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名前
sk98lin - Marvell/SysKonnect ギガビットイーサネットドライバ v6.21
書式
insmod sk98lin.o [Speed_A=i,j,...] [Speed_B=i,j,...] [AutoNeg_A=i,j,...] [AutoNeg_B=i,j,...]
[DupCap_A=i,j,...] [DupCap_B=i,j,...] [FlowCtrl_A=i,j,...] [FlowCtrl_B=i,j,...] [Role_A=i,j,...]
[Role_B=i,j,...] [ConType=i,j,...] [Moderation=i,j,...] [IntsPerSec=i,j,...] [PrefPort=i,j,...]
[RlmtMode=i,j,...]
説明
注意: この時代遅れのドライバはカーネル 2.6.26 で削除された。
sk98lin は Marvell と SysKonnect のネットワークアダプタカードの ギガビットイーサネットドライバである。 こ
れは SysKonnect SK-98xx/SK-95xx 互換のギガビットイーサネットアダプタと Yukon 互換のチップセットをサポート
している。
insmod を使ってドライバをロードする際、 ネットワークアダプタカードのパラメータを コンマで区切られたコマン
ドの列として指定することができる。 2 つのネットワークアダプタが取り付けられている時に、 例えば、1 つ目の
アダプタのポート A の自動ネゴシエーションは ON にするが、 2 つ目のアダプタのポート A は OFF にする場合
は、 以下のように入力すればよい:
insmod sk98lin.o AutoNeg_A=On,Off
sk98lin が 1 つ以上のアダプタカードに関連づけられていて、 かつ /proc ファイルシステムがシステムにマウント
されている場合、 取り付けられているネットワークアダプタカードの全てのポートについて、 (ポート単位に) 専用
の統計ファイルがフォルダ /proc/net/sk98lin に作られる。 これらのファイルは eth[x] という名前であり、 x は
インタフェースの番号である。 この番号はシステムによってポート毎に割り当てられたものである。
ロードが完了すると、 ifconfig(8) コマンドを使って、各 eth[x] インタフェースに希望する IP アドレスを割り
当てることができる。 これによりアダプタがイーサネットに接続され、 コンソールに状態メッセージが表示され
る。 このメッセージでは、 "ethx: network connection up using port y" の後に 設定されたり検出された接続パ
ラメータが表示される。
sk98lin はラージフレーム (ジャンボフレームとも呼ばれる) もサポートする。 ジャンボフレームを使うと、大量の
データを転送する際に、 スループットを大幅に向上させることができる。 ラージフレームを有効にするには、 イン
タフェースの MTU (maximum transfer unit, 最大転送単位) サイズを 大きな値に設定すればよい。 デフォルトの
MTU サイズは 1500 であり、 最大で 9000 (バイト) まで設定することができる。 MTU サイズを設定するのは、 イ
ンタフェースに IP アドレスを割り当てるときにもできるし、後から ifconfig(8) コマンドに mtu 引き数を指定す
ることで設定することもできる。 例えば、eth0 に IP アドレスとラージフレーム MTU サイズを 割り当てたい場
合、以下の 2 つのコマンドを実行すればよい:
ifconfig eth0 10.1.1.1
ifconfig eth0 mtu 9000
これらの 2 つのコマンドは 1 つにまとめることもできる:
ifconfig eth0 10.1.1.1 mtu 9000
ラージフレームを使用できるのは、ネットワーク環境全体で ラージフレームの使用が認められている場合のみである
点に注意すること。 つまり、イーサネットで使われている全てのスイッチでも ラージフレームがサポートされてい
なければならない。 多くのスイッチがラージフレームをサポートしてはいるが、 設定を行う必要がある。 多くの場
合、デフォルトの設定では標準フレーム (1500 バイトの MTU サイズ) だけしかサポートしない。 ネットワーク内の
スイッチに加え、 使用される全てのネットワークアダプタでも ジャンボフレームが有効になっていなければならな
い。 アダプタがラージフレームを受け取るように設定されていない場合、 アダプタはそのフレームを単純に捨てて
しまう。
標準のイーサネットフレームサイズに戻すのは、再び ifconfig(8) コマンドを使えばよい:
ifconfig eth0 mtu 1500
Linux の Marvell/SysKonnect ギガビットイーサネットドライバは、 IEEE 規格 802.1, 802.1q, 802.3ad に準拠す
る VLAN と Link Aggregation に対応している。 これらの機能は、インターネットにあるオープンソースモジュール
を インストールした後でのみ利用可能である:
VLAN: http://www.candelatech.com/~greear/vlan.html
Link Aggregation: http://www.st.rim.or.jp/~yumo
Marvell/SysKonnect は、これらのオープンソースモジュールに対するサポートは 行っておらず、これらを使った場
合に生じるいかなる失敗や問題についても 責任を負わない点に注意すること。
パラメータ
Speed_A=i,j,...
このパラメータはアダプタカードのポート A がサポートするリンク速度を 設定するのに使われる。これは
Yukon copper アダプタでのみ有効である。 使用可能な値は以下の通り: 10, 100, 1000, Auto。 デフォルト
は Auto である。 通常、リンク速度はリンクの確立時に 2 つのポートの間で自動設定される。 これに失敗
した場合、ポートはこの引き数で指定された設定になる。
Speed_B=i,j,...
このパラメータはアダプタカードのポート B がサポートするリンク速度を 設定するのに使われる。これは
Yukon copper アダプタでのみ有効である。 使用可能な値は以下の通り: 10, 100, 1000, Auto。 デフォルト
は Auto である。 通常、リンク速度はリンクの確立時に 2 つのポートの間で自動設定される。 これに失敗
した場合、ポートはこの引き数で指定された設定になる。
AutoNeg_A=i,j,...
アダプタカードのポート A の自動設定 (autonegotiation) の使用を 有効または無効にする。使用可能な値
は以下の通り: On, Off, Sense。 デフォルトは On である。 Sense モードはリンクパートナが自動設定をサ
ポートしているか否かを 自動的に検知する。
AutoNeg_B=i,j,...
アダプタカードのポート B の自動設定 (autonegotiation) の使用を 有効または無効にする。使用可能な値
は以下の通り: On, Off, Sense。 デフォルトは On である。 Sense モードはリンクパートナが自動設定をサ
ポートしているか否かを 自動的に検知する。
DupCap_A=i,j,...
この引き数はアダプタカードのポート A で使う二重通信 (duplex) モードを示す。 使用可能な値は以下の通
り: Half, Full, Both。 デフォルトは Both である。 この引き数はポート A の AutoNeg_A が Sense に設
定されていない場合にのみ有効である。 AutoNeg_A が On の場合、DupCap_A の 3 つの値 (Half, Full,
Both) のうちどれでも指定することができる。 AutoNeg_A が Off の場合、DupCap_A の値 Full と Half の
みを指定することができる。 この DupCap_A 引き数は、リンクパートナが全ての二重通信の組み合わせを サ
ポートしていない場合に役に立つ。
DupCap_B=i,j,...
この引き数はアダプタカードのポート B で使う二重通信モードを示す。 使用可能な値は以下の通り: Half,
Full, Both。 デフォルトは Both である。 この引き数はポート B の AutoNeg_B が Sense に設定されてい
ない場合にのみ有効である。 AutoNeg_B が On の場合、DupCap_B の 3 つの値 (Half, Full, Both) のうち
どれでも指定することができる。 AutoNeg_B が Off の場合、DupCap_B の値 Full と Half のみを指定する
ことができる。 この DupCap_B 引き数は、リンクパートナが全ての二重通信の組み合わせを サポートしてい
ない場合に役に立つ。
FlowCtrl_A=i,j,...
この引き数は自動設定時にポートが対向に伝える フロー制御機能を設定する。 使用可能な値は以下の通り:
Sym, SymOrRem, LocSend, None。 デフォルトは SymOrRem である。 それぞれのモードには以下のような意味
がある:
Sym = Symmetric
リンクパートナの双方が PAUSE フレームを送ることができる。
SymOrRem = SymmetricOrRemote
リンクパートナの双方またはリモートパートナのみが PAUSE フレームを送ることができる。
LocSend = LocalSend
ローカルリンクパートナのみが PAUSE フレームを送ることができる。
None = None
リンクパートナのどちらも PAUSE フレームを送ることはできない。
このパラメータは AutoNeg_A が Off の場合には無視される点に注意すること。
FlowCtrl_B=i,j,...
この引き数は自動設定時にポートが対向に伝える フロー制御機能を設定する。 使用可能な値は以下の通り:
Sym, SymOrRem, LocSend, None。 デフォルトは SymOrRem である。 それぞれのモードには以下のような意味
がある:
Sym = Symmetric
リンクパートナの双方が PAUSE フレームを送ることができる。
SymOrRem = SymmetricOrRemote
リンクパートナの双方またはリモートパートナのみが PAUSE フレームを送ることができる。
LocSend = LocalSend
ローカルリンクパートナのみが PAUSE フレームを送ることができる。
None = None
リンクパートナのどちらも PAUSE フレームを送ることはできない。
このパラメータは AutoNeg_B が Off の場合には無視される点に注意すること。
Role_A=i,j,...
この引き数は 1000Base-T アダプタカードでのみ有効である。 2 つの 1000Base-T ポートが通信する場合、
片方が (タイミング情報を提供する) マスタの役割をしなければならず、 もう片方がスレーブにならなけれ
ばならない。 使用可能な値は以下の通り: Auto, Master, Slave。 デフォルトは Auto である。 通常、ポー
トの役割は 2 つのポートでリンクを確立するときに自動設定される。 自動設定に失敗した場合、 アダプタ
カードのポート A はこの引き数で指定された設定になる。
Role_B=i,j,...
この引き数は 1000Base-T アダプタカードでのみ有効である。 2 つの 1000Base-T ポートが通信する場合、
片方が (タイミング情報を提供する) マスタの役割をしなければならず、 もう片方がスレーブにならなけれ
ばならない。 使用可能な値は以下の通り: Auto, Master, Slave。 デフォルトは Auto である。 通常、ポー
トの役割は 2 つのポートでリンクを確立するときに自動設定される。 自動設定に失敗した場合、 アダプタ
カードのポート B はこの引き数で指定された設定になる。
ConType=i,j,...
この引き数は、ポート毎に指定する、全部で 5 個の引き数の組み合わせを、 1 つの引き数にしたものであ
る。 これによりアダプタカードの 2 つのポートの設定を簡略化できる。 この変数のそれぞれの値は、 ポー
ト引き数の最も意味のある組み合わせを反映したものである。 使用可能な値とそれに対応するポート毎のパ
ラメータの組み合わせは、 以下の通り:
ConType | DupCap AutoNeg FlowCtrl Role Speed
--------+-------------------------------------------
Auto | Both On SymOrRem Auto Auto
100FD | Full Off None Auto 100
100HD | Half Off None Auto 100
10FD | Full Off None Auto 10
10HD | Half Off None Auto 10
その他のポート引き数を ConType 引き数と組み合わせて指定すると、それらの設定を結合した設定となる。
これは、ポート毎の引き数 (例えば Speed_A) の方が組み合わせ変数 ConType より優先順位が高いためであ
る。
Moderation=i,j,...
割り込み調停 (interrupt moderation) は、ドライバが処理を開始しなければ ならない割り込み回数の最大
値を設定するために使用される。 つまり、ドライバが処理を行うまで、1回以上の割り込み (送信または受信
パケットが処理されること) がキューに入れられる。 キューに入れられた割り込みがいつ処理されるかは、
以下で説明する IntsPerSec 引き数で決定される。 使用可能な調停モードは以下の通り: None, Static,
Dynamic。 デフォルトは None である。 それぞれのモードは以下の意味を持つ:
None アダプタカードに対して割り込み調停を適用しない。 よって送信または受信割り込みは、 アダプタ
カードの割り込み線に現れると直ぐに処理される。
Static アダプタカードに対して割り込み調停が適用される。 全ての送信または受信割り込みは、調停間隔が
完全に終わるまで キューに入れられる。 この調停間隔が終わると、キューに入れられた全ての割り込みは、
1個の大きな塊として遅延なく処理される。 Static という用語は、あるインタフェースに現在どれだけの
ネットワーク負荷がかかっているかに関わらず、 割り込み調停が常に有効になることを表している。 さら
に、調停間隔の時間は固定で、ドライバが動作している間は変化しない。
Dynamic システムの負荷に応じて、アダプタカードに対して割り込み調停が適用される。 ドライバがシステ
ムの負荷が高すぎると検出した場合、 割り込み調停を有効にすることにより、 過剰なネットワーク負荷から
システムを保護しようとする。 —その後に—CPU 利用率が再び下がった場合 (またはネットワーク負荷が極わ
ずかになった場合)、 割り込み調停は自動的に無効にされる。
ドライバが扱わなければならないインタフェースのうち ネットワーク負荷が高いものが 1 つ以上あり、 —そ
の結果—CPU 利用率が高くなっている場合、 割り込み調停を使うべきである。 ネットワーク負荷が高い状況
で調停が適用されると、 遅いコンピュータでは CPU 負荷が 20-30% 削減されるだろう。
割り込み調停を使うことの欠点として、 往復遅延時間 (round-trip-time, RTT) の増加がある点に注意する
こと。 これは、割り込みがキューに入れられ、まとめて処理されるためである。
IntsPerSec=i,j,...
この引き数は割り込み調停の間隔を決定する。 静的 (static) 割り込み調停が使われている場合、
IntsPerSec 引き数の値が 2000 であれば、割り込み調停の間隔は 500 ミリ秒になる。 この引き数に設定可
能な値は 30...40000 の範囲で、 これは 1 秒毎の割り込み回数である。 デフォルト値は 2000 である。
この引き数は静的 (static) または動的 (dynamic) 割り込み調停が 有効になっているときにのみ使用され
る。 この引き数は割り込み調停が適用されていない場合には無視される。
調停間隔の期間は注意して選ぶこと。 一見したところでは、とても長い期間 (例えば 1 秒間に 100 回だけ
の割り込み) を 選ぶことに意味があるように見えるかもしれないが、そうすると パケット処理の遅延が激し
く増加する。 一方で、とても短い調停時間を選ぶと、割り込み調停を使う意味がなくなってしまう。
PrefPort=i,j,...
この引き数は (2 ポートのネットワークアダプタで) 優先 (preferred) ポートを A または B のどちらにす
るかを指定するのに使われる。 優先ポートとは、A と B の両方のポートが完全に機能していると検知された
場合に 使用されるポートである。 使用可能な値は以下の通り: A または B。 デフォルトは A である。
RlmtMode=i,j,...
RLMT はポートの状態を監視する。 アクティブなポートのリンクが落ちた場合、 RLMT は即時に待機している
リンクに切り替える。 少なくとも 1 つの「物理的」リンクが起動するまでは、仮想リンクが維持される。
この引き数は RLMT が両方のポートをどのように監視するかを決める。 使用可能な値は以下の通り:
CheckLinkState, CheckLocalPort, CheckSeg, DualNet。 デフォルトは CheckLinkState である。 各モード
は以下のような意味を持つ。
CheckLinkState リンク状態のチェックのみ: RLMT は、各ポートについてアダプタハードウェアが報告するリ
ンク状態を使い、 そのポートが全てのネットワークトラフィックを送受信するのに使用可能かを 決定する。
CheckLocalPort このモードでは、RLMT はアダプタカードの 2 つのポートの間で 定期的にパケットを交換す
ることにより、 2 つのポートの間のネットワーク経路を監視する。 このモードでは 2 つのポートが互いに
「見える」ような ネットワーク設定が必要である (つまり、ポート間にルータがあってはならない)。
CheckSeg ローカルポートとセグメントをチェックする。 このモードは CheckLocalPort モードと同じ機能を
提供し、 更にポート間のネットワークセグメントをチェックする。 よって、このモードはネットワーク上に
スパニングツリープロトコル (Spanning Tree protocol) を 使うように設定されたギガビットイーサネット
スイッチが 設置されている場合にのみ使用できる。
DualNet このモードでは、ポート A と B が別々のデバイスとして使用される。 2 ポートのアダプタを持っ
ている場合、ポート A を eth[x] に、ポート B を eth[x+1] に設定することができる。 2 つのポートは
別々の IP アドレスを付けて独立に使用することができる。 優先ポートの設定は使用されない。 RLMT は無
効にされる。
RLMT モード CheckLocalPort と CheckLinkState は、1 つのアダプタ上のポート間でネットワーク経路があ
るような設定で 動作するように設計されている。 さらに、このモードはアダプタ同士が直結
(back-to-back) で 接続されている状態で動作するようには設計されていない。
ファイル
/proc/net/sk98lin/eth[x]
アダプタカードの特定のインタフェースの統計ファイル。 このファイルには、アダプタカードの一般的な情
報と、 全ての送信・受信カウンタの詳細な一覧が含まれる。
/usr/src/linux/Documentation/networking/sk98lin.txt
sk98lin ドライバの README ファイルである。 これには詳細なインストール HOWTO が含まれており、 ドラ
イバの全ての引き数が記述されている。 また一般的な問題とその解決法についても書かれている。
バグ
バグは linux@syskonnect.de に報告してほしい。
関連項目
insmod(8), ifconfig(8), modprobe(8)
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.54 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告
に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。
Linux 2012-08-05 SK98LIN(4)