Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20140515+dfsg-2_all bug

名前

       kill - プロセスにシグナルを送る

書式

       #include <sys/types.h>
       #include <signal.h>

       int kill(pid_t pid, int sig);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       kill(): _POSIX_C_SOURCE >= 1 || _XOPEN_SOURCE || _POSIX_SOURCE

説明

       システムコールの kill()  は、任意のプロセス・グループもしくはプロセスにシグナルを 送るのに
       使われる。

       pid に正の値を指定した場合、シグナル sigpid で指定された ID を持つプロセスに送られる。

       pid に 0 を指定した場合、 呼び出し元のプロセスのプロセス・グループに属するすべてのプロセス
       に sig で指定したシグナルが送られる。

       pid に -1 を指定した場合、 sig で指定したシグナルが、 呼び出し元のプロセスがシグナルを送る
       許可を持つ全てのプロセスに 送られる。但し、プロセス番号  1  (init)  へはシグナルは送られな
       い。 以下の関連部分も参照のこと。

       pid に -1 より小さな値を指定した場合、 ID が -pid のプロセス・グループに属するすべてのプロ
       セスに sig で指定したシグナルが送られる。

       sig に 0  を指定した場合、シグナルは送られないが、  エラーのチェックは行われる。これを使っ
       て、プロセス ID や プロセスグループ ID の存在確認を行うことができる。

       プロセスがシグナルを送信する許可を持つためには、  プロセスが特権 (Linux では CAP_KILL ケー
       パビリティ (capability)) を持つか、 送信元プロセスの実ユーザー ID または実効ユーザー ID が
       送信先プロセスの実  set-user-ID または保存 set-user-ID と 等しくなければならない。 SIGCONT
       の場合、送信プロセスと受信プロセスが 同じセッションに属していれば十分である。  (過去には、
       ルールは違っていた; 「注意」の節を参照。)

返り値

       成功した場合 (少なくとも一つのシグナルが送信された場合)、 0 が返される。エラーの場合 -1 が
       返され、 errno が適切に設定される。

エラー

       EINVAL 無効なシグナルを指定した。

       EPERM  プロセスが、受信するプロセスのいずれに対しても シグナルを送る許可を持っていない。

       ESRCH  指定したプロセスまたはプロセス・グループが存在しなかった。 ゾンビプロセスは存在する
              プロセスとしてみなされる。 ゾンビプロセスとはすでに処理は終了しているが、親プロセス
              による wait()  処理が行われていないプロセスのことである。

準拠

       SVr4, 4.3BSD, POSIX.1-2001.

注意

       プロセス番号 1 の init プロセスに送ることができるシグナルは、 init  が明示的にシグナルハン
       ドラを設定したシグナルだけである。  こうなっているのは、誤ってシステムをダウンさせないよう
       にするためである。

       POSIX.1-2001 では、 kill(-1,sig) が 呼び出し元のプロセスがシグナルを送ることが出来るプロセ
       ス全てに sig を送ることを要求している。 但し、システム実装時に定められたシステムプロセスは
       シグナルの送信対象から除外される。 Linux  では、プロセスが自分自身にシグナルを送れるように
       なっているが、 Linux の kill(-1,sig) は呼び出し元のプロセスにはシグナルを送らない。

       POSIX.1-2001 では以下の動作になることを要求している。 自分自身にシグナルを送ると、シグナル
       を送ったスレッドがそのシグナルをブロック  しておらず、他のどのスレッドもそのシグナルを受け
       る状態にもなく  sigwait(3)  でそのシグナルを待ってもいない場合、 kill() が返る前に少なくと
       も一つのブロックされていない    シグナルがシグナルを送ったスレッドに配送されなければならな
       い。

   Linux での注意
       Linux では、特権のないプロセスが他のプロセスにシグナルを送信するために必要な権限についての
       ルールが、カーネルバージョンにより違っている。 カーネル 1.0 から 1.2.2  では、送信側の実効
       ユーザー  ID が送信対象の実効ユーザー ID と一致するか、 送信側の実ユーザー ID が送信対象の
       実ユーザー ID と一致すれば、 シグナルを送信できた。 カーネル 1.2.3 から 1.3.77では、送信側
       の実効ユーザー ID が送信対象の実ユーザー ID か実効ユーザー ID のいずれかと一致すればシグナ
       ルを送信できた。 現在のルールは、POSIX.1-2001 に準拠しており、カーネル 1.3.78 以降で  適用
       されている。

バグ

       バージョン  2.6.7 以前の 2.6 系のカーネルには、 プロセスグループにシグナルを送ったときに、
       呼び出し元のプロセスがプロセスグループの (全メンバーではなく) 一部のメンバーに対してのみシ
       グナルを送る許可を持っていない場合に、 kill()  がエラー EPERM で失敗するというバグがある。
       このエラーが返るにもかかわらず、そのシグナルは呼び出し元が  シグナルを送る許可を持つ全ての
       プロセスへ送られる。

関連項目

       _exit(2),   killpg(2),   signal(2),   tkill(2),   exit(3),   sigqueue(3),  credentials(7),
       capabilities(7), signal(7)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部である。  プロジェクト
       の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。