされたページの総数、 slab あたりのページ 数、が与えられている。 なお、 オブジェクトのアラインメントと slab キャッシュのオーバーヘッドとにより、 オブジェク トは通常ページの内部にきっちりとは収められていない。 利用中のオブジェクトをひとつでも保持 しているページは、 利用中であるとみなされ、解放できない。 slab キャッシュ統計の機能を有効にしてコンパイルされたカーネルでは、 出力の最初の行に "(statistics)" と表示され、 5 つのカラムが追加される。 それぞれ、アクティブなオブジェクト の瞬間最大値、 オブジェクトがアロケートされた回数、 キャッシュの大きさが拡張された (新しい ページがこのキャッシュに追加された) 回数、 キャッシュの大きさが縮小された (使っていない ページがこのキャッシュから削除された) 回数、 新たなページをこのキャッシュにアロケートする 際に起きたエラーの回数、である。 slab キャッシュ統計が使えないカーネルでは、これらのカラム は表示されない。 SMP システムでは、出力の最初の行に "(SMP)" と表示され、 各 slab ごとに 2 つのカラムが追加 される。 これらは各 CPU が持つローカルなキャッシュ (per-CPU キャッシュ) の slab アロケー ションポリシーを表示する (per-CPU キャッシュは、 オブジェクトをキャッシュからアロケートす る際に CPU 間での同期を減少させるために設けられている)。 最初のカラムは per-CPU 制限、 す なわち各 CPU ごとにキャッシュできるオブジェクトの最大数である。 二番目のカラムはバッチカウ ント、 すなわち per-CPU キャッシュが空だったり一杯だったりした場合に、 グローバルなキャッ シュと受け渡しできるフリーなオブジェクトの最大数である。 slab キャッシュ統計と SMP が両方有効になっている場合は、 per-CPU キャッシュの統計を表示す る 4 つのカラムがさらに追加される。 最初の 2 つは per-CPU キャッシュの アロケーションヒッ トカウントとアロケーションミスカウントである。 すなわち、あるオブジェクトをアロケートした ときに、 それが per-CPU キャッシュの内部に あった/なかった 回数である。 続く 2 つ は、per-CPU キャッシュのフリーヒットカウントとミスカウントである。 すなわち解放されたオブ ジェクトをグローバルなキャッシュにフラッシュする前に、 per-CPU キャッシュの制限の範囲に 収 まった/収まらなかった 回数である。 SMP において per-CPU slab キャッシュの制限値や バッチカウントを変更するには、以下のように すればよい: echo "cache_name limit batchcount" > /proc/slabinfo
ファイル
<linux/slab.h>
バージョン
/proc/slabinfo は Linux 2.1.23 以降に存在する。 SMP における CPU ごとのキャッシュは Linux 2.4.0-test3 以降に存在する。
注意
Linux 2.6.16 以降では、 /proc/slabinfo ファイルは、カーネル設定オプション CONFIG_SLAB を有 効にした場合のみ存在する。
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクト の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。 2007-09-30 SLABINFO(5)