Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20180315+dfsg-1_all 

名前
ld - GNU リンカ
書式
ld [-o output] objfile... [-Aarchitecture] [-b input-format] [-Bstatic] [-Bdynamic] [-Bsymbolic] [-c commandfile] [--cref] [-d|-dc|-dp] [-defsym symbol = expression] [-e entry] [-embedded-relocs] [-E] [-export-dynamic] [-f name] [--auxiliary name] [-F name] [--filter name] [-format input-format] [-g] [-G size] [-h name] [-soname name] [--help] [-i] [-lar] [-Lsearchdir] [-M] [-Map mapfile] [-m emulation] [-n|-N] [-noinhibit-exec] [-no-keep-memory] [-no-warn-mismatch] [-oformat output-format] [-R filename] [-relax] [-r|-Ur] [-rpath directory] [-rpath-link directory] [-S] [-s] [-shared] [-sort-common] [-split-by-reloc count] [-split-by-file] [-T commandfile] [-Ttext textorg] [-Tdata dataorg] [-Tbss bssorg] [-t] [-u sym] [-V] [-v] [--verbose] [--version] [-warn-common] [-warn-constructors] [-warn-multiple-gp] [-warn-once] [-warn-section-align] [--whole-archive] [--no-whole-archive] [--wrap symbol] [-X] [-x]
説明
ld は複数のオブジェクトファイルや書庫 (archive) ファイルを結合し、それら のデータをリロケートして、シンボ ルの参照をまとめる。新たな実行 プログラムをコンパイルして作成する作業の最終ステップは、多くの場合 ld の呼 び出しとなる。 ld はリンカコマンド言語のファイルを受け付ける。このファイルでリンク処理を明 示的に、また完全に制御するこ とができる。この man ページではコマンド言 語を説明していない。コマンド言語や GNU リンカのその他の内容に関 する詳 細は info の `ld' エントリか、マニュアルである ld: the GNU linker を参照すること。 ld の本バージョンではオブジェクトファイル関連の作業に汎用の BFD ライブラ リを用いている。これによって ld では多くの異なるフォーマットのオ ブジェクトファイルを読み、書き、結合することができるようになっている ( 例えば COFF や a.out)。異なるフォーマットをリンクして、あらゆる 種類のオブジェクトファイルを作成でき る。サポートされているフォーマット や関連するアーキテクチャに関しては ` objdump -i' を実行すればよ い。詳 細は objdump(1) を見よ。 GNU リンカは柔軟であるだけでなく、診断 (diagnostic) メッセージ も他のリンカより詳しい。多くのリンカはエ ラーが生じるとすぐに動作を停 止してしまうが、 ld は可能な限り処理を続け、他のエラーに関しても知らせようと する (あるいは エラーにもかかわらず出力ファイルを作成してしまうことさえある)。 GNU リンカ ld は多くの状況をカバーするように作成されている。また他のリンカとできる限 り互換性を保つように してある。したがって ld の振る舞いは、コマン ドラインや環境変数によって細かく制御できるようになっている。
オプション
コマンドラインオプションのあまりの多さに怖気づくかもしれないが、実際の 作業で指定されるオプションは、ほと んどの場合少ない。例として ld の良く用いられる例、サポートされている標準的な Unix システムで標準 Unix の オブジェクトファイルを作成する場合を考えよう。このようなシステ ムで hello.o ファイルをリンクする作業は以 下のようになる。 $ ld -o output /lib/crt0.o hello.o -lc この例では ld に output という名前のファイルを作成するように命令している。リンクするファイルは /lib/crt0.o 、 hello.o および標準的な検索ディレクトリにあるライブラリ libc.a である。 ld のコマンドラインオプションは任意の順序で指定でき、必要なだけ繰り返すこ とができる。オプションの繰り返 しは、多くの場合最初のもの以外を無視する か、先の指定 (コマンドラインの左にあるもの) を上書きするかにな る。 例外 (複数回の指定が意味を持つもの) は以下の通り。 -A、-b (またはその同義である -format)、 -defsym、-L、-l、-R、-u。 リンクする (複数の) オブジェクトファイルは objfile として与えるが、これはコマンドラインでオプションの 後、前、あるいは混ぜ て置いても構わない。ただし objfie をオプションのフラグとその引数の間に置くことはでき ない。 通常リンカの実行には最低一つのオブジェクトファイルが指定されるが、異な るフォーマットを持つバイナリファイ ルを -l、-R やスクリプトコマンド言語で指定することもできる。バイナリの入力ファイル が一つも指定されない場 合には、リンカは出力ファイルを作成せず、 ` No input files' というメッセージを表示する。 オプションの引数はオプション文字の直後にスペースなしで続けることもでき るし、オプションの次に別の引数とし て置くこともできる。 -Aarchitecture ld のこのリリースでは、このオプションは Intel 960 アーキテクチャのファミ リに対してのみ意味を持 つ。このファミリ向けに設定された ld では、 architecture 引数は 960 ファミリのメンバーを示す 2 文字 の名前のどれかを指定する。このオ プションは出力ターゲットを指定し、入力ファイルにある非互換な命令 全てに 対して警告メッセージを表示する。またリンカが書庫ライブラリを検索する 方法を変更し、指定され たアーキテクチャに特有のライブラリが利用できるよ うにする。これは検索するファイルに、アーキテク チャを示す文字列を後置 したものを加えることによってなされる。 例えば使用している ld のコマンドラインに -ACA または -ltry があれば、リンカは組み込みの検索パスと -L で指定されたパスを 探し、以下のような名前のライブラリを見つけようとする。 try libtry.a tryca libtryca.a 最初の二つはどんな場合でも検索されるものであり、後の二つは -ACA を用いたことによって加わったもので ある。 ld の将来のリリースでは、同じような機能が他のアーキテクチャファミリでもサ ポートされる可能性があ る。 -A オプションはコマンドラインで複数回用いられると、それぞれが意味を持つ。 ただしアーキテクチャファ ミリがターゲットの組み合わせを許す場合に限られ る。それぞれの指定によって、 -l で指定されたライブ ラリに名前のバリエーションを付けたものが検索される。 -b input-format コマンドラインでこのオプションに続いて指定された入力オブジェクトファイ ルのバイナリフォーマットを 指定する。通常この指定は必要ない。 ld はそれぞれのマシンで最も一般的なフォーマットをデフォルトの入 力フォーマッ トとするように設定されているからである。 input-format はテキスト文字列で、 BFD ライブ ラリによってサポートされている特定のフォー マットの名前である。 -format input-format はスクリプト コマンド TARGET と同じ効力を持つ。 一般的なバイナリフォーマットではないファイルをリンクする場合に、このオ プションを指定することにな る。また異なるフォーマットのオブジェクトファ イルをリンクする際に、フォーマットを明示的に変更する 目的に -b を使うこともできる。この際には -b input-foramt をそれぞれのフォーマットに属するオブジェ クトファイル群の前に挿入する。 デフォルトのフォーマットは環境変数 GNUTARGET から取得される。スクリプトでコマンド TARGET を用いて 入力フォーマットを設定することもできる。 -Bstatic 共有ライブラリに対するリンクをしない。これは共有ライブラリをサポートし ているプラットフォームにお いてのみ意味を持つ。 -Bdynamic 動的ライブラリに対してリンクする。これは共有ライブラリをサポートしてい るプラットフォームにおいて のみ意味を持つ。そのようなプラットフォームで はこのオプションは通常デフォルトになっている。 -Bsymbolic 共有ライブラリを作る場合、グローバルシンボルへの参照を共有ライブラリ内 部の定義 (definition) と結 合する。共有ライブラリにリンクされるプログ ラムでは、通常この共有ライブラリ内部の定義を上書きする ことができる。こ のオプションが意味を持つのは共有ライブラリをサポートする ELF プラット フォームの みである。 -c commandfile commandfile からリンクコマンドを読むように ld に指示する。これらのコマンドは ld デフォルトのリンク フォーマットを完全に上書きする (デフォルトに追加され るわけではない)。 commandfile ではターゲット フォーマットに関して必要な記述がすべてされていなければな らない。 リンクコマンドのスクリプトは、コマンドラインでも指定できる。これにはス クリプトの文字列をブラケッ ト (`{' と `}') で囲う。 --cref クロスリファレンスのテーブルを出力する。リンカのマップファイルが生成さ れる場合には、クロスリファ レンステーブルはマップファイルに出力される。 それ以外の場合には標準出力に表示される。 -d -dc -dp これらの 3 つのオプションは等価である。複数の形式があるのは他のリンカ との互換性のためである。これ らのいずれかを指定すると、 ld はリロケータブル出力ファイルが指定 (-r) された場合でも共通シン ボル のための領域を割り当てる。スクリプトコマンド FORCE_COMMON_ALLOCATION が同じ効力を持つ。 -defsym symbol = expression expression によって与えられた絶対アドレスを含むグローバルシンボルを出力ファイルに 生成する。このオ プションは必要なだけコマンドラインに指定でき、複数のシ ンボルを定義することができる。 expression の指定には簡単な算術もサポートされている。 16 進定数や存在する他のシン ボルを与えたり、 + や - を それらの間の足し引きに用いるこ ともできる。より手の込んだ数式が必要な場合には、スクリプトでリンカ コマ ンド言語を用いることをすすめる。 -e entryentry をプログラムのエントリポイントを示す シンボルとして取り扱う (デフォルトのエントリポイントを上書き する)。 デフォルトと他のエントリポイントの指定方法については ld の info の *Note Entry Point:: を 参照すること。 -embedded-relocs このオプションが意味を持つのは GNU コンパイラやアセンブラの -membedded-pic オプションによって生成 された MIPS embedded な PIC コードをリンクする場 合だけである。これはリンカにテーブルを生成させ る。このテーブルは、ポイ ンタ値に対して static に初期化された全てのデータを実行時にリロケートす る 際に用いられる。詳細は testsuite/ld-empic 内部のコードを参照のこと。 -E -export-dynamic ELF ファイルを作成する際に、全てのシンボルをダイナミックなシンボルテー ブルに追加する。通常ダイナ ミックシンボルテーブルには動的なオブジェクト によって用いられるシンボルのみが含まれている。このオ プションは dlopen を使う場合などに必要となる。 -f name --auxiliary name ELF 共有オブジェクトを作成する際に、内部の DT_AUXILIARY フィールドを指 定した名前に設定する。この 指定によって、ダイナミックリンカは扱っている 共有オブジェクトのシンボルテーブルを、他の共有オブ ジェクト name のシンボルテーブルの補助フィルタとして用いるようになる。 -F name --filter name ELF 共有オブジェクトを作成する際に、内部の DT_FILTER フィールドを指 定した名前に設定する。この指定 によって、ダイナミックリンカはその 共有オブジェクトのシンボルテーブルを、他の共有オブジェクト name のシンボルテーブルのフィルタとして用いるようになる。 -format input-format -b input-format と同義。 -g 受け付けるが無視される。他のツールとの互換性のために用意されている。 -G sizeMIPS ECOFF において、 GP レジスタを用いて最適化するオブジェクトの最大 サイズを size に設定する。他のオブジェクトファイルフォーマットでは無視される。 -h name -soname name ELF 共有オブジェクトを作成するとき、内部の DT_SONAME フィールドを指定 した名前に設定する。実行ファ イルが DT_SONAME フィールドを持つ共有オブ ジェクトとリンクされると、これの実行時にダイナミックリン カは DT_SONAME によって指定された共有オブジェクトをロードしようとする (通常 はリンカに対して指定さ れたファイルをロードする)。 --help コマンドラインオプションの要約を標準出力に表示して終了する。このオプショ ンと --version は、他の GNU プログラムとの互換性のためダッシュ (-) 二つで始まる。こ れ以外のオプションは他のリンカとの互換 性のためダッシュ一つで始まる。 -i インクリメンタルリンクを実行する (オプション -r と同じ)。 -larアーカイブファイル ar をリンクするファイルのリストに加える。このオプションは何回でも指定でき る。 ld は ar が指定され るごとに、 libar.a が見つかるまで検索パ スを探す。 -Lsearchdir このコマンドは searchdir を ld の書庫ライブラリの検索パスに追加する。このオプションは必要なだけ指 定で きる。 デフォルトの検索パス (-L が指定されなかったときの検索パス) は ld が用いているエミュレーションの モードに依存する。また設定に依存する場合 もある。リンクスクリプトでは SEARCH_DIR コマンドを用いて このパスを設定することもできる。 -M 標準出力にリンクマップを表示する。リンクマップには ld によってマップされたシンボルの位置情報とグ ローバルな共通メモリ領域の 割当て情報が含まれている。 -Map mapfileファイル mapfile にリンクマップを出力する。リンクマップには ld によってマップされたシンボルの位置情報とグ ローバルな共通 storage の 割当て情報が含まれている。 -m emulationリンカ emulation をエミュレートする。エミュレートできるもののリストは --verbose または -V で得られる。こ のオプションはコンパイル時のデフォルト (ld の設定を行ったシステム向けのリンカ) を上書きする。 -N text と data セクションを読み書き可能にする。出力フォーマットが Unix スタイルのマジッ ク・ナンバー をサポートしている場合は、出力ファイルに OMAGIC がマークされる。 -N オプションを指定するとリンカは data セグメントのページ位置調整を行わな い。 -n text セグメントをリードオンリーにする。可能な場合は NMAGIC が書き込まれる。 -noinhibit-exec 通常リンカはリンク処理の途中でエラーになると出力ファイルを生成しない。 このフラグをもちいると致命 的でないエラーの場合には出力ファイルを残すよ うに指定できる。 -no-keep-memory 通常リンカはメモリ消費量よりも実行速度を優先するように最適化されている。 すなわち入力ファイルのシ ンボルテーブルがメモリにキャッシュされている。 このオプションを指定すると、メモリ消費を抑えるよう にな る (必要に応じてシンボルテーブルを読み直す)。このオプションは 大きな実行ファイルをリンクする とき、メモリを使い果たしてしまうよう な場合に指定する必要がある。 -no-warn-mismatch 何らかの理由でマッチしない入力ファイルをいっしょにリンクしようとすると、 リンカは通常エラーになり ます。この原因としては、 それらの入力ファイルが異なるプロセッサ用に、 あるいは異なるエンディアン用 にコンパイルされたなどが考えられます。 このオプションを指定すると、リンカはこの種の潜在的なエラー を 黙って許可します。このオプションは不用意に使うべきではありません。 リンカのエラーをどうしても避 けたいような、 特殊な作業を行っているときに限るべきです。 -o output output は ld によって作成されるプログラムの名前である。このオプションが指定されなかっ た場合は a.out がデフォルトとして用いられる。スクリプトコマンド OUTPUT でも出力ファイル名を指定できる。 -oformat output-format 出力されるオブジェクトファイルのバイナリフォーマットを指定する。通常は このオプションは必要ない。 ld でのデフォルトの出力フォーマットは、それぞれのマシンで最も普通のフォー マットになるように設定さ れているからである。 output-format はテキスト文字列で、 BFD ライブラリでサポートされている特定の フォーマッ トの名前である。スクリプトコマンド OUTPUT_FORMAT でも出力フォーマットを指定できる。しか しこのオプションはスクリプトでの 指定を上書きする。 -R filename シンボル名とそれらのアドレスを filename から読み込む。しかしそれらのリロケートや出力への追加は行わ ない。これに よって出力ファイルでは、(他のプログラムで定義された) メモリ上の絶対ア ドレスをシンボ ルを用いて参照できることになる。 -relax 機能はマシンに依存する。現在では H8/300 でのみサポートされている。 プラットフォームによっては、このオプションを指定するとグローバルな最適 化を行う場合もある。これは リンカがプログラムのアドレスを置き換える (出 力されるオブジェクトファイルのアドレスモードを relax させたり新しい命 令を同期させる) 場合に可能となる。 サポートされていないプラットフォームでは、 -relax は受け付けられるが何も起こらない。 -r リロケータブルな出力を生成する。すなわち再び ld の入力として用いることができるようなファイルを生成 する。これはしばしば 部分 (partial) リンクと呼ばれる。また標準 Unix の マジック・ナンバーをサポー トする環境では、このオプションは出力ファイル のマジック・ナンバーを OMAGIC にする。このオプション が指定されなかった場合は、完全なファイルが生成さ れる。 C++ プログラムをリンクする場合、このオプ ションはコンストラクタ への参照を解決しない。 C++ の場合には代わりに -Ur を用いることができる。 このオプションは -i と同じ。 -rpath directory ディレクトリを実行時ライブラリの検索パスに追加する。これは ELF の実 行ファイルを共有オブジェクトと リンクするときに用いられる。 -rpath の引き数は全て結合され、ダイナミックリンカに渡される。ダイナ ミックリン カは、これを用いてロードする共有オブジェクトを実行時に決定する。 -rpath オプションはリ ンクに明示的に含まれている共有オブジェクトによって必要と される別の共有オブジェクトを指定するのに 用いることもできる。 -rpath-link オプションの説明を見よ。 ELF 実行ファイルの -rpath が指定されない 場合には、 (指定されていれば) 環境変数 LD_RUN_PATH の値が用いられる。 -rpath オプションは SunOS で用いることもできる。 SunOS のデフォルトでは、リン カは実行時の検索パス を -L オプションで与えられたパスから生成する。 -rpath が用いられると、実行時の検索パスは -rpath オ プションで与えられたパスのみから生成され、 -L オプションは無視される。これは gcc を使っていて、 -L がたくさん指定されてしまう (これらは NFS マウントされたファイルシ ステムかもしれない) 場合などに便 利である。 -rpath-link directory ELF か SunOS を用いている場合、ある共有ライブラリが別の共有ライブラリ を必要とする場合がある。これ は ld -shared によるリンクで入力ファイルに共有ライブラリが含まれている場合に起こる。 リンカが非共有 (非リロケータブル) なリンクを行っているときに、このよう な依存関係に遭遇すると、リ ンカは自動的にその必要とされている共有ライブ ラリも (明示されていなくても) リンクしてしまおうとす る。このような場合 に -rpath-link オプションは検索する最初のディレクトリセットを指定する。 -rpath-link オプションではディレクトリ名の並びをコロンで区切って一度に指定すること もできるし、複 数回用いて指定することもできる。 必要な共有ライブラリが見つからないと、リンカは警告を出してリンク処理を 継続しようとする。 -S 出力ファイルからデバッガのシンボル情報を削除する (全てのシンボルではな い)。 -s 出力ファイルから全てのシンボル情報を削除する。 -shared 共有ライブラリを生成する。現在のところ ELF と SunOS プラットフォームで のみサポートされている (実 際には SunOS では不要である。なぜならリンカ は未定義シンボルが存在していたり -e オプションが指定さ れている場合には自動的に共有ライブラリを生成するから である)。 -sort-common 通常 ld がグローバルな共通シンボルをそれぞれの出力セクションに配置するにあたっ ては、それらはサイ ズによってソートされる。まず 1 バイト変数のシンボル、 ついで 2 バイト、 4 バイト変数のシンボル、最 後にそれ以外のものが並ぶ。 このオプションはアラインメントによって生じてしまうシンボル間のギャップ を防止する。このオプションはソートを行わないようにする。 -split-by-reloc count 出力ファイルに余分なセクションを生成して、ファイル中のそれぞれの出力セ クションが count 以上のリロ ケーションを含まないようにする。これは COFF オブジェクトファ イルフォーマットの巨大なリロケータブ ルファイルを、リアルタイムカーネル にダウンロードする場合などに役に立つ。 COFF はセクションあたり 65535 以上のリロケーションを持てないからである。任意のセクションをサポートし ていないフォーマット では、このオプションは機能しないことに注意。リンカ はそれぞれの入力セクションを分割して再配置する わけではない。したがって 入力ファイルのセクションに count 以上のリロケーションを含むものがあれ ば、それに対応してそれだけのリロケー ションを持った出力セクションは作成されてしまう。 -split-by-file -split-by-reloc と似ているが、それぞれの入力ファイルに対して新たな出力セクショ ンを生成する。 -Tbss org -Tdata org -Ttext orgそれぞれ出力ファイルの bss、 data、 text セグメント に対して org を開始アドレスにする。 org は 16 進の整数でなければならない。 -T commandfile -c commandfile と等価である。他のツールとの互換性のために用意された。 -t 入力ファイルを ld が処理するごとに、ファイルの名前を表示する。 -u sym sym を出力ファイルに未定義なシンボルとして挿入する。例えばこれは、標準ライ ブラリから付加的なモ ジュールをリンクするトリガに使うことができる。 -u は必要な未定義シンボルの数だけ繰り返すことができ る。 -Ur C++ プログラム以外では、このオプションは -r と等価であり、リロケータブルな出力を生成する (つまり再 び ld の入力ファイルに用いることのできるファイルを出力する)。 C++ プログラムをリンクする際には、 -Ur は -r と異なり、コンストラクタへの参照を解決する。 --verbose ld のバージョン番号を表示し、サポートされているエミュレーションをリストす る。入力ファイルがそれぞ れオープンできるかどうかも表示する。 -v, -V ld のバージョン番号を表示する。 -V はサポートされているエミュレーションもリストする。 --version ld のバージョン番号を表示して終了する。 -warn-common 共通シンボルが他の共通シンボルやシンボル定義と結合されている場合に警告 を発する。 Unix のリンカは この点には比較的寛容であるが、他の OS のリン カにはそうでないものもある。このオプションはグローバ ルシンボルを結合す ることによって生じる問題点を見つける手がかりになるかもしれない。 -warn-constructors グローバルコンストラクタが用いられたら警告を発する。これが意味を持つオ ブジェクトファイルフォー マットは少ない。 COFF や ELF では、リンカはグ ローバルコンストラクタを検出することができない。 -warn-multiple-gp 出力ファイルに複数のグローバルなポインタ値が必要な場合に警告を発する。 このオプションが意味を持つ のは、 Alpha のような特殊なプロセッサだけで ある。 -warn-once 未定義シンボルに関する警告をシンボルごとに一度だけにする。デフォルトで はそのシンボルを参照するモ ジュール一つについて一回警告が出る。 -warn-section-align 出力セクションのアドレスがアラインメントのために変更された場合に 警告を出す。通常アラインメントは 入力セクションによって設定される。 アドレスは明示的に指定されなかった場合 (つまり SECTIONS コマン ドが セクションのスタートアドレスを指定しなかった場合) にのみ変更されうる。 --whole-archive コマンドラインでこのオプション以降に指定されたそれぞれの書庫に対して、 書庫内部の全てのオブジェク トファイルをリンクする (デフォルトでは書庫か ら必要なオブジェクトファイルを検索する)。これは通常書 庫ファイルを共有 ライブラリに変えるとき、内部のオブジェクトを全て共有ライブラリに含め るために指定 される。 --no-whole-archive コマンドラインでこのオプション以降に現われる書庫に対して --whole-archive オプションの効果を無効に する。 --wrap symbol symbol に対してラッパ機能を用いる。 symbol への未定義な参照は全て __wrap_symbol として解決され る。また __REAL_symbol への未定義な参照はすべて symbol として解決される。 -X 一時的なローカルシンボルをすべて削除する。ほとんどのターゲットでは、これは `L' で始まるローカルシ ンボルを意味する。 -x ローカルシンボルを全て削除する。
環境変数
ld の動作は環境変数 GNUTARGET によって変更することができる。 GNUTARGET は -b (または等価なオプション -format) を用いない場合の 入力ファイルのオブジェクトフォーマット を定義する。この値は入力フォーマッ トに対して有効な BFD 名の一つでなければならない。 GNUTARGET が default に設定されていた場合には、 BFD は入力されるバイナリファ イルを調べて入力フォーマットを決定しようとす る。これは通常は成功するが、 決定できない可能性もある。オブジェクトファイルフォーマットで用いられて いる マジック・ナンバーが一意であることを保証する方法は存在しないからで ある。しかし BFD をそれぞれのシステム で設定する際には、そのシステムに 一般的なフォーマットが検索リストの最初の方に置かれる。したがって複数 フォーマットの可能性が存在した場合には、より一般的なフォーマットとして 解釈される。
関連項目
objdump(1) info の `ld' および `binutils' エントリ ld: the GNU linker , Steve Chamberlain and Roland Pesch; The GNU Binary Utilities , Roland H. Pesch
著作権
Copyright (c) 1991, 1992 Free Software Foundation, Inc. Permission is granted to make and distribute verbatim copies of this manual provided the copyright notice and this permission notice are preserved on all copies. Permission is granted to copy and distribute modified versions of this manual under the conditions for verbatim copying, provided that the entire resulting derived work is distributed under the terms of a permission notice identical to this one. Permission is granted to copy and distribute translations of this manual into another language, under the above conditions for modified versions, except that this permission notice may be included in translations approved by the Free Software Foundation instead of in the original English.