Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all bug

名前

       sigwaitinfo, sigtimedwait, rt_sigtimedwait - キューに入れられたシグナルを同期して待つ

書式

       #include <signal.h>

       int sigwaitinfo(const sigset_t *set, siginfo_t *info);

       int sigtimedwait(const sigset_t *set, siginfo_t *info,
                        const struct timespec *timeout);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       sigwaitinfo(), sigtimedwait(): _POSIX_C_SOURCE >= 199309L

説明

       sigwaitinfo()   は set のうちのどれかのシグナルが処理待ちになるまで、 呼び出しスレッドの実
       行を一時停止する   (呼び出しスレッドに対して   set    のうちのどれかのシグナルが既に待機中
       (pending) である場合、 sigwaitinfo() はすぐに戻る)。

       sigwaitinfo()   はそのシグナルを待機中のシグナルの集合から削除し、関数の結果としてシグナル
       番号を返す。 info 引数が NULL  でない場合、配送されたシグナルの情報が入った  siginfo_t  型
       (sigaction(2)  を参照) の構造体を info が指すバッファーに入れて返す。

       呼び出し元に対して set の複数のシグナルが処理待ちの場合、 sigwaitinfo() で取得するシグナル
       は通常の順序決定ルールに基づいて決定される。 詳細は signal(7) を参照のこと。

       sigtimedwait() は、 sigwaitinfo() と次の点を除いて全く同じように動作する。この関数にはもう
       1  つの引数  timeout  があり、シグナル待ちでスレッドが一時停止する時間を指定することができ
       る(この時間はシステムクロックの粒度に切り上げられ、カーネルのスケジューリング遅延により少
       しだけ長くなる可能性がある)。この引数の型は以下のとおりである:

           struct timespec {
               long    tv_sec;         /* 秒 */
               long    tv_nsec;        /* ナノ秒 */
           }

       この構造体の   2  つのフィールドがともに  0  の場合、ポーリングが行われる:  sigtimedwait()
       は、呼び出し側プロセスに対して 待機しているシグナルの情報を返して戻るか、 set のうちのどの
       シグナルも待機していない場合はエラーを返して戻る。

返り値

       成功した場合、  sigwaitinfo()  と sigtimedwait()  はシグナル番号 (すなわち 0 より大きい数)
       を返す。 失敗した場合、2 つの関数は -1 を返し、 errno はエラーを表す値に設定される。

エラー

       EAGAIN set のうちのどのシグナルも sigtimedwait()  に指定された timeout  の期間内に処理待ち
              にならなかった。

       EINTR  シグナル待ちがシグナルハンドラーによって中断  (interrupt)  された (このハンドラーは
              set にあるシグナル以外のものである)。 signal(7)  参照。

       EINVAL timeout が不正である。

準拠

       POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.

注意

       通常の使用法では、呼び出し側プロセスはこれらの関数より先に sigprocmask(2)   の呼び出すこと
       により    set   に含まれるシグナルをブロックし   (そのためにこれらのシグナルがこの後に続く
       sigwaitinfo()  や sigtimedwait()  の呼び出しの間に処理待ちになった場合には、デフォルトの動
       作は行われず)、  これらのシグナルに対するハンドラーは設定しない。 マルチスレッドプログラム
       では、 sigwaitinfo()  や sigtimedwait() を呼び出したスレッド以外のスレッドで、そのシグナル
       がデフォルトの動作に基いて処理されないように、全てのスレッドで該当シグナルをブロックすべき
       である。

       指定されたスレッドに対する処理待ちのシグナルの集合は、  そのスレッド自体宛ての処理待ちのシ
       グナル集合と、プロセス全体宛ての 処理待ちのシグナル集合をあわせたものである (signal(7)  参
       照)。

       SIGKILLSIGSTOP を待とうとした場合、黙って無視される。

       一つのプロセス内の複数のスレッドが sigwaitinfo()  や sigtimedwait()   で同じシグナルを待っ
       て停止した場合、  プロセス全体宛てのシグナルが処理待ちになると、複数のスレッドのうち一つだ
       けが 実際にそのシグナルを受信することになる。 どのスレッドがシグナルを受信するかは決まって
       いない。

       sigwaitinfo()   or sigtimedwait(), can't be used to receive signals that are synchronously
       generated, such as the SIGSEGV signal  that  results  from  accessing  an  invalid  memory
       address  or  the SIGFPE signal that results from an arithmetic error.  Such signals can be
       caught only via signal handler.

       POSIX では sigtimedwait()  の引数 timeout の値を NULL にした場合の意味を未定義としている。
       sigwaitinfo()   を呼び出したのと同じ意味としてもよいことになっており、 実際 Linux ではこの
       ように動作する。

   C ライブラリとカーネルの違い
       Linux では、 sigwaitinfo()  は sigtimedwait()  を用いて実装されたライブラリ関数である。

       The glibc wrapper functions for sigwaitinfo()  and sigtimedwait() silently ignore attempts
       to  wait  for  the  two  real-time  signals that are used internally by the NPTL threading
       implementation.  See nptl(7)  for details.

       The original Linux system call was named sigtimedwait().  However, with  the  addition  of
       real-time  signals  in  Linux  2.2, the fixed-size, 32-bit sigset_t type supported by that
       system  call  was  no  longer  fit  for  purpose.   Consequently,  a  new   system   call,
       rt_sigtimedwait(),  was  added  to support an enlarged sigset_t type.  The new system call
       takes a fourth argument, size_t sigsetsize, which specifies  the  size  in  bytes  of  the
       signal set in set.  This argument is currently required to have the value sizeof(sigset_t)
       (or the error EINVAL results).  The glibc sigtimedwait()   wrapper  function  hides  these
       details from us, transparently calling rt_sigtimedwait()  when the kernel provides it.

関連項目

       kill(2), sigaction(2), signal(2), signalfd(2), sigpending(2), sigprocmask(2), sigqueue(3),
       sigsetops(3), sigwait(3), signal(7), time(7)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。