Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20180315+dfsg-1_all bug

名前

     timed — タイムサーバデーモン

書式

     timed [-M] [-t] [-d] [-i network] [-n network] [-F host1 host2 ...]

説明

     これはタイムサーバデーモンであり、 通常はブート時に rc(8) ファイルから起動される。 このサー
     バは、ホストの時刻と、 ローカルエリアネットワーク内で timed 8 を実行している他のホストの時刻
     を同期させる。 これらのタイムサーバは、マシンの時刻を遅らせたり進ませたりすることで、 マシン
     の時刻を平均ネットワーク時刻にする。 平均ネットワーク時刻は、 ICMP タイムスタンプリクエスト
     メッセージを使って、 時刻差を計測することにより計算される。

     timed が提供するサービスは、マスタースレーブの考えに基づいている。 timed(8) がマシンで起動さ
     れると、マスターにネットワーク時刻を問い合わせ、 ホストの時刻をその時刻に合わせる。 その
     後、マスターが定期的に送る同期メッセージを受け取り、 ホスト時刻に必要な修正を加えるために
     adjtime(2) を呼び出す。

     このサーバは、 日付を大域的に設定するために date(1) と通信し、 timed 制御プログラムである
     timedc(8) とも通信する。 マスターとして実行されているマシンがクラッシュすると、 スレーブは、
     -M フラグで実行されているスレーブの中から、新しいマスターを選ぶ。 -M-F フラグなしで実行
     されている timed を実行しているマシンはスレーブのままである。 -t フラグを指定した場合、
     timed は、受信したメッセージをファイル /var/log/timed.log の中でトレースするようになる。 ト
     レースの有効・無効は、 timedc(8) プログラムを使って切替えることができる。 -d フラグは、この
     デーモンをデバッグするためのものである。 このフラグを指定した場合、デーモンをバックグラウン
     ドにさせない。 通常 timed は、接続されている各ネットワークのマスタータイムサーバをチェックす
     る。 ただし、以下で説明するオプションで変更されている場合は例外である。 timed は、見付けた最
     初のマスターサーバに対して、同期サービスを要求する。 その時点でマスターサーバが接続されてい
     るネットワークで検知できない場合、 -M フラグを指定すると、 同期サービスをそのネットワークに
     提供することが許可される。 このようなサーバは、トップレベルマスターが計算した時間を提供す
     る。 -n フラグは、その後にホストが接続されているネットワーク名 (networks(5) を参照) を続ける
     ことにより、 プログラムが決定するネットワークアドレスのデフォルトの選択を上書きする。 -n フ
     ラグが表れる度に、そこで指定されているネットワーク名は、 有効なネットワークのリストに追加さ
     れる。 他のネットワークは無視される。 -i フラグは、その後にホストが接続されているネットワー
     ク名 (networks(5) を参照) を続けることにより、 プログラムが決定するネットワークアドレスのデ
     フォルトの選択を上書きする。 -i フラグが表れる度に、そこで指定されているネットワーク名は、
     無視するネットワークのリストに追加される。 他のネットワークはタイムデーモンによって使われ
     る。 -n-i フラグを同時に使うと、何も意味を持たなくなる。

     timed は、接続されている各ネットワーク上のマスタータイムサーバをチェックする。 ただし、上で
     説明した -n-i オプションで変更されている場合は例外である。 2 つ以上のネットワークでマス
     ターサーバが見つかった場合、 「スレーブ」となるべきネットワークを選択する。 そして、定期的に
     各ネットワークでマスターが消えたかどうかをチェックする。

     マシンの同期をとるための 1 つの方法として、 NTP デーモンを用いてマシンの時刻を 遠距離の標準
     時刻やラジオ受信機の時刻に同期させ、 かつ、信頼できるマシンが自分自身のみであることを timed
     デーモンに -F hostname によって通知する、といったものがある。

     カーネルによるシステムコンソールへのメッセージ出力は、 割り込みを禁止して行われる。 これ
     は、メッセージが出力されている間は システムのクロックが停止することを意味する。 ディスクや
     ネットワークハードウェアに多くの問題を抱え、 その結果としてメッセージを出力するマシンは、 正
     確な時間を保持できない。 それぞれのメッセージは、出力される毎に 10ms 程度の時刻遅延を引き起
     こす。 タイムデーモンは、この結果を補正する。

     マシンが応答しないというシステムログメッセージは、 通常、そのクラッシュまたは電源が切れてい
     ることを意味する。 マシンが初期時刻設定時に応答に失敗してエラーが出るのは、 大抵の場合、「
     “マルチホーム” のマシン (ネットワークインターフェースが複数あるマシン) が 複数のネットワーク
     でタイムマスターを探した後、 別のネットワークでスレーブになることを選択した」ということに関
     連している。

警告

     timed や ntp といった複数のタイムデーモンが同じ時計を調整しようとした場合、 一時的に時刻がお
     かしくなる可能性がある。 timed と別のタイムデーモンが同じマシンで稼働している場合、 -F フラ
     グが指定されていることを確認すること。 このようにすれば、 timed はローカルマシンの時計を調整
     しようとしなくなる。

     このプロトコルは、UDP/IP ブロードキャストに基づいたものである。 ブロードキャストの範囲内で
     TSP プロトコルを用いている 全てのマシンは、協調しあわなければならない。 ブロードキャストパ
     ケットが到達するマシンの間では、 -F フラグを使用する管理ドメインを 2 つ以上持つことはできな
     い。 このルールに従わない場合は、通常、 “信頼できない” マシンに関連するエラーがシステムログ
     に書き込まれる。

ファイル

     /var/log/timed.log        timed のトレースファイル
     /var/log/timed.masterlog  マスター timed のログファイル

関連項目

     date(1), adjtime(2), gettimeofday(2), icmp(4), timedc(8) R. Gusella and S. Zatti, TSP: The
     Time Synchronization Protocol for UNIX 4.3BSD.

履歴

     timed デーモンは 4.3BSD で登場した。

翻訳者謝辞

     この man ページの翻訳にあたり、 FreeBSD jpman project <http://www.jp.freebsd.org/man-jp/> に
     よる翻訳を参考にさせていただいた。