Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all bug

名前

       pthread_attr_setinheritsched,  pthread_attr_getinheritsched  -  スレッド属性オブジェクトの
       inherit-scheduler 属性の設定/取得を行う

書式

       #include <pthread.h>

       int pthread_attr_setinheritsched(pthread_attr_t *attr,
                                        int inheritsched);
       int pthread_attr_getinheritsched(const pthread_attr_t *attr,
                                        int *inheritsched);

       -pthread でコンパイルしてリンクする。

説明

       pthread_attr_setinheritsched()    関数は、    attr    が参照するスレッド属性オブジェクトの
       inherit-scheduler  属性を inheritsched で指定された値に設定する。 inherit-scheduler 属性に
       より、スレッド属性オブジェクト attr を使って作成されるスレッドが、呼び出したスレッドのスケ
       ジューリング属性を継承するか、 attr からスケジューリング属性を取得するかが決定される。

       次に挙げるスケジューリング属性は  inherit-scheduler 属性の影響を受ける: スケジューリングポ
       リシー              (pthread_attr_setschedpolicy(3))、              スケジューリング優先度
       (pthread_attr_setschedparam(3))、 contention scope (pthread_attr_setscope(3))。

       以下の値を inheritsched に指定できる。

       PTHREAD_INHERIT_SCHED
              attr  を使って作成されたスレッドは、 スレッドを作成するスレッドからスケジューリング
              属性を継承する。 attr 内のスケジューリング属性は無視される。

       PTHREAD_EXPLICIT_SCHED
              attr を使って作成されたスレッドは、スレッド属性オブジェクトで  指定された値からスケ
              ジューリング属性を取得する。

       新たに初期化されたスレッド属性オブジェクトの    inherit-scheduler   属性のデフォルト設定は
       PTHREAD_INHERIT_SCHED である。

       pthread_attr_getinheritsched() は、 スレッド属性オブジェクト attr の inherit-scheduler  属
       性を inheritsched が指すバッファーに入れて返す。

返り値

       成功すると、これらの関数は 0 を返す。 エラーの場合、0 以外のエラー番号を返す。

エラー

       pthread_attr_setinheritsched() は以下のエラーで失敗する場合がある。

       EINVAL inheritsched に無効な値が指定された。

       POSIX.1 では、 pthread_attr_setinheritsched() に関して エラー ENOTSUP ("サポートされていな
       い値を属性に設定しようとした") も追加で規定されている。

属性

       この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

       ┌────────────────────────────────┬───────────────┬─────────┐
       │インターフェース属性      │
       ├────────────────────────────────┼───────────────┼─────────┤
       │pthread_attr_setinheritsched(), │ Thread safety │ MT-Safe │
       │pthread_attr_getinheritsched()  │               │         │
       └────────────────────────────────┴───────────────┴─────────┘

準拠

       POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.

バグ

       glibc 2.8 の時点では、スレッド属性オブジェクトが pthread_attr_init(3) を使って初期化された
       場合、 スレッド属性オブジェクトのスケジューリングポリシーが SCHED_OTHER に、  スケジューリ
       ング優先度が  0 に設定される。一方、その後 inherit-scheduler 属性に PTHREAD_EXPLICIT_SCHED
       が設定されると、このスレッド属性オブジェクトを使って作成されたスレッドでは、スレッドを作成
       するスレッドのスケジューリング属性が間違って継承されてしまう。  pthread_create(3) を呼び出
       す前にスケジューリングポリシー属性かスケジューリング優先度属性のどちらかが明示的に設定され
       た場合には、 このバグは発生しない。

       pthread_setschedparam(3) を参照。

関連項目

       pthread_attr_init(3), pthread_attr_setschedparam(3), pthread_attr_setschedpolicy(3),
       pthread_attr_setscope(3), pthread_create(3), pthread_setschedparam(3),
       pthread_setschedprio(3), pthreads(7), sched(7)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。