Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all bug

名前

       getopt, getopt_long, getopt_long_only, optarg, optind, opterr, optopt - コマンドラインオプ
       ションを解釈する

書式

       #include <unistd.h>

       int getopt(int argc, char * const argv[],
                  const char *optstring);

       extern char *optarg;
       extern int optind, opterr, optopt;

       #include <getopt.h>

       int getopt_long(int argc, char * const argv[],
                  const char *optstring,
                  const struct option *longopts, int *longindex);

       int getopt_long_only(int argc, char * const argv[],
                  const char *optstring,
                  const struct option *longopts, int *longindex);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       getopt(): _POSIX_C_SOURCE >= 2 || _XOPEN_SOURCE
       getopt_long(), getopt_long_only(): _GNU_SOURCE

説明

       getopt()  関数はコマンドライン引数を解釈する。 getopt()  がとる引数 argcargv  は、それ
       ぞれプログラムの起動時に  main()  関数に渡された引数の個数と配列である。 argv の要素のうち
       '-' で始まるもの  (かつ  "-"  単独や  "--"  単独ではないもの)  は  オプション要素  (option
       element)  とみなされる。  この要素から先頭の  '-'  を除いた文字は  オプション文字  (option
       character) とされる。 getopt() は、繰り返し呼び出されるごとに、次のオプション文字を返す。

       変数 optind は、 argv の次に処理される要素のインデックスである。  システムによりこの変数の
       値は  1 に初期化される。 呼び出し側でこの値を 1 にリセットすることで、同じ argv のスキャン
       をやり直したり、新しい引数ベクトルをスキャンすることができる。

       新たなオプション文字を見つけると、 getopt()   はその文字を返し、  外部変数  optind  とスタ
       ティックな変数  nextchar  を更新する。 これらによって、 getopt()  は次回の呼び出しの際に、
       以降のオプション文字や argv 要素のスキャンを継続できる。

       オプション文字がそれ以上見つからなくなると、  getopt()   は   -1   を返す。そして   optind
       は、argv の要素のうち、 オプションでない最初の要素を示すようになる。

       optstring は受け付けるオプション文字からなる文字列である。 文字のあとにコロン (:) が置かれ
       ている場合は、 オプションには引数が必要であることを示す。 このとき getopt()   は、現在注目
       している argv 要素で、オプション文字に引き続くテキストへのポインターか、 あるいは次の argv
       要素のテキストへのポインターを optarg  に代入する。  2  個連続してコロンが置かれている場合
       は、  そのオプションは引数をとってもとらなくてもよい。  現在の argv 要素にテキストがあれば
       (つまり、"-oarg"  のように、オプション名自身と同じワード内に   テキストがある場合)、それが
       optarg  に返される。  なければ  optarg  は  0 に設定される。 これは GNU による拡張である。
       optstringW とそれに続くセミコロンが入っていると、 -W foo は長いオプション --foo と同じ
       ように扱われる  (POSIX.2  は -W オプションを実装依存の拡張として予約している)。 この動作は
       GNU による拡張であり、glibc 2 以前のライブラリでは 利用できない。

       デフォルトでは getopt()  は argv をスキャンする際に順序を変更し、 オプション以外の要素を最
       後に移動する。 他にも 2 つのスキャンモードが実装されている。 optstring の先頭文字が '+' で
       あるか、環境変数 POSIXLY_CORRECT  が設定されている場合には、オプションを対象とする動作は、
       非オプションの引数が現れた段階で終了する。  optstring の先頭文字が '-' である場合には、 オ
       プションでない argv 要素は、 文字コード 1 のオプションであるかのように扱われる (これを用い
       るプログラムは、 オプションや argv 要素を任意の順序で受け入れ、かつそれらの順序が 意味を持
       つように書かれている必要がある)。 "--" は特殊な引数で、スキャンのモードによらず、 オプショ
       ンのスキャンを強制的に終了させる。

       While  processing the option list, getopt()  can detect two kinds of errors: (1) an option
       character that was not specified in optstring and (2) a missing option argument (i.e.,  an
       option  at  the  end  of  the command line without an expected argument).  Such errors are
       handled and reported as follows:

       *  By default, getopt()  prints an error message on standard error, places  the  erroneous
          option character in optopt, and returns '?' as the function result.

       *  If the caller has set the global variable opterr to zero, then getopt()  does not print
          an error message.  The caller can determine that there was an error by testing  whether
          the function return value is '?'.  (By default, opterr has a nonzero value.)

       *  If  the  first  character  (following  any  optional  '+'  or  '-' described above)  of
          optstring is a colon (':'), then getopt() likewise does not print an error message.  In
          addition,  it  returns  ':' instead of '?' to indicate a missing option argument.  This
          allows the caller to distinguish the two different types of errors.

   getopt_long()  getopt_long_only()
       getopt_long()  関数は、長いオプション (2 つのダッシュ "--" で始まるオプション) を 受け入れ
       ることを除いて  getopt()  と同じように動作する (プログラムに長いオプションだけが渡された場
       合、 optstring は NULL ではなく空文字列 ("") となる)。  長いオプションの名前は、他と重なら
       ない範囲において短縮できる。 あるいは定義されたオプションに正確にマッチするものでも (当然)
       かまわない。 長いオプションは引数を取ることができ、 --arg=param または --arg param  と言う
       形式で指定する。

       longoptsstruct  option  の要素からなる配列の、先頭要素へのポインターである。  struct
       option<getopt.h> で以下のように定義されている。

           struct option {
               const char *name;
               int         has_arg;
               int        *flag;
               int         val;
           };

       それぞれのフィールドの意味は以下の通り。

       name   長いオプションの名前。

       has_arg
              no_argument (または 0) なら、オプションは引数をとらない。 required_argument (または
              1) なら、オプションは引数を必要とする。 optional_argument (または 2) なら、オプショ
              ンは引数をとっても とらなくても良い。

       flag   長いオプションに対する結果の返し方を指定する。flag が NULL なら  getopt_long()   は
              val を返す (例えば呼び出し元のプログラムは、 val に等価なオプション文字を代入するこ
              とができる)。 NULL 以外の場合には、 getopt_long()  は 0 を返す。 このときオプション
              が見つかると flag がポイントする変数に val が代入される。見つからないとこの変数は変
              更されない。

       val    返り値、または flag がポイントする変数へロードされる値。

       配列の最後の要素は、全て 0 で埋められていなければならない。

       longindex は、NULL でなければ、 長いオプションのインデックスを longopts からの相対位置とし
       て保持している変数へのポインターとなる。

       getopt_long_only()  は getopt_long()  と同様の動作をするが、 '-' も "--" と同様に、 長いオ
       プションとして扱われる。'-' で始まる ("--" 以外の)  オプションが、長いものにはマッチしない
       が短いものに マッチする場合においては、それは短いオプションとして解釈される。

返り値

       オプションが正常に見つかれば getopt()  はそのオプション文字を返す。 すべてのコマンドライン
       オプションの解析が終わったら、 getopt()  は -1 を返す。 optstring に含まれないオプション文
       字が見つかると、'?' を返す。 引数が足りないオプションが見つかった場合、 返り値は optstring
       の最初の文字による異なる: 最初の文字が ':' であれば ':' を返し、 それ以外の場合は '?' を返
       す。

       getopt_long()   と getopt_long_only()  も、 短いオプション文字を認識した場合にはその文字を
       返す。 長いオプションに対しては、 flag が NULL なら val を返し、 flag が NULL  以外なら  0
       を返す。 エラーと -1 の返り値は getopt()  と同じである。 さらに '?' は、マッチが確定できな
       い場合や余分なパラメーターがある場合にも返る。

環境

       POSIXLY_CORRECT
              これが設定されていると、非オプションの引数に到達した時点でオプション に対する操作が
              停止される。

       _<PID>_GNU_nonoption_argv_flags_
              この変数は  bash(1)   2.0  が glibc と通信するために用いられた。 どの引数がワイルド
              カードを展開した結果で、 したがってオプションとみなすべきでないかを知らせるものであ
              る。  この機能は  bash(1)  のバージョン 2.01 で削除されたが、glibc にはまだ残ってい
              る。

属性

       この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

       ┌─────────────────────────┬───────────────┬───────────────────────────┐
       │インターフェース属性                        │
       ├─────────────────────────┼───────────────┼───────────────────────────┤
       │getopt(), getopt_long(), │ Thread safety │ MT-Unsafe race:getopt env │
       │getopt_long_only()       │               │                           │
       └─────────────────────────┴───────────────┴───────────────────────────┘

準拠

       getopt():
              POSIX.1-2001,   POSIX.1-2008,   and  POSIX.2,  provided  the  environment  variable
              POSIXLY_CORRECT is set.  Otherwise, the  elements  of  argv  aren't  really  const,
              because these functions permute them.  Nevertheless, const is used in the prototype
              to be compatible with other systems.

              optstring で '+' や '-' を使うのは GNU による拡張である.

              古い実装のいくつかでは、 getopt()  は  <stdio.h>  で宣言されていた。  SUSv1  では、
              <unistd.h><stdio.h>  のどちらかで  宣言してもよかった。  POSIX.1-1996  では、
              getopt の宣言を <stdio.h> で行うのは「過去の名残」であるとされた。 POSIX.1-2001  で
              は <stdio.h> で宣言を行うことを要求していない。

       getopt_long(), getopt_long_only():
              これらの関数は GNU による拡張である。

注意

       複数の引数ベクトルをスキャンしたり、同じ引数ベクトルを二回以上  スキャンするようなプログラ
       ムで、 optstring の先頭で '+' や '-' といった GNU による拡張機能を使用したり、  引数ベクト
       ルの切り替え時に POSIXLY_CORRECT の値を変更したりする場合には、 optind を伝統的な 1 ではな
       く 0 にリセットすることで getopt() を再初期化しなければならない (0  にリセットすることで、
       POSIXLY_CORRECToptstring の GNU 拡張機能のチェックを行う内部初期化ルーチンが起動され
       る)。

   getopt()
       以下に示す簡単なサンプルプログラムでは、  二種類のプログラムオプションを扱うのに  getopt()
       を使用している。一つは値を伴わない -n で、もう一つは対応する値が必要な -t val である。

       #include <unistd.h>
       #include <stdlib.h>
       #include <stdio.h>

       int
       main(int argc, char *argv[])
       {
           int flags, opt;
           int nsecs, tfnd;

           nsecs = 0;
           tfnd = 0;
           flags = 0;
           while ((opt = getopt(argc, argv, "nt:")) != -1) {
               switch (opt) {
               case 'n':
                   flags = 1;
                   break;
               case 't':
                   nsecs = atoi(optarg);
                   tfnd = 1;
                   break;
               default: /* '?' */
                   fprintf(stderr, "Usage: %s [-t nsecs] [-n] name\n",
                           argv[0]);
                   exit(EXIT_FAILURE);
               }
           }

           printf("flags=%d; tfnd=%d; nsecs=%d; optind=%d\n",
                   flags, tfnd, nsecs, optind);

           if (optind >= argc) {
               fprintf(stderr, "Expected argument after options\n");
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           printf("name argument = %s\n", argv[optind]);

           /* Other code omitted */

           exit(EXIT_SUCCESS);
       }

   getopt_long()
       以下は、 getopt_long()  の使用法を、ほぼすべての機能について示したプログラムの例である。

       #include <stdio.h>     /* for printf */
       #include <stdlib.h>    /* for exit */
       #include <getopt.h>

       int
       main(int argc, char **argv) {
           int c;
           int digit_optind = 0;

           while (1) {
               int this_option_optind = optind ? optind : 1;
               int option_index = 0;
               static struct option long_options[] = {
                   {"add",     required_argument, 0,  0 },
                   {"append",  no_argument,       0,  0 },
                   {"delete",  required_argument, 0,  0 },
                   {"verbose", no_argument,       0,  0 },
                   {"create",  required_argument, 0, 'c'},
                   {"file",    required_argument, 0,  0 },
                   {0,         0,                 0,  0 }
               };

               c = getopt_long(argc, argv, "abc:d:012",
                        long_options, &option_index);
               if (c == -1)
                   break;

               switch (c) {
               case 0:
                   printf("option %s", long_options[option_index].name);
                   if (optarg)
                       printf(" with arg %s", optarg);
                   printf("\n");
                   break;

               case '0':
               case '1':
               case '2':
                   if (digit_optind != 0 && digit_optind != this_option_optind)
                     printf("digits occur in two different argv-elements.\n");
                   digit_optind = this_option_optind;
                   printf("option %c\n", c);
                   break;

               case 'a':
                   printf("option a\n");
                   break;

               case 'b':
                   printf("option b\n");
                   break;

               case 'c':
                   printf("option c with value '%s'\n", optarg);
                   break;

               case 'd':
                   printf("option d with value '%s'\n", optarg);
                   break;

               case '?':
                   break;

               default:
                   printf("?? getopt returned character code 0%o ??\n", c);
               }
           }

           if (optind < argc) {
               printf("non-option ARGV-elements: ");
               while (optind < argc)
                   printf("%s ", argv[optind++]);
               printf("\n");
           }

           exit(EXIT_SUCCESS);
       }

関連項目

       getopt(1), getsubopt(3)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。