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名前

       ip6tables - IPv6 パケットフィルタを管理する

書式

       ip6tables [-t テーブル] -[AD] チェイン ルールの詳細 [オプション]
       ip6tables [-t テーブル] -I チェイン [ルール番号] ルールの詳細 [オプション]
       ip6tables [-t テーブル] -R チェイン ルール番号 ルールの詳細 [オプション]
       ip6tables [-t テーブル] -D チェイン ルール番号 [オプション]
       ip6tables [-t テーブル] -[LFZ] [チェイン] [オプション]
       ip6tables [-t テーブル] -N チェイン
       ip6tables [-t テーブル] -X [チェイン]
       ip6tables [-t テーブル] -P チェイン ターゲット [オプション]
       ip6tables [-t テーブル] -E 旧チェイン名 新チェイン名

説明

       ip6tables  は  Linux  カーネルの IPv6 パケットフィルタルールのテーブルを 設定・管理・検査するために使われ
       る。 複数の異なるテーブルが定義される可能性がある。  各テーブルは組み込み済みチェインを含む。  さらにユー
       ザー定義のチェインを含むこともできる。

       各チェインは、パケット群にマッチするルールのリストである。  各ルールは マッチしたパケットに対して何をする
       かを指定する。 これは「ターゲット」と 呼ばれ、 同じテーブル内のユーザー定義チェインにジャンプすることもで
       きる。

ターゲット

       ファイアウォールのルールは、パケットを判断する基準とターゲットを指定する。       パケットがマッチしない場
       合、チェイン内の次のルールが評価される。  パケットがマッチした場合、 ターゲットの値によって次のルールが指
       定される。 ターゲットの値は、ユーザー定義チェインの名前、または特別な値 ACCEPT, DROP, QUEUE, RETURN  のう
       ちの 1 つである。

       ACCEPT  はパケットを通すという意味である。 DROP はパケットを床に落す (捨てる) という意味である。 QUEUE は
       パケットをユーザー空間に渡すという意味である (カーネルがサポートしていればであるが)。 RETURN は、このチェ
       インを辿るのを中止して、 前の (呼び出し元) チェインの次のルールから再開するという意味である。  組み込み済
       みチェインの最後に到達した場合、  または組み込み済みチェインで ターゲット RETURN を持つルールにマッチした
       場合、 チェインポリシーで指定されたターゲットが パケットの行方を決定する。

テーブル

       現在のところ 2  つの独立なテーブルが存在する  (どのテーブルがどの時点で現れるかは、  カーネルの設定やどう
       いったモジュールが存在するかに依存する)。 nat テーブルは、まだ実装されていない。

       -t, --table table
              このオプションは、このコマンドが操作するパケットマッチングテーブルを  指定する。  カーネルに自動モ
              ジュールローディングが設定されている場合、  そのテーブルに対する適切なモジュールがまだロードされて
              いなければ、 そのモジュールがロードされる。

              テーブルは以下の通りである。

              filter:
                  (-t  オプションが指定されていない場合は) これがデフォルトのテーブルである。 これには INPUT (マ
                  シン自体に入ってくるパケットに対するチェイン)・ FORWARD  (マシンを経由するパケットに対するチェ
                  イン)・  OUTPUT (ローカルマシンで生成されたパケットに対するチェイン) という 組み込み済みチェイ
                  ンが含まれる。

              mangle:
                  このテーブルは特別なパケット変換に使われる。 カーネル 2.4.17 までは、  PREROUTING  (パケットが
                  入ってきた場合、 すぐにそのパケットを変換する ためのチェイン)・ OUTPUT (ローカルで生成されたパ
                  ケットを ルーティン グの前に変換するためのチェイン) という 2 つの組み込み済みチェインが含ま れ
                  ていた。  カーネル  2.4.18 からは、これらの他に INPUT (マシン自体に 入ってくるパケットに対する
                  チェイン)・ FORWARD (マシンを経由するパケッ トに対するチェイン)・ POSTROUTING  (パケットが出て
                  行くときに変換する ためのチェイン)・ という 3 つの組み込み済みチェインもサポートされる。

オプション

       ip6tables で使えるオプションは、いくつかのグループに分けられる。

   コマンド
       これらのオプションは、実行する特定の動作を指定する。 以下の説明で許可されていない限り、 この中の 1 つしか
       コマンドラインで指定することができない。  長いバージョンのコマンド名とオプション名は、 ip6tables が他のコ
       マンド名やオプション名と区別できる範囲で (文字を省略して) 指定することもできる。

       -A, --append chain rule-specification
              選択されたチェインの最後に 1 つ以上のルールを追加する。 送信元や送信先の名前の解決を行って、 1  つ
              以上のアドレスに展開された 場合は、可能なアドレスの組合せそれぞれに対してルールが追加される。

       -D, --delete chain rule-specification
       -D, --delete chain rulenum
              選択されたチェインから  1 つ以上のルールを削除する。 このコマンドには 2 つの使い方がある: チェイン
              の中の番号 (最初のルールを 1 とする) を指定する場合と、 マッチするルールを指定する場合である。

       -I, --insert
              選択されたチェインにルール番号を指定して 1 つ以上のルールを挿入する。 ルール番号が 1  の場合、ルー
              ルはチェインの先頭に挿入される。 これはルール番号が指定されない場合のデフォルトでもある。

       -R, --replace chain rulenum rule-specification
              選択されたチェインにあるルールを置き換える。 送信元や送信先の名前が 1 つ以上のアドレスに解決された
              場合は、 このコマンドは失敗する。ルール番号は 1 からはじまる。

       -L, --list [chain]
              選択されたチェインにある全てのルールを一覧表示する。  チェインが指定されない場合、全てのチェインに
              あるリストが一覧表示される。 他の各 iptables コマンドと同様に、  指定されたテーブル  (デフォルトは
              filter) に対して作用する。 よって mangle ルールを表示するには以下のようにする。
               ip6tables -t mangle -n -L
              DNS  の逆引きを避けるために、よく -n オプションと共に使用される。 -Z (ゼロ化) オプションを同時に指
              定することもできる。この場合、 チェインは要素毎にリストされて、 (訳註: パケットカウンタとバイト カ
              ウンタが) ゼロにされる。出力表示は同時に与えられた他の引き数に 影響される。以下のように、 -v  オプ
              ションを指定しない限り、 実際のルールそのものは表示されない。
               ip6tables -L -v

       -F, --flush [chain]
              選択されたチェイン (何も指定されなければテーブル内の全てのチェイン) の内容を全消去する。これは全て
              のルールを 1 個ずつ削除するのと 同じである。

       -Z, --zero [chain]
              すべてのチェインのパケットカウンタとバイトカウンタをゼロにする。  クリアされる直前のカウンタを見る
              ために、 -L, --list (一覧表示) オプションと同時に指定することもできる (上記を参照)。

       -N, --new-chain chain
              指定した名前でユーザー定義チェインを作成する。 同じ名前のターゲットが既に存在してはならない。

       -X, --delete-chain [chain]
              指定したユーザー定義チェインを削除する。 そのチェインが参照されていては ならない。  チェインを削除
              する前に、そのチェインを参照しているルールを 削除するか置き換えるかしなければならない。 引き数が与
              えられない場合、テー ブルにあるチェインのうち 組み込み済みチェインでないものを全て削除する。

       -P, --policy chain target
              チェインのポリシーを指定したターゲットに設定する。指定可能なターゲット  は「ターゲット」の章を参照
              すること。 (ユーザー定義ではない) 組み込み 済みチェインにしかポリシーは設定できない。 また、組み込
              み済みチェインも ユーザー定義チェインも ポリシーのターゲットに設定することはできない。

       -E, --rename-chain old-chain new-chain
              ユーザー定義チェインを指定した名前に変更する。  これは見た目だけの変更なので、テーブルの構造には何
              も影響しない。

       -h     ヘルプ。 (今のところはとても簡単な) コマンド書式の説明を表示する。

   パラメータ
       以下のパラメータは (add, delete, insert, replace, append コマンドで用いられて) ルールの仕様を決める。

       -p, --protocol [!] protocol
              ルールで使われるプロトコル、またはチェックされるパケットのプロトコル。    指定できるプロトコルは、
              tcp, udp, ipv6-icmp|icmpv6, all のいずれか  1  つか、数値である。  数値は、これらのプロトコルの  1
              つ、もしくは別のプロトコルを表す。  /etc/protocols にあるプロトコル名も指定できる。 プロトコルの前
              に "!"  を置くと、そのプロトコルを指定しないという意味になる。 数値 0 は all と等しい。 プロトコル
              all は全てのプロトコルとマッチし、 このオプションが省略された際のデフォルトである。

       -s, --source [!] address[/mask]
              送信元の指定。 address はホスト名 (DNS  のようなリモートへの問い合わせで解決する名前を指定するのは
              非常に良くない)・  ネットワーク  IPv6 アドレス (/mask を指定する)・ 通常の IPv6 アドレス (今のとこ
              ろ、ネットワーク名はサポートされていない)、のいずれかである。 mask はネットワークマスクか、 ネット
              ワークマスクの左側にある   1   の数を指定する数値である。   つまり、    64    という    mask    は
              ffff:ffff:ffff:ffff:0000:0000:0000:0000  に等しい。 アドレス指定の前に "!"  を置くと、そのアドレス
              を除外するという意味になる。 フラグ --src は、このオプションの別名である。

       -d, --destination [!] address[/mask]
              送信先の指定。 書式の詳しい説明については、 -s (送信元) フラグの説明を参照すること。 フラグ  --dst
              は、このオプションの別名である。

       -j, --jump target
              ルールのターゲット、つまり、パケットがマッチした場合にどうするかを指定  する。ターゲットはユーザー
              定義チェイン (そのルール自身が入っている チェイン以外)  でも、パケットの行方を即時に決定する特別な
              組み込み済み ターゲットでも、拡張されたターゲット (以下の 「ターゲットの拡張」 を 参照) でもよい。
              このオプションがルールの中で省略された場合、  ルールに  マッチしてもパケットの行方に何も影響しない
              が、 ルールのカウンタは 1 つ 加算される。

       -i, --in-interface [!] name
              パケットを受信することになるインターフェース名 (INPUT, FORWARD, PREROUTING  チェインに入るパケット
              のみ)。インターフェース名の前に "!" を置くと、 そのインターフェースを除外するという意味になる。 イ
              ンターフェース名が   "+"  で終っている場合、  その名前で始まる任意の  インターフェース名にマッチす
              る。このオプションが省略された場合、 任意のインターフェース名にマッチする。

       -o, --out-interface [!] name
              (FORWARD, OUTPUT チェインに入る)  パケットを送信するインターフェース名。  インターフェース名の前に
              "!"  を置くと、 そのインターフェースを除外するという意味になる。 インターフェース名が "+" で終って
              いる場合、 その名前で始まる任意のインターフェース名にマッチする。 このオプションが省略された場合、
              任意のインターフェース名にマッチする。

       -c, --set-counters  PKTS BYTES
              このオプションを使うと、 (insert, append, replace 操作において) 管理者はパケットカウンタとバイトカ
              ウンタを 初期化することができる。

   その他のオプション
       その他に以下のオプションを指定することができる:

       -v, --verbose
              詳細な出力を行う。 list コマンドの際に、インターフェース名・ (もしあれば)  ルールのオプション・TOS
              マスクを表示させる。 パケットとバイトカウンタも表示される。 添字 'K', 'M', 'G' は、 それぞれ 1000,
              1,000,000,  1,000,000,000  倍を表す  (これを変更する  -x  フラグも見よ)。 このオプションを append,
              insert, delete, replace コマンドに適用すると、 ルールについての詳細な情報を表示する。

       -n, --numeric
              数値による出力を行う。 IP アドレスやポート番号を数値によるフォーマット  で表示する。  デフォルトで
              は、iptables は (可能であれば) これらの情報を ホスト名・ネットワーク名・サービス名で表示しようとす
              る。

       -x, --exact
              厳密な数値で表示する。  パケットカウンタとバイトカウンタを、  K  (1000  の何倍か)・M (1000K の何倍
              か)・G (1000M の何倍か) ではなく、 厳密な値で表示する。 このオプションは、 -L コマンドとしか関係し
              ない。

       --line-numbers
              ルールを一覧表示する際、そのルールがチェインのどの位置にあるかを表す    行番号を各行の始めに付加す
              る。

       --modprobe=command
              チェインにルールを追加または挿入する際に、 (ターゲットやマッチングの拡張などで) 必要なモジュールを
              ロードするために使う command を指定する。

マッチングの拡張

       ip6tables  は拡張されたパケットマッチングモジュールを使うことができる。 これらのモジュールは 2 種類の方法
       でロードされる: モジュールは、 -p または --protocol で暗黙のうちに指定されるか、 -m または --match の後に
       モジュール名を続けて指定される。 これらのモジュールの後ろには、モジュールに応じて  他のいろいろなコマンド
       ラインオプションを指定することができる。 複数の拡張マッチングモジュールを 1 行で指定することができる。 ま
       た、モジュールに特有のヘルプを表示させるためには、 モジュールを指定した後で -h または --help を指定すれば
       よい。

       以下の拡張がベースパッケージに含まれている。大部分のものは、  ! を 前におくことによってマッチングの意味を
       逆にできる。

   tcp
       これらの拡張は `--protocol tcp' が指定され場合にロードされ、 以下のオプションが提供される:

       --source-port [!] port[:port]
              送信元ポートまたはポート範囲の指定。 サービス名またはポート番号を指定で きる。 port:port  という形
              式で、2  つの番号を含む範囲を指定すること  もできる。 最初のポートを省略した場合、"0" を仮定する。
              最後のポートを 省略した場合、"65535" を仮定する。 最初のポートが最後のポートより大きい 場合、2  つ
              は入れ換えられる。 フラグ --sport は、このオプションの便利 な別名である。

       --destination-port [!] port[:port]
              送信先ポートまたはポート範囲の指定。 フラグ --dport は、このオプションの便利な別名である。

       --tcp-flags [!] mask comp
              TCP  フラグが指定されたものと等しい場合にマッチする。 第 1 引き数は評価 対象とするフラグで、コンマ
              区切りのリストである。 第 2 引き数は必ず設定  しなければならないフラグで、コンマ区切りのリストであ
              る。 指定できるフラ グは SYN ACK FIN RST URG PSH ALL NONE である。 よって、コマンド
              ip6tables -A FORWARD -p tcp --tcp-flags SYN,ACK,FIN,RST SYN
              は、SYN フラグが設定され ACK, FIN, RST フラグが設定されていない パケットにのみマッチする。

       [!] --syn
              SYN ビットが設定され ACK と RST ビットがクリアされている TCP パケットに のみマッチする。このような
              パケットは TCP 接続の開始要求に使われる。例え ば、あるインターフェースに入ってくるこのようなパケッ
              トをブロックすれば、  内側への  TCP  接続は禁止されるが、外側への TCP 接続には影響しない。 これ は
              --tcp-flags SYN,RST,ACK SYN と等しい。 "--syn" の前に "!" フラグ を置くと、 SYN ビットがクリアされ
              ACK と RST ビットが設定されている TCP パケットにのみマッチする。

       --tcp-option [!] number
              TCP オプションが設定されている場合にマッチする。

   udp
       これらの拡張は `--protocol udp' が指定された場合にロードされ、 以下のオプションが提供される:

       --source-port [!] port[:port]
              送信元ポートまたはポート範囲の指定。 詳細は TCP 拡張の --source-port  オプションの説明を参照するこ
              と。

       --destination-port [!] port[:port]
              送信先ポートまたはポート範囲の指定。 詳細は TCP 拡張の --destination-port オプションの説明を参照す
              ること。

   ipv6-icmp
       これらの拡張は  `--protocol ipv6-icmp' または `--protocol icmpv6' が指定された場合にロードされ、 以下のオ
       プションが提供される:

       --icmpv6-type [!] typename
              ICMP タイプを指定できる。タイプ指定には、 数値の IPv6-ICMP タイプ、または以下のコマンド で表示され
              る IPv6-ICMP タイプ名を使用できる。
               ip6tables -p ipv6-icmp -h

   mac
       --mac-source [!] address
              送信元 MAC アドレスにマッチする。 address は XX:XX:XX:XX:XX:XX と いう形式でなければならない。イー
              サーネットデバイスから入ってくるパケッ トで、 PREROUTING, FORWARD, INPUT  チェインに入るパケットに
              しか 意味がない。

   limit
       このモジュールは、トークンバケツフィルタを使い、 単位時間あたり制限され た回数だけマッチする。 この拡張を
       使ったルールは、(`!' フラグが指定され ない限り) 制限に達するまでマッチする。 例えば、このモジュールはログ
       記録 を制限するために LOG ターゲットと組み合わせて使うことができる。

       --limit rate
              単位時間あたりの平均マッチ回数の最大値。   数値で指定され、添字   `/second',  `/minute',  `/hour',
              `/day' を付けることもできる。 デフォルトは 3/hour である。

       --limit-burst number
              パケットがマッチする回数の最大初期値:  上のオプションで指定した制限に  達しなければ、   その度ごと
              に、この数値になるまで 1 個ずつ増やされる。 デフォルトは 5 である。

   multiport
       このモジュールは送信元や送信先のポートの集合にマッチする。  ポートは 15 個まで指定できる。 このモジュール
       は -p tcp または -p udp と組み合わせて使うことしかできない。

       --source-ports port[,port[,port...]]
              送信元ポートが指定されたポートのうちのいずれかであればマッチする。  フラグ  --sports  は、このオプ
              ションの便利な別名である。

       --destination-ports port[,port[,port...]]
              宛先ポートが指定されたポートのうちのいずれかであればマッチする。  フラグ --dports は、このオプショ
              ンの便利な別名である。

       --ports port[,port[,port...]]
              送信元ポートと宛先ポートが等しく、 かつそのポートが指定されたポートの うちのいずれかであればマッチ
              する。

   mark
       このモジュールはパケットに関連づけられた netfilter の mark フィールドにマッチする (このフィールドは、以下
       の MARK ターゲットで設定される)。

       --mark value[/mask]
              指定された符号なし mark 値のパケットにマッチする (mask が指定されると、比較の前に mask  との論理積
              (AND) がとられる)。

   owner
       このモジュールは、ローカルで生成されたパケットに付いて、 パケット生成者のいろいろな特性とのマッチングをと
       る。  これは OUTPUT チェインのみでしか有効でない。 また、(ICMP ping 応答のような) パケットは、 所有者がい
       ないので絶対にマッチしない。 これは実験的なものという扱いである。

       --uid-owner userid
              指定された実効ユーザー ID のプロセスにより パケットが生成されている場合にマッチする。

       --gid-owner groupid
              指定された実効グループ ID のプロセスにより パケットが生成されている場合にマッチする。

       --pid-owner processid
              指定されたプロセス ID のプロセスにより パケットが生成されている場合にマッチする。

       --sid-owner sessionid
              指定されたセッショングループのプロセスにより パケットが生成されている場合にマッチする。

ターゲットの拡張

       iptables は拡張ターゲットモジュールを使うことができる: 以下のものが、標準的なディストリビューションに含ま
       れている。

   LOG
       マッチしたパケットをカーネルログに記録する。 このオプションがルールに対して設定されると、 Linux  カーネル
       はマッチしたパケットについての  (IPv6 における大部分の IPv6 ヘッダフィールドのような) 何らかの情報を カー
       ネルログに表示する (カーネルログは dmesg または syslogd(8)  で見ることができる)。 これは「非終了タ ーゲッ
       ト」である。 すなわち、ルールの検討は、次のルールへと継続される。  よって、拒否するパケットをログ記録した
       ければ、 同じマッチング判断基準を持つ 2 つのルールを使用し、 最初のルールで LOG ターゲットを、 次のルール
       で DROP (または REJECT) ターゲットを指定する。

       --log-level level
              ログ記録のレベル (数値て指定するか、(名前で指定する場合は) syslog.conf(5) を参照すること)。

       --log-prefix prefix
              指定したプレフィックスをログメッセージの前に付ける。 プレフィックスは 29 文字までの長さで、 ログの
              中でメッセージを区別するのに役立つ。

       --log-tcp-sequence
              TCP シーケンス番号をログに記録する。 ログがユーザーから読める場合、セキュリティ上の危険がある。

       --log-tcp-options
              TCP パケットヘッダのオプションをログに記録する。

       --log-ip-options
              IPv6 パケットヘッダのオプションをログに記録する。

   MARK
       パケットに関連づけられた netfilter の mark 値を指定する。 mangle テーブルのみで有効である。

       --set-mark mark

   REJECT
       マッチしたパケットの応答としてエラーパケットを送信するために使われる。     エラーパケットを送らなければ、
       DROP と同じであり、TARGET を終了し、 ルールの検討を終了する。 このターゲットは、 INPUT,  FORWARD,  OUTPUT
       チェインと、これらのチェインから呼ばれる  ユーザー定義チェイン だけで有効である。以下のオプションは、返さ
       れるエラーパケットの特性を 制御する。

       --reject-with type
              type として指定可能なものは
              icmp6-no-route
              no-route
              icmp6-adm-prohibited
              adm-prohibited
              icmp6-addr-unreachable
              addr-unreach
              icmp6-port-unreachable
              port-unreach
              であり、適切な IPv6-ICMP エラーメッセージを返す (port-unreach がデフォルトである)。 さらに、TCP プ
              ロトコルにのみマッチするルールに対して、オプション tcp-reset を使うことができる。 このオプションを
              使うと、TCP RST パケットが送り返される。 主として ident (113/tcp) による探査を阻止するのに役立つ。
              ident による探査は、壊れている (メールを受け取らない) メールホストに  メールが送られる場合に頻繁に
              起こる。

返り値

       いろいろなエラーメッセージが標準エラーに表示される。 正しく機能した場合、終了コードは 0 である。 不正なコ
       マンドラインパラメータによりエラーが発生した場合は、 終了コード 2 が返される。 その他のエラーの場合は、終
       了コード 1 が返される。

バグ

       バグ? バグって何? ;-)  えーと…、sparc64 ではカウンター値が信頼できない。

IPCHAINS との互換性

       ip6tables  は、Rusty  Russell  の  ipchains と非常によく似ている。 大きな違いは、チェイン INPUTOUTPUT
       が、それぞれローカルホストに入ってくるパケットと、 ローカルホストから出されるパケットのみしか調べないとい
       う点である。 よって、全てのパケットは 3 つあるチェインのうち 1 つしか通らない (ループバックトラフィックは
       例外で、INPUT と OUTPUT チェインの両方を通る)。 以前は (ipchains では)、 フォワードされるパケットが 3  つ
       のチェイン全てを通っていた。

       その他の大きな違いは、  -i  で入力インターフェース、  -o  で出力インターフェースを指定し、 ともに FORWARD
       チェインに入るパケットに対して指定可能な点である。 ip6tables では、その他にもいくつかの変更がある。

関連項目

       ip6tables-save(8), ip6tables-restore(8), iptables(8), iptables-save(8), iptables-restore(8).

       パケットフィルタリングについての詳細な iptables の使用法を 説明している packet-filtering-HOWTO。 NAT につ
       いて詳細に説明している       NAT-HOWTO。       標準的な配布には含まれない拡張の詳細を        説明している
       netfilter-extensions-HOWTO。 内部構造について詳細に説明している netfilter-hacking-HOWTO。
       http://www.netfilter.org/ を参照。

作者

       Rusty Russell は、初期の段階で Michael Neuling に相談して iptables を書いた。

       Marc  Boucher  は Rusty に iptables の一般的なパケット選択の考え方を勧めて、 ipnatctl を止めさせた。 そし
       て、mangle テーブル・所有者マッチング・ mark 機能を書き、いたるところで使われている素晴らしいコードを書い
       た。

       James Morris が TOS ターゲットと tos マッチングを書いた。

       Jozsef Kadlecsik が REJECT ターゲットを書いた。

       Harald Welte が ULOG ターゲット・TTL マッチングと TTL ターゲット・ libipulog を書いた。

       Netfilter コアチームは、Marc Boucher, Martin Josefsson, Jozsef Kadlecsik,  James  Morris,  Harald  Welte,
       Rusty Russell である。

       ip6tables  の man ページは、Andras Kis-Szabo によって作成された。 これは Herve Eychenne <rv@wallfire.org>
       によって書かれた iptables の man ページを元にしている。

                                                  Mar 09, 2002                                      IP6TABLES(8)