Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20180315+dfsg-1_all
名前
setfacl - ファイルのアクセス制御リスト (access control list) を設定する
書式
setfacl [-bkndRLPvh] [{-m|-x} acl_spec] [{-M|-X} acl_file] file ... setfacl --restore=file
説明
このユーティリティはファイルとディレクトリの アクセス制御リスト (Access Control List, ACL) を設定する。 コマンドラインでは、一連のコマンドの後にファイル群を指定する (さらに別の一連 のコマンド、ファイル群、... を続けて指定することができる)。 オプション -m と -x は ACL がコマンドラインで指定されることを想定している。 複数の ACL エ ントリはコンマ文字 (`,') で区切られる。 オプション -M と -X は ACL をファイルまたは標準入 力から読み込む。 ACL エントリの書式は、「ACL エントリ」のセクションで説明されている。 --set と --set-file オプションはファイルとディレクトリの ACL を設定する。 以前の ACL は置 き換えられる。 この操作で指定される ACL エントリは、 許可 (permission) を含まなければなら ない。 -m (--modify) と -M (--modify-file) オプションはファイルとディレクトリの ACL を変更する。 この操作で指定される ACL エントリは、許可を含まなければならない。 -x (--remove) と -X (--remove-file) オプションは ACL エントリを削除する。存在しないエント リの削除を行ってもエラーにはならない。 POSIXLY_CORRECT が定義されていない場合は、 perms フィールドを持たない ACL エントリだけが引き数として指定できる。 -M と -X オプションで (ACL を) ファイルから読み込む場合、 setfacl は getfacl が生成した出 力を受け付ける。 1 行には最大で 1 つの ACL エントリがある。 シャープ記号 (`#') の後から行 末まではコメントとして扱われる。 ACL をサポートしないファイルシステム上で setfacl を使用した場合、 setfacl はファイルモード 許可ビットを操作する。 ACL が許可ビットと完全には合わない場合、 setfacl はファイルモード許 可ビットを ACL に可能な限り近づけるように変更し、 標準エラー出力にエラーメッセージを書き出 して、0 より大きい終了状態で返る。 許可 ケーパビリティ (capability) CAP_FOWNER を持つファイル所有者とプロセスは、 ファイルの ACL を変更する権限が付与されている。 これはファイルモードにアクセスするのに必要な許可と類似し ている (現在の Linux システムでは、CAP_FOWNER ケーパビリティを持つユーザは root のみであ る)。
オプション
-b, --remove-all 全ての拡張 ACL エントリを削除する。 所有者・グループ・その他という基本 (base) ACL エン トリは保存される。 -k, --remove-default デフォルト ACL を削除する。 デフォルト ACL が存在しない場合、警告は出されない。 -n, --no-mask 実効権 (effective right) マスクを再計算しない。 setfacl のデフォルト動作では、ACL マス クエントリが明示的に指定されない限り、 ACL マスクエントリを再計算する。 マスクエントリ は所有グループ・指名ユーザ (named user)・指名グループの エントリの全ての許可を結合した ものに設定される (マスクエントリに影響を受けるエントリは、正にこれらである)。 --mask ACL マスクエントリが明示的に指定されている場合でも、実効権マスクを再計算する (-n オプ ションを参照)。 -d, --default 全ての操作をデフォルト ACL に適用する。 入力セットに含まれる通常の ACL エントリを デ フォルト ACL エントリに昇格させる。 入力セットに含まれるデフォルト ACL エントリは破棄 される (これが起こった場合は警告を出す)。 --restore=file `getfacl -R' またはそれと同様なもので作成された 許可のバックアップで復旧する。 ディレ クトリサブツリーの全ての許可が、この方法で復旧される。 入力に所有者コメントまたはグ ループコメントが含まれている場合、 setfacl はファイルの所有者と所有グループを復旧しよ うとする。入力に (setuid, setgid, sticky ビットを定義する) フラグコメントが含まれてい る場合、入力に従ってこれらのビットを設定する。指定されなかった場合はこれらのビットをク リアする。この操作は `--test' 以外のオプションと併用できない。 --test テストモード。 ファイルの ACL を変更する代わりに、結果の ACL の一覧を表示する。 -R, --recursive 全てのファイルとディレクトリに対して再帰的に操作を適用する。 このオプションは `--restore' と併用できない。 -L, --logical 論理的に辿り、ディレクトリへのシンボリックリンクを辿る。 デフォルトの動作では、シンボ リックリンク引き数を辿り、 サブディレクトリで見つかったシンボリックリンクはスキップす る。 -R と一緒に使用した場合にのみ効果を持つ。 このオプションは `--restore' と併用でき ない。 -P, --physical 物理的に辿り、ディレクトリへのシンボリックリンクをスキップする。 シンボリックリンク引 き数もスキップする。 -R と一緒に使用した場合にのみ効果を持つ。このオプションは `--restore' と併用できない。 -v, --version setfacl のバージョンを表示し、終了する。 -h, --help コマンドラインオプションを説明するヘルプを表示する。 -- コマンドラインオプションの終わり。 残りの引き数は、たとえダッシュ文字で始まっていたと しても、 ファイル名として解釈される。 - ファイル名引き数が 1 つのダッシュ文字である場合、 setfacl は標準入力からファイルのリス トを読み込む。 ACL エントリ setfacl ユーティリティは以下の ACL エントリ書式を認識する (分かりやすいように空白を挿入し てある): [d[efault]:] [u[ser]:]uid [:perms] 指名ユーザの許可。 uid が空の場合は、ファイル所有者の許可。 [d[efault]:] g[roup]:gid [:perms] 指名グループの許可。 gid が空の場合は、所有者グループの許可。 [d[efault]:] m[ask][:] [:perms] 実効権マスク。 [d[efault]:] o[ther][:] [:perms] その他の許可。 区切り文字と区切り文字以外の間の空白は無視される。 許可を含む正式な ACL エントリは、修正と設定の操作 (オプション -m, -M, --set, --set-file) で使用される。 perms フィールドのないエントリは、エントリの削除 (オプション -x と -X) で 使用される。 uid と gid には名前と数値のどちらも指定できる。 perms フィールド許可を表す文字の組み合わせである。 読み込み (r), 書き込み (w), 実行 (x) は、ファイルがディレクトリであるか何れかのユーザの実行許可 (X) が既にある場合にのみ実行さ れる。 文字の組合わせの代わりに、 perms フィールドを 8 進数 (0-7) にすることもできる。 自動的に作成されるエントリ 初期状態では、ファイルとディレクトリは所有者・グループ・その他という 3 つの基本 ACL エント リを持つ。 ACL が有効であるためには満たさなければならない、いくつかのルールがある。 * 3 つの基本エントリは削除できない。 これらの基本エントリ型のそれぞれに対して、 必ず 1 つのエントリがなければならない。 * ACL が指名ユーザエントリまたは指名グループオブジェクトを持つ場合、 実効権マスクも持た なければならない。 * ACL がデフォルト ACL エントリを持つ場合、 3 つのデフォルト ACL 基本エントリ (デフォル ト所有者・ デフォルトグループ・デフォルトのその他) が存在しなければならない。 * デフォルト ACL が指名ユーザエントリまたは指名グループオブジェクトを持つ場合、 デフォル ト実効権マスクも持たなければならない。 ユーザがこれらのルールを確実に守るための助けとして、 setfacl は以下の条件で既存のエントリ からエントリを作成する: * ACL が指名ユーザまたは指名グループのエントリを持ち、 かつマスクエントリが存在しない場 合、 グループエントリと同じ許可を持つマスクエントリが作成される。 -n オプションが指定 されない限り、マスクエントリの許可は、 そのマスクエントリの影響を受ける全ての許可を合 わせたもの含めるように、 更に調整される (-n オプションの説明を参照すること)。 * デフォルト ACL エントリが作成され、 かつデフォルト ACL が所有者・所有グループ・その他 のエントリを持たない場合、 ACL 所有者・所有グループ・その他のエントリのコピーが デフォ ルト ACL に追加される。 * デフォルト ACL が指名ユーザまたは指名グループのエントリを持ち、 かつマスクエントリが存 在する場合、 デフォルト ACL のグループエントリと同じ許可を持つマスクエントリが追加され る。 -n オプションが指定されない限り、マスクエントリの許可は、 そのマスクエントリの影 響を受ける全ての許可を合わせたもの含めるように、 更に調整される (-n オプションの説明を 参照すること)。
例
追加のユーザの読み込みアクセスを許可する。 setfacl -m u:lisa:r file 全てのグループと全ての指名ユーザの書き込みアクセスを (実効権マスクを使って) 取り消す。 setfacl -m m::rx file ファイルの ACL から指名グループエントリを削除する。 setfacl -x g:staff file あるファイルの ACL を他にコピーする。 getfacl file1 | setfacl --set-file=- file2 アクセス ACL をデフォルト ACL にコピーする。 getfacl --access dir | setfacl -d -M- dir
POSIX 1003.1e DRAFT STANDARD 17 への準拠
環境変数 POSIXLY_CORRECT が定義されている場合、 getfacl のデフォルトの動作は、以下のように 変わる。 標準に準拠しない全てのオプションは無効にされる。 “default:” プレフィックスは無効 にされる。 -x と -X オプションは許可フィールドを受け付ける (しかし、無視する)。
著者
Andreas Gruenbacher, <a.gruenbacher@bestbits.at>. バグ報告・提案したい機能・意見は上記のアドレスに送ってほしい。
関連項目
getfacl(1), chmod(1), umask(1), acl(5)