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名前

       strtol, strtoll, strtoq - 文字列を long int に変換する

書式

       #include <stdlib.h>

       long strtol(const char *nptr, char **endptr, int base);

       long long strtoll(const char *nptr, char **endptr, int base);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       strtoll():
           _ISOC99_SOURCE
               || /* Glibc versions <= 2.19: */ _SVID_SOURCE || _BSD_SOURCE

説明

       strtol()   関数は、  nptr の文字列の最初の部分を、 base を基数として long int に変換する。
       この base は 2 から 36 までの値 あるいは特別な意味を持つ値 0 でなければならない。

       文字列の先頭には、任意の数の空白があってもよく (空白は isspace(3)  で判定される)、また数字
       の直前には '+' か '-' の 符号があってもよい。 base が 0 または 16 の場合には、文字列の先頭
       に "0x" か "0X" を置くことが でき、その場合には文字列は 16進数として扱われる。  これ以外の
       文字列で  base  が 0 の場合は、 文字列が '0' で始まるときは 8進数として、 それ以外のときは
       10進数として扱われる。

       数字を表す文字列は long に変換されるが、基数に対して  有効でない数字が現れた時点で変換は終
       了する。(11進数以上では  'A'  は 大文字・小文字に関わらず 10 を表し、 'B' は 11 を表現し、
       以下同様に、 'Z' は 35 を表す。)

       endptr がヌル値 (NULL) でない場合は、最初に現れた不正な文字が strtol()   によって  *endptr
       に保存されている。  文字列に有効な数字がひとつもなければ、  strtol()   は  nptr の元の値を
       *endptr に代入する (そして 0 を返す)。 特に、*nptr が '\0'  以外で、返された  **endptr  が
       '\0' ならば、文字列全体が有効だったことになる。

       strtoll()  関数は strtol()  と同様だが、 long long 型の値を返す。

返り値

       アンダーフローもオーバーフローも起きなかった場合、   strtol()    関数は   変換された値を返
       す。オーバーフローした場合には LONG_MAX が返り、 アンダーフローした場合には LONG_MIN  が返
       る。オーバーフロー、  アンダーフローのいずれの場合にも 大域変数 errno には ERANGE が設定さ
       れる。 strtoll()  も同様であるが、 LONG_MINLONG_MAX の代わりに LLONG_MINLLONG_MAX
       が返される。

エラー

       EINVAL (C99 にはない) 指定された base がサポートされていない値である。

       ERANGE 結果の値が範囲外である。

       実装によっては、変換が行われなかった場合 (数字がなく、0 を返した場合)、 errnoEINVAL が
       設定される場合がある。

属性

       この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

       ┌──────────────────────────────┬───────────────┬────────────────┐
       │インターフェース属性             │
       ├──────────────────────────────┼───────────────┼────────────────┤
       │strtol(), strtoll(), strtoq() │ Thread safety │ MT-Safe locale │
       └──────────────────────────────┴───────────────┴────────────────┘

準拠

       strtol(): POSIX.1-2001, POSIX.1-2008, C89, C99 SVr4, 4.3BSD.

       strtoll(): POSIX.1-2001, POSIX.1-2008, C99.

注意

       strtol  ()  からは成功、失敗どちらの場合でも  0,  LONG_MAX,  LONG_MIN   (strtoll()    では
       LLONG_MAX,  LLONG_MIN)  が返る可能性があるので、 プログラムは関数を呼び出す前に errno を 0
       に設定し、呼び出し後に errno が 0 以外の値かどうかを確認しエラーが発生したかどうかを判断す
       る 必要がある。

       POSIX.1 では、 "C" と "POSIX" 以外のロケールでは、これらの関数は、他の実装時に定義される数
       字を示す文字列を受け付けるとされている。

       BSD には、

           quad_t strtoq(const char *nptr, char **endptr, int base);

       という完全に同様の定義を持つ関数がある。      使用中のアーキテクチャーのワード長次第である
       が、この関数は strtoll()  か strtol()  と等価となることもある。

       以下のプログラムは strtol()  の使用例である。 最初のコマンドライン引数には strtol() が数字
       として解釈する文字列を指定する。 (省略可能な) 二番目の引数には  変換に使用される基数を指定
       する (この引数は atoi(3) を使って数値に変換される。 atoi(3)  は strtol()  よりも簡単なイン
       ターフェースを持つ関数で、 その中ではエラーチェックは行われない)。  このプログラムの実行例
       をいくつか以下に示す:

           $ ./a.out 123
           strtol() returned 123
           $ ./a.out '    123'
           strtol() returned 123
           $ ./a.out 123abc
           strtol() returned 123
           Further characters after number: "abc"
           $ ./a.out 123abc 55
           strtol: Invalid argument
           $ ./a.out ''
           No digits were found
           $ ./a.out 4000000000
           strtol: Numerical result out of range

   プログラムのソース

       #include <stdlib.h>
       #include <limits.h>
       #include <stdio.h>
       #include <errno.h>

       int
       main(int argc, char *argv[])
       {
           int base;
           char *endptr, *str;
           long val;

           if (argc < 2) {
               fprintf(stderr, "Usage: %s str [base]\n", argv[0]);
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           str = argv[1];
           base = (argc > 2) ? atoi(argv[2]) : 0;

           errno = 0;    /* To distinguish success/failure after call */
           val = strtol(str, &endptr, base);

           /* Check for various possible errors */

           if (errno != 0) {
               perror("strtol");
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           if (endptr == str) {
               fprintf(stderr, "No digits were found\n");
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           /* If we got here, strtol() successfully parsed a number */

           printf("strtol() returned %ld\n", val);

           if (*endptr != '\0')        /* Not necessarily an error... */
               printf("Further characters after number: \"%s\"\n", endptr);

           exit(EXIT_SUCCESS);
       }

関連項目

       atof(3), atoi(3), atol(3), strtod(3), strtoimax(3), strtoul(3),

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。