Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all bug

名前

       scalb, scalbf, scalbl - 浮動小数点数に整数である基数の累乗を掛ける (廃止予定)

書式

       #include <math.h>

       double scalb(double x, double exp);
       float scalbf(float x, float exp);
       long double scalbl(long double x, long double exp);

       -lm でリンクする。

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       scalb():
           _XOPEN_SOURCE >= 500
               || /* Since glibc 2.19: */ _DEFAULT_SOURCE
               || /* Glibc versions <= 2.19: */ _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE
       scalbf(), scalbl():
           _XOPEN_SOURCE >= 600
               || /* Since glibc 2.19: */ _DEFAULT_SOURCE
               || /* Glibc versions <= 2.19: */ _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE

説明

       これらの関数は最初の引数  xFLT_RADIXexp 乗を掛ける (FLT_RADIX はおそらく 2 であ
       る)。つまり、以下の式の値を返す。

           x * FLT_RADIX ** exp

       FLT_RADIX の定義は <float.h> をインクルードすることで得られる。

返り値

       成功すると、これらの関数は x * FLT_RADIX ** exp を返す。

       xexp が NaN の場合、NaN が返される。

       x が正の無限大 (負の無限大) で exp が負の無限大でない場合、正の無限大 (負の無限大)  が返さ
       れる。

       x が +0 (-0) で exp が正の無限大でない場合、+0 (-0) が返される。

       x がゼロで exp が正の無限大の場合、領域エラー (domain error) が発生し、 NaN が返される。

       x が無限大で exp が負の無限大の場合、領域エラー (domain error) が発生し、 NaN が返される。

       結果がオーバーフローする場合、   範囲エラー   (range  error)  が発生し、  各関数はそれぞれ
       HUGE_VAL, HUGE_VALF, HUGE_VALL を返す。符号は x と同じになる。

       結果がアンダーフローする場合、範囲エラーが発生し、 各関数は 0 を返す。符号は x  と同じにな
       る。

エラー

       これらの関数を呼び出した際にエラーが発生したかの判定方法についての情報は math_error(7)  を
       参照のこと。

       以下のエラーが発生する可能性がある。

       領域エラー (domain error): x が 0 で exp が正の無限大、または x が正の無限大で exp  が負の
       無限大
              errnoEDOM が設定される。 不正 (invalid) 浮動小数点例外 (FE_INVALID)  が上がる。

       範囲エラー (range error)、オーバーフローの場合
              errnoERANGE が設定される。 オーバーフロー浮動小数点例外 (FE_OVERFLOW)  が上が
              る。

       範囲エラー (range error)、アンダーフローの場合
              errnoERANGE が設定される。 アンダーフロー浮動小数点例外 (FE_UNDERFLOW)   が上が
              る。

属性

       この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。

       ┌─────────────────────────────┬───────────────┬─────────┐
       │インターフェース属性      │
       ├─────────────────────────────┼───────────────┼─────────┤
       │scalb(), scalbf(), scalbl()  │ Thread safety │ MT-Safe │
       └─────────────────────────────┴───────────────┴─────────┘

準拠

       scalb()   は  POSIX.1-2001  で規定されているが、廃止予定とされている。  POSIX.1-2008  では
       scalb() の仕様は削除されており、代わりに scalbln(3), scalblnf(3), scalblnl(3)   の使用が推
       奨されている。 scalb()  関数は 4.3BSD に由来する。

       scalbf()  と scalbl()  は標準化されていない。 それにも関わらず、 scalbf() はいくつかの他の
       システムに存在する。

バグ

       バージョン 2.20 より前の glibc  では、これらの関数は、領域エラーや範囲エラーが発生した場合
       に errno を設定しなかった。

関連項目

       ldexp(3), scalbln(3)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。

                                            2020-06-09                                   SCALB(3)