Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all bug

名前

       pthread_attr_setguardsize,  pthread_attr_getguardsize  -  スレッド属性オブジェクトの guard
       size 属性の設定/取得を行う

書式

       #include <pthread.h>

       int pthread_attr_setguardsize(pthread_attr_t *attr, size_t guardsize);
       int pthread_attr_getguardsize(const pthread_attr_t *attr,
                                     size_t *guardsize);

       -pthread でコンパイルしてリンクする。

説明

       pthread_attr_setguardsize() 関数は、 attr が参照するスレッド属性オブジェクトの guard  size
       属性を guardsize で指定された値に設定する。

       guardsize が 0 より大きい場合、 attr を使って新しく作成された各スレッドに対して、 システム
       はスレッドのスタックの末尾に少なくとも guardsize バイトの 追加領域を割り当てる。この追加領
       域はスタックに対するガード領域として 機能する (ただし「バグ」の節も参照)。

       guardsize が 0 の場合、 attr を使って新しく作成されたスレッドはガード領域を持たない。

       デフォルトの guard size はシステムのページサイズと同じである。

       (pthread_attr_setstack(3) や pthread_attr_setstackaddr(3)を使って) attr でスタックアドレス
       属性が設定されている場合には、呼び出し側がそ  のスレッドのスタックを割り当てていることを意
       味するので、guard size 属性 は無視される (すなわち、システムによるガード領域の作成は行われ
       ない)。 この場合、スタックオーバーフローが起こらないように対処するのはアプリ  ケーション側
       の責任となる (おそらく mprotect(2) を使って、割り当て られたスタックの最後に手動でガード領
       域を定義することになるだろう)。

       pthread_attr_getguardsize()  は、  スレッド属性オブジェクト  attr  の  guard  size  属性を
       guardsize が指すバッファーに入れて返す。

返り値

       成功すると、これらの関数は 0 を返す。 エラーの場合、0 以外のエラー番号を返す。

エラー

       POSIX.1 では、エラー EINVALattrguardsize が無効な場合に対して規定されている。 Linux では、これらの関数は常に成功
       する (ただし、移植性や将来も動作することを保証したいアプリケーションでは  正のエラーの返り
       値を処理するようにすべきである)。

バージョン

       これらの関数は glibc バージョン 2.1 以降で提供されている。

属性

       この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

       ┌─────────────────────────────┬───────────────┬─────────┐
       │インターフェース属性      │
       ├─────────────────────────────┼───────────────┼─────────┤
       │pthread_attr_setguardsize(), │ Thread safety │ MT-Safe │
       │pthread_attr_getguardsize()  │               │         │
       └─────────────────────────────┴───────────────┴─────────┘

準拠

       POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.

注意

       ガード領域は、読み出し/書き込みアクセスが行われないように保護がかけ られた仮想メモリーペー
       ジで構成で構成される。スレッドがスタックをガード  領域までオーバーフローさせた場合、ほとん
       どのハードウェアアーキテクチャー では、スレッドに SIGSEGV シグナルが送られ、オーバーフロー
       が発生した  ことが通知される。ガード領域はページ境界から開始され、ガード領域の  大きさはス
       レッド作成時に内部的にシステムのページサイズに切り上げられる                   (その場合も
       pthread_attr_getguardsize()  では pthread_attr_setguardsize() で設定された guard size が返
       される)。

       多くのスレッドを作成するアプリケーションで、かつ、スタックオーバーフロー  が決して発生しな
       いことが分かっている場合には、guard  size を 0 に設定 することで、メモリーを節約できること
       もある。

       スレッドがスタックに大きなデータ構造を割り当てる場合には、  スタックオーバーフローを検出す
       るためには、デフォルトサイズよりも 大きな guard size を選ぶ必要があるかもしれない。

バグ

       glibc  2.8 の時点では、 NPTL スレッド実装ではガード領域はスタックサイズ で割り当てられる領
       域の中に含まれている。一方、POSIX.1 では、スタックの  末尾に追加の領域を割り当てることが求
       められている。  (このため、ガード領域が大きすぎて、 実際のスタック用の場所がなくなってしま
       う場合、 pthread_create(3) で EINVAL エラーが発生することになる。)

       廃止予定の LinuxThreads 実装では、 POSIX.1  で求められている通りの動作で、  ガード領域がス
       タックの末尾に追加の領域が割り当てられる。

       pthread_getattr_np(3) を参照。

関連項目

       mmap(2),        mprotect(2),        pthread_attr_init(3),        pthread_attr_setstack(3),
       pthread_attr_setstacksize(3), pthread_create(3), pthreads(7)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。