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名前

       regcomp, regexec, regerror, regfree - POSIX regex 関数

書式

       #include <regex.h>

       int regcomp(regex_t *preg, const char *regex, int cflags);

       int regexec(const regex_t *preg, const char *string, size_t nmatch,
                   regmatch_t pmatch[], int eflags);

       size_t regerror(int errcode, const regex_t *preg, char *errbuf,
                       size_t errbuf_size);

       void regfree(regex_t *preg);

説明

   POSIX regex コンパイル
       regcomp()  は、正規表現をコンパイルして、 regexec()  での検索処理に適合する形態にする。

       regcomp()   はパターンを記憶するバッファーへのポインター preg、 ヌル文字で終端された文字列
       regex、 そしてコンパイルの形式を決めるためのフラグ cflag を引数に伴う。

       全ての正規表現検索は、コンパイルされたパターンによって行わなければならない。      よって、
       regexec()  に指定するのは、必ず (regcomp()  によってコンパイルされた) パターンバッファーへ
       のアドレスでなければならない。

       cflags には、以下に示す定数のうち 0 個以上をビットごとの OR (bitwise-or) で指定する。

       REG_EXTENDED
              regexPOSIX 拡張正規表現を使用する。もしこのフラグが設定されない場合、 POSIX  標
              準正規表現が使われる。

       REG_ICASE
              大文字小文字の違いを無視する。このフラグを指定してコンパイルされた     パターンバッ
              ファーを用いて regexec() 関数を呼び出すと、大文字小文字の区別を付けずに検索が行われ
              る。

       REG_NOSUB
              マッチの場所を報告しない。渡されたパターンバッファーがこのフラグを設定してコンパイ
              ルされていた場合、 regexec() の引数 nmatch, pmatch が無視される。

       REG_NEWLINE
              全ての文字にマッチするオペレータに改行をマッチさせない。

              改行を含まない非マッチング文字リスト ([^...])  に改行をマッチさせない。

              regexec()  の実行時に指定するフラグ eflagsREG_NOTBOL  を含むかどうかにかかわら
              ず、行頭にマッチするオペレータ (^)  を改行直後の空文字列にマッチさせる。

              eflagsREG_NOTEOL を含むかどうかにかかわらず、行末にマッチするオペレータ ($) を
              改行直前の空文字列にマッチさせる。

   POSIX regex マッチング
       regexec()  は、 プリコンパイルされたパターンバッファー preg をヌル文字で終端された文字列に
       マッチさせる。  nmatchpmatch はマッチングの位置に関する情報を取得するのに用いられる。
       eflags には、以下のフラグのうち 0 個以上をビットごとの OR (bitwise-or) で指定する。

       REG_NOTBOL
              行頭にマッチするオペレータは、必ずマッチに失敗する            (コンパイル時のフラグ
              REG_NEWLINE  の項目も参照)。 このフラグは、複数行にまたがる文字列を regexec()  で検
              索する際に、文字列の先頭を行の先頭として解釈させない場合に用いる。

       REG_NOTEOL
              行末にマッチするオペレータは、必ずマッチに失敗する            (コンパイル時のフラグ
              REG_NEWLINE の項目も参照)。

       REG_STARTEND
              Use  pmatch[0]  on  the  input  string, starting at byte pmatch[0].rm_so and ending
              before byte pmatch[0].rm_eo.  This allows matching embedded NUL bytes and avoids  a
              strlen(3)   on large strings.  It does not use nmatch on input, and does not change
              REG_NOTBOL or REG_NEWLINE processing.  This flag is a BSD extension, not present in
              POSIX.

   バイトオフセット
       パターンバッファーのコンパイル時に  REG_NOSUB が設定されない場合は、マッチング位置情報を得
       ることができる。 pmatch は、少なくとも nmatch の大きさを持つように指定しなければならない。
       regexec()  の実行によって、それらに部分文字列マッチング位置情報が代入される。 i 番目の括弧
       で始まる部分正規表現のオフセットは pmatch[i]  に格納される。正規表現全体のマッチアドレスは
       pmatch[0] に格納される。 (N 個の部分正規表現のマッチのオフセットを返すためには、 nmatch は
       最低限 N+1 でなければならない点に注意すること。) 未使用の構造体要素には -1  が値として代入
       される。

       pmatch の型である regmatch_t 構造体は、 <regex.h> 内で定義される。

           typedef struct {
               regoff_t rm_so;
               regoff_t rm_eo;
           } regmatch_t;

       構造体要素 rm_so の値が -1 でない場合、それは文字列内での次の最大のマッチング部分の開始 オ
       フセット位置を示す。それに対し、構造体要素 rm_eo  はマッチング部分の終了オフセット位置を示
       し、 マッチング部分の直後の文字のオフセット位置が使用される。

   POSIX エラーレポート
       regerror()   は、  regcomp()   と regexec() の実行によって得られるエラーコードから、エラー
       メッセージ文字列を 得るのに用いられる。

       regerror()  はエラーコード errcode、 パターンバッファー preg、  文字列バッファーへのポイン
       ター errbuf、 文字列バッファーのサイズ errbuf_size を引数にとる。 この関数は、ヌル文字で終
       端されたエラーメッセージ文字列を格納するのに必要な errbuf のサイズを返す。もし  errbuferrbuf_size の両方が非 0 値であれば、 errbuf には最初の errbuf_size - 1 文字分にエラーメッ
       セージと終端のヌルバイト ('\0')  が収まるように代入される。

   POSIX パターンバッファー解放
       引数にコンパイルされたパターンバッファー preg を与えて regfree()  を呼び出すと、 regcomp()
       によるコンパイル時にパターンバッファーに割り当てられたメモリーが解放される。

返り値

       regcomp()  は、コンパイルの成功時には 0 を返し、失敗時にはエラーコードを返す。

       regexec()  は、マッチングの成功時には 0 を返し、失敗時には REG_NOMATCH を返す。

エラー

       regcomp()  は以下のエラーを返す。

       REG_BADBR
              無効な後方参照オペレータの使用。

       REG_BADPAT
              グループやリストなどの、パターンオペレータの無効な使用。

       REG_BADRPT
              '*' が最初の文字としてくるような、無効な繰り返しオペレータの使用。

       REG_EBRACE
              インターバルオペレータ {} (brace interval operators) が閉じていない。

       REG_EBRACK
              リストオペレータ [] (bracket list operators) が閉じていない。

       REG_ECOLLATE
              照合順序の要素  (collating element) として有効ではない。 (訳注) 詳細は regex(7)  を
              参照。

       REG_ECTYPE
              未知のキャラクタークラス名。

       REG_EEND
              未定義エラー。これは POSIX.2 には定義されていない。

       REG_EESCAPE
              正規表現がバックスラッシュで終っている。

       REG_EPAREN
              グループオペレータ () (parenthesis group operators) が閉じていない。

       REG_ERANGE
              無効な範囲オペレータの使用。 例えば、範囲の終了位置が開始位置よりも前にあるような場
              合。

       REG_ESIZE
              正規表現のコンパイルに、64 Kb  以上のパターンバッファーが必要。 これは POSIX.2 には
              定義されていない。

       REG_ESPACE
              regex ルーチンがメモリーを使いはたしている。

       REG_ESUBREG
              サブエクスプレッション \(...\)  (subexpression) への無効な後方参照。

属性

       この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

       ┌─────────────────────┬───────────────┬────────────────┐
       │インターフェース属性             │
       ├─────────────────────┼───────────────┼────────────────┤
       │regcomp(), regexec() │ Thread safety │ MT-Safe locale │
       ├─────────────────────┼───────────────┼────────────────┤
       │regerror()           │ Thread safety │ MT-Safe env    │
       ├─────────────────────┼───────────────┼────────────────┤
       │regfree()            │ Thread safety │ MT-Safe        │
       └─────────────────────┴───────────────┴────────────────┘

準拠

       POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.

       #include <stdint.h>
       #include <stdio.h>
       #include <stdlib.h>
       #include <regex.h>

       #define ARRAY_SIZE(arr) (sizeof((arr)) / sizeof((arr)[0]))

       static const char *const str =
               "1) John Driverhacker;\n2) John Doe;\n3) John Foo;\n";
       static const char *const re = "John.*o";

       int main(void)
       {
           static const char *s = str;
           regex_t     regex;
           regmatch_t  pmatch[1];
           regoff_t    off, len;

           if (regcomp(&regex, re, REG_NEWLINE))
               exit(EXIT_FAILURE);

           printf("String = \"%s\"\n", str);
           printf("Matches:\n");

           for (int i = 0; ; i++) {
               if (regexec(&regex, s, ARRAY_SIZE(pmatch), pmatch, 0))
                   break;

               off = pmatch[0].rm_so + (s - str);
               len = pmatch[0].rm_eo - pmatch[0].rm_so;
               printf("#%d:\n", i);
               printf("offset = %jd; length = %jd\n", (intmax_t) off,
                       (intmax_t) len);
               printf("substring = \"%.*s\"\n", len, s + pmatch[0].rm_so);

               s += pmatch[0].rm_eo;
           }

           exit(EXIT_SUCCESS);
       }

関連項目

       grep(1), regex(7)

       glibc マニュアルのセクション Regular Expressions

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。