Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all
名前
ypbind - NIS バインドプロセス
書式
ypbind [ -c ] [ -d|-debug ] [ -broadcast ] [ -broken-server ] [ -ypset ] [ -ypsetme ] [ -no-ping ] [ -f configfile ] ypbind --version
説明
ypbind は NIS ドメインのサーバを探して接続し、その NIS バインド情報を 保持する。クライアン ト (通常は標準 C ライブラリの NIS ルーチン) は ypbind への RPC を用いて、あるいはバインド ファイルを読むことによって この情報を入手することができる。バインドファイルは /var/yp/binding に置かれており、慣習にしたがって [domainname].[version] のような名前が付け られている。 サポートされているバージョンは 1 と 2 である。 このようなファイルが複数存在す ることもあり得る。なぜなら NIS クライアントは複数のドメインにバインドすることもできるから である。 バインドが確立すると、 ypbind は YPPROC_DOMAIN リクエストを 20 秒間隔で現在の NIS サーバに 送信する。 返信が返ってこなかったり、NIS サーバから「当該ドメインの情報はもう 保持していな い」旨の返信が来た場合には、 ypbind は新しい NIS サーバを探す。 ypbind は 15 分ごとに、 現 在の NIS サーバがもっとも高速であるかどうかのチェックを行う。 もしより高速なサーバがあれ ば、そちらに接続を切り替える。 新しいサーバを探すときには、 ypbind にネットワークブロード キャストを用いるようにさせることも できるし (これは安全でない)、または安全なことがわかって いる サーバのリストを与え、その中から探すようにさせることもできる。 後者の場合は、 ypbind はすべてのサーバに ping を送り、最初に答えたサーバにバインドする。 -debug オプションが指定されなかった場合は、 ypbind は自分自身を制御端末から分離してバック グラウンドへ置く。 ypbind はエラーや警告メッセージの記録に syslog(3) を用いる。 起動時や SIGHUP シグナルを受け取ると、 ypbind は /etc/yp.conf ファイルをパースして、そのエントリを 用いて最初のバインドを 行おうとする。有効なエントリは以下のようなものである。 domain nisdomain server hostname ドメイン nisdomain の情報をサーバー hostname から取得する。 この指定は、一つのドメ インに対して複数回行ってかまわない。 domain nisdomain broadcast ドメイン nisdomain に対してはローカルネットにブロードキャストを行う。 ypserver hostname ローカルドメインの情報をサーバー server から取得する。 設定ファイルに broadcast エントリがあった場合は、 ypserver/hostname エントリは上書きされ る。 boradcast エントリがなかった場合は、その他の エントリで与えられたサーバ全てがダウンし ている場合でも、 ypbind はブロードキャストは用いない。 ypbind が /etc/yp.conf で与えられた ホスト名の解決をする際には、まず /etc/hosts を試し、次に DNS を用いようとする。 ypbind は 検索順序の再設定ができない場合には、 DNS だけを用いる。 DNS が使えない場合には、 /etc/hosts に IP アドレスの書かれているホストしか指定できない。 ypbind で検索順序の再設定 をするためには glibc 2.x が必要である。 -boradcast オプションが指定された場合には、 ypbind は設定ファイルを無視する。 設定ファイルが存在しなかったり、有効なエントリがひとつもなかっ た 場合には、 ypbind は終了する。 この ypbind は pthreads を用いた特殊なバージョンである。この ypbind は 2 つのスレッドを新 たに生成する。マスタープロセスは バインド情報を尋ねてくる RPC リクエストにサービスする。 最初のスレッドはバインドを初期化して、それを定期的にチェックする。 障害が起こった場合には バインドは無効となり、このプロセスは 有効なサーバを再び見つけようとする。二つめのスレッド は すべてのシグナルを処理する。
オプション
-broadcast 適切な NIS サーバにバインドするために必要な情報を収集するため、 ブロードキャストを 送る。このオプションを指定すると /etc/yp.conf は無視される。 -ypset 任意のリモートマシンから、 ypset(8) を用いてドメインに対するバインドを変更する許可 を root に与える。デフォルトではバインドを変更することは誰にもできない。 このオプ ションは非常に危険である。ドメインに対するバインドを 変更すると、認識していたそのド メインのサーバを全て忘れてしまう。 もしその新しいサーバがダウンした場合には、 ypbind は古い検索リストを用いることになる。 -ypsetme -ypset と同じだが、ローカルマシンの root だけがバインドを変更できる。そのような要求 は loopback からのみ許される。 -c 設定ファイルに文法エラーがないかどうかをチェックして、 そのまま単に終了する。 -debug ypbind をデバッグモードで起動する。 ypbind は自身をバックグラウンドに送らず、エラー メッセージと デバッグ出力を標準エラー出力に書き出す。 -broken-server 正しくないポート番号で動作しているサーバからの返事を受け取る。 これは通常用いるべき でないが、 ypserv(8) のバージョンによっては必要とされることもある。 -no-ping バインドが持続しているかをチェックしない。 このオプションはダイアルアップ接続の場合 に便利である。 ypbind のみによる不必要な接続を切ったり、オートダイアルをしないよう にできる。 -f configfile /etc/yp.conf の代わりに configfile を用いる。 --version バージョン番号を表示する。
注意
複数ドメインへのバインドもテストされており、動作する。 単一ドメインにおける複数サーバへの 負荷分散はサポートされていない。 ypbind は常にドメインをサーバへバインドしようとする。 リ ストに有効なサーバがない場合や、ブロードキャストに対する 反応がない場合には、ドメインへの バインドは解除される。
ファイル
/etc/yp.conf 設定ファイル。 /var/yp/binding/[domainname].[version] 各々の NIS ドメインに関する情報を含むバインドファイル。 /var/run/ypbind.pid 現在動作している ypbind マスタープロセスのプロセス id が書かれているファイル。
関連項目
syslog(3), domainname(1), ypdomainname(8), ypwhich(1), ypserv(8), ypset(8)
作者
ypbind-mt は Thorsten Kukuk <kukuk@suse.de> によって書かれた。