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名前

       tzfile - タイムゾーンの情報

説明

       このページは、 tzset(3) で使用されるタイムゾーンファイルの構造に ついて説明したものである。通常、これらの
       ファイルは ディレクトリ /usr/lib/zoneinfo/usr/share/zoneinfo の どちらかに置かれている。

       タイムゾーン情報ファイルは、タイムゾーン情報ファイルであることを識別 するための magic 文字列 "TZif"  で始
       まり、  ファイルフォーマットのバージョンを示す文字 (2005 年時点では ASCII NUL ('\0') か '2' のいずれか)、
       将来のための 15 バイトの予約領域 (値は 0) が続き、 long 型の 4 バイトの値が 6 個続く。 この値は「標準」バ
       イトオーダー (高位バイトが先に書かれる) で記述される。 これらの値は、順に以下のようなものである。

       tzh_ttisgmtcnt
              ファイルに記述されている UTC/local インジケータ (indicator) の個数。

       tzh_ttisstdcnt
              ファイルに記述されている standard/wall インジケータの個数。

       tzh_leapcnt
              ファイルに記述されている閏秒データの個数。

       tzh_timecnt
              ファイルに記述されている「遷移時間 (transition time)」データの個数。

       tzh_typecnt
              ファイルに記述されている「ローカル時間種別  (local  time  types)」データの個数 (0 であってはいけな
              い)。

       tzh_charcnt
              ファイルに記述されている「タイムゾーン略式文字列 (timezone abbreviation string)」の個数。

       上記のヘッダーに続いて、4 バイトの long 型の値が tzh_timecnt 個続く。  これらは昇順で格納される。それぞれ
       の値は「標準」バイトオーダーで記述されている。  それぞれは遷移時間 (time(2) が返す値) として用いられ、 遷
       移時間に応じてローカル時間の計算ルールが変化する。 次に、unsigned char 型の 1 バイトの値が tzh_timecnt 個
       続く。  この値は、それぞれの遷移時間に、ファイル中に記載されている「ローカル時間」種別 のどれが関連づけら
       れているかを示す。 これらの値は、(ファイル中でこの情報のすぐ後ろに置かれている) ttinifo 構造体 の配列 (要
       素数は tzh_typecnt) に対するインデックスとして機能する。 この構造体は以下のように定義されている:

           struct ttinfo {
               long         tt_gmtoff;
               int          tt_isdst;
               unsigned int tt_abbrind;
           };

       それぞれの構造体は、 4 バイトの long 型の値 tt_gmtoff、 1 バイトの値 tt_isdst, 1 バイトの値 tt_abbrind か
       ら構成される。 それぞれの構造体において、 tt_gmtoff は UTC に加えるべき秒数を与え、 tt_isdsttm_isdstlocaltime(3)  にセットすべきかどうかを示し、 tt_abbrind はファイル中で ttinfo 構造体 (配列) のあとに置
       かれる タイムゾーン略式文字列の配列に対するインデックスである。

       次には 4 バイト値のペアが  tzh_leapcnt  個続く。  標準バイトオーダーで記述される。  各ペアの最初の値は  (
       time(2)  の返す形式で)  閏秒が起きる時刻を指定し、 二番目の値はその時刻に加えるべき閏秒数の秒数を指定す
       る。 これらのペアは時刻の古い順に記述する。

       次には standard/wall インジケータが tzh_ttisstdcnt 個置かれる。 standard/wall インジケータはそれぞれ 1 バ
       イトの値として格納される。 これらは、ローカル時間種別に関連付けられた遷移時間が、標準時刻 (standard time)
       と壁時計時刻 (wall clock time) のどちらで指定されているかを示す。 また、この値は、 POSIX 形式のタイムゾー
       ン環境変数の処理において タイムゾーンファイルが使われる際にも利用される。

       最後に UTC/local インジケータが tzh_ttisgmtcnt 個置かれる。 UTC/local インジケータはそれぞれ 1 バイトの値
       として格納される。 これらは、ローカル時間種別に関連付けられた遷移時間が UTC とローカル時刻の どちらで指定
       されているかを示す。 また、この値は、 POSIX 形式のタイムゾーン環境変数の処理において タイムゾーンファイル
       が使われる際にも利用される。

       localtime(3) は、 tzh_timeout が 0 であるか time 引数がファイルに記録され ていた最初の遷移時刻 よりも小さ
       い場合には、 ファイルに最初に現れる標準時刻の ttinfo 構造体を使う (または標準時刻の構造体がない場合は、単
       に最初の ttinfo 構造体を使う)。

       バージョン 2 形式のタイムゾーンファイルでは、上記のヘッダーとデータの後に、 第  2  のヘッダーとデータが続
       く。形式は上記のヘッダーとデータと同じで、 遷移時間や閏秒の時刻に 8 バイトが使用される点だけが異なる。 第
       2 のヘッダーとデータの後ろには改行で囲まれた POSIX の TZ 環境変数形式  の文字列が置かれ、この文字列はファ
       イル内の最後の遷移時間の後で時刻を  処理する際に使用される (このような POSIX 表現が置かれない場合、改行の
       間には何も置かれない)。

関連項目

       ctime(3), tzset(3), tzselect(8),

       glibc ソースコードの timezone/tzfile.h

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告
       に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。

                                                   2012-05-04                                          TZFILE(5)