Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20180315+dfsg-1_all bug

名称

     dig - ドメイン名問い合わせパケットをネームサーバに送る

書式

     dig [@server] domain [⟨query-type⟩] [⟨query-class⟩] [+query-option⟩] [-dig-option⟩]
     [%comment]

解説

     dig (ドメイン情報手探り器; domain information groper) は、 DNS (Domain Name System) サーバか
     ら情報を集めるために使われる 柔軟なコマンドラインツールです。 dig は 2 つのモードを持ってい
     ます。 これは、1 つの問い合わせを行う単純な対話的利用モードと、 いくつかの問い合わせ行のリス
     ト中の各問い合わせを実行するバッチモードです。 すべての問い合わせオプションは、コマンドライ
     ンから利用可能です。

     普通の簡単な dig の使用法は、以下のような形式です。

                 dig @server domain query-type query-class

     ここで、

     server      は、ドメイン名かドット表記のインターネットアドレスのどちらかです。 もし、このオ
                 プションフィールドが省略された場合、 dig は、そのマシンのデフォルトのネームサー
                 バを利用しようとします。

                 注: ドメイン名が指定された時は、ドメイン名システムリゾルバ (つまり、BIND) を使う
                 ことで解決しようとします。システムが DNS を 提供していない時は、ドット形式のアド
                 レスを指定する必要があります。 利用できるサーバがどこかにある場合は、必要なこと
                 は /etc/resolv.conf が存在し、 server 自身が解決できるように、そのデフォルトネー
                 ムサーバがどこにあるかが 記述されていることだけです。 /etc/resolv.conf について
                 の情報は resolver(5) を参照してください。 警告: /etc/resolv.conf を変更する
                 と、標準のリゾルバライブラリと (潜在的に) それを使ういくつかのプログラムに影響を
                 与えます。 オプションとして、ユーザは環境変数 LOCALRES を設定し、
                 /etc/resolv.conf の代わりに使うファイルの名前を指定できます。 (LOCALRES 変数は
                 dig リゾルバ固有のもので、標準のリゾルバでは 参照されません) 。 LOCALRES 変数が
                 設定されていないか、 設定されたファイルが読み込めない場合は、 /etc/resolv.conf
                 が使われます。

     domain      は、あなたが情報を要求しているドメイン名です。 逆アドレスの問い合わせのための便
                 利な方法は、 -x オプションを参照してください(この節の その他のオプション の項で
                 述べられています)。

     query-type  は、あなたが要求している情報のタイプ(DNS 問い合わせタイプ)です。 省略された場合
                 のデフォルトは、 “a” (T_A = アドレス) が使われます。以下のタイプが認識されます。

                 a       T_A        ネットワークアドレス
                 any     T_ANY      指定されたドメインのすべて/任意の情報
                 mx      T_MX       ドメインのメール交換情報 (MX)
                 ns      T_NS       ネームサーバ
                 soa     T_SOA      ゾーンの権威者を表すレコード
                 hinfo   T_HINFO    ホスト情報
                 axfr    T_AXFR     ゾーン転送情報(権威を持ったサーバに尋ねなければなりません)
                 txt     T_TXT      任意の数の文字列

                 (完全なリストは、RFC 1035 を参照してください。)

     query-class
                 は、問い合わせで要求されるネットワーククラスです。 省略された場合のデフォルト
                 は、 “in” (C_IN = Internet) です。 以下のクラスが認識されます。

                 in      C_IN       インターネットクラスドメイン
                 any     C_ANY      すべて/任意のクラスの情報

                 (完全なリストは、RFC 1035 を参照してください。)

                 注:any” は、 クラス や問い合わせの タイプ を指定するために使われます。 dig
                 は、最初に現れた “any” を query-type = T_ANY として解析します。 query-class =
                 C_ANY にするためには、 “any” を 2 度指定するか、 -c オプション(以下参照)を利用し
                 て問い合わせクラスを 指定しなければなりません。

   その他のオプション
     %ignored-comment
                 “%” は、単に解析されない引数を含むために使われます。 これは、 dig をバッチモード
                 で実行する時に有効です。 問い合わせリスト中のすべての @server-domain-name を解決
                 する代わりに、 そのオーバヘッドを避けつつコマンドライン上にドメイン名を書くこと
                 が出来ます。 以下の例を参照。

                             dig @128.9.0.32 %venera.isi.edu mx isi.edu

     -dig option⟩
                 “-” は、 dig の操作に影響を与えるオプションを指定するために 使われます。以下のオ
                 プションが現在利用可能です ( 便利であるかどうかは保証しません )。

                 -x dot-notation-address
                             逆アドレス変換を指定する便利な形式です。 “dig
                             32.0.9.128.in-addr.arpa” の代わりに、 “dig -x 128.9.0.32” と指定でき
                             ます。

                 -f file     dig のバッチモードのためのファイルです。ファイルは、 つづいて実行さ
                             れる問い合わせの指定 ( dig のコマンドライン) の リストを含んでいま
                             す。 ‘;’, ‘#’, ‘\n’ で始まる行は無視されます。その他のオプションは、
                             コマンドラインで現れるものは、個々のバッチによる問い合わせでも 影響
                             があります。

                 -T time     バッチモードで実行した時、連続した問い合わせの始まる時間間隔を秒で与
                             え ます。2 つ以上のバッチ dig コマンドの実行を大体同期することができ
                             る ようになります。デフォルトは 0 です。

                 -p port     ポート番号です。標準でないポート番号で待つネームサーバに問い合わせま
                             す。 デフォルトは 53 です。

                 -p[ping-string]
                             問い合わせからかえってきた後で、 ping(8) コマンドを応答時間の比較の
                             ために実行します。これは、美しくないのですが、 シェルを呼び出しま
                             す。統計の最後の 3 行がコマンドのために 表示されます。

                                         ping -s -server_name -56 -3

                             オプションの “ping-string” が存在した時は、シェルコマンドでは “ping
                             -s” を置き換えます。

                 -t query-type
                             問い合わせのタイプを指定します。タイプフィールド内の整数値か、 上で
                             述べたニーモニック表現 (つまり mx = T_MX ) かで 指定することができま
                             す。

                 -c query-class
                             問い合わせのクラスを指定します。クラスフィールド内の整数値か、 上で
                             述べたニーモニック表現 (つまり in = C_IN) で 指定することができま
                             す。

                 -k keydir:keyname
                             ディレクトリ keydir 中の TSIG キー名 keyname で、問い合わせます。

                 -envsav     このフラグを指定すると、すべての引数が解析された後で dig 環境 (デ
                             フォルトや表示オプション等)  デフォルト環境としてファイルに保存し
                             ます。 標準のデフォルトが気に入らず、 dig を使う度にたくさんのオプ
                             ションを指定することが嫌な場合は便利です。 環境は、 dig 出力 (以下参
                             照) で詳しく述べられるフラグと同じように、 リゾルバの状態変数フラグ
                             や、タイムアウト、再試行回数からなります。 シェル環境変数 LOCALDEF
                             がファイルの名前に設定されている場合、 これが、デフォルトの dig 環境
                             が保存される場所となります。 そうでない場合は、ファイル “DiG.env” が
                             現在の作業ディレクトリに 作成されます。

                             注: LOCALDEF は、 dig のリゾルバ固有であり、 標準のリゾルバライブラ
                             リの操作には影響を与えません。

                             dig が実行される度に、 “./DiG.env” またはシェル環境変数 LOCALDEF で
                             指定されたファイルが探されます。そのようなファイルが 存在し読める場
                             合は、引数を解析する前にこのファイルから環境が 読み込まれます。

                 -envset     このフラグは、バッチ問い合わせを実行する時にだけ影響があります。 dig
                             バッチファイル中で “-envset” が指定されていると、 この引数が解析され
                             た後の dig 環境は、バッチファイルが実行されている間もしくは、次の
                             “-envset” が指定されるまでの間は、 デフォルトの環境となります。

                 -[no] stick
                             このフラグは、バッチ問い合わせ実行にだけ影響を与えます。 これは、
                             dig 環境を dig バッチファイル中での 各問い合わせ (行) の前に (初期状
                             態もしくは、 “-envset” で設定された) 元の状態に戻すことを指定しま
                             す。 デフォルトの “-nostick” は、 dig 環境を回復しないという意味です
                             ので、 dig バッチファイルの各行で指定されたオプションは、 後の行でも
                             その効果が残ったままになります (つまり “sticky” 時のデフォルトのよう
                             には回復されません)。

     +query option⟩
                 “+” はパケット問い合わせ中のオプション変更や dig 出力仕様を変更するために使われ
                 ます。 これらの多くは、 nslookup(8) で受け入れられるパラメータと同じものです。
                 オプションが値を必要とする場合、その指定形式は以下のようになります。

                             + keyword [=value]

                 ほとんどのキーワードは、省略が可能です。 “+” オプションの解釈は非常に単純です。
                 値はキーワードとスペースで区切ってはなりません。 以下のキーワードが現在利用可能
                 です。

                 キーワード     省略形    意味 [デフォルト]

                 [no] debug     (deb)    デバッグモードを変更 [deb]
                 [no] d2                 追加のデバッグモードを変更 [nod2]
                 [no] recurse   (rec)    再帰的探索を使うかどうか指定 [rec]
                 retry=#       (ret)     再試行の回数を # に設定 [4]
                 time=#        (ti)      タイムアウト時間を # 秒に設定 [4]
                 [no] ko                 繋げておくオプション(vc を暗黙指定) [noko]
                 [no] vc                 仮想回線を使うかどうか指定 [novc]
                 [no] defname   (def)    デフォルトドメイン名を使うかどうか指定 [def]
                 [no] search    (sea)    ドメインサーチリストを使うかどうか指定 [sea]
                 domain=NAME   (do)      デフォルトドメイン名を NAME に指定
                 [no] ignore    (i)      trunc. エラーを無視するかどうか指定 [noi]
                 [no] primary   (pr)     プライマリサーバを使うかどうか指定 [nopr]
                 [no] aaonly    (aa)     権威を持った問い合わせのみのフラグ [noaa]
                 [no] cmd                解析された引数を表示 [cmd]
                 [no] stats     (st)     問い合わせの統計を表示 [st]
                 [no] Header    (H)      基本的なヘッダを表示 [H]
                 [no] header    (he)     ヘッダフラグを表示 [he]
                 [no] ttlid     (tt)     TTL を表示 [tt]
                 [no] cl                 クラス情報を表示 [nocl]
                 [no] qr                 出て行った問い合わせを表示 [noqr]
                 [no] reply     (rep)    応答節を表示 [rep]
                 [no] ques      (qu)     質問節を表示 [qu]
                 [no] answer    (an)     回答節を表示 [an]
                 [no] author    (au)     権威節を表示 [au]
                 [no] addit     (ad)     追加節を表示 [ad]
                 pfdef                   デフォルト表示フラグを設定
                 pfmin                   最小のデフォルト表示フラグを設定
                 pfset=#                 表示フラグを # に設定 (# は 16 進 /8 進/10 進が可能です)
                 pfand=#                 表示フラグに # とのビット論理積 (and) 適用
                 pfor=#                  表示フラグに # とのビット論理和 (or) 適用

                 再試行回数時間 のオプションは、問い合わせデータグラムを送る際に、 リゾルバラ
                 イブラリによって使われる再送戦略に影響を与えます。 アルゴリズムは以下の通りです

                       for i = 0 to retry - 1
                           for j = 1 to num_servers
                               send_query
                               wait((time * (2**i)) / num_servers)
                           end
                       end

                 (注: dig はいつも “num_servers” として値 1 を使います。)

   詳細
     dig は、かつて BINDの resolver(3) ライブラリの変更版を要求しました。 BIND のリゾルバ
     は、(BIND 4.9のように) dig を正しく動作させるようになって来ています。本質的には、 dig は、引
     数の解釈と適切なパラメータ設定を(見事にではなく)卒直に行うものです。 dig はリゾルバの関数
     res_init(), res_mkquery(), res_send() を使い、また _res 構造体を操作します。

環境変数

     LOCALRES    /etc/resolv.conf の代わりに使うファイル
     LOCALDEF    デフォルトの環境ファイル

     上述した -envsav, -envset, -[no] stick オプションの説明も参照してください。

関連ファイル

     /etc/resolv.conf
                         初期状態のドメイン名とネームサーバのアドレス
     ./DiG.env           デフォルトオプションを保存するデフォルトファイル

関連項目

     named(8), resolver(3), resolver(5), nslookup(8)

規格

     RFC 1035

作者

     Steve Hotz hotz@isi.edu

謝辞

     dig は、Andrew Cherenson によって書かれた nslookup(8) の関数を使っています。

バグ

     dig は "潜行性機能過多" を患っています。 これは開発中に潜在的な用途をいくつも考えていた結果
     です。 苛酷なダイエットをしたらきっとよくなるでしょう。 同様に、表示フラグとそれで指定できる
     表示項目の粗さとから、 これらがその場限りの必要性から追加されたものだということが わかるはず
     です。

     リゾルバ中のどこかで問題が発生した時に、 dig はうまく (しかるべき終了ステータスで) 終了して
     くれるとは限りません。 (注: 大概のよくある終了条件はきちんと処理できます) 。 これは、特に
     バッチモードで実行している時に頭の痛い問題です。 異常終了し (さらにそれが捕捉されなかっ) た
     時には、 バッチ全体が終了してしまいますが、 そのようなイベントが捕捉された時には、 dig はそ
     のまま次の問い合わせを続けるだけです。