Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20210215+dfsg-1_all bug

名前

       strtol, strtoll, strtoq - 文字列を long int に変換する

書式

       #include <stdlib.h>

       long int strtol(const char *nptr, char **endptr, int base);

       long long int strtoll(const char *nptr, char **endptr, int base);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       strtoll():
           XOPEN_SOURCE >= 600 || _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE || _ISOC99_SOURCE ||
           _POSIX_C_SOURCE >= 200112L;
           または cc -std=c99

説明

       strtol()  関数は、 nptr の文字列の最初の部分を、 base を基数として long  int  に変換する。
       この base は 2 から 36 までの値 あるいは特別な意味を持つ値 0 でなければならない。

       文字列の先頭には、任意の数の空白があってもよく  (空白は isspace(3) で判定される)、また数字
       の直前には '+' か '-' の 符号があってもよい。 base が 0 または 16 の場合には、文字列の先頭
       に  "0x" を置くことが でき、その場合には文字列は 16進数として扱われる。 これ以外の文字列で
       base が 0 の場合は、 文字列が '0' で始まるときは 8進数として、 それ以外のときは 10進数とし
       て扱われる。

       数字を表す文字列は  long int に変換されるが、基数に対して 有効でない数字が現れた時点で変換
       は終了する。(11進数以上では 'A' は 大文字・小文字に関わらず 10 を表し、 'B' は  11  を表現
       し、 以下同様に、 'Z' は 35 を表す。)

       endptr  がヌル値  (NULL) でない場合は、最初に現れた不正な文字が strtol()  によって *endptr
       に保存されている。 文字列に有効な数字がひとつもなければ、  strtol()   は  nptr  の元の値を
       *endptr  に代入する  (そして  0 を返す)。 特に、*nptr が '\0' 以外で、返された **endptr が
       '\0' ならば、文字列全体が有効だったことになる。

       strtoll()  関数は strtol()  と同様だが、long long int 型の値を返す。

返り値

       アンダーフローもオーバーフローも起きなかった場合、   strtol()    関数は   変換された値を返
       す。オーバーフローした場合には  LONG_MAX が返り、 アンダーフローした場合には LONG_MIN が返
       る。オーバーフロー、 アンダーフローのいずれの場合にも 大域変数 errno には ERANGE  が設定さ
       れる。  strtoll()  も同様であるが、 LONG_MINLONG_MAX の代わりに LLONG_MINLLONG_MAX
       が返される。

エラー

       EINVAL (C99 にはない) 指定された base がサポートされていない値である。

       ERANGE 結果の値が範囲外である。

       実装によっては、変換が行われなかった場合 (数字がなく、0 を返した場合)、 errnoEINVAL が
       設定される場合がある。

属性

   マルチスレッディング (pthreads(7) 参照)
       関数    strtol(),    strtoll(),    strtoq()   は、例外付きのスレッドセーフである。実行中に
       setlocale(3)  を呼び出してロケールを変更しない限り、マルチスレッドアプリケーションで安全に
       使用することができる。

準拠

       strtol()   は  SVr4, 4.3BSD, C89, C99 と POSIX.1-2001 に準拠している。 strtoll() は C99 と
       POSIX.1-2001 に準拠している。

注意

       strtol  ()  からは成功、失敗どちらの場合でも  0,  LONG_MAX,  LONG_MIN   (strtoll()    では
       LLONG_MAX,  LLONG_MIN)  が返る可能性があるので、 プログラムは関数を呼び出す前に errno を 0
       に設定し、呼び出し後に errno が 0 以外の値かどうかを確認しエラーが発生したかどうかを判断す
       る 必要がある。

       POSIX.1-2001  では、 "C" と "POSIX" 以外のロケールでは、これらの関数は、他の実装時に定義さ
       れる数字を示す文字列を受け付けるとされている。

       BSD には、

           quad_t strtoq(const char *nptr, char **endptr, int base);

       という完全に同様の定義を持つ関数がある。      使用中のアーキテクチャーのワード長次第である
       が、この関数は strtoll()  か strtol()  と等価となることもある。

       以下のプログラムは strtol()  の使用例である。 最初のコマンドライン引き数には strtol() が数
       字として解釈する文字列を指定する。 (省略可能な) 二番目の引き数には  変換に使用される基数を
       指定する (この引き数は atoi(3) を使って数値に変換される。 atoi(3)  は strtol()  よりも簡単
       なインターフェースを持つ関数で、 その中ではエラーチェックは行われない)。  このプログラムの
       実行例をいくつか以下に示す:

           $ ./a.out 123
           strtol() returned 123
           $ ./a.out '    123'
           strtol() returned 123
           $ ./a.out 123abc
           strtol() returned 123
           Further characters after number: abc
           $ ./a.out 123abc 55
           strtol: Invalid argument
           $ ./a.out ''
           No digits were found
           $ ./a.out 4000000000
           strtol: Numerical result out of range

   プログラムのソース

       #include <stdlib.h>
       #include <limits.h>
       #include <stdio.h>
       #include <errno.h>

       int
       main(int argc, char *argv[])
       {
           int base;
           char *endptr, *str;
           long val;

           if (argc < 2) {
               fprintf(stderr, "Usage: %s str [base]\n", argv[0]);
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           str = argv[1];
           base = (argc > 2) ? atoi(argv[2]) : 10;

           errno = 0;    /* To distinguish success/failure after call */
           val = strtol(str, &endptr, base);

           /* Check for various possible errors */

           if ((errno == ERANGE && (val == LONG_MAX || val == LONG_MIN))
                   || (errno != 0 && val == 0)) {
               perror("strtol");
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           if (endptr == str) {
               fprintf(stderr, "No digits were found\n");
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           /* If we got here, strtol() successfully parsed a number */

           printf("strtol() returned %ld\n", val);

           if (*endptr != '\0')        /* Not necessarily an error... */
               printf("Further characters after number: %s\n", endptr);

           exit(EXIT_SUCCESS);
       }

関連項目

       atof(3), atoi(3), atol(3), strtod(3), strtoul(3)

この文書について

       この  man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクト
       の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。