Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all bug

名前

       basename, dirname - パス名を解析して各部分を取り出す

書式

       #include <libgen.h>

       char *dirname(char *path);

       char *basename(char *path);

説明

       警告: basename()  には異なるバージョンが 2つ存在する。下記の「注意」の節を参照のこと。

       dirname()   と basename()  は、ヌルで終端されたパス名の文字列を、 ディレクトリ部分・ファイ
       ル名部分に分割する。 通常は、 dirname()  は最後の '/' までの部分 (最後の  '/'  は含まない)
       を返し、 basename()  は最後の '/' 以降の部分を返す。 文字列の末尾についた '/' 文字は、パス
       名の一部とはみなされない。

       path に '/' 文字がない場合は、 dirname()  は文字列 "." を返し、 basename()  は path と同じ
       内容を返す。  path が文字列 "/" に等しい場合は、 dirname()  も basename()  も文字列 "/" を
       返す。  path  が  ヌルポインターだったり、空の文字列を指していた場合は、   dirname()    も
       basename() も文字列 "." を返す。

       dirname()   の返した文字列、 "/"、 basename()  の返した文字列、 を順に結合すると、完全なパ
       ス名が得られる。

       dirname()  と basename()  は、いずれも path の内容を変更することがある。  したがって、これ
       らの関数を呼び出す際には コピーを渡すのが望ましい。

       これらの関数は、静的に割り当てられたメモリーへのポインターを返すことがあり、  これらの領域
       は後の関数呼び出しで上書きされるかもしれない。 また、これらの関数は path  の一部分を指すポ
       インターを返すこともある。そのため、 path で参照される文字列は、関数が返すポインターが不要
       になるまでは 変更したり free したりすべきではない。

       以下の一連の例 (SUSv2 から引用) は、 いろいろな path に対して dirname()  と basename()  が
       返す文字列を表したものである。

              path       dirname   basename
              /usr/lib   /usr      lib
              /usr/      /         usr
              usr        .         usr
              /          /         /
              .          .         .
              ..         .         ..

返り値

       dirname()  と basename()  は、いずれもヌルで終端された文字列へのポインターを返す。 (これら
       のポインターを free(3)  に渡さないこと。)

属性

       この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

       ┌──────────────────────┬───────────────┬─────────┐
       │インターフェース属性      │
       ├──────────────────────┼───────────────┼─────────┤
       │basename(), dirname() │ Thread safety │ MT-Safe │
       └──────────────────────┴───────────────┴─────────┘

準拠

       POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.

注意

       basename()  には 2種類の異なるバージョンがある。 一つはすでに説明した POSIX バージョンであ
       り、 もう一つは GNU バージョンである。 GNU バージョンを使用するには以下のようにする。

               #define _GNU_SOURCE         /* feature_test_macros(7) 参照 */
           #include <string.h>

       GNU  バージョンは引数を変更することはなく、 path の末尾が '/'の場合は空の文字列を返す。 特
       に path が "/" の場合も空文字列を返す。 dirname()  には GNU バージョンはない。

       glibc では、 <libgen.h> をインクルードすると POSIX バージョンの basename()  が使用され、そ
       れ以外の場合は GNU バージョンとなる。

バグ

       glibc の実装では、これらの関数の POSIX バージョンは path 引数が変更され、 "/usr/" などの静
       的文字列を指定されるとセグメンテーションフォールトを起こす。

       バージョン 2.2.1 以前の glibc では、 glibc の dirname()  は末尾が '/' 文字になっているパス
       名を正しく扱えず、 引数が NULL だとセグメンテーションフォールトを起こした。

       The following code snippet demonstrates the use of basename()  and dirname():
           char *dirc, *basec, *bname, *dname;
           char *path = "/etc/passwd";

           dirc = strdup(path);
           basec = strdup(path);
           dname = dirname(dirc);
           bname = basename(basec);
           printf("dirname=%s, basename=%s\n", dname, bname);

関連項目

       basename(1), dirname(1)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。