Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all bug

名前

       qsort, qsort_r - 配列を並べ変える

書式

       #include <stdlib.h>

       void qsort(void *base, size_t nmemb, size_t size,
                  int (*compar)(const void *, const void *));

       void qsort_r(void *base, size_t nmemb, size_t size,
                  int (*compar)(const void *, const void *, void *),
                  void *arg);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       qsort_r(): _GNU_SOURCE

説明

       qsort()  関数は、 nmemb 個の大きさ size の要素をもつ配列を並べ変える。 base 引数は配列の先
       頭へのポインターである。

       compar をポインターとする比較関数によって、 配列の中身は昇順 (値の大きいものほど後に並ぶ順
       番) に並べられる。 比較関数の引数は比較されるふたつのオブジェクトのポインターである。

       比較関数は、第一引数が第二引数に対して、  1)  小さい、2) 等しい、3) 大きいのそれぞれに応じ
       て、 1) ゼロより小さい整数、2) ゼロ、3) ゼロより大きい整数の  いずれかを返さなければならな
       い。 二つの要素の比較結果が等しいとき、 並べ変えた後の配列では、これら二つの順序は規定され
       ていない。

       qsort_r() 関数は qsort() と同じだが、比較関数 compar が第 3 引数を  取る点が異なる。ポイン
       ターが arg 経由で比較関数に渡される。 これにより、比較関数は任意の引数を渡すためにグローバ
       ル変数を使う必要がなくなり、 そのため、リエントラント (再入可能)  で安全にスレッドで使用で
       きるようになる。

返り値

       関数 qsort() と qsort_r() は値を返さない。

バージョン

       qsort_r() は glibc バージョン 2.8 で追加された。

属性

       この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

       ┌───────────────────┬───────────────┬─────────┐
       │インターフェース属性      │
       ├───────────────────┼───────────────┼─────────┤
       │qsort(), qsort_r() │ Thread safety │ MT-Safe │
       └───────────────────┴───────────────┴─────────┘

準拠

       qsort(): POSIX.1-2001, POSIX.1-2008, C89, C99, SVr4, 4.3BSD.

注意

       C  の文字列を比較する場合、以下の例にあるように比較関数で  strcmp(3)  を呼び出すこともでき
       る。

       使用例については、 bsearch(3)  にある例を参照すること。

       以下のプログラムに別の使用例を示す。このプログラムは、  コマンドライン引数で指定された文字
       列の並び換えを行う。

       #include <stdio.h>
       #include <stdlib.h>
       #include <string.h>

       static int
       cmpstringp(const void *p1, const void *p2)
       {
           /* この関数の実際の引数は "char 型へのポインターのポインター" だが、
              strcmp(3) の引数は "char 型へのポインター" である。
              そこで、以下のようにキャストをしてからポインターの逆参照を行う。*/

           return strcmp(*(const char **) p1, *(const char **) p2);
       }

       int
       main(int argc, char *argv[])
       {
           if (argc < 2) {
               fprintf(stderr, "Usage: %s <string>...\n", argv[0]);
               exit(EXIT_FAILURE);
           }

           qsort(&argv[1], argc - 1, sizeof(char *), cmpstringp);

           for (int j = 1; j < argc; j++)
               puts(argv[j]);
           exit(EXIT_SUCCESS);
       }

関連項目

       sort(1), alphasort(3), strcmp(3), versionsort(3)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。

                                            2020-11-01                                   QSORT(3)