Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20221215+dfsg-1_all bug

名前

       set_tid_address - スレッド ID へのポインターを設定する

書式

       #include <linux/unistd.h>

       pid_t set_tid_address(int *tidptr);

       : このシステムコールには glibc のラッパー関数は存在しない。「注意」の節を参照。

説明

       各スレッドについて、カーネルは  set_child_tidclear_child_tid という 2 つの属性を保持す
       る。この 2 つの属性はデフォルトでは NULL である。

       set_child_tid
              スレッドが CLONE_CHILD_SETTID フラグを指定した  clone(2)   によって開始された場合、
              set_child_tidclone(2) のシステムコールの ctid 引数で渡された値に設定される。

              set_child_tid が設定された場合、一番最初に新しいスレッドが行うことは、 このアドレス
              に自身のスレッド ID を書き込むことである。

       clear_child_tid
              スレッドが CLONE_CHILD_CLEARTID フラグを指定した clone(2)  によって開始された場合、
              clear_child_tidclone(2) のシステムコールの ctid 引数で渡された値に設定される。

       システムコール  set_tid_address()  は呼び出し元スレッドの clear_child_tid の値を tidptr に
       設定する。

       clear_child_tid が NULL でないスレッドが終了すると、そのスレッドが他のスレッドとメモリーを
       共有していれば、 clear_child_tid で指定されたアドレスに 0 が書き込まれ、カーネルは以下の処
       理を実行する。

           futex(clear_child_tid, FUTEX_WAKE, 1, NULL, NULL, 0);

       この処理の結果、このメモリーアドレスに対する futex wait を実行しているスレッドを一つ起こす
       (wake)。 futex wake 操作でのエラーは無視される。

返り値

       set_tid_address()  は常に呼び出し元のスレッド ID を返す。

エラー

       set_tid_address()  は常に成功する。

バージョン

       この呼び出しは  Linux 2.5.48 以降で存在する。 ここで書かれた詳細は Linux 2.5.49 以降で有効
       である。

準拠

       このシステムコールは Linux 固有である。

注意

       glibc はこのシステムコールに対するラッパー関数を提供していない。 syscall(2)   を使って呼び
       出すこと。

関連項目

       clone(2), futex(2), gettid(2)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの
       説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。