Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all
名前
encrypt, setkey, encrypt_r, setkey_r - 64 ビットのメッセージを暗号化する
書式
#define _XOPEN_SOURCE /* feature_test_macros(7) 参照 */ #include <unistd.h> void encrypt(char block[64], int edflag); #define _XOPEN_SOURCE /* feature_test_macros(7) 参照 */ #include <stdlib.h> void setkey(const char *key); #define _GNU_SOURCE /* feature_test_macros(7) 参照 */ #include <crypt.h> void setkey_r(const char *key, struct crypt_data *data); void encrypt_r(char *block, int edflag, struct crypt_data *data); これらの関数は -lcrypt でリンクする必要がある。
説明
これらの関数は、64 ビットのメッセージの暗号化と復号化を行う。 setkey() 関数は encrypt() によって使われる暗号鍵を設定する。 ここで使われる引数 key は 64 バイトの配列であり、各バイ トは数値 1 または 0 である。 n=8*i-1 に対するバイト key[n] は無視されるので、 有効な暗号鍵 の長さは 56 ビットになる。 encrypt() 関数は、 edflag が 0 の場合は暗号化し、1 が渡された場合は復号化するというよう に、 渡されたバッファーを変更する。 引数 key と同様に、 block はエンコードされた実際の値を 表現するビットの配列である。 結果はこの同じ配列を使って返される。 これら 2 つの関数はリエントラント (reentrant) ではない。 つまり暗号鍵データは静的な領域に 保存される。 関数 setkey_r() と encrypt_r() はリエントラントなバージョンである。 これらの 関数は暗号鍵データを保持するために以下のような構造体を使う。 struct crypt_data { char keysched[16 * 8]; char sb0[32768]; char sb1[32768]; char sb2[32768]; char sb3[32768]; char crypt_3_buf[14]; char current_salt[2]; long current_saltbits; int direction; int initialized; }; setkey_r() を呼び出す前には、 data->initialized を 0 に設定すること。
返り値
これらの関数は、なにも値を返さない。
エラー
上記の関数を呼び出す前に errno を 0 に設定すること。 成功した場合、この値は変更されない。 ENOSYS (例えば以前のアメリカ合衆国輸出規制などにより) この関数が提供されていない。
バージョン
Because they employ the DES block cipher, which is no longer considered secure, crypt(), crypt_r(), setkey(), and setkey_r() were removed in glibc 2.28. Applications should switch to a modern cryptography library, such as libgcrypt.
属性
この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。 ┌────────────────────────┬───────────────┬──────────────────────┐ │インターフェース │ 属性 │ 値 │ ├────────────────────────┼───────────────┼──────────────────────┤ │encrypt(), setkey() │ Thread safety │ MT-Unsafe race:crypt │ ├────────────────────────┼───────────────┼──────────────────────┤ │encrypt_r(), setkey_r() │ Thread safety │ MT-Safe │ └────────────────────────┴───────────────┴──────────────────────┘
準拠
encrypt(), setkey(): POSIX.1-2001, POSIX.1-2008, SUS, SVr4. 関数 encrypt_r() と setkey_r() は GNU による拡張である。
注意
Availability in glibc crypt(3) を参照。 Features in glibc glibc 2.2 では、これらの関数は DES アルゴリズムを使う。
例
#define _XOPEN_SOURCE #include <stdio.h> #include <stdlib.h> #include <unistd.h> #include <crypt.h> int main(void) { char key[64]; char orig[9] = "eggplant"; char buf[64]; char txt[9]; for (int i = 0; i < 64; i++) { key[i] = rand() & 1; } for (int i = 0; i < 8; i++) { for (int j = 0; j < 8; j++) { buf[i * 8 + j] = orig[i] >> j & 1; } setkey(key); } printf("Before encrypting: %s\n", orig); encrypt(buf, 0); for (int i = 0; i < 8; i++) { for (int j = 0, txt[i] = '\0'; j < 8; j++) { txt[i] |= buf[i * 8 + j] << j; } txt[8] = '\0'; } printf("After encrypting: %s\n", txt); encrypt(buf, 1); for (int i = 0; i < 8; i++) { for (int j = 0, txt[i] = '\0'; j < 8; j++) { txt[i] |= buf[i * 8 + j] << j; } txt[8] = '\0'; } printf("After decrypting: %s\n", txt); exit(EXIT_SUCCESS); }
関連項目
cbc_crypt(3), crypt(3), ecb_crypt(3)
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの 説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。 2020-11-01 ENCRYPT(3)