Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20131015+dfsg-2_all bug

名前

       simpleinit - プロセス制御の初期化を行う

書式

       init [ single ] [ script ]

説明

       init は Linux ブートシーケンスの最終ステップとして起動される。 single オプションが使われた
       場合、またはファイル /etc/singleboot がある場合、 /bin/sh を起動することでシングルユーザー
       モードに入る。 ファイル /etc/securesingle がある場合、シングルユーザーモードを開始するため
       に root パスワードが必要とされる。 root パスワードがない場合、または /etc/passwd  がない場
       合、パスワードのチェックは省かれる。

       ファイル  /etc/TZ がある場合、その内容が読み込まれ、 simpleinit によって開始される各プロセ
       スの環境変数 TZ を設定するために使われる。  「この機能」はコンパイル時に設定されている場合
       にのみ使用可能である。 通常は必要とされない。

       シングルユーザーモードが終了した後、  /etc/rc ファイルが実行される。 /etc/inittab にある情
       報は、プロセスを開始するために使われる。  別の方法として、他のブートスクリプトを実行するよ
       うに /etc/inittab ファイルを設定してもよい。 詳細は下記を参照すること。

INITTAB ファイル

       Linux  コミュニティではいくつもの  init  プログラムが出現しているので、 通常 inittab(5) の
       man ページに書かれている /etc/inittab ファイルについてのドキュメントをここに載せる:

       フォーマットは次のようになっている。

              bootprog=ファイル

              fileprefix=文字列

              PATH=検索パス

              INIT_PATH=検索パス

              tty ライン:termcap エントリ:getty コマンド

              finalprog=パス

       以下に例を示す:

              bootprog     =
              fileprefix   =  /sbin/init.d/
              PATH         =  /usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin
              INIT_PATH    =  /sbin/init.d

              tty1:linux:/sbin/getty 9600 tty1
              tty2:linux:/sbin/getty 9600 tty2
              tty3:linux:/sbin/getty 9600 tty3
              tty4:linux:/sbin/getty 9600 tty4
              # tty5:linux:/sbin/getty 9600 tty5
              # ttyS1:dumb:/sbin/getty 9600 ttyS1
              # ttyS2:dumb:/sbin/getty -m -t60 2400 ttyS2

              finalprog   = /sbin/rc.xdm

       # 文字で始まる行はコメントとして扱われる。 現在のところ Linux コミュニティでは  getty  (8)
       のようなコマンドがいくつかあるため、 あなたが使っている getty (8) コマンドのドキュメントを
       参照すること。

       bootprog の値は、fileprefix の値に追加される。 その結果は、実行するブートプログラム  (スク
       リプト)  を指定するのに使われる。 指定されない場合、デフォルトは /etc/rc である。 ブートプ
       ログラムがディレクトリである場合、  ディレクトリツリーにある全てのスクリプトが並列に実行さ
       れる。 実行順の制御と依存性の管理をエレガントにする方法の詳細は、 need(8) プログラムを参照
       すること。

       PATH の値は、 子プロセス (ブートスクリプト)の環境変数 PATH に割り当てられる。

       (絶対パスが与えられない場合)     INIT_PATH      は実行するスクリプトの場所を見付けるために
       simpleinit(8) 自身によって使われる。 デフォルトの値を unset して、ブートプログラムがディレ
       クトリの場合、 そのディレクトリが使われる。 最後に、このパスでスクリプトが見つからなかった
       場合、  標準の PATH が使われる。 PATHINIT_PATH を分けることにより、 ブートスクリプトは
       同じ名前のプログラムを 衝突や絶対パスの指定なしに起動できる。

       finalprog の値は、 全ての getty(8) インスタンスが生成された後で 実行されるプログラムのパス
       を指定する。  ブート時には、"start"  という  1  個の引き数が渡される。  シャットダウン時に
       も、"stop" という引き数で呼ばれる。

シグナル

       simpleinit(8) は、いろいろな方法でシグナルに応答する:

       SIGHUP 設定ファイル /etc/inittab が再度読み込まれる。

       SIGTSTP
              プロセスを更に生成するかどうかを決めるトグルを切替える。

       SIGINT simpleinit(8) は数回 sync を実行し、  reboot(8)  を開始しようとする。  失敗した場合
              は、システムの reboot(2) コールを実行する。 Linux では、Ctrl-Alt-Del シーケンスが、
              システムのリブートではなく、     init      プロセスにシグナルを送るように設定できる
              (simpleinit(8) はデフォルトでこのようにしている)。

       SIGQUIT
              simpleinit(8)  プログラムの代わりに、  reboot(8)  プログラムが実行される。 これによ
              り、init プロセスの古い i ノードが unlink されない場合でも、 reboot(8) はルートファ
              イルシステムを (読み込みのみで) 正しく再マウントできる。

ファイル

       /etc/inittab
       /etc/singleboot
       /etc/securesingle
       /etc/TZ
       /etc/passwd
       /etc/rc

関連項目

       inittab(5),   ctrlaltdel(8)   reboot(8),  termcap(5),  getty(8),  agetty(8),  shutdown(8),
       initctl(8)

バグ

       このプログラムは、Linux コミュニティに出現し始めた System V 互換版の  init  と区別するため
       に、 simpleinit と呼ばれる。 simpleinit を正しく機能させるためには、 init としてリンクする
       か、同一にするべきである。

著者

       Peter Orbaek (poe@daimi.aau.dk)
       Version 1.20, Werner Almesberger による シングルユーザーモードのパッチ。
       Richard Gooch <rgooch@atnf.csiro.au>
       依存性のサポート。