jammy (3) endspent.3.gz

Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20210215+dfsg-1_all bug

名前

       getspnam,   getspnam_r,  getspent,  getspent_r,  setspent,  endspent,fgetspent,  fgetspent_r,  sgetspent,
       sgetspent_r, putspent, lckpwdf, ulckpwdf - shadow パスワードファイルのエントリーを取得する

書式

       /* 一般的な shadow パスワードファイル API */
       #include <shadow.h>

       struct spwd *getspnam(const char *name);

       struct spwd *getspent(void);

       void setspent(void);

       void endspent(void);

       struct spwd *fgetspent(FILE *stream);

       struct spwd *sgetspent(const char *s);

       int putspent(const struct spwd *p, FILE *stream);

       int lckpwdf(void);

       int ulckpwdf(void);

       /* GNU 版における拡張 */
       #include <shadow.h>

       int getspent_r(struct spwd *spbuf,
               char *buf, size_t buflen, struct spwd **spbufp);

       int getspnam_r(const char *name, struct spwd *spbuf,
               char *buf, size_t buflen, struct spwd **spbufp);

       int fgetspent_r(FILE *stream, struct spwd *spbuf,
               char *buf, size_t buflen, struct spwd **spbufp);

       int sgetspent_r(const char *s, struct spwd *spbuf,
               char *buf, size_t buflen, struct spwd **spbufp);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       getspent_r(), getspnam_r(), fgetspent_r(), sgetspent_r():
           _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE

説明

       昔は暗号化されたパスワードをパスワードファイルに     見えるように公開しておいても安全だと考えられていた。
       Julianne Frances Haugh は shadow パスワードスイートを実装した。 これは暗号化されたパスワードを、root のみ
       が読むことができる  shadow  パスワードデータベース   (例えば、   ローカルの   shadow   パスワードファイル
       /etc/shadow, NIS, LDAP)  に保持する。

       以下で説明する関数は、伝統的なパスワードデータベースに対する   関数に似ている   (例えば  getpwnam(3)   や
       getpwent(3) を参照)。

       getspnam()  関数は、ユーザー名 name にマッチする shadow パスワードデータベースのエントリーを 要素毎に分解
       し、各要素を格納した構造体へのポインターを返す。

       getspent()  関数は shadow パスワードデータベースにおける次のエントリーへのポインターを返す。 入力ストリー
       ムにおける位置は、 setspent()  で初期化される。 読み込みが終わった後に、 endspent()  を呼び出すと、リソー
       スを解放できる。

       fgetspent()   関数は  getspent()   に似ているが、 setspent() で暗黙のうちにオープンされるストリームではな
       く、与えられたストリームを使う。

       sgetspent()  関数は与えられた文字列 s を解析し struct spwd に格納する。

       putspent()  関数は与えられた struct spwd *p の内容を shadow  パスワードファイル形式のテキスト行で  stream
       に書き出す。 空文字列として、 値が NULL の文字列エントリーと値が -1 の数値エントリーが 書き出される。

       lckpwdf()  関数は、 shadow パスワードデータベースを 多重同時アクセスから守るためのものである。 この関数は
       ロックの獲得を試み、 成功した場合は 0 を返す。 失敗した場合 (15 秒以内にロックが取得できなかった場合)  は
       -1  を返す。 ulckpwdf() 関数はロックを再び解放する。 shadow パスワードファイルへの直接アクセスから 保護す
       る手段がない点に注意すること。 lckpwdf() を使うプログラムだけがロックを通知できる。

       これらの関数はオリジナルの shadow API を構成していた関数であり、 いろいろなシステムで広く利用可能である。

   リエントラント版
       パスワードデータベースに対するリエントラント版と同じように、 glibc には shadow パスワードファイルに対して
       リエントラント版がある。  getspnam_r()  関数は getspnam()  と似ているが、取得した shadow パスワード構造体
       を spbuf が指す領域に格納する。 shadow パスワード構造体は文字列群へのポインターを含み、  これらの文字列群
       はサイズ  buflen のバッファー buf に格納される。 *spbufp には (成功した場合は) 結果へのポインターが格納さ
       れ、 (エントリーが見つからなかった場合またはエラーが起こった場合は)  NULL が格納される。

       関数 getspent_r(), fgetspent_r(), sgetspent_r()  はそれぞれリエントラントでないバージョンと同様の機能を持
       つ。

       glibc でないシステムにもこれらと同じ名前の関数があるが、 プロトタイプが異なることも多い。

   構造体
       shadow パスワード構造体は <shadow.h> で以下のように定義されている:

           struct spwd {
               char *sp_namp;     /* ログイン名 */
               char *sp_pwdp;     /* 暗号化されたパスワード */
               long  sp_lstchg;   /* 最終更新日
                                     (1970-01-01 00:00:00 +0000 (UTC)
                                      からの日数) */
               long  sp_min;      /* 変更が出来るようになるまでの最短日数 */
               long  sp_max;      /* 変更をしなくてもよい最長日数 */
               long  sp_warn;     /* パスワードが期限切れになる前に
                                     ユーザーに変更の警告を出す日数 */
               long  sp_inact;    /* パスワードが期限切れになってから
                                     アカウントが無効になるまでの日数 */
               long  sp_expire;   /* アカウントが無効になる日付
                                     (1970-01-01 00:00:00 +0000 (UTC)
                                      からの日数) */
               unsigned long sp_flag;  /* 予約フィールド */
           };

返り値

       ポインターを返す関数は、これ以上エントリーがない場合や  処理中にエラーが発生した場合 NULL を返す。 int を
       返り値として持つ関数は、 成功した場合 0 を返し、失敗した場合、 -1 を返し、 errno にエラーの原因を示す値を
       設定する。

       リエントラント版でない関数では、返り値が静的な領域を指しており、 引き続いてこれらの関数を呼び出した場合に
       上書きされる可能性がある。

       リエントラント版の関数は、成功した場合に 0 を返す。 エラーの場合は、エラー番号が返される。

エラー

       EACCES 呼び出し元が shadow パスワードファイルにアクセスする許可を持っていない。

       ERANGE 与えられたバッファーが小さすぎる。

ファイル

       /etc/shadow
              ローカルの shadow パスワードデータベースファイル

       /etc/.pwd.lock
              ロックファイル

       インクルードファイル <paths.h> は定数 _PATH_SHADOW を定義している。 これは shadow  パスワードファイルのパ
       ス名である。

準拠

       shadow  パスワードデータベースと関連 API は POSIX.1-2001 には記載されていない。しかしながら、多くの他のシ
       ステムでも 同様の API が提供されている。

関連項目

       getgrnam(3), getpwnam(3), getpwnam_r(3), shadow(5)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告
       に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。