Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20180315+dfsg-1_all bug

名前

       hier - ファイルシステム階層の説明

説明

       典型的な Linux system には以下のようなディレクトリがある (他にもたくさんのディレクトリがあるが):

       /      ルートディレクトリ。ここが階層の起点となる。

       /bin   このディレクトリには、シングルユーザーモードで  システムの起動や修理を行う際に必要な実行形式ファイ
              ルが含まれる。

       /boot  ブートローダーが用いる静的なファイルが含まれている。  このディレクトリにはブートプロセスの間に必要
              なファイルだけが置かれる。 マップインストーラや設定ファイルは /sbin/etc に置くべきである。

       /dev   物理デバイスを参照している  スペシャルファイルやデバイスファイルの置き場所。  mknod(1)  を参照のこ
              と。

       /etc   マシン固有の設定ファイルが置かれる場所。X11 のような 大規模なソフトウェアパッケージでは、 /etc  以
              下に更にパッケージ単位でサブディレクトリが作られることもある。      サイト全体に有効な設定ファイル
              は、ここではなく /usr/etc に置かれることもある。  しかし、プログラムからのこれらのファイルの参照先
              は、常に /etc にすべきである。 /usr/etc 以下のファイルに対しては、それらへのリンクを /etc に置けば
              よい。

       /etc/opt
              /opt にインストールされたアドオンアプリケーションが使う、 ホスト固有の設定ファイルの置き場所。

       /etc/sgml
              SGML や XML の設定ファイルの置き場所 (なくてもよい)。

       /etc/skel
              新たにユーザーアカウントを作る際、 通常このディレクトリにあるファイルが ユーザーのホームディレクト
              リにコピーされる。

       /etc/X11
              X11 window system の設定ファイルの置き場所 (なくてもよい)。

       /home  通常、ユーザーのホームディレクトリが、    このディレクトリ直下ないしサブディレクトリの下に作成され
              る。 このディレクトリの構成をどうするかは、 ローカルマシンの管理者が決めることである。

       /lib   このディレクトリには、システムの起動時に必要な共有ライブラリや、  ルートファイルシステムでコマンド
              を実行するのに必要な共有ライブラリを置く。

       /media このディレクトリには、   CD/DVD  ディスクや  USB  スティックなどの取り外し可能メディア  (removable
              media) 用のマウントポイントが置かれる。

       /mnt   このディレクトリは、一時的にマウントするファイルシステム用の  マウントポイントである。  ディストリ
              ビューションによっては、一時的にマウントするファイルシステム用の  マウントポイントとして、 /mnt 内
              にサブディレクトリが用意されている場合がある。

       /opt   このディレクトリにはアドオンパッケージの静的なファイルが置かれる。

       /proc  このディレクトリは proc ファイルシステムのマウントポイントである。 proc ファイルシステムは、実行中
              プロセスやカーネルの情報を提供する。  この疑似ファイルシステムの詳細は、  proc(5)   で説明されてい
              る。

       /root  通常ここが root ユーザーのホームディレクトリになる (なくてもよい)。

       /sbin  /bin と同様に、 このディレクトリにはシステムの起動に必要なコマンドが含まれる。  ただしここには、一
              般ユーザーは通常実行しないコマンドが置かれる。

       /srv   このディレクトリには、このシステムで提供される サイト固有のデータが置かれる。

       /tmp   このディレクトリには、 定期的なジョブによって、またはシステム起動時に、 無条件に削除して構わない一
              時的なファイルが置かれる。

       /usr   通常このディレクトリは、独立したパーティションがマウントされる。  ここには、共有可能で読み込み専用
              のものだけが含まれ、 よっていろいろな Linux マシンからマウントできる。

       /usr/X11R6
              X Window System, Version 11 release 6 (なくてもよい)。

       /usr/X11R6/bin
              X  Window System のバイナリの置き場所。 古いディレクトリである /usr/bin/X11 からここにシンボリック
              リンクが張られていることが多い。

       /usr/X11R6/lib
              X Window System に関連するデータファイルの置き場所。

       /usr/X11R6/lib/X11
              ここには X の動作に必要な種々のファイルが含まれている。 /usr/lib/X11  からここにシンボリックリンク
              が張られていることが多い。

       /usr/X11R6/include/X11
              ここには X11 Window System を使ったプログラムをコンパイルするために 必要なインクルードファイルが含
              まれている。 /usr/include/X11 からここにシンボリックリンクが張られていることが多い。

       /usr/bin
              このディレクトリは、実行形式ファイルの主な置き場所である。  システムのブートやシステム復旧には必要
              とされない、  一般ユーザーが利用するコマンドの多くは、  ローカルにインストールされるのでない限り、
              このディレクトリに置くべきである。

       /usr/bin/X11
              X11 コマンドの伝統的な置き場所。Linux では、通常  /usr/X11R6/bin  にシンボリックリンクが張られてい
              る。

       /usr/dict
              /usr/share/dict に置き換えられた。

       /usr/doc
              /usr/share/doc に置き換えられた。

       /usr/etc
              サイト内部の複数のマシンが共有するような設定ファイルが置かれる。  しかしながら、コマンドはそれらの
              ファイルの参照先を、常に /etc にすべきだろう。 /etc のファイルからリンクを張って、 /usr/etc の適切
              なファイルを指すようにすべきである。

       /usr/games
              ゲームプログラムや教育用プログラムのバイナリが含まれている (なくてもよい)。

       /usr/include
              C コンパイラ用のインクルードファイルが含まれている。

       /usr/include/X11
              C    コンパイラと    X    Window    System   用のインクルードファイルが含まれている。   通常これは
              /usr/inlcude/X11 へのシンボリックリンクになっている。

       /usr/include/asm
              アセンブラ関数の宣言を行うインクルードファイルが含まれている。          このディレクトリは、以前は
              /usr/src/linux/include/asm へのシンボリックリンクだった。

       /usr/include/linux
              ここには、システムのリリースのたびごとに変更されうる情報が含まれる。                  ここは以前は
              /usr/src/linux/include/linux にシンボリックリンクされており、 オペレーティングシステム固有の情報が
              得られるようになっていた。

              (ここに置くインクルードファイルは、 現在の libc およびユーザー空間で正しく動作するものでなければな
              らない。 しかし Linux のカーネルソースは  ユーザープログラムといっしょに使うようには設計されていな
              いし、  あなたが使っている libc も関知しない。 /usr/include/asm/usr/include/linux を適当なカー
              ネルツリーへのリンクにしたりすると、破綻するのは目に見えている。 Debian  ではこうせずに、libc*-dev
              package が提供する、 安定したカーネルバージョンのヘッダーファイルを置いている。)

       /usr/include/g++
              GNU C++ コンパイラ用のインクルードファイルが含まれている。

       /usr/lib
              オブジェクトライブラリ  (ダイナミックライブラリも含む) と、 直接には起動されないような実行形式ファ
              イル少々とが置かれる。 複雑なプログラムでは、更にサブディレクトリがあるかもしれない。

       /usr/lib/X11
              X のプログラムに関連するデータファイルと、 X Window System の設定ファイルの置き場所。 Linux では通
              常 /usr/X11R6/lib/X11 にシンボリックリンクが張られている。

       /usr/lib/gcc-lib
              GNU C コンパイラ gcc(1)  用の実行形式ファイルとインクルードファイルが含まれている。

       /usr/lib/groff
              GNU groff 文書整形システムのためのファイルが含まれている。

       /usr/lib/uucp
              uucp(1)  のためのファイルが含まれている。

       /usr/local
              このディレクトリは、 サイトローカルなプログラムがインストールされる典型的な場所である。

       /usr/local/bin
              サイトローカルなプログラムが含まれている。

       /usr/local/doc
              サイトローカルなドキュメントが含まれている。

       /usr/local/etc
              サイトローカルにインストールされたプログラムの設定ファイルの置き場所。

       /usr/local/games
              サイトローカルにインストールされたゲームのバイナリの置き場所。

       /usr/local/lib
              サイトローカルにインストールされたプログラムの関連ファイルの置き場所。

       /usr/local/include
              ローカルな C コンパイラのヘッダーファイルの置き場所。

       /usr/local/info
              サイトローカルにインストールされたプログラムの info ページの置き場所。

       /usr/local/man
              サイトローカルにインストールされたプログラムのマニュアルページの置き場所。

       /usr/local/sbin
              サイトローカルにインストールされたシステム管理コマンドの置き場所。

       /usr/local/share
              同じ OS ならアーキテクチャーが異なっても共有できる、 ローカルなアプリケーションデータの置き場所。

       /usr/local/src
              サイトローカルにインストールされたソフトウェアのソースコードの置き場所。

       /usr/man
              /usr/share/man に置き換えられた。

       /usr/sbin
              このディレクトリには、システム管理コマンドが含まれる。  ここに置かれるコマンドは、ブートプロセスや
              /usr のマウント、システムの修理などに必要なものであってはならない。

       /usr/share
              このディレクトリには、アプリケーションごとに固有なデータ (同じ OS ならアーキテクチャーが違っていて
              も共有できるもの)  がサブディレクトリ単位で置かれる。 以前には /usr/doc, /usr/lib, /usr/man などに
              あった内容が、多くここに置かれている。

       /usr/share/dict
              スペルチェッカ用の単語リストが含まれる。

       /usr/share/doc
              インストールされたプログラムのドキュメントの置き場所。

       /usr/share/games
              /usr/games に置かれたゲーム用の静的なデータファイルの置き場所。

       /usr/share/info
              info ページが置かれる。

       /usr/share/locale
              ロケール (locale) 情報が置かれる。

       /usr/share/man
              マニュアルページ。各ページはセクションに応じたサブディレクトリに置かれる。

       /usr/share/man/<locale>/man[1-9]
              これらのディレクトリには、 各ロケールのマニュアルページのソースが置かれている。 すべてのマニュアル
              ページで同じ言語とコードセットを使用するシステムでは、 <locale> は省略されることがある。

       /usr/share/misc
              同じ OS ならアーキテクチャーが違っていても共有できる、雑多なデータの置き場所。

       /usr/share/nls
              母国語サポート (native language support) 用のメッセージカタログの置き場所。

       /usr/share/sgml
              SGML や XML のファイルの置き場所。

       /usr/share/terminfo
              terminfo のデータベースが置かれる。

       /usr/share/tmac
              groff と一緒には配布されていない troff マクロの置き場所。

       /usr/share/zoneinfo
              タイムゾーン情報のファイルが置かれる。

       /usr/src
              システム上の色々なコンポーネントのソースファイル  (参照用のパッケージも含む) の置き場所。 この場所
              で自分のプロジェクトの作業をしてはいけない。 /usr 以下のファイルはソフトウェアのインストールの時以
              外は 読み込み専用になっているべきだからである。

       /usr/src/linux
              かつてはカーネルソースの伝統的な置き場所だった。 ディストリビューションによっては、 出荷時のデフォ
              ルトのカーネルのソースをここに置いている。  自分でカーネルをビルドするときは別の場所を使うほうがい
              いだろう。

       /usr/tmp
              今では用いられなくなった。このディレクトリは  /var/tmp へのリンクにすべきである。 このリンクは互換
              性のためだけにあり、もはや使うべきでない。

       /var   このディレクトリには、スプールファイルやログファイルのような、    サイズが変化するファイルが置かれ
              る。

       /var/adm
              このディレクトリは  /var/log に置き換えられた。 ここは /var/log へのシンボリックリンクにすべきであ
              る。

       /var/backups
              歴史的な理由からまだ残っている。

       /var/cache
              プログラムのためにキャッシュされたデータの置き場所。

       /var/catman/cat[1-9] or /var/cache/man/cat[1-9]
              これらのディレクトリには、整形済みのマニュアルページが、  ページのセクションに従って置かれている。
              (整形済みマニュアルページの利用は推奨されていない。)

       /var/cron
              歴史的な理由からまだ残っている。

       /var/lib
              プログラムの状態に関する情報のうち、可変なものの置き場所。

       /var/local
              /usr/local 用の可変データの置き場所。

       /var/lock
              ロックファイルの置き場所。  デバイスのロックファイルの命名は、慣習として  LCK..<device> とされてい
              る。ここで <device>  はファイルシステム上でのデバイス名である。  利用されているフォーマットは  HDU
              UUCP  のロックファイルのものである。 すなわち各ロックファイルには アスキー 10 進数値文字で表記した
              PID 10 バイトと、 それに続いて改行文字とが含まれている。

       /var/log
              種々のログファイルの置き場所。

       /var/opt
              /opt 用の可変データの置き場所。

       /var/mail
              ユーザーのメールボックスの置き場所。 /var/spool/mail を置き換えた。

       /var/msgs
              歴史的な理由からまだ残っている。

       /var/preserve
              歴史的な理由からまだ残っている。

       /var/run
              実行時の可変ファイルが置かれる。 例えばプロセス識別子 (PID) を保持するファイルや、  ユーザーのログ
              イン情報ファイル (utmp) などである。 ここのファイルは、通常システム起動時に削除される。

       /var/spool
              色々なプログラムのスプールファイル (あるいはキューファイル) の置き場所。

       /var/spool/at
              at(1)  のジョブスプール。

       /var/spool/cron
              cron(8)  のジョブスプール。

       /var/spool/lpd
              印刷用のスプールファイルが置かれる。

       /var/spool/mail
              /var/mail に置き換えられた。

       /var/spool/mqueue
              キューイングされた送信メールの置き場所。

       /var/spool/news
              ニュースのスプールディレクトリ。

       /var/spool/rwho
              rwhod(8)  のスプールファイルの置き場所。

       /var/spool/smail
              メール配送プログラム smail(1)  のスプールファイルの置き場所。

       /var/spool/uucp
              uucp(1)  のスプールファイルの置き場所。

       /var/tmp
              /tmp と似ているが、 このディレクトリに置かれる一時的なファイルは保存期間の制限がない。

       /var/yp
              NIS のデータベースファイルの置き場所。

準拠

       The Filesystem Hierarchy Standard, Version 2.2 ⟨http://www.pathname.com/fhs/⟩.

バグ

       このリストは網羅的なものではない。 個々のシステムでは異なる部分があるかもしれない。

関連項目

       find(1), ln(1), proc(5), mount(8)

       The Filesystem Hierarchy Standard

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告
       に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。