Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20180315+dfsg-1_all bug

名前

       inet_pton - IPv4/IPv6 アドレスをテキスト形式からバイナリ形式に変換する

書式

       #include <arpa/inet.h>

       int inet_pton(int af, const char *src, void *dst);

説明

       この関数は文字列  src を、アドレスファミリー af のネットワークアドレス構造体に変換し、 dst
       にコピーする。 af 引き数は AF_INETAF_INET6 のどちらかでなければならない。

       現在サポートされているアドレスファミリーは以下の通りである。

       AF_INET
              src はドット区切りの 10 進数形式 "ddd.ddd.ddd.ddd" の IPv4 ネットワークアドレス文字
              列へのポインターである。  ddd は 0 から 255 までの範囲の最大 3 桁の 10 進数である。
              このアドレスは  struct  in_addr  に変換されて  dst  にコピーされる。  dst  の長さは
              sizeof(struct in_addr) (4) バイト (32ビット) でなければならない。

       AF_INET6
              src は IPv6 ネットワークアドレスが格納された文字列へのポインターである。 このアドレ
              スは struct in6_addr に変換されて dst にコピーされる。 dst  の長さは  sizeof(struct
              in6_addr)  (16)  バイト (128 ビット) でなければならない。 以下の 3 つのルールにした
              がった形式が IPv6 アドレスとして入力できる。

              1. 推奨形式は  x:x:x:x:x:x:x:x  である。この形式は  8  個の  16  進数から構成され、
                 各々の 16 進数は 16 ビット値を表す (x は最大 4 桁の 16 進数である)。

              2. 推奨形式の中の連続する  0 の列は :: に短縮できる。アドレス中で使用できる :: は 1
                 個だけである。 例えば、ループバックアドレス 0:0:0:0:0:0:0:1::1  と短縮でき
                 る。 全ビットが 0 で構成されるワイルドカードアドレスは :: と記載できる。

              3. IPv4 をマッピングした IPv6 アドレスを表記するには別の形式が便利である。 この別の
                 形式は x:x:x:x:x:x:d.d.d.d と書くことができる。 最初の 6 個の x はアドレスを  16
                 ビット単位に区切ったときの上位側  6 個分 (つまり 96 ビット分) を定義する 16 進数
                 であり、 d の部分はアドレスの下位 32 ビットをドット区切りの 10  進数表記で表した
                 ものである。 ::FFFF:204.152.189.116 はこの形式の例である。

              IPv6 アドレスの表現方法の詳細については RFC 2373 を参照のこと。

返り値

       成功する (ネットワークアドレスが正常に変換される) と、 inet_pton()  は 1 を返す。 src が指
       定されたアドレスファミリーに対する 正しいネットワークアドレス表記でない場合には、  0  を返
       す。   af  がサポートされているアドレスファミリーでない場合には、  -1  を返し、  errnoEAFNOSUPPORT を設定する。

準拠

       POSIX.1-2001.

注意

       inet_aton(3)  や inet_addr(3)  と異なり、 inet_pton()  は IPv6 アドレスに対応している。 一
       方で、  inet_pton()  が受け付ける IPv4 アドレスはドット区切りの 10 進数表記だけである。 こ
       れに対し、 inet_aton(3)  や inet_addr(3)  ではもっと一般的なドット区切りの数字表記 (16  進
       数や  8 進数の形式や、 4 バイト全てを明示的に書かなくてもよい形式) が使用できる。 ドット区
       切りの数字表記で IPv6 アドレスと IPv4 アドレスの両方を扱える  インターフェイスについては、
       getaddrinfo(3)  を参照のこと。

バグ

       AF_INET6 は IPv4 アドレスを認識しない。 代わりに IPv4 アドレスをマッピングした IPv6 アドレ
       スを src に与えなければならない。

       以下のプログラムは inet_pton()  と inet_ntop(3)  の使用例を示すものである。 実行すると以下
       のようになる。

           $ ./a.out i6 0:0:0:0:0:0:0:0
           ::
           $ ./a.out i6 1:0:0:0:0:0:0:8
           1::8
           $ ./a.out i6 0:0:0:0:0:FFFF:204.152.189.116
           ::ffff:204.152.189.116

   プログラムのソース

       #include <arpa/inet.h>
       #include <stdio.h>
       #include <stdlib.h>
       #include <string.h>

       int
       main(int argc, char *argv[])
       {
           unsigned char buf[sizeof(struct in6_addr)];
           int domain, s;
           char str[INET6_ADDRSTRLEN];

           if (argc != 3) {
               fprintf(stderr, "Usage: %s {i4|i6|<num>} string\n", argv[0]);
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           domain = (strcmp(argv[1], "i4") == 0) ? AF_INET :
                    (strcmp(argv[1], "i6") == 0) ? AF_INET6 : atoi(argv[1]);

           s = inet_pton(domain, argv[2], buf);
           if (s <= 0) {
               if (s == 0)
                   fprintf(stderr, "Not in presentation format");
               else
                   perror("inet_pton");
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           if (inet_ntop(domain, buf, str, INET6_ADDRSTRLEN) == NULL) {
               perror("inet_ntop");
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           printf("%s\n", str);

           exit(EXIT_SUCCESS);
       }

関連項目

       getaddrinfo(3), inet(3), inet_ntop(3)

この文書について

       この  man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクト
       の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。