Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20180315+dfsg-1_all bug

名前

       closelog, openlog, syslog, vsyslog - システムロガーにメッセージを送る

書式

       #include <syslog.h>

       void openlog(const char *ident, int option, int facility);
       void syslog(int priority, const char *format, ...);
       void closelog(void);

       #include <stdarg.h>

       void vsyslog(int priority, const char *format, va_list ap);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       vsyslog(): _BSD_SOURCE

説明

       closelog()   はシステムのログ記録用プログラム(システムロガー syslogd(8))  ヘの接続を終了す
       る。 closelog()  は必須ではない。

       openlog() はログを出力しようとしているプログラムからログ記録用 プログラム (system  logger)
       への  接続を開始する。 ident で指定した文字列は各メッセージの前に付与される。 通常は ident
       にはプログラム名が設定される。 ident が NULL の場合、プログラムが  ident  として使用される
       (POSIX.1-2008 では ident が NULL の場合の動作は規定されていない)。

       option  引き数は、 openlog() の動作とその後の syslog() の呼び 出しを制御するフラグを指定す
       る。 facility 引き数は、後で syslog() を呼び出す際に facility が指定されなかった場合に使用
       される  デフォルト値 を決定する。 optionfacility については後述する。 openlog() は必須
       ではなく、必要に応じて syslog() から呼び出される。 syslog() が呼び出した場合、 ident  のデ
       フォルト値は NULL になる。

       syslog()   はログメッセージを出力し、 syslogd(8)  がそのメッセージを記録する。 priority 引
       き数は facilitylevel との組合せで指定する。 facilitylevel の取りうる値は後述する。
       残りの  format 引き数は printf(3)  と似たスタイルの書式とその書式に与える値である。 format
       中の2文字 %m はその時点での errno に関連するエラーメッセージ文字列 (strerror)   によって置
       き換えられる。 必要な場合は末尾に改行が加えられる。

       vsyslog()  関数は syslog()  と同じ機能を持つが、可変引き数リストを指定することができる点が
       異なる。 指定された引き数は、 stdarg(3)  可変引き数リストマクロを用いて取得される。

       以下のサブセクションでは、 optionfacilitypriority の値を設定するのに使用されるパラ
       メーターを説明する。

   option
       下記の値を OR したものが openlog()  の option 引き数になる:

       LOG_CONS       エラーがあれば、システムロガーに送る一方でシステムコンソールにも直接書く。

       LOG_NDELAY     ログ記録用プログラムとの接続を即座に開始する  (通常は、最初のメッセージが記
                      録される時に接続を開く)。

       LOG_NOWAIT     メッセージを記録する際に生成される子プロセスの終了を待たない。 (GNU C  ライ
                      ブラリは子プロセスを生成しない。  したがって、このオプションは Linux では無
                      効である。)

       LOG_ODELAY     LOG_NDELAY の反対。 syslog()  が呼ばれるまで、接続の開始を行わない。  (この
                      オプションはデフォルトであり、特に指定する必要はない。)

       LOG_PERROR     stderr にも出力する。 (POSIX.1-2001 と POSIX.1-2008 では定義されていない)

       LOG_PID        個々のメッセージに PID を含める。

   facility
       facility 引き数はメッセージに記録されるプログラムのタイプを指定するために使われる。 これに
       よって異なるタイプのプログラムからのメッセージは異なる扱いを       するように設定ファイル(
       syslog.conf(5))  に定義できる。

       LOG_AUTH       セキュリティ/認証 メッセージ

       LOG_AUTHPRIV   セキュリティ/認証 メッセージ (プライベート)

       LOG_CRON       クロックデーモン (cron と at)

       LOG_DAEMON     特定の facility 値を持たないシステムデーモン

       LOG_FTP        ftp デーモン

       LOG_KERN       カーネルメッセージ (ユーザープロセスから生成することはできない)

       LOG_LOCAL0 から LOG_LOCAL7
                      ローカルな使用のためにリザーブされている

       LOG_LPR        ラインプリンタサブシステム

       LOG_MAIL       メールサブシステム

       LOG_NEWS       USENET ニュースサブシステム

       LOG_SYSLOG     syslogd(8)  によって内部的に発行されるメッセージ

       LOG_USER (デフォルト)
                      一般的なユーザーレベルメッセージ

       LOG_UUCP       UUCPサブシステム

   level
       これはメッセージの優先度を指定する。 優先度の高いものから低いものの順で下記する。

       LOG_EMERG      システムが使用不可

       LOG_ALERT      直ちに行動を起こさなければならない

       LOG_CRIT       危険な状態

       LOG_ERR        エラーの状態

       LOG_WARNING    ワーニングの状態

       LOG_NOTICE     通常だが重要な状態

       LOG_INFO       インフォメーションメッセージ

       LOG_DEBUG      デバッグレベルのメッセージ

       setlogmask(3)   関数を使用して、 指定されたレベルのメッセージだけを記録するように 制限する
       ことができる。

準拠

       openlog(), closelog(), syslog() は SUSv2, POSIX.1-2001, POSIX.1-2008 で規定されている  (但
       し  vsyslog() は除く)。 POSIX.1-2001 では facility として LOG_USERLOG_LOCAL* の値 が規
       定されているだけである。 しかしながら、 LOG_AUTHPRIVLOG_FTP という例外はあるが、  それ
       以外の  facility  の値は多くの UNIX システムで使われている。 option の値の LOG_PERROR の値
       は、 POSIX.1-2001 と POSIX.1-2008 では規定されていないが、 UNIX の多くのバージョンで使用可
       能である。

注意

       openlog()   呼び出しの ident 引き数は、値がそのまま保持されていることを前提にしている。 そ
       れゆえ、 ident で指定された文字列が変更されると、 syslog()  は変更された文字列の追加するだ
       ろうし、 指定された文字列が存在しなくなった場合、結果は未定義である。 最も移植性がある方法
       は、文字列定数を使用することである。

       ユーザーから与えられたデータを format として渡してはならない。 代わりに以下を使うこと。

           syslog(priority, "%s", string);

関連項目

       logger(1), setlogmask(3), syslog.conf(5), syslogd(8)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部  である。プロジェクト
       の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。