Provided by: manpages-ja-dev_0.5.0.0.20131015+dfsg-2_all bug

名前

       getnameinfo - アドレスから名前への変換をプロトコルに依存しないかたちで行う

書式

       #include <sys/socket.h>
       #include <netdb.h>

       int getnameinfo(const struct sockaddr *sa, socklen_t salen,
                       char *host, size_t hostlen,
                       char *serv, size_t servlen, int flags);

   glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):

       getnameinfo(): _POSIX_C_SOURCE >= 1 || _XOPEN_SOURCE || _POSIX_SOURCE

説明

       getnameinfo()  関数は、 getaddrinfo(3)  の逆の動作を行う。つまり、プロトコルに依存しないか
       たちで      ソケットアドレスから対応するホスト名とサービスへの変換を行う。      この関数は
       gethostbyaddr(3)   と  getservbyport(3)  の機能を一つにしたものだが、 これらの関数と違い、
       getnameinfo(3) はリエントラントであり、IPv4 と IPv6 の差分に依存しないかたちで  プログラム
       を書くことができる。

       sa  引き数は、  IP アドレスとポート番号の情報を保持している 汎用的なソケットアドレス構造体
       (sockaddr_in 型または sockaddr_in6 型) へのポインタである。 salensa  のサイズである。
       hostserv 引き数は、(それぞれサイズが hostlenservlen の) 呼び出し側で確保されたバッ
       ファへのポインタであり、 ホスト名とサービス名を含む NULL 終端された文字列が それぞれのバッ
       ファに格納される。

       ホスト名が不要であることをこの関数に伝えるには、  host に NULL を指定するか、 hostlen に 0
       を指定する。同様に、サービス名が不要な場合は、 serv に NULL を指定するか、 servlen に 0 を
       指定する。  しかし、ホスト名とサービス名の両方を不要だと指定することはできない (いずれか一
       方は要求すること)。

       flags 引き数で getnameinfo()  の動作を変えることができる。指定できる値は以下の通り:

       NI_NAMEREQD
              指定すると、ホスト名が決定できなかった場合にエラーを返す。

       NI_DGRAM
              指定すると、ストリームベース (TCP) でなくデータグラムベース (UDP)  のサービスを対象
              にする。数は少ないが、 UDP と TCP で違うサービスを提供しているポート (512-514) に対
              して必要となる。

       NI_NOFQDN
              指定すると、ローカルなホストには fully qualified domain name (FQDN) の ホスト名の部
              分のみを返す。

       NI_NUMERICHOST
              指定すると、数値形式のホスト名が返される。  (指定しなくても、ノードの名前が決定でき
              ない場合は数値形式が返ることがある)。

       NI_NUMERICSERV
              指定すると、数値形式のサービス名   (例えばポート番号)   が返される    (指定しなくて
              も、サービス名が決定できない場合は数値形式が返ることがある)。

   国際化ドメイン名のための getnameinfo() の拡張
       glibc    2.3.4    から、    getnameinfo()    に拡張が行われ、ホスト名と   国際化ドメイン名
       (Internationalized Domain  Name;  IDN)  形式との間で  透過的な変換ができるようになっている
       (IDN  形式については RFC 3490 の Internationalizing Domain Names in Applications (IDNA) を
       参照)。3つのフラグが新たに定義されている:

       NI_IDN このフラグを指定すると、必要であれば、検索処理で見つかった名前は IDN 形式からロケー
              ルに応じた符号化形式に変換される。  ASCII  文字だけの名前はこの変換では影響を受けな
              い。このため、 既存のプログラムや環境でこのフラグを使うことができる。

       NI_IDN_ALLOW_UNASSIGNED, NI_IDN_USE_STD3_ASCII_RULES
              これらのフラグをセットすると、IDNA 処理で使用されるフラグ IDNA_ALLOW_UNASSIGNED (未
              割り当ての  Unicode  のコードポイントを許容)  と  IDNA_USE_STD3_ASCII_RULES (出力が
              STD3 準拠のホスト名かをチェックする) がそれぞれ有効になる。

返り値

       成功すると 0 が返り、(要求されていれば) ノードとサービスの名前が NULL 終端された文字列の形
       式でそれぞれの指定バッファに返される  (バッファの長さにあうように縮められるかもしれない)。
       エラーの場合は、以下の 0 以外のエラー・コードが返される:

       EAI_AGAIN
              指定された名前が現時点では解決できなかった。 後で再試行してみること。

       EAI_BADFLAGS
              flags 引き数に不正な値が与えられた。

       EAI_FAIL
              回復できないエラーが発生した。

       EAI_FAMILY
              指定したアドレスファミリーが認識できなかった。   あるいはアドレスの長さが指定された
              ファミリーに合うものでなかった。

       EAI_MEMORY
              メモリが足りない。

       EAI_NONAME
              与えられたパラメータでは名前が解決できない。 NI_NAMEREQD が設定されていたがホスト名
              が決定できなかったか、 ホスト名もサービス名も要求されなかった。

       EAI_OVERFLOW
              host または serv が指しているバッファが小さすぎた。

       EAI_SYSTEM
              システムエラーが起った。 エラーコードは errno に設定される。

       gai_strerror(3) 関数を使うと、これらのエラー・コードを、エラー・レポートに適した  人間が読
       みやすい文字列に翻訳してくれる。

ファイル

       /etc/hosts
       /etc/nsswitch.conf
       /etc/resolv.conf

バージョン

       getnameinfo()  は、glibc バージョン 2.1 以降で提供されている。

準拠

       RFC 2553, POSIX.1-2001.

注意

       適切なバッファサイズを選択できるように、 <netdb.h> に以下の定数が定義されている。

           #define NI_MAXHOST      1025
           #define NI_MAXSERV      32

       glibc 2.8 以降では、機能検査マクロ _BSD_SOURCE, _SVID_SOURCE, _GNU_SOURCE のいずれかが定義
       された場合にのみ、これらの定義が公開される。

       前者は、最近のバージョンの BIND のヘッダファイル <arpa/nameser.h> 中の定数 MAXDNAME と同じ
       値である。  後者は、割り当て済の数値について記した現在の RFC に 列挙されてサービスから推量
       した値である。

       以下のコードは、指定されたソケットアドレスに対する  ホストとサービスの数値表式を取得しよう
       と試みる。 特定のアドレスファミリーに対する参照情報は 一切ハードコードされていないことに着
       目してほしい。

           struct sockaddr *sa;    /* input */
           socklen_t len;          /* input */
           char hbuf[NI_MAXHOST], sbuf[NI_MAXSERV];

           if (getnameinfo(sa, len, hbuf, sizeof(hbuf), sbuf,
                       sizeof(sbuf), NI_NUMERICHOST | NI_NUMERICSERV) == 0)
               printf("host=%s, serv=%s\n", hbuf, sbuf);

       以下ではソケットアドレスに 逆向きのアドレスマッピングが存在するかをチェックしている。

           struct sockaddr *sa;    /* input */
           socklen_t len;          /* input */
           char hbuf[NI_MAXHOST];

           if (getnameinfo(sa, len, hbuf, sizeof(hbuf),
                       NULL, 0, NI_NAMEREQD))
               printf("could not resolve hostname");
           else
               printf("host=%s\n", hbuf);

       getnameinfo()  を使ったプログラム例が getaddrinfo(3)  に記載されている。

関連項目

       accept(2),  getpeername(2),  getsockname(2),   recvfrom(2),   socket(2),   getaddrinfo(3),
       gethostbyaddr(3), getservbyname(3), getservbyport(3), inet_ntop(3), hosts(5), services(5),
       hostname(7), named(8)

       R. Gilligan, S. Thomson, J. Bound and W. Stevens, Basic Socket  Interface  Extensions  for
       IPv6, RFC 2553, March 1999.

       Tatsuya  Jinmei  and  Atsushi  Onoe,  An  Extension  of  Format for IPv6 Scoped Addresses,
       internet     draft,     work     in      progress      ⟨ftp://ftp.ietf.org/internet-drafts
       /draft-ietf-ipngwg-scopedaddr-format-02.txt⟩.

       Craig Metz, Protocol Independence Using the Sockets API, Proceedings of the freenix track:
       2000 USENIX annual technical conference, June 2000 ⟨http://www.usenix.org/publications
       /library/proceedings/usenix2000/freenix/metzprotocol.html⟩.

この文書について

       この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.54 の一部 である。プロジェクト
       の説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。