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名前

       pthread_attr_setscope, pthread_attr_getscope - スレッド属性オブジェクトの contention scope
       属性の設定/取得を行う

書式

       #include <pthread.h>

       int pthread_attr_setscope(pthread_attr_t *attr, int scope);
       int pthread_attr_getscope(const pthread_attr_t *attr, int *scope);

       -pthread でコンパイルしてリンクする。

説明

       pthread_attr_setscope()  関数は、  attr  が参照するスレッド属性オブジェクトの   contention
       scope  属性を scope で指定された値に設定する。 contention scope 属性により、スレッドが CPU
       などのリソースを取り合うスレッド集合が規定される。 POSIX.1 では scope に指定する値として 2
       つの値が規定されている。

       PTHREAD_SCOPE_SYSTEM
              スレッドは、同じスケジューリング割り当てドメイン  (一つ以上のプロセッサ のグループ)
              にある、システム上の全てのプロセスの自分以外の全ての スレッドとリソースを取り合う。
              PTHREAD_SCOPE_SYSTEM  のスレッドは、スケジューリングポリシーと 優先度に基づき、互い
              に相対的にスケジューリングされる。

       PTHREAD_SCOPE_PROCESS
              スレッドは、contention scope が PTHREAD_SCOPE_PROCESS で作成された 同じプロセスの自
              分以外の全てのスレッドとリソースを取り合う。 PTHREAD_SCOPE_PROCESS のスレッドは、ス
              ケジューリングポリシーと優先度   に基づき、同じプロセスの他のスレッドと相対的にスケ
              ジューリングされる。  POSIX.1  では、これらのスレッドがシステム上の他のプロセスのス
              レッド や同じプロセス内の contention scope が PTHREAD_SCOPE_SYSTEM で作成  された他
              のスレッドとどのようにリソースを取り合うかは、 規定されないままになっている。

       POSIX.1  で求められているのは、スレッド実装がこれらの  contention scope のうち少なくとも 1
       つをサポートすることだけである。  Linux  は  PTHREAD_SCOPE_SYSTEM   をサポートしているが、
       PTHREAD_SCOPE_PROCESS はサポートしていない。

       複数の  contention scope をサポートしているシステムで、 pthread_create(3) を呼び出した際に
       pthread_attr_setscope()      で行ったパラメーター設定を有効にするには、       呼び出し側で
       pthread_attr_setinheritsched(3) を使って 属性オブジェクト attr の inherit-scheduler 属性を
       PTHREAD_EXPLICIT_SCHED に設定しておかなければならない。

       pthread_attr_getscope() は、 スレッド属性オブジェクト  attr  の  contention  scope  属性を
       scope が指すバッファーに入れて返す。

返り値

       成功すると、これらの関数は 0 を返す。 エラーの場合、0 以外のエラー番号を返す。

エラー

       pthread_attr_setscope() は以下のエラーで失敗する場合がある。

       EINVAL scope に無効な値が指定された。

       ENOTSUP
              scope に値 PTHREAD_SCOPE_PROCESS が指定された。 この値は Linux でサポートされていな
              い。

属性

       この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

       ┌─────────────────────────┬───────────────┬─────────┐
       │インターフェース属性      │
       ├─────────────────────────┼───────────────┼─────────┤
       │pthread_attr_setscope(), │ Thread safety │ MT-Safe │
       │pthread_attr_getscope()  │               │         │
       └─────────────────────────┴───────────────┴─────────┘

準拠

       POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.

注意

       PTHREAD_SCOPE_SYSTEM  contention  scope  では、通常は、一つの ユーザー空間スレッドは一つの
       カーネルスケジューリングエンティティに   直接結び付けられる。    Linux    では、廃止予定の
       LinuxThreads  実装も新しい NPTL 実装もこれに 該当し、両方とも 1:1 で結び付けられるスレッド
       実装となっている。

       POSIX.1 では、 contention  scope  属性のデフォルト値は実装時で定義されるものと規定されてい
       る。

関連項目

       pthread_attr_init(3), pthread_attr_setaffinity_np(3), pthread_attr_setinheritsched(3),
       pthread_attr_setschedparam(3), pthread_attr_setschedpolicy(3), pthread_create(3),
       pthreads(7)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。