Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20131015+dfsg-2_all bug

名前

       ypserv - NIS サーバー

書式

       /usr/sbin/ypserv [ -d [ path ] ] [ -p port ]

説明

       Network Information Service (NIS) は、 データベースとそれらを扱うプロセスとからなる シンプ
       ルなネットワーク検索サービスである。 データベースは gdbm 形式のファイルで、 /var/yp 以下の
       ディレクトリツリーに置かれる。

       ypserv  デーモンは、通常システムのスタートアップの時に起動される。  ypserv  は、完全な NIS
       データーベースを保管する NIS サーバーマシンでのみ実行される。 NIS サービスを利用する他のマ
       シンでは、クライアントとして  ypbind  を動作しさえすればよい。あるいは Linux なら NYS のサ
       ポートされた libc を用いてもよい。 ypbind は NIS  クライアントプロセスの動作するすべてのマ
       シンで起動しなければならない。  その際  ypserv の動作しているマシンは、 ネットワークの同じ
       ノードでも他のノードでもかまわないが、  必ずネットワークのどこかに存在していなければならな
       い。  スタートアップの時や  SIGHUP シグナルを受け取った時には、 ypserv/etc/ypserv.conf
       ファイルを読み込み、その内容を解釈して利用する。

オプション

       -d --debug [path]
              サーバーをデバッグモードで起動する。 通常 ypservsyslog(3)   を通してエラーメッ
              セージ  (アクセス権の侵害や  dbm  の障害など) のみを 報告する。これに対してデバッグ
              モードでは、 サーバーはバックグラウンドへ待避せず、  アクセス要求を受けるたびに細か
              なステータスメッセージを   標準エラー出力に表示する。  path  は省略可能なパラメータ
              で、指定すると ypserv はこのディレクトリを /var/yp の代わりに利用する。

       -p --port port
              ypserv がバインドするポート番号を指定する。このオプションを用いると、 ルータに  NIS
              ポートへのパケットをフィルタリングさせ、  インターネットからの NIS サーバーへのアク
              セスを制限できる。

       -v --version
              バージョン番号を表示する。

セキュリティ

       いったんドメインネームがわかってしまうと、リモートユーザーは誰でも ypserv への RPC  を発行
       して、 NIS マップの内容を入手できてしまう。 このような、本来許可されるべきでないトランザク
       ションを防ぐために、 ypserv では securenets という機能をサポートしており、指定されたホスト
       以外からのアクセスを  制限できるようになっている。起動時や  SIGHUP  シグナルを受けた時に、
       ypserv/var/yp/securenets というファイルから securenets 情報をロードしようと試みる。 こ
       のファイルにはネットワークとネットマスクの組を、スペースで      区切ったものが指定されてい
       る。“#” で始まる行はコメントと みなされる。

       以下に securenets ファイルの簡単な例を示す。

              # allow connections from local host -- necessary
              host 127.0.0.1
              # same as 255.255.255.255 127.0.0.1
              #
              # allow connections from any host
              # on the 131.234.223.0 network
              255.255.255.0 131.234.223.0
              # allow connections from any host
              # between 131.234.214.0 and 131.234.215.255
              255.255.254.0 131.234.214.0

       ypserv がルールにマッチしなかったアドレスからの要求を受け取ると、 その要求は無視され、警告
       メッセージがログに記録される。 /var/yp/securentes ファイルが存在しない場合には、 ypserv は
       すべてのホストからの接続を許可する。

       /etc/ypserv.conf に、特殊なマップやホストに対するアクセスルールを指定することもできる。 し
       かしこれは必ずしも安全ではなく、クラッカーからのアタックを多少面倒に    させるだけにすぎな
       い。 mapname がルールにマッチしないと、 ypserv はそのマップの YPSECURE  キーを見る。キーが
       存在すれば、 ypserv は特権ポートからの要求以外を許可しない。

       セキュリティ上の理由から、 ypserv はマップ更新のために用いられる ypproc_xfr 要求を、以前と
       同じ マスターサーバーからしか受けつけない。つまり、あるマップに対する マスターサーバを変更
       するには、スレーブサーバーは 再インストールする必要がある。

ファイル

       /etc/ypserv.conf /var/yp/securenets

関連項目

       domainname(1),    ypcat(1),    ypmatch(1),    ypserv.conf(5),   netgroup(5),   makedbm(8),
       revnetgroup(8),  ypinit(8),  yppoll(8),   yppush(8),   ypset(8),   ypwhich(8),   ypxfr(8),
       rpc.ypxfrd(8)

       Network  Information Service (NIS)  は、以前は Sun Yellow Pages (YP).  と呼ばれていた。 こ
       の両者の機能はまったく同じものであり、名前が違うだけである。 Yellow Pages という名前は、英
       国で  British Telecommunications plc の登録商標となっており、 許可を得ずに用いることはでき
       ない。

作者

       ypserv  は  Peter  Eriksson   <pen@lysator.liu.se>   によって書かれた。   Thorsten   Kukuk
       <kukuk@suse.de> がマスター/スレーブサーバの サポートを追加し、現在のメンテナンスを行ってい
       る。