Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all
名前
mbsrtowcs - マルチバイト文字列をワイド文字列に変換する
書式
#include <wchar.h> size_t mbsrtowcs(wchar_t *dest, const char **src, size_t len, mbstate_t *ps);
説明
dest が NULL でなければ、 mbsrtowcs() 関数は マルチバイト文字列 *src を dest から始まるワ イド文字列に 変換する。dest には最大で len 文字のワイド文字が 書き込まれる。同時にシフト状 態 *ps を更新する。 変換は mbrtowc(dest, *src, n, ps) を、この呼び出しが成功する限り繰り返 し実行したのと実質的に同様である。 ここで n は正の数であり、繰り返しごとに dest が 1 増加 させられ、 *src が消費したバイト数だけ増加させられる。変換は以下の三つの いずれかの条件で 停止する: 1. 不正なマルチバイト列に遭遇した。この場合には *src は不正な マルチバイト列を指すようにし て、 (size_t) -1 を返し、errno に EILSEQ を設定する。 2. len 文字の L'\0' 以外のワイド文字を dest に格納した場合。 この場合は *src は次に変換さ れるマルチバイト列を指すようにして、 dest に書き込まれたワイド文字の数を返す。 3. マルチバイト文字列が終端のヌルワイド文字 ('\0') まで含めて完全に 変換された場合。この 時、副作用として *ps が初期状態に戻される。 この場合は *src には NULL が設定され、終端 のヌルワイド文字を除いて dest に書き込まれた文字数を返す。 dest が NULL の場合、len は無視され、上記と同様の変換が 行われるが、変換されたワイド文字は メモリーに書き込まれず、変換先の上限 が存在しない。 上記のどちらの場合でも、ps が NULL ならば、 代りに mbsrtowcs() 関数のみが使用する静的で名 前のない状態が使用される。 プログラマーは dest に最低でも len ワイド文字を書き込むこ とができる空間があることを保証し なければならない。
返り値
mbsrtowcs() 関数はワイド文字列に変換完了したワイド文字の数を返す。 終端のナルワイド文字は 含まない。不正なマルチバイト列に遭遇した場合には (size_t) -1 を返し、errno に EILSEQ を設 定する。
属性
この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。 ┌─────────────────┬───────────────┬──────────────────────────────┐ │インターフェース │ 属性 │ 値 │ ├─────────────────┼───────────────┼──────────────────────────────┤ │mbsrtowcs() │ Thread safety │ MT-Unsafe race:mbsrtowcs/!ps │ └─────────────────┴───────────────┴──────────────────────────────┘
準拠
POSIX.1-2001, POSIX.1-2008, C99.
注意
mbsrtowcs() の動作は現在のロケールの LC_CTYPE カテゴリーに依存している。 ps に NULL を渡した際の動作はマルチスレッドセーフでない。
関連項目
iconv(3), mbrtowc(3), mbsinit(3), mbsnrtowcs(3), mbstowcs(3)
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの 説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。