Provided by: manpages-ja_0.5.0.0.20131015+dfsg-2_all bug

名前

       ypxfr - NIS データーベースをリモートサーバーからローカルホストに転送する

書式

       /usr/lib/yp/ypxfr [ -f ] [ -c ] [ -d target domain ]
            [ -h source host ] [ -s source domain ]
            [ -C taskid program-number ipaddr port ]
            [ -p yp_path ] mapname ...

説明

       ypxfr  は NIS データーベースを NIS サーバーからローカルホストに NIS サービスを用いてコピー
       する。 ypxfr は通常 ypinit から起動されるか、 yppush からマップ転送要求を受け取った ypserv
       によって起動される。  ypxfr  は一時的なマップを  /var/yp/domain ディレクトリに生成し (この
       ディレクトリは存在していなければならない。 domain はローカルホストのデフォルトドメイン名で
       ある)、  そのマップのエントリを取得して内容を書き込み、マップのパラメータ  (マスターとオー
       ダー番号) を取得する。  転送が成功したら、古いバージョンのマップは削除され、  この一時的な
       マップの内容がそこに書き込まれる。  次に  ypxfr  は  "clear  current map" 要求をローカルの
       ypserv に送ろうと試みる。

       インタラクティブな形式で実行されると、 ypxfr  は出力を標準エラー出力に書き出す。しかし制御
       端末なしで 起動された場合には、出力は syslog に記録される。

       ypxfr が用いられるのは、複数の NIS サーバーが用いられているような 環境においてである。あら
       ゆるマップに対して、そのマップの原本を 保持している  NIS  マスターサーバーが一つだけ存在す
       る。他のサーバは  すべて NIS スレーブサーバーとなり、マスターサーバーでマップが 更新される
       たびに、新しい版のマップをコピーする。 通常は一台の NIS サーバーにすべてのマップの管理を集
       中させる。

       これらすべての NIS サーバーの間でマップの内容を一致させておくためには、 ypxfrcron ジョ
       ブとして定期的に動作させると良い。あまり変更されないマップは  一日に一回更新すればよいだろ
       うし   (システムの使用率が最低となるような   夜遅くが好まれる)、頻繁に変更されるマップ   (
       passwd.bynamepasswd.byuid  など)  は一時間に一回くらい更新する必要があるかもしれない。
       これらの例は  /usr/lib/ypypxfr_1perday, ypxfr_2perday, ypxfr_1perhour などに示してあ
       る。とりあえず動かしてみるには、 これらを用いてみると良いだろう。

       NIS マスターサーバーで /var/yp/Makefile が実行されたら、 通常はその更新内容を yppush  を用
       いて伝播させるべきである。 しかし大きなネットワークの場合には、通信障害などによって NIS ス
       レーブの同期がマスターとずれることもあるだろうから、 このように ypxfr を使うのは良いことで
       ある。

オプション

       以下のオプションがサポートされている。

       -f     マップの転送を強制する。通常の動作では、 NIS マスターにあるマップがローカルホストに
              すでに存在するコピーよりも 新しくないと判断されると、 ypxfr  はマップの転送を行わな
              い。このフラグを指定すると、 どのサーバーの版が最新であるかを問わず、強制的に転送が
              行われる。

       -c     ローカルで動作している ypserv プロセスに "clear current map" 要求を送らない。 ypxfrypinit から起動された場合や、 ypxfr の起動時に ypserv が動作していない場合などに
              は通常このフラグを指定する。さもないと ypxfr はローカルの ypserv と通信できない旨の
              エラーを出し、転送は失敗する。

       -d domain
              デフォルトの NIS ドメインの代わりに用いるドメインを指定する。

       -h source host
              マップに書かれているマスターの情報を無視して、マップを  host から取得する。 host が
              指定されない場合には、 ypxfr は NIS  サービスにマスターの名前を問い合わせて、そこか
              らマップを取得しようとする。 このオプションは ypxfr がマップの取得先とする NIS マス
              ターサーバーを保証するために用いられる。

       -s source domain
              マップの取得先とするソースドメインを指定する。 そのマップをドメインを通して同じもの
              としたい場合に有効。

       -C taskid progam-number ipaddr port
              このオプションは ypserv によってのみ用いられる。 ypservypxfr を起動するときに、
              ypxfryppush プロセスをコールバックする先 ( IP アドレス ipaddr  のホストの、予約
              済みプログラム番号 progam-number、 ポート番号 port が、トランザクション taskid への
              レスポンスを待っている)  を指定する。

       -p yp_path
              マップのディレクトリを        yp_path/[domainname]         に変更する。デフォルトは
              /var/yp/[domainname] である。

       mapname
              転送するマップの名前を指定する (複数指定可)。

ファイル

       /var/yp/[domainname]/[maps]

関連項目

       ypserv(8), yppush(8), ypinit(8), cron(8), crontab(5)

作者

       Thorsten Kukuk <kukuk@suse.de>