Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20131015+dfsg-2_all bug

名前

       gethostbyname,   gethostbyaddr,   sethostent,  gethostent,  endhostent,  h_errno,  herror,
       hstrerror,    gethostbyaddr_r,    gethostbyname2,    gethostbyname2_r,    gethostbyname_r,
       gethostent_r - ネットワーク上のホストのエントリを取得する

書式

       #include <netdb.h>
       extern int h_errno;

       struct hostent *gethostbyname(const char *name);

       #include <sys/socket.h>       /* AF_INET を使う場合 */
       struct hostent *gethostbyaddr(const void *addr,
                                     socklen_t len, int type);

       void sethostent(int stayopen);

       void endhostent(void);

       void herror(const char *s);

       const char *hstrerror(int err);

       /* System V/POSIX 拡張 */
       struct hostent *gethostent(void);

       /* GNU 拡張 */
       struct hostent *gethostbyname2(const char *name, int af);

       int gethostent_r(
               struct hostent *ret, char *buf, size_t buflen,
               struct hostent **result, int *h_errnop);

       int gethostbyaddr_r(const void *addr, socklen_t len, int type,
               struct hostent *ret, char *buf, size_t buflen,
               struct hostent **result, int *h_errnop);

       int gethostbyname_r(const char *name,
               struct hostent *ret, char *buf, size_t buflen,
               struct hostent **result, int *h_errnop);

       int gethostbyname2_r(const char *name, int af,
               struct hostent *ret, char *buf, size_t buflen,
               struct hostent **result, int *h_errnop);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       gethostbyname2(), gethostent_r(), gethostbyaddr_r(), gethostbyname_r(),
       gethostbyname2_r():
           _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE

       herror(), hstrerror():
           glibc 2.12 以降:
               _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE
           glibc 2.8 から glibc 2.11 まで:
               _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE || _GNU_SOURCE
           glibc 2.8 より前:
               なし

       h_errno:
           glibc 2.12 以降:
               _BSD_SOURCE || _SVID_SOURCE ||
                   (_POSIX_C_SOURCE < 200809L && _XOPEN_SOURCE < 700)
           glibc 2.12 より前:
               なし

説明

       関数 gethostbyname*(), gethostbyaddr*(), herror(), hstrerror  は過去のものである。  アプリ
       ケーションは、代わりに getaddrinfo(3), getnameinfo(3), gai_strerror(3) を使用すること。

       gethostbyname()  関数は与えられたホスト名 name に対応する構造体 hostent を返す。 name には
       ホスト名、ドット区切りの IPv4 アドレス (inet_addr(3)  参照)、コロン区切りの IPv6  アドレス
       (おそらくドット区切りでも大丈夫)   のいずれかを指定する (IPv6 アドレスの記述方法については
       RFC 1884 を参考にしてほしい)。  name  が  IPv4  か  IPv6  のアドレスだった場合、  名前解決
       (lookup) は行われない。その場合には、 gethostbyname()  は name をそのまま hostent 構造体の
       h_name フィールドにコピーし、 さらに namestruct in_addr  形式で表したデータを  hostent
       構造体の  h_addr_list[0] フィールドに入れて、その hostent 構造体を返す。 name がドットで終
       了していて、かつ環境変数 HOSTALIASES が設定されている場合、まず HOSTALIASES で指定されてい
       るエイリアスファイルから   name  のエントリが検索される  (ファイルのフォーマットについては
       hostname(7)  を参照のこと)。 name がドットで終了していなければ、現在のドメインとその親ドメ
       インが検索される。

       gethostbyaddr()  関数は与えられたホストアドレス addr (長さ len、 タイプ type) に対応する構
       造体 hostent を返す。 用いることのできるタイプは AF_INETAF_INET6 である。 ホストアドレ
       ス引き数はアドレスタイプに依存した    構造体へのポインタである。    例えば、アドレスタイプ
       AF_INET に対しては (inet_addr(3)  の呼び出しで得られる)  struct in_addr * である。

       sethostent()  関数は、ネームサーバへの接続形態を指定する。 stayopen が真 (1)  ならば、ネー
       ムサーバへの問い合わせには、 接続された TCP ソケットを用い、連続した問い合わせの間に接続を
       維持する。 偽ならばネームサーバへの問い合わせに UDP データグラムを用いる。

       endhostent()  関数はネームサーバへの問い合わせに用いた TCP 接続の利用を終了する。

       (廃止予定の)  herror()  関数は現在の h_errno に対応するエラーメッセージを標準エラー stderr
       に出力する。

       (廃止予定の)   hstrerror()   関数はエラー番号 (通常は h_errno) を引き数に取り、 対応するエ
       ラーメッセージ文字列を返す。

       gethostbyname()  と gethostbyaddr()   によって実行されるドメイン名の問い合わせでは、ネーム
       サーバ  named(8)、  /etc/hosts  のデータ行、および Network Information Service (NIS または
       YP)  が組み合わせて使用される。何が使用されるかは、 /etc/host.conforder 行の内容により
       決まる。 デフォルトでは、まず named(8)  に問い合わせを行い、次いで /etc/hosts を参照する。

       hostent 構造体は <netdb.h> で以下のように定義されている:

           struct hostent {
               char  *h_name;            /* official name of host */
               char **h_aliases;         /* alias list */
               int    h_addrtype;        /* host address type */
               int    h_length;          /* length of address */
               char **h_addr_list;       /* list of addresses */
           }
           #define h_addr h_addr_list[0] /* 過去との互換性のため */

       hostent 構造体のメンバは以下の通り。

       h_name ホストの正式名 (official name)。

       h_aliases
              ホストの別名の配列。配列は NULL ポインタで終端される。

       h_addrtype
              アドレスのタイプ。現在はすべて AF_INET または AF_INET6 である。

       h_length
              バイト単位で表したアドレスの長さ。

       h_addr_list
              ホストのネットワークアドレスへのポインタの配列。 配列は NULL ポインタで終端される。
              ネットワークアドレスはネットワークバイトオーダ形式である。

       h_addr h_addr_list の最初のアドレス。過去との互換性を保つためのものである。

返り値

       gethostbyname()  および gethostbyaddr()  関数は  hostent  構造体を返す。エラーが起こったら
       NULL  ポインタを返す。エラーの際には  h_errno 変数がエラーの番号を保持する。 返り値が NULL
       でない場合、静的データをポインタで指していることもある。 以下の「注意」を参照すること。

エラー

       h_errno 変数は以下の値を取りうる。

       HOST_NOT_FOUND
              指定したホストが見つからない。

       NO_ADDRESS  または  NO_DATA
              指定した名前は有効だが IP アドレスを持っていない。

       NO_RECOVERY
              ネームサーバの復旧不能なエラーが起こった。

       TRY_AGAIN
              authoritative なネームサーバで一時的なエラーが起こった。 時間をおいてもう一度試すこ
              と。

ファイル

       /etc/host.conf
              名前解決の設定ファイル

       /etc/hosts
              ホストのデータベースファイル

       /etc/nsswitch.conf
              ネームサービス切替設定

準拠

       POSIX.1-2001   では、   gethostbyname(),   gethostbyaddr(),   sethostent(),  endhostent(),
       gethostent(), h_errno が規定されており、 gethostbyaddr()  と gethostbyname()  は廃止予定で
       あるとされている。  POSIX.1-2008 では gethostbyname(), gethostbyaddr(), h_errno の仕様が削
       除されている。 代わりに、 getaddrinfo(3)  と getnameinfo(3)  の使用が推奨されている。

注意

       gethostbyname()  および gethostbyaddr()  関数は静的データへのポインタを返す。 このポインタ
       は、その後の呼び出しで上書きされるかもしれない。   hostent  構造体はポインタを含んでいるの
       で、構造体のコピーだけでは不十分である; より深いコピーが必要である。

       オリジナルの BSD の実装では、 gethostbyname()  の len 引き数は int であった。 SUSv2 標準は
       バグが多く、  gethostbyaddr()  の len パラメータを size_t 型として宣言している。 (これは誤
       りで、 size_t 型ではなく int 型でなければならない。 POSIX.1-2001 ではこれを socklen_t とし
       ているが、これは OK。)  accept(2)  も参照。

       gethostbyaddr()  の BSD のプロトタイプは、最初の引き数として const char * を使う。

   System V/POSIX 拡張
       POSIX では、 gethostent()  が必須とされている。 この関数はホストデータベースの次のエントリ
       を返す。 DNS/BIND を使う場合はあまり意味を持たないが、 ホストデータベースが 1 行ずつ読み込
       まれるファイルである場合は意味がある。    多くのシステムでは、この名前のルーチンはファイル
       /etc/hosts を読み込む。  DNS  サポートなしでライブラリがビルドされた場合にのみ利用可能であ
       る。  glibc 版は ipv6 エントリを無視する。 この関数はリエントラント (reentrant) ではなく、
       glibc にはリエントラント版の gethostent_r()  が追加された。

   GNU 拡張
       glibc2 には gethostbyname2()  もあり、 gethostbyname()  と同じように動作するが、  こちらは
       アドレスが属するアドレスファミリーを指定することができる。

       glibc2   にはリエントラントな  gethostent_r(),  gethostbyaddr_r(),  gethostbyname_r()   と
       gethostbyname2_r()  もある。  呼び出し側は、成功時に結果が格納される  hostent  構造体  ret
       と、大きさ   buflen  の一時的な作業バッファ  buf  を提供する。  コール終了後、成功した場合
       result は結果を指している。 エラーの場合、またはエントリが見つからなかった場合、 result は
       NULL  になる。  これらの関数は、成功した場合 0 を返し、失敗の場合は 0 以外のエラー番号を返
       す。  これらの関数のリエントラントでないバージョンが返すエラーに加えて、  これらの関数は、
       buf  が小さすぎた場合に ERANGE を返す。この場合はもっと大きなバッファを用意して 関数呼び出
       しを再度行うべきである。 大域変数 h_errno は変更されないが、エラー番号を格納する変数のアド
       レスが h_errnop に渡される。

バグ

       gethostbyname()  は、16進数表現のドット区切りの IPv4 アドレス文字列の要素を認識しない。

関連項目

       getaddrinfo(3),   getnameinfo(3),   inet(3),   inet_ntop(3),   inet_pton(3),  resolver(3),
       hosts(5), nsswitch.conf(5), hostname(7), named(8)

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.54 の一部  である。プロジェクト
       の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。

                                            2013-09-04                           GETHOSTBYNAME(3)