Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all bug

名前

       wcrtomb - ワイド文字 1 つをマルチバイト列に変換する

書式

       #include <wchar.h>

       size_t wcrtomb(char *s, wchar_t wc, mbstate_t *ps);

説明

       この関数が主に使われるのは、s  が NULL でなく、 wc がヌルワイド文字 (L'\0') でない場合であ
       る。 この場合には、 wcrtomb()  関数はワイド文字 wc をマルチバイト表  現に変換し、s  が指す
       char  型の配列にこれを格納する。この関数は シフト状態 *ps を更新し、出力されたマルチバイト
       表現の長さ、すな わち s に書き込まれたバイト数を返す。

       別のケースとしては、s は NULL でないが wc がヌルワイド文字 (L'\0') のことがある。 この場合
       の wcrtomb()  関数は、*ps を初期状態に戻すのに必 要なシフトシーケンスを s が指す char 型配
       列に格納し、その後に '\0' を格納する。この関数はシフト状態 *ps を更新し(つまり初期状態に戻
       し)、シフトシーケンスの長さに  1  を加えた値を返す。この値は s に 書き込まれたバイト数であ
       る。

       三番目のケースは、s が NULL の時である。 この場合には wc  は無視され、関数の実際の動きとし
       ては

           wcrtomb(buf, L'\0', ps)

       が返される。ここで、 buf は内部的な無名バッファーである。

       以上のいずれの場合も、ps  が NULL ならばシフト状態は用い られず、 wcrtomb() 関数だけが知っ
       ている静的な匿名の状態が使われる。

返り値

       wcrtomb()  関数は、s が指すバイト列に書き込まれたバイト数、あ るいは書き込まれたであろうバ
       イト数を返す。wc を(現在のロケールに 従って)マルチバイト列で表現できなければ、 (size_t) -1
       が返され、 errnoEILSEQ が設定される。

属性

       この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

       ┌─────────────────┬───────────────┬────────────────────────────┐
       │インターフェース属性                         │
       ├─────────────────┼───────────────┼────────────────────────────┤
       │wcrtomb()        │ Thread safety │ MT-Unsafe race:wcrtomb/!ps │
       └─────────────────┴───────────────┴────────────────────────────┘

準拠

       POSIX.1-2001, POSIX.1-2008, C99.

注意

       wcrtomb()  の動作は、現在のロケールの LC_CTYPE カテゴリーに依存する。

       ps に NULL を渡した際の動作はマルチスレッドセーフでない。

関連項目

       mbsinit(3), wcsrtombs(3)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。