Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20180315+dfsg-1_all
名前
tune2fs - ext2/ext3 ファイルシステムのパラメータを調整する
書式
tune2fs [ -l ] [ -c max-mount-counts ] [ -e errors-behavior ] [ -f ] [ -i interval- between-checks ] [ -j ] [ -J journal-options ] [ -m reserved-blocks-percentage ] [ -o [^]mount-options[,...] ] [ -r reserved-blocks-count ] [ -s sparse-super-flag ] [ -u user ] [ -g group ] [ -C mount-count ] [ -L volume-name ] [ -M last-mounted-directory ] [ -O [^]feature[,...] ] [ -T time-last-checked ] [ -U UUID ] device
説明
システム管理者は tune2fs により Linux ext2/ext3 ファイルシステムの様々なパラメータを調整で きる。
オプション
-c max-mount-counts e2fsck(8) がファイルシステムのチェックを行うマウント回数を設定する。 max-mount- counts が 0 または -1 の場合、 e2fsck(8) とカーネルはファイルシステムのマウント回数 を考慮しない。 ジャーナリングファイルシステムを使っている場合、 ファイルシステムを強制的にチェック するマウント回数を ファイルシステムごとにちょっとずつ変えておけば、 すべてのファイ ルがいっぺんにまとめてチェックされるのを 避けることができる。 マウント回数に依存したチェックを完全に停止してしまうなら、 その影響を慎重に考えてお くべきである。 ディスクドライブ・ケーブル・メモリの故障やカーネルのバグによって、 マークされたりエラーが出ることもなく、 ファイルシステムが破壊されることもあり得る。 ファイルシステムにジャーナリング機能を使っていると、 ファイルシステムに壊れたという マークが付けられることは 絶対にないので、 通常ジャーナリングファイルシステムは チェックされない。 この場合でも、カーネルがファイルシステムエラーを検知すれば、 次 のブート時に fsck が実行されるが、 この時点ではデータ喪失を防ぐにはもう遅すぎるかも しれない。 時間に依存したチェックを行う -i オプションも参照すること。 -C mount-count ファイルシステムがマウントされた回数を設定する。 -c オプションで設定された最大マウ ント回数の パラメータより大きな値が設定されると、 e2fsck(8) は次のブート時に、その ファイルシステムをチェックする。 -e error-behavior エラーが発生した時のカーネルの挙動を変更する。 いずれにしてもファイルシステムにエ ラーが起こると、 次のブート時には必ず e2fsck(8) がそのファイルシステムをチェックす る。 error-behavior に指定できるのは次の通り。 continue 通常の実行を継続する。 remount-ro ファイルシステムを read-only でマウントしなおす。 panic カーネルパニックを起こす。 -f エラーが起きたときでも tune2fs に動作を完了させる。 このオプションは、外部ジャーナ ルを使っているファイルシステム (あるいは壊れてそう見えるようになってしまったファイ ルシステム) から、 外部ジャーナルが見えない場合に has_journal ファイルシステム属性 を削除するのに便利である。 警告: クリーンにアンマウントされなかったファイルシステムに対して ジャーナルを一度も リプレイしないまま、 その外部ジャーナルをファイルシステムから切り離してしまうと、 重大なデータ喪失やファイルシステムの破壊をもたらすかもしれない。 -g group 予約 (reserved) ファイルシステムブロックを利用できるグループを設定する。 group パラ メータには GID を数値で指定することも、グループ名を指定することもできる。 グループ 名が指定された場合は、スーパーブロックに格納される前に GID の数値に変換される。 -i interval-between-checks[d|m|w] ファイルシステムをチェックする最大の時間間隔を設定する。 数値のみ、もしくは末尾に d を付けると「日」と解釈され、 m, w はそれぞれ「月」「週」と解釈される。 0 を指定する と、時間依存のチェックはしなくなる。 e2fsck(8) によるファイルシステムの完全なチェックを定期的に行わせるため、 -c (マウン ト回数依存のチェック)、または -i (時間依存のチェック) を指定しておくことを強く推奨 する。 これらが指定されていない場合、 ディスク・ケーブル・メモリの故障やカーネルの バグによって ファイルシステムが破壊されても、 データの損失や破壊が起こるまでは知る ことができない。 -j ext3 ジャーナルをファイルシステムに追加する。 -J オプションが指定されていない場合 は、 デフォルトのジャーナルパラメータが用いられ、 (ファイルシステムのサイズに対し て) 適切な大きさのジャーナルを作成してファイルシステムに格納する。 ジャーナルを実際 に使用するためには、 ext3 をサポートするカーネルが必要である。 このオプションを使用して、 マウントされたファイルシステム上にジャーナルを作成する と、 不変 (immutable) ファイル .journal がファイルシステムのトップディレクトリに作 成される。 これはファイルシステムがマウントされている間に ジャーナル inode を安全に 作成する唯一の方法だからである。 ext3 ジャーナルは可視であるが、 ファイルシステムが マウントされている間に 削除したり修正したりするのは安全ではない。 そのためジャーナ ルファイルは不変にされている。 アンマウントされたファイルシステムをチェックする場 合、 e2fsck(8) は自動的に .journal ファイルを可視でない予約済みジャーナル inode に 移動する。 ルートファイルシステム以外の全てのファイルシステムに対して、 次のリブー トサイクルで、これが自動的に当然行われるべきである。 ルートファイルシステムは read- only でマウントされるので、 この遷移を有効にするためには、 e2fsck(8) をレスキュー用 フロッピーから実行しなければならない。 Debian のようないくつかのディストリビューションでは、 レスキュー用フロッピーを使っ て ext3 ジャーナルを ルートファイルシステムに追加する必要がないように、 /etc/fstab ファイルで ext3 ファイルシステムをルートファイルシステムに指定しておくと、 初期 RAM ディスクが使用されたときに、 initrd スクリプトが自動的に ext2 ルートファイルシステ ムを ext3 に変換する。 -J journal-options デフォルトの ext3 ジャーナルパラメータを変更する。 ジャーナルオプションはコンマで区 切り、引き数がある場合には 「= (イコール)」記号を使って指定する。 以下のジャーナル オプションがサポートされている: size=journal-size サイズ journal-size メガバイトのジャーナルを作成してファイルシステムに 格納する。 ジャーナルのサイズは最低 1024 ファイルシステムブロックである (例えば、1kB のブロックを使っている場合は 1 MB、 4kB のブロックを使って いる場合は 4 MB である)。 また、ファイルシステムブロックは 102,400 未満 でなければならない。 ファイルシステムには、指定したサイズのジャーナルを 作成するために 十分な空きスペースがなくてはならない。 device=external-journal external-journal にあるジャーナルブロックデバイスにファイルシステムを付 加する。 外部ジャーナルは、コマンド mke2fs -O journal_dev external-journal を使い、前もって作成されていなければならない。 external-journal は、そ れを使うファイルシステムと同じブロックサイズで フォーマットされていなけ ればならない。 1 つの外部ジャーナルに複数のファイルシステムを付加するこ とは、 (訳注: ファイルシステム自体では) サポートしているが、 Linux カー ネルと e2fsck(8) は現在のところ共有外部ジャーナルをサポートしていない。 デバイス名を直接指定する代わりに、 LABEL=label または UUID=UUID という 形式で external-journal を指定することもできる。 この形式では、外部 ジャーナルの場所を、 ジャーナルの先頭の ext2 スーパーブロックに格納され ている UUID やボリュームラベルで指定する。 ジャーナルデバイスのボリュー ムラベルと UUID を表示するには、 dumpe2fs(8) を使うこと。 tune2fs(8) の -L オプションも参照のこと。 ひとつのファイルシステムに対しては、 size または device オプションのどちらか一方し か指定できない。 -l ファイルシステムのスーパーブロックの内容を表示する。 -L volume-label ファイルシステムのボリュームラベルを設定する。 ext2 ファイルシステムラベルは最大 16 文字まで指定できる。 volume-label が 16 文字より長いと tune2fs は超過分を切捨て、警 告メッセージを出力する。 ボリュームラベルは mount(8), fsck(8), /etc/fstab(5) (まだ あるかも) において、 /dev/hda5 のようなブロックスペシャルデバイス名の代わりに、 LABEL=volume_label という形式で指定して使うことができる。 -m reserved-blocks-percentage 予約ファイルシステムブロックの割合を % で設定する。 -M last-mounted-directory ファイルシステムを最後にマウントしたディレクトリを設定する。 -o [^]mount-option[,...] 指定されたデフォルトのマウントオプションを ファイルシステムにセット/クリアする。 デ フォルトのマウントオプションは、 /etc/fstab(5) または mount(8) のコマンドライン引き 数で指定される マウントオプションで上書きできる。 古いカーネルは、この属性をサポー トしていない。 特に 2.4.20 より前のカーネルは、 スーパーブロックにあるデフォルトの マウントオプションを ほぼ確実に無視する。 属性をコンマで区切ることにより、 1 つ以上のマウントオプションをクリア/セットでき る。 キャレット文字 ('^') を前につけたマウントオプションは、 ファイルシステムのスー パーブロックからクリアされる。 前置文字のないマウントオプションと プラス文字 ('+') を前につけたマウントオプションは、 ファイルシステムに追加される。 tune2fs を使ってセット/クリアできるマウントオプションは以下の通り: debug このファイルシステムのデバッグコードを有効にする。 bsdgroups 新しいファイルを作成するときに、BSD の動作をエミュレートする。 新規作成 されるファイルは、 自身が作成されるディレクトリのグループ ID を使う。 標準的な System V の動作をデフォルトとする。 ディレクトリに setgid ビッ トセットがない場合、 新規作成されたファイルはカレントプロセスの fsgid を使う。 ディレクトリに setgid ビットセットがある場合、 新規作成された ファイルは親ディレクトリのグループ ID を使い、 新規作成されたのがディレ クトリならば、setgid ビットセットも設定する。 user_xattr ユーザ固有の拡張属性を有効にする。 acl Posix アクセス制御リスト (Access Control List) を有効にする。 uid16 32 ビットのユーザ ID とグループ ID を無効にする。 これは 16 ビットの値 のみを格納したり想定したりする 古いカーネルとの相互運用のためにある。 journal_data ジャーナリングを有効にしてファイルシステムがマウントされている場合、 (メタデータだけでなく) 全てのデータは メインのファイルシステムに書き込 まれる前に ジャーナルにコミットされる。 journal_data_ordered ジャーナリングを有効にしてファイルシステムがマウントされている場合、 メ タデータがジャーナルにコミットされる前に、 全てのデータをメインのファイ ルシステムに強制的に直接書き込む。 journal_data_writeback ジャーナリングを有効にしてファイルシステムがマウントされている場合、 メ タデータがジャーナルにコミットされた後に、 データをメインのファイルシス テムに書き込む。 これはスループットを向上させるが、 クラッシュして ジャーナルによる回復をした後で、 ファイルに古いデータが現れるのを許して しまう。 -O [^]feature[,...] 指定したファイルシステム属性 (オプション) をセット/クリアする。 コンマで区切ること により、 2 つ以上のファイルシステム属性をクリアまたはセットできる。 キャレット文字 ('^') を前においたファイルシステム属性は、 ファイルシステムのスーパーブロックからク リアされる。 前置文字のないファイルシステム属性と プラス文字 ('+') を前においたファ イルシステム属性は、 ファイルシステムにセットされる。 tune2fs を使ってセット/クリアできるファイルシステム属性は以下の通り: dir_index ハッシュ B ツリーを使い、 ファイルが多いディレクトリ内での検索を高速化 する。 filetype ディレクトリエントリにファイルタイプ情報を格納する。 has_journal ジャーナルを使うことにより、 異常なシャットダウンが起こってもファイルシ ステムの一貫性を保証する。 このファイルシステム属性をセットするのは、 -j オプションを使うのと等しい。 sparse_super 大きなファイルシステム上でディスク使用量を少なくするために、 バックアッ プスーパーブロックの数を制限する。 ファイルシステム属性 sparse_super や filetype をセットまたはクリアした後は、 ファイ ルシステムを整合性のある状態に戻すために、 そのファイルシステムに対して e2fsck(8) を実行しなければならない。 tune2fs は、必要であれば、システム管理者に対して e2fsck(8) を実行するよう要求するメッセージを表示する。 dir_index 属性を設定した後 に、 e2fsck -D を実行して既存のディレクトリをハッシュ B ツリー形式に変換できる。 警告: Linux カーネルのうち 2.0.39 以前と 2.1 系の大部分では、 これらの属性を使用し ているファイルシステムをサポートしていない。 これらの属性をサポートしていないカーネ ルは、 そのファイルシステムをマウントすることができない。 -r reserved-blocks-count 予約ファイルシステムブロックの量をブロック数で設定する。 -s [0|1] スーパーブロックを疎 (sparse) にする属性をクリア (0) またはセット (1) する。 この属 性をセット (1) すると、 非常に大きなファイルシステムでの無駄を減らすことができる。 これは -O sparse_super オプションを使った場合と同じである。 警告: この機能は 2.0.39 以前の Linux カーネルでは利用できない。 また、2.1 系カーネ ルでも利用できないものがある。 自分が何をしているのか理解していない限り使うべきでは ない。 この属性を変更した後、ファイルシステムを正しい状態にするには e2fsck(8) を実 行する必要がある。 -T time-last-checked ファイルシステムが最後に e2fsck によってチェックされた時刻を設定する。 これは Logical Volume Manager を使い、 整合性の取れている状態のファイルシステムのスナップ ショットを取って、 休みの間にそのファイルシステムがハードウェア障害などによって 壊 れていないかを調べるようなスクリプトで用いると便利である。 ファイルシステムがクリー ンなら、このオプションを使って オリジナルのファイルシステムの最終チェック時刻を設定 すればよい。 time-last-checked の書式は、国際時刻書式に、オプションの時刻指定子を加 えたもので、 YYYYMMDD[[HHMM]SS] である。 now というキーワードも利用でき、 この場合 は最終チェック時刻は現在の時刻に設定される。 -u user 予約ファイルシステムブロックを利用できるユーザを設定する。 user は UID を数値で指定 することも、ユーザ名で指定することもできる。 グループ名が指定された場合は、スーパー ブロックに格納される前に UID の数値に変換される。 -U UUID UUID (universally unique identifier: 汎システム的に他とは重ならない識別子) を UUID に設定する。 UUID はハイフンで区切られた 16 進数の列で、 "c1b9d5a2-f162-11cf-9ece-0020afc76f16" のような形式である。 UUID パラメータは以下の いずれか 1 つである: clear ファイルシステムの UUID をクリアする。 random 新しい UUID をランダムに生成する。 time 新しい UUID を時刻をもとに生成する。 UUID は mount(8), fsck(8), /etc/fstab(5) (まだあるかも) において、 /dev/hda1 のよう なブロックスペシャルデバイス名の代わりに、 UUID=uuid という形式で指定して使うことが できる。 より詳しい情報は uuidgen(8) を参照すること。 /dev/random や /dev/urandom のような優 れた乱数発生器がシステムに存在しない場合、 tune2fs はランダムに生成した UUID ではな く、 時刻に基づいた UUID を自動的に使用する。
バグ
現時点では見付かっていない。しかし、バグがないという意味ではない。
著者
tune2fs は、Remy Card <Remy.Card@linux.org> によって作成された。 現在は Theodore Ts'o <tytso@alum.mit.edu> によってメンテナンスされている。 tune2fs は Thodre Ts'o <tytso@mit.edu> によって作成された ext2fs ライブラリを使用している。 このマニュアルは <chk@data-hh.Hanse.de> によって作成された。 時間に依存するチェックは Uwe Ohse <uwe@tirka.gun.de> によって付加された。
入手方法
tune2fs は e2fsprogs パッケージの一部であり、 http://e2fsprogs.sourceforge.net から入手で きる。
関連項目
dumpe2fs(8), e2fsck(8), mke2fs(8)