Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all bug

名前

       open, openat, creat - ファイルのオープン、作成を行う

書式

       #include <sys/types.h>
       #include <sys/stat.h>
       #include <fcntl.h>

       int open(const char *pathname, int flags);
       int open(const char *pathname, int flags, mode_t mode);

       int creat(const char *pathname, mode_t mode);

       int openat(int dirfd, const char *pathname, int flags);
       int openat(int dirfd, const char *pathname, int flags, mode_t mode);

       /* Documented separately, in openat2(2): */
       int openat2(int dirfd, const char *pathname,
                   const struct open_how *how, size_t size);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       openat():
           glibc 2.10 以降:
               _POSIX_C_SOURCE >= 200809L
           glibc 2.10 より前:
               _ATFILE_SOURCE

説明

       The  open()   system call opens the file specified by pathname.  If the specified file does not exist, it
       may optionally (if O_CREAT is specified in flags)  be created by open().

       The return value of open()  is a file descriptor, a small, nonnegative integer that is used in subsequent
       system  calls  (read(2),  write(2),  lseek(2),  fcntl(2),  etc.)  to  refer  to  the open file.  The file
       descriptor returned by a successful call will be the lowest-numbered file descriptor not  currently  open
       for the process.

       デフォルトでは、新しいファイルディスクリプターは  execve(2) を実行した後も オープンされたままとなる (つま
       り、 fcntl(2) に説明がある FD_CLOEXEC ファイルディスクリプターフラグは最初は無効である); 後述の O_CLOEXEC
       フラグ を使うとこのデフォルトを変更することができる。 ファイルオフセット (file offset) はファイルの先頭に
       設定される (lseek(2) 参照)。

       open()  を呼び出すと、「オープンファイル記述」 (open file description) が作成される。ファイル記述とは、シ
       ステム全体のオープン中のファイルのテーブルのエントリーである。   このオープンファイル記述は、ファイルオフ
       セットとファイル状態フラグ (下記参照) が保持する。 ファイルディスクリプターはオープンファイルっ記述への参
       照である。  この後で pathname が削除されたり、他のファイルを参照するように変更されたりしても、 この参照は
       影響を受けない。 オープンファイル記述の詳細な説明は「注意」の節を参照。

       引数 flags には、アクセスモード O_RDONLY, O_WRONLY, O_RDWR のどれかひとつが入っていなければならない。  こ
       れらはそれぞれ読み込み専用、書き込み専用、読み書き用に ファイルをオープンすることを要求するものである。

       In  addition,  zero  or more file creation flags and file status flags can be bitwise-or'd in flags.  The
       file creation flags are O_CLOEXEC, O_CREAT, O_DIRECTORY, O_EXCL,  O_NOCTTY,  O_NOFOLLOW,  O_TMPFILE,  and
       O_TRUNC.   The  file  status  flags are all of the remaining flags listed below.  The distinction between
       these two groups of flags is that the file creation flags affect the  semantics  of  the  open  operation
       itself,  while  the file status flags affect the semantics of subsequent I/O operations.  The file status
       flags can be retrieved and (in some cases)  modified; see fcntl(2)  for details.

       すべてのファイル作成フラグとファイル状態フラグを以下のリストに示す。

       O_APPEND
              The file is opened in append mode.  Before each write(2), the file offset is positioned at the end
              of the file, as if with lseek(2).  The modification of the file offset and the write operation are
              performed as a single atomic step.

              O_APPEND may lead to corrupted files on NFS filesystems if more than one process appends data to a
              file  at once.  This is because NFS does not support appending to a file, so the client kernel has
              to simulate it, which can't be done without a race condition.

       O_ASYNC
              シグナル駆動 I/O (signal-driven I/O) を有効にする: このファイルディスクリプターへの 入力または出力
              が可能になった場合に、シグナルを生成する  (デフォルトは SIGIO であるが、 fcntl(2) によって変更可能
              である)。 この機能が使用可能なのは端末、疑似端末、ソケットのみであり、 (Linux 2.6 以降では) パイプ
              と  FIFO  に対しても使用できる。  さらに詳しい説明は fcntl(2)  を参照すること。 下記の「バグ」も参
              照。

       O_CLOEXEC (Linux 2.6.23 以降)
              新しいファイルディスクリプターに対して close-on-exec フラグを有効にする。 このフラグを指定すること
              で、  プログラムは FD_CLOEXEC フラグをセットするために fcntl(2) F_SETFD 操作を別途呼び出す必要がな
              くなる。

              ある種のマルチスレッドのプログラムはこのフラグの使用は不可欠である点に注意すること。  なぜなら、個
              別に FD_CLOEXEC フラグを設定する fcntl(2) F_SETFD 操作を呼び出したとしても、あるスレッドがファイル
              ディスクリプターを オープンするのと同時に別のスレッドが fork(2) と execve(2)  を実行するという競合
              条件を避けるのには十分ではないからである。  実行の順序に依存して、この競合条件の結果、 open() が返
              したファイルディスクリプターが fork(2)  で作成された子プロセスにより実行されるプログラムに意図せず
              見えてしまう可能性がある。 (この種の競合は、 本質的に、 close-on-exec フラグをセットすべきファイル
              ディスクリプターを作成するどのシステムコールでも起こり得るものであり、 他のいろいろな Linux システ
              ムコールでこの問題に対処するために O_CLOEXEC と同等の機能が提供されている。)

       O_CREAT
              If pathname does not exist, create it as a regular file.

              The owner (user ID) of the new file is set to the effective user ID of the process.

              The  group  ownership  (group  ID)  of the new file is set either to the effective group ID of the
              process (System V semantics)  or to the group ID of the  parent  directory  (BSD  semantics).   On
              Linux,  the  behavior depends on whether the set-group-ID mode bit is set on the parent directory:
              if that bit is set, then BSD semantics apply; otherwise,  System  V  semantics  apply.   For  some
              filesystems,  the behavior also depends on the bsdgroups and sysvgroups mount options described in
              mount(8).

              The mode argument specifies the file mode bits to be applied when  a  new  file  is  created.   If
              neither  O_CREAT  nor  O_TMPFILE  is  specified  in  flags,  then mode is ignored (and can thus be
              specified as 0, or simply omitted).  The mode argument must be supplied if O_CREAT or O_TMPFILE is
              specified  in flags; if it is not supplied, some arbitrary bytes from the stack will be applied as
              the file mode.

              The effective mode is modified by the process's umask in the  usual  way:  in  the  absence  of  a
              default ACL, the mode of the created file is (mode & ~umask).

              Note  that  mode  applies only to future accesses of the newly created file; the open()  call that
              creates a read-only file may well return a read/write file descriptor.

              mode のために以下のシンボル定数が提供されている :

              S_IRWXU  00700 ユーザー (ファイルの所有者) に読み込み、書き込み、 実行の許可がある。

              S_IRUSR  00400 ユーザーに読み込みの許可がある。

              S_IWUSR  00200 ユーザーに書き込みの許可がある。

              S_IXUSR  00100 ユーザーに実行の許可がある。

              S_IRWXG  00070 グループに読み込み、書き込み、実行の許可がある。

              S_IRGRP  00040 グループに読み込みの許可がある。

              S_IWGRP  00020 グループに書き込みの許可がある。

              S_IXGRP  00010 グループに実行の許可がある。

              S_IRWXO  00007 他人 (others) に読み込み、書き込み、実行の許可がある。

              S_IROTH  00004 他人に読み込みの許可がある。

              S_IWOTH  00002 他人に書き込みの許可がある。

              S_IXOTH  00001 他人に実行の許可がある。

              According to POSIX, the effect when other bits are set in mode  is  unspecified.   On  Linux,  the
              following bits are also honored in mode:

              S_ISUID  0004000 set-user-ID bit

              S_ISGID  0002000 set-group-ID bit (see inode(7)).

              S_ISVTX  0001000 sticky bit (see inode(7)).

       O_DIRECT (Linux 2.4.10 以降)
              このファイルに対する  I/O のキャッシュの効果を最小化しようとする。このフラグを使うと、一般的に性能
              が低下する。 しかしアプリケーションが独自にキャッシングを行っているような 特別な場合には役に立つ。
              ファイルの  I/O はユーザー空間バッファーに対して直接行われる。 O_DIRECT フラグ自身はデータを同期で
              転送しようとはするが、  O_SYNC  フラグのようにデータと必要なメタデータの転送が保証されるわけではな
              い。同期  I/O  を保証するためには、  O_DIRECT に加えて O_SYNC を使用しなければならない。下記の「注
              意」の節の議論も参照。

              ブロックデバイスに対する似通った意味のインターフェースが raw(8)  で説明されている  (但し、このイン
              ターフェースは非推奨である)。

       O_DIRECTORY
              pathname  がディレクトリでなければオープンは失敗する。 このフラグは、 opendir(3)  が FIFO やテープ
              デバイスに対してコールされた場合の サービス不能  (denial-of-service)  攻撃を避けるために  カーネル
              2.1.126 で追加された。

       O_DSYNC
              ファイルに対する書き込み操作は、同期 I/O のデータ完全性完了の要件に基づいて行われる。

              write(2)  (や同様のコール) が返るまでに、 書き込まれたデータおよびデータを取得するのに必要なファイ
              ルメタデータが裏で利用されているハードウェアに転送される (つまり、write(2) の後に fdatasync(2)  を
              呼び出したのと同じようになる)。 下記の「注意」も参照のことO_EXCL この呼び出しでファイルが作成されることを保証する。このフラグが O_CREAT と一緒に指定され、 pathname
              のファイルが既に存在した場合、 open() は EEXIST エラーで失敗する。

              これら二つのフラグが指定された際、シンボリックリンクは辿られない。 pathname がシンボリックリンクの
              場合、 シンボリックリンクがどこを指しているかに関わらず open()  は失敗する。

              一般的には、 O_CREAT を指定せずに O_EXCL を使用した場合の O_EXCL の動作は規定されていない。 これに
              は一つ例外があり、Linux 2.6 以降では、 pathname がブロックデバイスを参照している場合、 O_CREAT  な
              しで O_EXCL を使用することができる。 システムがそのブロックデバイスを使用中の場合 (例えば、 マウン
              トされているなど)、 open() はエラー EBUSY で失敗する。

              NFS では、 O_EXCL は、Linux 2.6 以降で NFSv3 以降を使っている場合でのみサポートされる。 O_EXCL  サ
              ポートが提供されていない NFS 環境では、このフラグに頼って ロック処理を実行するプログラムは競合状態
              (race condition) に出会う 可能性がある。 ロックファイルを使用して不可分 (atomic)  なファイルロック
              を実現し、 NFS が O_EXCL をサポートしているかに依存しないようにしたい場合、 移植性のある方法は、同
              じファイルシステム上に他と名前の重ならない ファイル (例えばホスト名と PID を組み合わせた名前) を作
              成し、  link(2)  を使用してそのロックファイルへのリンクを作成することである。 link(2) コールの返り
              値が 0 ならばロックに成功している。  あるいは、そのファイルに  stat(2)   を使用してリンク数  (link
              count)  が 2 になっているかをチェックする。 そうなっていれば、同じくロックに成功しているということ
              である。

       O_LARGEFILE
              (LFS) off_t ではサイズを表せない (だだし  off64_t  ではサイズを表せる)ファ  イルをオープン可能にす
              る。この定義を有効にするためには、(どのヘッダーファイ              ルをインクルードするよりも前に)
              _LARGEFILE64_SOURCE マクロを定義しなければ ならない。 32  ビットシステムにおいて大きなファイルにア
              クセスしたい場合、  (O_LARGEFILE を使うよりも) _FILE_OFFSET_BITS 機能検査マクロを 64 に セットする
              方が望ましい方法である (feature_test_macros(7) を参照)。

       O_NOATIME (Linux 2.6.8 以降)
              Do not update the file last access time (st_atime in the inode)  when the file is read(2).

              This flag can be employed only if one of the following conditions is true:

              *  The effective UID of the process matches the owner UID of the file.

              *  The calling process has the CAP_FOWNER capability in its user namespace and the  owner  UID  of
                 the file has a mapping in the namespace.

              このフラグはインデックス作成やバックアッププログラムで使うことを意図している。  これを使うとディス
              クに対する操作を大幅に減らすことができる。  このフラグは全てのファイルシステムに対して有効であるわ
              けではない。 その一例が NFS であり、サーバがアクセス時刻を管理している。

       O_NOCTTY
              pathname  が端末 (terminal) デバイス — tty(4) 参照 — を指している 場合に、たとえそのプロセスが制御
              端末を持っていなくても、オープンしたファイル は制御端末にはならない。

       O_NOFOLLOW
              If the trailing component (i.e., basename) of pathname is a symbolic link, then  the  open  fails,
              with  the  error  ELOOP.   Symbolic  links  in  earlier  components  of the pathname will still be
              followed.  (Note that the ELOOP error that can occur in this case is  indistinguishable  from  the
              case  where  an  open  fails  because  there  are  too  many  symbolic links found while resolving
              components in the prefix part of the pathname.)

              This flag is a  FreeBSD  extension,  which  was  added  to  Linux  in  version  2.1.126,  and  has
              subsequently been standardized in POSIX.1-2008.

              See also O_PATH below.

       O_NONBLOCK または O_NDELAY
              可能ならば、ファイルは非停止  (nonblocking) モードでオープンされる。 open() も、返したファイルディ
              スクリプターに対する以後のすべての操作も呼び出したプロセスを待たせることはない。

              Note that the setting of this flag has no effect on the operation of poll(2), select(2), epoll(7),
              and  similar,  since  those interfaces merely inform the caller about whether a file descriptor is
              "ready", meaning that an I/O operation performed on the file descriptor with the  O_NONBLOCK  flag
              clear would not block.

              Note  that  this  flag  has no effect for regular files and block devices; that is, I/O operations
              will (briefly) block when device activity is required, regardless of whether  O_NONBLOCK  is  set.
              Since  O_NONBLOCK  semantics  might eventually be implemented, applications should not depend upon
              blocking behavior when specifying this flag for regular files and block devices.

              FIFO (名前付きパイプ) を扱う場合には fifo(7) も参照すること。 強制ファイルロック  (mandatory  file
              lock)  やファイルリース  (file  lease)  と組み合わせた場合の、 O_NONBLOCK の効果についての議論は、
              fcntl(2) を参照すること。

       O_PATH (Linux 2.6.39 以降)
              このフラグを指定して取得したファイルディスクリプターは、  ファイルシステムツリー内での場所を示すた
              め、 純粋にファイルディスクリプターレベルでの作用する操作を実行するため、 の二つの目的で使用するこ
              とができる。 ファイル自身はオープンされず、 他のファイル操作 (例えば read(2), write(2), fchmod(2),
              fchown(2), fgetxattr(2), ioctl(2), mmap(2)) はエラー EBADF で失敗する。

              取得したファイルディスクリプターに対して以下の操作を行うことが「できる」。

              *  close(2).

              *  fchdir(2), if the file descriptor refers to a directory (since Linux 3.5).

              *  fstat(2) (Linux 3.6 以降).

              *  fstatfs(2) (Linux 3.12 以降).

              *  ファイルディスクリプターの複製 (dup(2), fcntl(2)  F_DUPFD など)

              *  ファイルディスクリプターフラグの取得と設定 (fcntl(2) の F_GETFDF_SETFD)

              *  fcntl(2)  の  F_GETFL 操作を使ったオープンされたファイルの状態フラグの取得。 返されるフラグには
                 O_PATH ビットが含まれる。

              *  openat() や他の "*at()" 系のシステムコールの  dirfd  引数としてそのファイルディスクリプターを渡
                 す。  これには、 ファイルがディレクトリでない場合に linkat(2) に AT_EMPTY_PATH が指定された場合
                 (や procfs 経由で AT_SYMLINK_FOLLOW が使用された場合) を含む。

              *  そのファイルディスクリプターを別のプロセスに  UNIX  ドメインソケット経由で渡す。  (unix(7)   の
                 SCM_RIGHTS を参照)

              flagsO_PATH が指定された場合、 O_CLOEXEC, O_DIRECTORY, O_NOFOLLOW 以外のフラグビットは無視され
              る。

              Opening a file or directory with the O_PATH flag requires no permissions on the object itself (but
              does  require  execute  permission  on  the  directories  in  the  path prefix).  Depending on the
              subsequent operation, a check for suitable file permissions  may  be  performed  (e.g.,  fchdir(2)
              requires  execute  permission  on  the directory referred to by its file descriptor argument).  By
              contrast, obtaining a reference to a filesystem object  by  opening  it  with  the  O_RDONLY  flag
              requires  that  the  caller have read permission on the object, even when the subsequent operation
              (e.g., fchdir(2), fstat(2))  does not require read permission on the object.

              pathname がシンボリックリンクで O_NOFOLLOW フラグも合わせて指定された場合、 この呼び出しではシンボ
              リックリンクを参照するファイルディスクリプターを返す。 このファイルディスクリプターは、 空のパス名
              を指定した fchownat(2), fstatat(2), linkat(2), readlinkat(2) の呼び出しで dirfd 引数として使うこと
              で、 そのシンボリックリンクに対して操作を行うことができる。

              If  pathname  refers to an automount point that has not yet been triggered, so no other filesystem
              is mounted on it, then the call returns a file descriptor referring  to  the  automount  directory
              without  triggering  a  mount.   fstatfs(2)   can  then be used to determine if it is, in fact, an
              untriggered automount point (.f_type == AUTOFS_SUPER_MAGIC).

              One  use  of  O_PATH  for  regular  files  is  to  provide  the  equivalent  of  POSIX.1's  O_EXEC
              functionality.   This  permits us to open a file for which we have execute permission but not read
              permission, and then execute that file, with steps something like the following:

                  char buf[PATH_MAX];
                  fd = open("some_prog", O_PATH);
                  snprintf(buf, PATH_MAX, "/proc/self/fd/%d", fd);
                  execl(buf, "some_prog", (char *) NULL);

              An O_PATH file descriptor can also be passed as the argument of fexecve(3).

       O_SYNC ファイルに対する書き込み操作は、同期 I/O のファイル完全性完了の要件に基づいて行われる  (これに対し
              O_DSYNC では同期 I/O のデータ完全性完了が提供される)。

              write(2)  (や同様のコール) が返るまでに、 書き込まれたデータと関連するファイルメタデータが裏で利用
              されているハードウェアに転送される (つまり、write(2) の後に fsync(2)  を呼び出したのと同じようにな
              る)。 下記の「注意」も参照のことO_TMPFILE (Linux 3.11 以降)
              名前なしの一時的な通常ファイルを作成する。   pathname   引数はディレクトリを指定する。  名前なしの
              inode がそのディレクトリが存在するファイルシステムに作成される。  そのファイルに名前を付与しない限
              り、 作成されたファイルに書き込まれた内容は、 最後のファイルディスクリプターがクローズされる際に失
              われる。

              O_TMPFILE は必ず O_RDWRO_WRONLY のいずれかと一緒に使わなければならない。 O_EXCL も指定すること
              ができる。  O_EXCL が指定されなかった場合、 linkat(2) を使って、そのファイルシステムにこの一時ファ
              イルへのリンクを作成し、ファイルを永続化することができる。 以下のコードのようにすればよい。

                  char path[PATH_MAX];
                  fd = open("/path/to/dir", O_TMPFILE | O_RDWR,
                                          S_IRUSR | S_IWUSR);

                  /* 'fd' に対するファイル I/O ... */

                  linkat(fd, NULL, AT_FDCWD, "/path/for/file", AT_EMPTY_PATH);

                  /* If the caller doesn't have the CAP_DAC_READ_SEARCH
                     capability (needed to use AT_EMPTY_PATH with linkat(2)),
                     and there is a proc(5) filesystem mounted, then the
                     linkat(2) call above can be replaced with:

                  snprintf(path, PATH_MAX,  "/proc/self/fd/%d", fd);
                  linkat(AT_FDCWD, path, AT_FDCWD, "/path/for/file",
                                          AT_SYMLINK_FOLLOW);
                  */

              この場合、 open() の mode 引数は O_CREAT と同様にファイルのアクセス許可モードの決定に使われる。

              O_TMPFILE とともに O_EXCL を指定すると、  一時ファイルに対して上記の方法でファイルシステムへのリン
              クを行うことができなくなる  (この場合の  O_EXCL  の意味は他の場合の  O_EXCL の意味とは異なる点に注
              意)。

              O_TMPFILE には主に二つの用途がある。

              *  改善された tmpfile(3) の機能: (1) クローズ時に自動的に削除される、 (2) パス名では決して参照でき
                 ない、 (3) シンボリックリンク攻撃ができない、 (4) 呼び出し元が一意な名前を考える必要がない、 と
                 いう特長を持つ競合のない一時ファイルの作成。

              *  最初は見えないファイルを作成し、 それからデータを書き込んだり、適切なファイルシステム属性を持つ
                 ように調整したり  (fchown(2), fchmod(2), fsetxattr(2) など) した後、 準備が全て整った状態で (上
                 述の linkat(2) を使って) ファイルシステム内にアトミックにリンクを行う。

              O_TMPFILE requires support by the underlying  filesystem;  only  a  subset  of  Linux  filesystems
              provide  that  support.   In  the  initial implementation, support was provided in the ext2, ext3,
              ext4, UDF, Minix, and shmem filesystems.  Support for  other  filesystems  has  subsequently  been
              added as follows: XFS (Linux 3.15); Btrfs (Linux 3.16); F2FS (Linux 3.16); and ubifs (Linux 4.9)

       O_TRUNC
              ファイルが既に存在し、通常ファイルであり、    アクセスモードで書き込みが許可されている   (つまり、
              O_RDWR または O_WRONLY の) 場合、長さ 0 に切り詰め (truncate) られる。 ファイルが FIFO  または端末
              デバイスファイルの場合、  O_TRUNC フラグは無視される。 それ以外の場合、 O_TRUNC の効果は未定義であ
              る。

   creat()
       creat() の呼び出しは、 flagsO_CREAT|O_WRONLY|O_TRUNC を指定して open() を呼び出すのと等価である。

   openat()
       openat() システムコールは open() と全く同様に動作するが、以下で説明する点が異なる。

       pathname で指定されたパス名が相対パスの場合、このパス名はファイルディスクリプター dirfd  が参照するディレ
       クトリに対する相対パスと解釈される (open() に相対パス名を渡した場合のように、呼び出したプロセスのカレント
       ワーキングディレクトリに対する相対パスではない)。

       pathname で指定されたパス名が相対パスで、 dirfd が特別な値 AT_FDCWD の場合、 (open()  と同様に)  pathname
       は呼び出したプロセスのカレントワーキングディレクトリに対する相対パスと解釈される。

       pathname で指定されたパス名が絶対パスの場合、 dirfd は無視される。

   openat2(2)
       The  openat2(2)   system  call  is  an  extension of openat(), and provides a superset of the features of
       openat().  It is documented separately, in openat2(2).

返り値

       open(), openat(), and creat()  return the new file descriptor (a nonnegative integer), or -1 if an  error
       occurred (in which case, errno is set appropriately).

エラー

       open(), openat(), creat() は以下のエラーで失敗する。

       EACCES ファイルに対する要求されたアクセスが許されていないか、 pathname のディレクトリ部分の何れかのディレ
              クトリに検索許可がなかった。  またはファイルが存在せず、親ディレクトリへの書き込み許可がなかった。
              (path_resolution(7)  も参照すること。)

       EACCES Where  O_CREAT  is specified, the protected_fifos or protected_regular sysctl is enabled, the file
              already exists and is a FIFO or regular file, the owner of the file is neither  the  current  user
              nor  the  owner  of  the  containing  directory,  and  the  containing directory is both world- or
              group-writable and sticky.  For details, see the descriptions of /proc/sys/fs/protected_fifos  and
              /proc/sys/fs/protected_regular in proc(5).

       EBUSY  O_EXCL  was  specified in flags and pathname refers to a block device that is in use by the system
              (e.g., it is mounted).

       EDQUOT O_CREAT が指定された場合で、そのファイルが存在せず、ディスクブロックか inode  がそのファイルシステ
              ムのユーザークォータに達していた。

       EEXIST pathname は既に存在し、 O_CREATO_EXCL が使用された。

       EFAULT pathname がアクセス可能なアドレス空間の外を指している。

       EFBIG  EOVERFLOW 参照。

       EINTR  遅いデバイス (例えば FIFO、 fifo(7)  参照) のオープンが完了するのを待って停止している間に システム
              コールがシグナルハンドラーにより割り込まれた。 signal(7)  参照。

       EINVAL ファイルシステムが O_DIRECT フラグをサポートしていない。 詳細は注意を参照。

       EINVAL flags に無効な値が入っている。

       EINVAL flagsO_TMPFILE が指定されたが、 O_WRONLYO_RDWR も指定されていなかった。

       EINVAL O_CREAT was specified in flags and the final component ("basename") of the new file's pathname  is
              invalid (e.g., it contains characters not permitted by the underlying filesystem).

       EINVAL The  final  component  ("basename")  of  pathname  is  invalid  (e.g.,  it contains characters not
              permitted by the underlying filesystem).

       EISDIR pathname はディレクトリを参照しており、書き込み要求が含まれていた (つまり O_WRONLY  または  O_RDWR
              が設定されている)。

       EISDIR pathname が存在するディレクトリを参照していて、 O_TMPFILE および O_WRONLYO_RDWR の一方が flags
              に指定されていたが、 このカーネルバージョンでは O_TMPFILE 機能が提供されていない。

       ELOOP  pathname を解決する際に遭遇したシンボリックリンクが多過ぎる。

       ELOOP  pathname がシンボリックリンクで、 flagsO_NOFOLLOW が指定されたが、 O_PATH が指定されていなかっ
              た。

       EMFILE The per-process limit on the number of open file descriptors has been reached (see the description
              of RLIMIT_NOFILE in getrlimit(2)).

       ENAMETOOLONG
              pathname が長過ぎる。

       ENFILE オープンされているファイルの総数がシステム全体の制限に達している。

       ENODEV pathname がデバイススペシャルファイルを参照しており、対応するデバイスが存在しない。 (これは  Linux
              カーネルのバグであり、この場合には ENXIO が返されるべきである)

       ENOENT O_CREAT is not set and the named file does not exist.

       ENOENT pathname  の中のディレクトリ部分が存在しないか、壊れた  (dangling)   シンボリックリンク  (symbolic
              link) である。

       ENOENT pathname が存在しないディレクトリを参照していて、 O_TMPFILE および  O_WRONLYO_RDWR  の一方が
              flags に指定されていたが、 このカーネルバージョンでは O_TMPFILE 機能が提供されていない。

       ENOMEM The  named  file is a FIFO, but memory for the FIFO buffer can't be allocated because the per-user
              hard limit on memory allocation for pipes has been reached and the caller is not  privileged;  see
              pipe(7).

       ENOMEM 十分なカーネルメモリーがない。

       ENOSPC pathname  を作成する必要があるが、 pathname を含んでいるデバイスに新しいファイルのための空き容量が
              ない。

       ENOTDIR
              pathname に含まれるディレクトリ部分のどれかが実際にはディレクトリでない。 または O_DIRECTORY  が指
              定されており、 pathname がディレクトリでない。

       ENXIO  O_NONBLOCK  | O_WRONLY が設定されており、指定したファイルが FIFO で そのファイルを読み込み用でオー
              プンしている FIFO が存在しない。

       ENXIO  ファイルがデバイススペシャルファイルで、対応するデバイスが存在しない。

       ENXIO  The file is a UNIX domain socket.

       EOPNOTSUPP
              pathname を含んでいるファイルシステムが O_TMPFILE をサポートしていない。

       EOVERFLOW
              pathname が参照しているのが、大き過ぎてオープンできない通常のファイルである。 通常、このエラーが発
              生するは、32  ビットプラットフォーム上で -D_FILE_OFFSET_BITS=64 を指定せずにコンパイルされたアプリ
              ケーションが、ファイルサイズが  (1<31)-1  バイトを超えるファイルを開こうとした場合である。  上記の
              O_LARGEFILE  も参照。  これは  POSIX.1  で規定されているエラーである。  2.6.24  より前のカーネルで
              は、Linux はこの場合にエラー EFBIG を返していた。

       EPERM  O_NOATIME フラグが指定されたが、呼び出し元の実効ユーザー ID が  ファイルの所有者と一致せず、かつ呼
              び出し元に特権がない。

       EPERM  操作が file seal により禁止されている。 fcntl(2)  参照。

       EROFS  pathname  が読み込み専用のファイルシステム上のファイルを参照しており、  書き込みアクセスが要求され
              た。

       ETXTBSY
              pathname が現在実行中の実行イメージを参照しており、書き込みが要求された。

       ETXTBSY
              pathname refers to a file that is currently in use as a  swap  file,  and  the  O_TRUNC  flag  was
              specified.

       ETXTBSY
              pathname  refers  to  a file that is currently being read by the kernel (e.g., for module/firmware
              loading), and write access was requested.

       EWOULDBLOCK
              O_NONBLOCK フラグが指定されたが、そのファイルには矛盾するリースが設定されていた (fcntl(2)  参照)。

       openat() では以下のエラーも発生する。

       EBADF  dirfd が有効なファイルディスクリプターではない。

       ENOTDIR
              pathname が相対パス名で、 dirfd がディレクトリ以外のファイルを参照しているファイルディスクリプター
              である。

バージョン

       openat()   はカーネル 2.6.16 で Linux に追加された。 ライブラリによるサポートはバージョン 2.4 で glibc に
       追加された。

準拠

       open(), creat()  SVr4, 4.3BSD, POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.

       openat(): POSIX.1-2008.

       openat2()  は Linux 固有である。

       フラグ O_DIRECT, O_NOATIME, O_PATH, O_TMPFILE は Linux 特有のものである。  これらのフラグの定義を得るため
       には _GNU_SOURCE を定義しなければならない。

       フラグ  O_CLOEXEC, O_DIRECTORY, O_NOFOLLOW は POSIX.1-2001 では規定されていないが、 POSIX.1-2008 では規定
       されている。 glibc 2.12 以降では、これらの定義を得るには、 _POSIX_C_SOURCE を 200809L  以上の値で定義する
       か、  _XOPEN_SOURCE  を 700 以上の値で定義する。 glibc 2.11 以前では、 これらの定義を得るには _GNU_SOURCE
       を定義する。

       feature_test_macros(7) に注意書きがあるように、 _POSIX_C_SOURCE, _XOPEN_SOURCE, _GNU_SOURCE  などの機能検
       査マクロはどのヘッダーファイルをインクルードするより前に定義しなければならない。

注意

       Under  Linux,  the  O_NONBLOCK  flag  is  sometimes  used  in  cases where one wants to open but does not
       necessarily have the intention to read or write.  For example, this may be used to open a device in order
       to get a file descriptor for use with ioctl(2).

       O_RDONLY  | O_TRUNC の影響は未定義であり、その動作は実装によって異なる。 多くのシステムではファイルは実際
       に切り詰められる。

       open()  はスペシャルファイルをオープンすることができるが、 creat()   でスペシャルファイルを作成できない点
       に注意すること。 代わりに mknod(2)  を使用する。

       ファイルが新しく作成されると、 ファイルの st_atime, st_ctime, st_mtime フィールド (それぞれ最終アクセス時
       刻、最終状態変更時刻、最終修正時刻である。 stat(2)  参照) が現在時刻に設定される。 さらに親ディレクトリの
       st_ctimest_mtime も現在時刻に設定される。 それ以外の場合で、O_TRUNC フラグでファイルが修正されたとき
       は、 ファイルの st_ctimest_mtime フィールドが現在時刻に設定される。

       The files in the /proc/[pid]/fd directory show the open file descriptors of the process with the PID pid.
       The  files  in  the /proc/[pid]/fdinfo directory show even more information about these file descriptors.
       See proc(5)  for further details of both of these directories.

       The Linux header file <asm/fcntl.h> doesn't define O_ASYNC; the (BSD-derived)  FASYNC synonym is  defined
       instead.

   オープンファイル記述
       オープンファイル記述という用語は POSIX で使用されている用語で、オープンされているファイルのシステム共通の
       テーブルのエントリーを参照するものである。  別の文脈では、このオブジェクトはいろいろな呼び方があり、   「
       オープンファイルオブジェクト」、「ファイルハンドル」、「オープンファイルテーブルエントリー」、 カーネル開
       発者の用語では struct file などと呼ばれる。

       ファイルディスクリプターが (dup(2)  や同様のシステムコールを使って)  複製される際に、  複製されたファイル
       ディスクリプターは元のファイルディスクリプターと同じオープンファイル記述を参照する。  結果として  2  つの
       ファイルディスクリプターはファイルオフセットとファイル状態フラグを共有する。 このような共有はプロセス間で
       も起こり得る。 fork(2) で作成された子プロセスは親プロセスのファイルディスクリプターの複製を継承し、これら
       の複製は同じオープンファイル記述を参照する。

       1 つのファイルに対して open() を行う毎に、新しいオープンファイル記述が作成される。  したがって、  1  つの
       ファイル inode に対して複数のオープンファイル記述が存在することがありえる。

       On  Linux, one can use the kcmp(2)  KCMP_FILE operation to test whether two file descriptors (in the same
       process or in two different processes) refer to the same open file description.

   同期 I/O
       POSIX.1-2008 の「同期 I/O」の選択肢として複数種類が規定されており、 動作を制御するために open()  フラグと
       して  O_SYNC, O_DSYNC, O_RSYNC が規定されている。 この選択肢を実装がサポートしているかに関わらず、 各実装
       では少なくとも通常のファイルに対して O_SYNC が利用できなければならない。

       Linux implements O_SYNC and O_DSYNC, but not O_RSYNC.  Somewhat incorrectly,  glibc  defines  O_RSYNC  to
       have the same value as O_SYNC.  (O_RSYNC is defined in the Linux header file <asm/fcntl.h> on HP PA-RISC,
       but it is not used.)

       O_SYNC は、 同期 I/O でのファイル完全性完了を提供する。  つまり、  書き込み操作はデータとすべての関連メタ
       データを裏で利用されているハードウェアにフラッシュすることを意味する。 O_DSYNC は、 同期 I/O でのデータ完
       全性完了を提供する。 つまり、 書き込み操作はデータを裏で利用されているハードウェアにフラッシュするが、 そ
       れ以降の読み出し操作が正常に完了するのに必要なメタデータの更新のみをフラッシュする。 データ完全性完了は、
       ファイル完全性完了を必要としないアプリケーションで、 ディスク操作の数を減らすことができる。

       2 種類の完了の違いを理解するために、 ファイルメタデータの 2 つの要素、 ファイルの最終修正時刻  (st_mtime)
       とファイル長、を考える。  すべての書き込み操作は最終修正時刻を更新するが、 ファイルの末尾にデータを追加す
       る書き込み操作のみがファイル長を変更する。 最終修正時刻は、  読み出しが正常に完了するのに必要ではないが、
       ファイル長は必要である。  したがって、 O_DSYNC はファイル長のメタデータの更新がフラッシュされることだけを
       保証する (これに対して O_SYNC では最終修正時刻のメタデータも常にフラッシュされる)。

       Linux 2.6.33 より前では、 Linux は open() では O_SYNC フラグのみを実装していた。 しかしながら、  このフラ
       グが指定された場合、  ほとんどのファイルシステムで提供されていたのは実際には同期 I/O でのデータ完全性完了
       と等価なものであった (つまり、 O_SYNC は実際には O_DSYNC と等価なものとして実装されていた)。

       Linux 2.6.33 以降では、 正しい O_SYNC  のサポートが提供されている。しかしながら、バイナリレベルの後方互換
       性を保証するため、  O_DSYNC は以前の O_SYNC と同じ値で定義されており、 O_SYNCO_DSYNC フラグの値を含む
       新しい (2 ビットの)  フラグ値として定義されている。これにより、新しいヘッダーを使ってコンパイルされたアプ
       リケーションで、 2.6.33 より前のカーネルで少なくとも O_DSYNC の動作は同じになることが保証される。

   C ライブラリとカーネルの違い
       Since version 2.26, the glibc wrapper function for open()  employs the openat()  system call, rather than
       the kernel's open()  system call.  For certain architectures, this is also true in glibc versions  before
       2.26.

   NFS
       NFS を実現しているプロトコルには多くの不備があり、特に O_SYNCO_NDELAY に影響する。

       UID  マッピングを使用している NFS ファイルシステムでは、 open()  がファイルディスクリプターを返した場合で
       も read(2) が EACCES で拒否される場合がある。  これはクライアントがアクセス許可のチェックを行って  open()
       を実行するが、読み込みや書き込みの際には サーバーで UID マッピングが行われるためである。

   FIFOs
       Opening  the read or write end of a FIFO blocks until the other end is also opened (by another process or
       thread).  See fifo(7)  for further details.

   ファイルアクセスモード
       「アクセスモード」の値 O_RDONLY, O_WRONLY, O_RDWR は、 flags に指定できる他の値と違い、個々のビットを指定
       するものではなく、  これらの値は  flags の下位 2 ビットを定義する。 O_RDONLY, O_WRONLY, O_RDWR はそれぞれ
       0, 1, 2 に定義されている。 言い換えると、 O_RDONLY | O_WRONLY  の組み合わせは論理的に間違いであり、確かに
       O_RDWR と同じ意味ではない。

       Linux  では、特別な、非標準なアクセスモードとして  3 (バイナリでは 11) が 予約されており flags に指定でき
       る。 このアクセスモードを指定すると、ファイルの読み出し/書き込み許可をチェックし、 読み出しにも書き込みに
       も使用できないファイルディスクリプターを返す。   この非標準のアクセスモードはいくつかの   Linux  ドライバ
       で、デバイス固有の ioctl(2) 操作にのみ使用されるファイルディスクリプターを返すために使われている。

   openat() や他のディレクトリファイルディスクリプター API の基本原理
       openat()  and the other system calls and library functions that take a directory file descriptor argument
       (i.e.,  execveat(2),  faccessat(2),  fanotify_mark(2),  fchmodat(2),  fchownat(2), fspick(2), fstatat(2),
       futimesat(2),  linkat(2),  mkdirat(2),  move_mount(2),  mknodat(2),  name_to_handle_at(2),  open_tree(2),
       openat2(2),  readlinkat(2),  renameat(2), statx(2), symlinkat(2), unlinkat(2), utimensat(2), mkfifoat(3),
       and scandirat(3))  address two problems  with  the  older  interfaces  that  preceded  them.   Here,  the
       explanation is in terms of the openat()  call, but the rationale is analogous for the other interfaces.

       First,  openat()   allows  an application to avoid race conditions that could occur when using open()  to
       open files in directories other than the current working directory.  These race  conditions  result  from
       the  fact  that some component of the directory prefix given to open()  could be changed in parallel with
       the call to open().  Suppose, for example, that we wish to create the file dir1/dir2/xxx.dep if the  file
       dir1/dir2/xxx  exists.   The problem is that between the existence check and the file-creation step, dir1
       or dir2 (which might be symbolic links) could be modified to point to a different location.   Such  races
       can  be  avoided  by  opening  a  file descriptor for the target directory, and then specifying that file
       descriptor as the dirfd argument of (say) fstatat(2)  and openat().  The use of the dirfd file descriptor
       also has other benefits:

       *  the file descriptor is a stable reference to the directory, even if the directory is renamed; and

       *  the  open  file  descriptor  prevents  the underlying filesystem from being dismounted, just as when a
          process has a current working directory on a filesystem.

       二つ目として、 openat() を使うと、アプリケーションが管理するファイルディスクリプターにより、 スレッド単位
       の「カレントワーキングディレクトリ」を実装することができる (この機能は、 /proc/self/fd/dirfd を使った方法
       でも実現することができるが、 効率の面で落とる)。

       The dirfd argument for these APIs can be obtained by using open()  or openat()  to open a directory (with
       either  the  O_RDONLY  or  the  O_PATH  flag).   Alternatively, such a file descriptor can be obtained by
       applying dirfd(3)  to a directory stream created using opendir(3).

       When these APIs are given a dirfd argument of AT_FDCWD or the specified pathname is absolute,  then  they
       handle  their pathname argument in the same way as the corresponding conventional APIs.  However, in this
       case, several of the APIs have a flags argument  that  provides  access  to  functionality  that  is  not
       available with the corresponding conventional APIs.

   O_DIRECT
       O_DIRECT  フラグを使用する場合、ユーザー空間バッファーの長さやアドレス、 I/O のファイルオフセットに関して
       アラインメントの制限が課されることがある。 Linux では、アラインメントの制限はファイルシステムやカーネルの
       バージョンに  よって異なり、全く制限が存在しない場合もある。 しかしながら、現在のところ、指定されたファイ
       ルやファイルシステムに対して こうした制限があるかを見つけるための、アプリケーション向けのインターフェース
       で  ファイルシステム非依存のものは存在しない。 いくつかのファイルシステムでは、制限を確認するための独自の
       インターフェースが 提供されている。例えば、 xfsctl(3)  の XFS_IOC_DIOINFO 命令である。

       Linux 2.4 では、転送サイズ、 ユーザーバッファーのアライメント、ファイルオフセットは、  ファイルシステムの
       論理ブロックサイズの倍数でなければならない。  Linux 2.6.0 以降では、 内部で使われるストレージの論理ブロッ
       クサイズのアライメント (通常は 512 バイト) で十分である。 論理ブロックサイズは ioctl(2) BLKSSZGET  操作や
       以下のシェルコマンドから知ることができる。

           blockdev --getss

       メモリーバッファーがプライベートマッピング (mmap(2) の MAP_PRIVATE フラグで作成されたマッピング) の場合に
       は、O_DIRECT  I/O  は  fork(2)  システムコールと同時に決して実行すべきではない  (プライベートマッピングに
       は、ヒープ領域に割り当てられたメモリーや静的に 割り当てたバッファーも含まれる)。非同期 I/O インターフェー
       ス (AIO) 経由 やプロセス内の他のスレッドから発行された、このような I/O は、 fork(2)  が呼び出される前に完
       了されるべきである。  そうしなかった場合、データ破壊や、親プロセスや子プロセスでの予期しない 動作が起こる
       可能性がある。 O_DIRECT I/O 用のメモリーバッファーが shmat(2) やMAP_SHARED フラグ 付きの mmap(2) で作成さ
       れた場合には、この制限はあてはまらない。 madvise(2) でメモリーバッファーにアドバイス MADV_DONTFORK が設定
       され ている場合にも、この制限はあてはまらない(MADV_DONTFORK はそのメモリー バッファーが fork(2)  後に子プ
       ロセスからは利用できないことを保証するも のである)。

       O_DIRECT フラグは SGI IRIX で導入された。SGI IRIX にも Linux 2.4 と同様の (ユーザーバッファーの) アライン
       メントの制限がある。 また、IRIX には適切な配置とサイズを取得するための fcntl(2)   コールがある。  FreeBSD
       4.x も同じ名前のフラグを導入したが、アラインメントの制限はない。

       O_DIRECT  support was added under Linux in kernel version 2.4.10.  Older Linux kernels simply ignore this
       flag.  Some filesystems may not implement the flag, in which case open()  fails with the error EINVAL  if
       it is used.

       アプリケーションは、同じファイル、  特に同じファイルの重複するバイト領域に対して、  O_DIRECT と通常の I/O
       を混ぜて使うのは避けるべきである。 ファイルシステムがこのような状況において一貫性の問題を正しく  扱うこと
       ができる場合であっても、全体の  I/O スループットは どちらか一方を使用するときと比べて低速になるであろう。
       同様に、アプリケーションは、同じファイルに対して mmap(2)  と直接 I/O (O_DIRECT)  を混ぜて使うのも避けるべ
       きである。

       NFS で O_DIRECT を使った場合の動作はローカルのファイルシステムの場合と違う。 古いカーネルや、ある種の設定
       でコンパイルされたカーネルは、 O_DIRECT と NFS の組み合わせをサポートしていないかもしれない。 NFS  プロト
       コル自体はサーバにフラグを渡す機能は持っていないので、  O_DIRECT I/O はクライアント上のページキャッシュを
       バイパスするだけになり、 サーバは I/O をキャッシュしているかもしれない。 クライアントは、 O_DIRECT の同期
       機構を保持するため、サーバに対して   I/O   を同期して行うように依頼する。  サーバによっては、こうした状況
       下、特に I/O サイズが小さい場合に 性能が大きく劣化する。 また、サーバによっては、I/O が安定したストレージ
       にまで行われたと、  クライアントに対して嘘をつくものもある。 これは、サーバの電源故障が起こった際にデータ
       の完全性が保たれない 危険は少しあるが、性能面での不利な条件を回避するために行われている。 Linux の NFS ク
       ライアントでは O_DIRECT I/O でのアラインメントの制限はない。

       まとめると、 O_DIRECT は、注意して使うべきであるが、強力なツールとなる可能性を持っている。 アプリケーショ
       ンは O_DIRECT をデフォルトでは無効になっている性能向上のためのオプションと 考えておくのがよいであろう。

バグ

       現在のところ、 open()  の呼び出し時に O_ASYNC を指定してシグナル駆動 I/O を有効にすることはできない。  こ
       のフラグを有効にするには fcntl(2)  を使用すること。

       カーネルが  O_TMPFILE  機能をサポートしているかを判定する際に、  EISDIRENOENT の 2 つのエラーコードを
       チェックしなければならない。

       When both O_CREAT and O_DIRECTORY are specified in flags and the file  specified  by  pathname  does  not
       exist, open()  will create a regular file (i.e., O_DIRECTORY is ignored).

関連項目

       chmod(2),   chown(2),  close(2),  dup(2),  fcntl(2),  link(2),  lseek(2),  mknod(2),  mmap(2),  mount(2),
       open_by_handle_at(2), openat2(2), read(2), socket(2), stat(2), umask(2), unlink(2),  write(2),  fopen(3),
       acl(5), fifo(7), inode(7), path_resolution(7), symlink(7)

この文書について

       この  man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告
       に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。