trusty (2) setns.2.gz

Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20131015+dfsg-2_all bug

名前

       setns - スレッドに名前空間を関連付けしなおす

書式

       #define _GNU_SOURCE             /* feature_test_macros(7) 参照 */
       #include <sched.h>

       int setns(int fd, int nstype);

説明

       名前空間を参照するファイルディスクリプタを指定すると、   呼び出したスレッドにその名前空間を関連付けしなお
       す。

       fd 引き数は、 /proc/[pid]/ns/ ディレクトリ内の名前空間エントリ のいずれかを参照するファイルディスクリプタ
       である。 /proc/[pid]/ns/ の詳細は proc(5) を参照。 nstype 引き数で指定された制限の範囲内で、 呼び出したス
       レッドに fd に対応する名前空間を関連付けしなおす。

       nstype 引き数は、呼び出したスレッドがどのタイプの名前空間を 関連付けしなおすことができるかを指定する。 こ
       の引き数には以下のいずれかの値を指定できる。

       0      どのタイプの名前空間も関連付けることができる。

       CLONE_NEWIPC
              fd は IPC 名前空間を参照していなければならない。

       CLONE_NEWNET
              fd はネットワーク名前空間を参照していなければならない。

       CLONE_NEWUTS
              fd は UTS 名前空間を参照していなければならない。

       呼び出し側が  fd  がどのタイプの名前空間を参照しているかを知っている  (もしくは気にする必要がない) 場合に
       は、 nstype に 0 を指定すれば十分 である。呼び出し側が fd がどのタイプの名前空間を参照しているかを 知って
       おらず、かつ、特定のタイプの名前空間であることを保証したい場合、  nstype  に 0 以外の値を指定するとよい。
       (ファイルディスクリプタが別の プロセスによりオープンされ、例えば、UNIX ドメインソケット経由で呼び出し  側
       に渡された場合などでは、呼び出し側が fd がどのタイプの名前空間を 参照しているかを知らない可能性がある。)

返り値

       成功すると setns() は 0 を返す。 失敗すると、 -1 が返され、 errno にエラーを示す値が設定される。

エラー

       EBADF  fd が有効なファイルディスクリプタではない。

       EINVAL fdnstype で指定されたタイプと一致しない名前空間を参照している。 または、指定された名前空間をそ
              のスレッドに関連付けし直す際に問題 があった。

       ENOMEM 指定された名前空間に変更するのに必要なメモリが割り当てられない。

       EPERM  呼び出したスレッドがこの操作を行うのに必要な特権 (CAP_SYS_ADMIN) を 持っていなかった。

バージョン

       setns() システムコールはカーネル 3.0 で Linux に初めて登場した。  ライブラリによるサポートは  glibc  バー
       ジョン 2.14 を追加された。

準拠

       setns() システムコールは Linux 固有である。

注意

       新しいスレッドが clone(2) を使って作成された際に共有できる全ての属性を、 setns() を使って変更できるわけで
       はない。

       以下のプログラムは 2 つ以上の引き数を取る。 最初の引き数には、 既存の /proc/[pid]/ns/  ディレクトリの名前
       空間ファイルのパス名を指定する。  残りの引き数は、コマンドとその引き数を指定する。 このプログラムは名前空
       間ファイルをオープンし、  setns()  を使って名前空間に参加し、  指定されたコマンドをその名前空間内で実行す
       る。

       以下のシェルセッションでは、  このプログラム (ns_exec という名前のバイナリとしてコンパイルされている)を、
       clone(2) のマニュアルページの CLONE_NEWUTS のサンプルプログラムと組み合わせて使っている。

       まず、 clone(2) のサンプルプログラムをバックグラウンドで実行する。 このプログラムは、 別の UTS 名前空間で
       子プロセスを作成する。 子プロセスは自分の名前空間内でホスト名を変更する。 それから、 親プロセスと子プロセ
       スの両方でそれぞれの UTS 名前空間のホスト名を表示し、 2 つのホスト名が違うことが確認できる。

           $ su                   # 名前空間の操作には特権が必要
           Password:
           # ./newuts bizarro &
           [1] 3549
           clone() returned 3550
           uts.nodename in child:  bizarro
           uts.nodename in parent: antero
           # uname -n             # シェルでホスト名を確認
           antero

       次に、以下のプログラムを使ってシェルを実行する。 このシェルの中では、ホスト名が最初のプログラムで作成され
       た子プロセスが設定したホスト名になっていることを確認できる。

           # ./ns_exec /proc/3550/ns/uts /bin/bash
           # uname -n             #  ns_exec で起動されたシェル内で実行
           bizarro

   プログラムのソース
       #define _GNU_SOURCE
       #include <fcntl.h>
       #include <sched.h>
       #include <unistd.h>
       #include <stdlib.h>
       #include <stdio.h>

       #define errExit(msg)    do { perror(msg); exit(EXIT_FAILURE); \
                               } while (0)

       int
       main(int argc, char *argv[])
       {
           int fd;

           if (argc < 3) {
               fprintf(stderr, "%s /proc/PID/ns/FILE cmd args...\n", argv[0]);
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           fd = open(argv[1], O_RDONLY);   /* 名前空間のディスクリプタを取得 */
           if (fd == -1)
               errExit("open");

           if (setns(fd, 0) == -1)         /* 名前空間に参加 */
               errExit("setns");

           execvp(argv[2], &argv[2]);      /* 名前空間内でコマンドを実行 */
           errExit("execvp");
       }

関連項目

       clone(2), fork(2), vfork(2), proc(5), unix(7)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.54 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告
       に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。