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名前
termios, tcgetattr, tcsetattr, tcsendbreak, tcdrain, tcflush, tcflow, cfmakeraw, cfgetospeed, cfgetispeed, cfsetispeed, cfsetospeed, cfsetspeed - ターミナル属性の取得・設定、ライン制御、ボーレートの 取得・設定
書式
#include <termios.h> #include <unistd.h> int tcgetattr(int fd, struct termios *termios_p); int tcsetattr(int fd, int optional_actions, const struct termios *termios_p); int tcsendbreak(int fd, int duration); int tcdrain(int fd); int tcflush(int fd, int queue_selector); int tcflow(int fd, int action); void cfmakeraw(struct termios *termios_p); speed_t cfgetispeed(const struct termios *termios_p); speed_t cfgetospeed(const struct termios *termios_p); int cfsetispeed(struct termios *termios_p, speed_t speed); int cfsetospeed(struct termios *termios_p, speed_t speed); int cfsetspeed(struct termios *termios_p, speed_t speed); glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照): cfsetspeed(), cfmakeraw(): _BSD_SOURCE
説明
termios 関数群は、非同期通信ポートを制御するための汎用 ターミナルインタフェースである。 termios 構造体 ここに示されている関数の多くは、引き数に termios_p を用いる。 この引き数は termios 構造体へのポインタであ る。 この構造体には少なくとも以下に示すメンバが含まれる: tcflag_t c_iflag; /* input modes */ tcflag_t c_oflag; /* output modes */ tcflag_t c_cflag; /* control modes */ tcflag_t c_lflag; /* local modes */ cc_t c_cc[NCCS]; /* special characters */ 以下に、これらのフィールドに割り当て可能な値について説明する。 最初の 4 つのビットマスクフィールドでは、 関係するフラグの定義のいくつかは、特定の機能検査マクロ (feature_test_macros(7) 参照) が定義された場合に のみ公開される。 必要な機能検査マクロは角括弧 ("[]") 内に書かれている。 以下の説明で、 "POSIX にはない" は その値が POSIX.1-2001 で規定されていないことを意味し、 "XSI" はその値 が POSIX.1-2001 の XSI 拡張で 規定されていることを意味する。 c_iflag フラグには以下の要素を指定できる: IGNBRK 入力中の BREAK 信号を無視する。 BRKINT IGNBRK が設定されている場合は、BREAK 信号は無視される。 IGNBRK が設定されていないが、BRKINT が設定 されている場合は、 BREAK 信号によって入出力キューがフラッシュされ、 さらに、端末がフォアグラウンド プロセスグループの制御端末の場合は、 フォアグラウンドプロセスグループに SIGINT が送られる。 IGNBRK も BRKINT も設定されていない場合、 BREAK を NULL バイト ('\0') として読み込む。 ただし、PARMRK が 設定されている場合は \377 \0 \0 のシーケンスとして 読み込む。 IGNPAR フレームエラーおよびパリティエラーを無視する。 PARMRK IGNPAR が設定されていない場合、パリティエラーあるいはフレームエラー の発生した文字の前に \377 \0 を付加する。IGNPAR も PARMRK も 設定されていない場合、パリティエラーあるいはフレームエラーの発生し た文字を \0 として読み込む。 INPCK 入力のパリティチェックを有効にする。 ISTRIP 8 ビット目を落とす。 INLCR 入力の NL (New Line: 改行文字) を CR (Carriage Return: 復帰文字) に 置き換える。 IGNCR 入力の CR を無視する。 ICRNL (IGNCR が設定されていない場合) 入力の CR を NL に置き換える。 IUCLC (POSIX にはない) 入力の大文字を小文字に置き換える。 IXON 出力の XON/XOFF フロー制御を有効にする。 IXANY (XSI) 任意の文字を入力すると、停止していた出力を再開する (デフォルトでは、START 文字でのみ出力が再 開される)。 IXOFF 入力の XON/XOFF フロー制御を有効にする。 IMAXBEL (POSIX にはない) 入力キューが一杯の時にベルを鳴らす。 Linux ではこのビットは実装されておらず、 常 にセットされているかのように振舞う。 IUTF8 (Linux 2.6.4 以降) (POSIX にはない) 入力が UTF8 である; これにより cooked mode で文字削除 (character-erase) を 正しく 機能させることができる。 POSIX.1 で定義されている c_oflag フラグを以下に示す: OPOST 実装に依存した出力処理を有効にする。 残りの c_oflag フラグは、特記のない限り POSIX.1-2001 で定義されている。 OLCUC (POSIX にはない) 出力時に小文字を大文字に変換する。 ONLCR (XSI) 出力の NL を CR-NL に置き換える。 OCRNL 出力の CR を NL に置き換える。 ONOCR 0 桁目で CR を出力しない。 ONLRET CR を出力しない。 OFILL 転送時間を遅らせるのではなく、補填文字 (fill character) を送る。 (訳注:特定の文字に対して、端末側 の処理を待つために転送を一定時間 遅らせることができる。また、 OFILL を指定すると 転送を遅らせる代 わりに補填文字を送る。) OFDEL (POSIX にはない) 補填文字を ASCII DEL にする。 このフラグが設定されていない場合は ASCII NUL ('\0') になる。 (Linux では実装されていない) NLDLY NL の遅延を設定する。値は NL0 (遅延なし) および NL1 である。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE か _XOPEN_SOURCE が必要] CRDLY CR の遅延を設定する。値は CR0 (遅延なし), CR1, CR2,CR3 である。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE か _XOPEN_SOURCE が必要] TABDLY 水平タブ (horizontal tab) の遅延を設定する。 値は TAB0 (遅延なし), TAB1, TAB2, TAB3 (XTABS) であ る。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE か _XOPEN_SOURCE が必要] XTAB3 (これは XTABS と同じである) の値 はタブをスペース何個に変換するかを示す (タブは 8 桁毎に止まる)。 BSDLY 後退 (backspace) の遅延を設定する。 値は BS0 (遅延なし) あるいは BS1 である。 (実装されたことはな い) [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE か _XOPEN_SOURCE が必要] VTDLY 垂直タブ (vertical tab) の遅延を設定する。 値は VT0 (遅延なし) あるいは VT1 である。 FFDLY 頁送り (form feed) の遅延を設定する。 値は FF0 (遅延なし) あるいは FF1 である。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE か _XOPEN_SOURCE が必要] c_cflag フラグは以下の通り: CBAUD (POSIX にはない) ボーレートマスク (4+1 ビット)。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が必要] CBAUDEX (POSIX にはない) 追加のボーレートマスク (1 ビット)。 CBAUD に含まれている。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が必要] (POSIX では、 termios 構造体に格納されたボーレートは正確なものではなく、 ボーレートを操作するため に cfgetispeed() と cfsetispeed() が提供されている。 c_cflag 内の CBAUD で選択されたビットを使う システムもあれば、 sg_ispeed や sg_ospeed といった独立したフィールドを使うものもある。) CSIZE 文字サイズを設定する。 値は CS5, CS6, CS7, CS8 である。 CSTOPB ストップビットを 1 ではなく 2 にする。 CREAD 受信を有効にする。 PARENB 出力にパリティを付加し、入力のパリティチェックを行う。 PARODD 設定されると、入力および出力に対するパリティが奇数パリティとなる。 設定されない場合、偶数パリティ が使用される。 HUPCL 最後のプロセスがデバイスをクローズした後、モデムの制御線を low にする (切断する)。 CLOCAL モデムの制御線を無視する。 LOBLK (POSIX にはない) 現在のシェル層以外からの出力を抑制する。 shl (シェル層) で用いられる。(Linux では実装されていない) CIBAUD (POSIX にはない) 入力速度のマスク。 CIBAUD ビットのための値は CBAUD ビットのための値と同じであり、 左に IBSHIFT ビットシフトしたものである。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が必要] (Linux では実装され ていない) CMSPAR (POSIX にはない) (一部のシリアルデバイスでサポートされている) 「スティック (stick)」パリティ (マーク/スペース パリティ)を使用する。 PARODD が設定された場合パリティビットは常に 1 となり、 設定 されない場合は常に 0 となる。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が必要] CRTSCTS (POSIX にはない) RTS/CTS (ハードウェア) フロー制御を有効にする。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が必 要] c_lflag フラグは以下の通り: ISIG INTR, QUIT, SUSP, DSUSP の文字を受信した時、対応するシグナルを 発生させる。 ICANON カノニカルモードを有効にする (下記参照)。 XCASE (POSIX にはない; Linux では対応していない) ICANON が同時に設定された場合、端末は大文字のみが有効 である。 入力された文字は \ が付いた文字を除いて小文字に変換される。 出力時は、大文字の前に \ が付 き、小文字は大文字に変換される。 [_BSD_SOURCE が _SVID_SOURCE か _XOPEN_SOURCE が必要] ECHO 入力された文字をエコーする。 ECHOE ICANON も同時に設定された場合、ERASE 文字は前の文字を削除し、 WERASE 文字は前の単語を削除する。 ECHOK ICANON も同時に設定された場合、KILL 文字は現在の行を削除する。 ECHONL ICANON も同時に設定された場合、 ECHO が設定されていなくても NL 文字をエコーする。 ECHOCTL (POSIX にはない) ECHO も同時に設定された場合、TAB, NL, START, STOP 以外の 端末特殊文字が ^X として エコーされる。 X は特殊文字に ASCII コードで 0x40 を足した文字である。 例えば文字 0x08 (BS) は ^H とエコーされる。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が必要] ECHOPRT (POSIX にはない) ICANON および ECHO が同時に設定されている場合、 削除された文字も表示される。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が必要] ECHOKE (POSIX にはない) ICANON も設定された場合、 KILL が行の各文字を消去する代わりにエコーされる。 これ は ECHOE および ECHOPRT を指定することと等しい。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が必要] DEFECHO (POSIX にはない) プロセスが読み込んだときにだけエコーする。 (Linux では実装されていない) FLUSHO (POSIX にはない; Linux では対応していない) 出力をフラッシュする。このフラグは DISCARD 文字を入力 することで切替えられる。 [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が必要] NOFLSH INT, QUIT, SUSP 文字に対応するシグナルを発生する際の 入力・出力キューのフラッシュを無効にする。 TOSTOP バックグラウンドプロセスのプロセスグループで制御端末へ 文字を出力しようとしているプロセスに対して SIGTTOU シグナルを送る。 PENDIN (POSIX にはない; Linux では対応していない) 次の文字を読み込んだ時、入力キュー中の全文字を再表示す る。 (bash(1) は入力行をこのように処理している。) [_BSD_SOURCE か _SVID_SOURCE が必要] IEXTEN 実装依存の入力処理を有効にする。 このフラグは、特殊文字である EOL2, LNEXT, REPRINT, WERASE や、 IUCLC フラグを有効にするために必要である。 c_cc 配列は端末特殊文字を定義している。 シンボルの一覧 (初期値) と意味は以下の通り。 VDISCARD (POSIX にはない; Linux では対応していない; 017, SI, Ctrl-O) 未送信バッファの内容の破棄/保存を切り 替える。 IEXTEN がセットされている場合に認識し、入力には渡されない。 VDSUSP (POSIX にはない; Linux では対応していない; 031, EM, Ctrl-Y) 遅延中断文字 (DSUSP)。 ユーザープログ ラムから文字が読み込まれた時に SIGTSTP シグナルを送る。 IEXTEN と ISIG がセットされていて、システ ムがジョブ制御に対応している 場合に 認識し、入力には渡されない。 VEOF (004, EOT, Ctrl-D) ファイル終端文字 (EOF)。 より正確には、tty バッファの内容を行末を待たずにユー ザープログラムに送る。 これが行の最初の文字だった場合、ユーザープログラムの read(2) は 0 を 返し、 ファイル終端であることを知らせる。 ICANON がセットされている場合に認識し、 入力には渡されない。 VEOL (0, NUL) 追加の行末文字 (EOL)。 ICANON がセットされている場合に認識する。 VEOL2 (POSIX にはない; 0, NUL) 追加の行末文字 (EOL2)。 ICANON がセットされている場合に認識する。 VERASE (0177, DEL, rubout か 010, BS, Ctrl-H か #) 消去文字 (ERASE)。 これにより、直前の未消去文字を消去 する。 しかし、EOF や行頭を超えては消去しない。 ICANON がセットされている場合に認識し、入力には渡 されない。 VINTR (003, ETX, Ctrl-C か 0177, DEL, rubout) 割り込み文字 (INTR)。 SIGINT シグナルを送る。 ISIG がセッ トされている場合に認識し、入力には渡されない。 VKILL (025, NAK, Ctrl-U か Ctrl-X か @) 完全消去文字 (KILL)。 直前の EOF か行頭以降の全ての入力を消去す る。 ICANON がセットされている場合に認識し、入力には渡されない。 VLNEXT (POSIX にはない; 026, SYN Ctrl-V) リテラル (LNEXT)。 次の入力文字をエスケープし、特別な意味があっ ても解釈しない。 IEXTEN がセットされている場合に認識し、入力には渡されない。 VMIN 非カノニカル読み込み時の最小文字数 (MIN)。 VQUIT (034, FS, Ctrl-\) 終了文字 (QUIT)。 SIGQUIT シグナルを送る。 ISIG がセットされている場合に認識 し、入力には渡されない。 VREPRINT (POSIX にはない; 022, DC2, Ctrl-R) まだ読み込んでいない文字列を再表示する (REPRINT)。 ICANON と IEXTEN がセットされている場合に認識し、入力には渡されない。 VSTART (021, DC1, Ctrl-Q) 開始文字 (START)。停止文字で停止した出力を再開する。 IXON がセットされている場 合に認識し、入力には渡されない。 VSTATUS (POSIX にはない; Linux では対応していない; 状態要求: 024, DC4, Ctrl-T) 状態文字 (STATUS)。端末での 状態情報を表示する。 表示される情報には、フォアグラウンドプロセスの状態やそのプロセスが消費した CPU 時間の総計が含まれる。 また、フォアグラウンドプロセスグループにシグナル SIGINFO を送信する (Linux ではサポートされていない)。 VSTOP (023, DC3, Ctrl-S) 停止文字 (STOP)。 開始文字が入力されるまで出力を停止する。 IXON が設定されてい る場合に認識し、入力には渡されない。 VSUSP (032, SUB, Ctrl-Z) 中断文字 (SUSP)。 SIGTSTP シグナルを送る。 ISIG がセットされている場合に認識 し、入力には渡されない。 VSWTCH (POSIX にはない; Linux では対応していない; 0, NUL) スイッチ文字 (SWTCH)。 System V で (シェルの ジョブ制御の前にあった) shell layers での シェルの切り替えに用いられる。 VTIME 非カノニカル読み込み時のタイムアウト時間 (1/10 秒単位) (TIME)。 VWERASE (POSIX にはない; 027, ETB, Ctrl-W) 単語消去 (WERASE)。 ICANON と IEXTEN がセットされている場合に 認識し、入力には渡されない。 対応する c_cc 要素の値を _POSIX_VDISABLE に設定することで、 それぞれの端末制御文字を無効にすることができ る。 上記のシンボルの示す値は全て異なる。ただし、 VTIME, VMIN はそれぞれ VEOL, VEOF と同じ値である。 非カノニ カルモードでは、特殊文字の意味は タイムアウトの意味に変わる。 VMIN と VTIME の説明については、 下記の非カ ノニカルモードの説明を参照のこと。 端末の設定の取得と変更 tcgetattr() は fd に関するパラメータを取得し、termios_p が参照する構 造体 termios に設定する。この関数は バックグラウンドプロセスから 呼ばれることもあるが、この場合、端末の属性はフォアグラウンドプロセス によっ て変化することもある。 tcsetattr() は端末に関連したパラメータを設定する (ハードウェアの設定に必要で、ここで 設定できないものを 除く)。設定には termios_p が参照する termios 構造体を用いる。 optional_actions には変更が有効となるタイミ ングを設定する: TCSANOW ただちに変更が有効となる。 TCSADRAIN fd への出力がすべて転送された後に変更が有効になる。この機能は 出力に影響するパラメータを変更する時 に使用するべきである。 TCSAFLUSH パラメータを変更する前に、 fd への出力がすべて転送され、受信したがまだ読み込んでいないすべての 入 力が破棄される。 カノニカルモードと非カノニカルモード c_lflag の ICANON フラグの設定により、端末がカノニカルモードで動作するかが決定される。 ICANON がセットさ れた場合、カノニカルモード (canonical mode) となり、 セットされない場合、非カノニカルモード (noncanonical mode) となる。 デフォルトでは、 ICANON はセットされる。 カノニカルモードでは、以下のような動作となる。 * 入力は行単位に行われる。 行区切り文字が打ち込まれた時点で、入力行が利用可能となる。 行区切り文字は NL, EOL, EOL2 および行頭での EOF である。 EOF 以外の場合、 read(2) が返すバッファに行区切り文字も含められ る。 * 行編集が有効となる (ERASE, KILL が効果を持つ。 IEXTEN フラグが設定された場合は、 WERASE, REPRINT, LNEXT も効果を持つ)。 read(2) は最大でも 1行の入力しか返さない。 read(2) が要求したバイト数が現在の入力行の バイト数よりも少ない場合、 要求したのと同じバイト数だけが読み込まれ、 残りの文字は次回の read(2) で読み 込まれる。 非カノニカルモードでは、入力は即座に利用可能となり (ユーザは行区切り文字を打ち込む必要はない)、入力処理は 実行されず、行編集は無効となる。 MIN (c_cc[VMIN]) と TIME (c_cc[VTIME]) の設定により、 read(2) が完了する 条件が決定される。4種類の場合がある: * MIN == 0; TIME == 0: データが利用可能であれば、 read(2) はすぐに返る。このときの返り値は、そのとき利用 可能なバイト数か read(2) の要求バイト数のうち小さい方となる。 利用可能なデータがない場合 read(2) は 0 を返す。 * MIN > 0; TIME == 0: read(2) は、利用可能なデータが MIN バイトか要求バイト数のいずれかに達するまで 停止 する。返り値は、MIN か要求バイト数の小さい方となる。 * MIN == 0; TIME > 0: TIME はタイマの上限を規定し、単位は 1/10 秒である。 タイマは read(2) が呼ばれた時点 で開始される。 read(2) が返るのは、少なくとも 1バイトのデータが利用可能となった時点、 またはタイマが時 間切れとなった時点である。 入力が全くなくタイマが時間切れとなった場合、 read(2) は 0 を返す。 * MIN > 0; TIME > 0: TIME はタイマの上限を規定し、単位は 1/10 秒である。 入力の最初のバイトが利用可能に なった後は、 新たに 1バイト受信する度にタイマがリセットされる。 read(2) が返るのは、MIN バイトか要求バ イト数のうち少ない方まで読み出された時点か、 バイト間タイマが時間切れとなった時点である。 は最初のバイ トが利用可能にならないとタイマは開始されないので、 少なくとも 1バイトは読み込まれる。 Raw mode cfmakeraw() は、端末を昔の Version 7 端末ドライバの "raw" モードのように設定する。 入力は文字単位に可能 であり、エコーが無効となり、 端末の入出力文字に対する特殊処理はすべて無効となる。 端末の属性は以下のよう に設定される: termios_p->c_iflag &= ~(IGNBRK | BRKINT | PARMRK | ISTRIP | INLCR | IGNCR | ICRNL | IXON); termios_p->c_oflag &= ~OPOST; termios_p->c_lflag &= ~(ECHO | ECHONL | ICANON | ISIG | IEXTEN); termios_p->c_cflag &= ~(CSIZE | PARENB); termios_p->c_cflag |= CS8; ライン制御 tcsendbreak() は端末が非同期のシリアルデータ転送を用いている場合に、 連続した0のビット列を一定間隔で転送 する。 duration が 0 の場合は、0 のビットを 0.25 秒以上、 0.5 秒以下の間隔で転送する。 duration が 0 でな い場合は、 0 のビットを実装依存の時間間隔で送る。 端末が非同期のシリアルデータ転送モードでない場合、 tcsendbreak() は何も行わずに戻る。 tcdrain() は fd が行っている出力の転送が完了するまで待つ。 tcflush() は fd が行っているデータの出力でまだ転送されていないもの、あるいは受信し たがまだ入力していな いものを破棄する。いずれを行うかは queue_selector の値で定める: TCIFLUSH 受信したが読んでいないデータをフラッシュする。 TCOFLUSH 書いたが送信していないデータをフラッシュする。 TCIOFLUSH 受信したが読んでいないデータ・書いたが送信していないデータ両方 をフラッシュする。 tcflow() は fd で指定されたオブジェクトにおけるデータの送信あるいは受信を一時的に中断する。 送信と受信の どちらかは、 actionで決まる: TCOOFF 出力の中断。 TCOON 中断した出力の再開。 TCIOFF STOP 文字の送信。 STOP 文字は端末デバイスからシステムへのデータ送信を停止する。 TCION START 文字の送信。 START 文字は端末デバイスからシステムへのデータ送信を開始する。 端末ファイルがオープンされたときのデフォルトでは、 入力も出力も中断されていない。 ライン速度 ボーレート関数は termios 構造体中の入出力ボーレートを 取得、設定するために提供される。 設定された値は tcsetattr() の呼び出しが成功するまでは有効ではない。 速度を B0 に設定した場合、モデムは停止 (hang up) する。 B38400 に該当する実際のビットレートは setserial(8) で 変更できる。 入力および出力ボーレートは termios 構造体に格納される。 cfgetospeed() は termios_p が示している termios 構造体に格納されている 出力ボーレートを返す。 cfsetospeed() は termios_p で示されている termios 構造体中の出力ボーレートを speed に設定する。値は以下 のいずれかでなければならない: B0 B50 B75 B110 B134 B150 B200 B300 B600 B1200 B1800 B2400 B4800 B9600 B19200 B38400 B57600 B115200 B230400 0ボー (B0) は接続の中断に用いられる。 B0が指定された場合、モデムの制御線は使用されない状態になり、一般に はこれで 接続が切断される。 CBAUDEX はPOSIX.1で定義されている速度の範囲外 (57600 およびそれ以上) を設定 する。すなわち例えば B57600 & CBAUDEX は 0 でない。 cfgetispeed() は termios 構造体中の入力ボーレートを返す。 cfsetispeed() は termios 構造体中の入力ボーレートを speed に設定する。 speed には、上述の cfsetospeed() のボーレート定数 Bnnn のいずれか一つを指定しなければならない。 入力ボーレートが 0 に設定された場合、入力 ボーレートは出力ボーレート と同じ値となる。 cfsetspeed() は 4.4BSD による拡張である。この関数は cfsetispeed() と同じ引き数をとり、入出力両方の速度を 設定する。
返り値
cfgetispeed() は termios 構造体中の入力ボーレートを返す。 cfgetospeed() は termios 構造体中の出力ボーレートを返す。 他のすべての関数の戻り値: 0 実行成功。 -1 実行失敗。 errno がエラーの種類を示す。 tcsetattr() は なんらかの 変更要求が成功した場合に成功を返すことに注意。 従って、複数の変更を行った場合 には、引き続いて tcgetattr() を呼び出して全ての変更が実行されているかを確認する必要があるかもしれない。
準拠
tcgetattr(), tcsetattr(), tcsendbreak(), tcdrain(), tcflush(), tcflow(), cfgetispeed(), cfgetospeed(), cfsetispeed(), cfsetospeed() は POSIX.1-2001 で規定されている。 cfmakeraw() と cfsetspeed() は非標準だが、BSD では利用可能である。
注意
UNIX V7 とその後のいくつかのシステムでは、ボーレートの 14 個のリストである B0, ..., B9600 の後ろに EXTA, EXTB ("External A" と "External B") の 2 つを 追加している。 多くのシステムではさらに高速なボーレートのた めにリストを拡張している。 tcsendbreak() で duration に 0 以外を指定した場合の効果は様々である。 SunOS は duration*N 秒のブレークを 規定している。ここで N は 0.25 以上 0.5 未満である。 Linux, AIX, DU, Tru64 は duration ミリ秒のブレークを 送信する。 FreeBSD, NetBSD, HP-UX, MacOS は duration の値を無視する。 Solaris と UnixWare では、非ゼロの duration を指定した tcsendbreak() の振る舞いは tcdrain() と同様である。
関連項目
stty(1), console_ioctl(4), tty_ioctl(4), setserial(8)
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.54 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告 に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。