Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20140515+dfsg-2_all
名前
getpwnam, getpwnam_r, getpwuid, getpwuid_r - パスワードファイルのエントリの取得
書式
#include <sys/types.h> #include <pwd.h> struct passwd *getpwnam(const char *name); struct passwd *getpwuid(uid_t uid); int getpwnam_r(const char *name, struct passwd *pwd, char *buf, size_t buflen, struct passwd **result); int getpwuid_r(uid_t uid, struct passwd *pwd, char *buf, size_t buflen, struct passwd **result); glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照): getpwnam_r(), getpwuid_r(): _POSIX_C_SOURCE >= 1 || _XOPEN_SOURCE || _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE || _POSIX_SOURCE
説明
getpwnam() 関数は、ユーザ名 name にマッチするパスワード・データベースのエントリを 要素毎 に分解し、各要素を格納した構造体へのポインタを返す (パスワード・データベースの例: ローカル のパスワードファイル /etc/passwd, NIS, LDAP)。 getpwuid() 関数は、ユーザ ID uid にマッチするパスワード・データベースのエントリを 要素毎 に分解し、各要素を格納した構造体へのポインタを返す。 passwd 構造体は、<pwd.h> で以下のように定義されている: struct passwd { char *pw_name; /* ユーザ名 */ char *pw_passwd; /* ユーザのパスワード */ uid_t pw_uid; /* ユーザ ID */ gid_t pw_gid; /* グループ ID */ char *pw_gecos; /* ユーザ情報 */ char *pw_dir; /* ホームディレクトリ */ char *pw_shell; /* シェルプログラム */ }; これらのフィールドの詳しい情報については passwd(5) を参照のこと。 getpwnam_r() と getpwuid_r() 関数は、それぞれgetpwnam() と getpwuid() と同じ情報を取得する が、取得した passwd 構造体を pwd が指す領域に格納する。passwd 構造体のメンバーが指す文字列 は、 サイズ buflen のバッファ buf に格納される。成功した場合 *result には結果へのポインタ が格納される。エントリが見つからなかった 場合やエラーが発生した場合には *result には NULL が入る。 呼び出し sysconf(_SC_GETPW_R_SIZE_MAX) は、 errno を変更せずに -1 を返すか、 buf の初期サイズの推奨値を 返す。(このサイズが小さす ぎる場合、呼び出しは ERANGE で失敗し、この 場合には呼び出し側はバッファを大きくしてから再 度呼び出すことができる。)
返り値
getpwnam() と getpwuid() 関数は、 passwd 構造体へのポインタを返す。 一致するエントリが見 つからなかった場合や、エラーが発生した場合は NULL を返す。 エラーが起こった場合、 errno が 適切に設定される。 呼び出しの後で errno をチェックしたい場合は、 呼び出しの前に (この値を) 0 に設定しておくべきである。 返り値は静的な領域を指しており、その後の getpwent(3), getpwnam(), getpwuid() の呼び出しで 上書きされるかもしれない。 (返されたポインタを free(3) に渡さないこと。) 成功すると、 getpwnam_r() と getpwuid_r() は 0 を返し、 *result に pwd を設定する。 マッ チするパスワード・エントリが見つからなかった場合には、 0 を返し、 *result に NULL を設定す る。 エラーの場合、エラー番号を返し、 *result に NULL を設定する。
エラー
0 または ENOENT または ESRCH または EBADF または EPERM または ... 指定された name または uid が見つからなかった。 EINTR シグナルが捕捉された。 EIO I/O エラー。 EMFILE 呼び出し元プロセスがオープンしているファイル数が すでに上限 (OPEN_MAX) であった。 ENFILE システムでオープンされているファイル数がすでに上限であった。 ENOMEM passwd 構造体に割り当てるメモリが十分なかった。 ERANGE 与えられたバッファ空間が不十分である。
ファイル
/etc/passwd ローカルのパスワード・データベースファイル
属性
マルチスレッディング (pthreads(7) 参照) 関数 getpwnam() と getpwuid() はスレッドセーフではない。 関数 getpwnam_r() と getpwuid_r() はスレッドセーフである。
準拠
SVr4, 4.3BSD, POSIX.1-2001. pw_gecos フィールドは POSIX では規定されていないが、 ほとんど の実装に存在する。
注意
上記の「返り値」以下の記述は POSIX.1-2001 に拠る。 この標準は「(エントリが) 見つからないこ と」をエラーとしていないので、 そのような場合に errno がどのような値になるかを定めていな い。 そのため、エラーを認識することは不可能である。 POSIX に準拠して、エントリが見つからな い場合は errno を変更しないようにすべきである、と主張する人もいるかもしれない。 様々な UNIX 系のシステムで試してみると、そのような場合には 0, ENOENT, EBADF, ESRCH, EWOULDBLOCK, EPERM といった様々な値が返される。 他の値が返されるかもしれない。 フィールド pw_dir には、ユーザの作業ディレクトリ名の初期値が格納される。 ログインプロセス は、このフィールドの値を使って、 ログインシェルの HOME 環境変数を初期化する。 アプリケー ションが、ユーザのホーム・ディレクトリを決定する場合には、 (getpwuid(getuid())->pw_dir の 値ではなく) HOME の値を検査するようにすべきである。 なぜなら、このようにすることで、ユー ザがログイン・セッション中で 「ホーム・ディレクトリ」の意味を変更できるようになるからであ る。 別のユーザのホーム・ディレクトリ (の初期値) を知るには getpwnam("username")->pw_dir か同様の方法を使う必要がある。
例
以下のプログラムは getpwnam_r() の使用例を示したもので、コマンドライン引き数で渡された ユーザ名に対する 完全なユーザ名とユーザ ID を探すものである。 #include <pwd.h> #include <stdio.h> #include <stdlib.h> #include <unistd.h> #include <errno.h> int main(int argc, char *argv[]) { struct passwd pwd; struct passwd *result; char *buf; size_t bufsize; int s; if (argc != 2) { fprintf(stderr, "Usage: %s username\n", argv[0]); exit(EXIT_FAILURE); } bufsize = sysconf(_SC_GETPW_R_SIZE_MAX); if (bufsize == -1) /* 値を決定できなかった */ bufsize = 16384; /* 十分大きな値にすべき */ buf = malloc(bufsize); if (buf == NULL) { perror("malloc"); exit(EXIT_FAILURE); } s = getpwnam_r(argv[1], &pwd, buf, bufsize, &result); if (result == NULL) { if (s == 0) printf("Not found\n"); else { errno = s; perror("getpwnam_r"); } exit(EXIT_FAILURE); } printf("Name: %s; UID: %ld\n", pwd.pw_gecos, (long) pwd.pw_uid); exit(EXIT_SUCCESS); }
関連項目
endpwent(3), fgetpwent(3), getgrnam(3), getpw(3), getpwent(3), getspnam(3), putpwent(3), setpwent(3), passwd(5)
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクト の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。