Provided by: dpkg_1.17.5ubuntu5.8_amd64
名前
dpkg-deb - Debian パッケージアーカイブ (.deb) 操作ツール
書式
dpkg-deb [option...] command
説明
dpkg-deb は、Debian アーカイブの作成、展開、情報の表示を行う。 パッケージをシステムにインストールしたり削除したりするには dpkg を使うこと。 また、dpkg-deb に引き渡したいオプションを指定して dpkg を実行することで、dpkg-deb を実行す ることもできる。dpkg は、dpkg-deb 用のオプションであると判断すると、 dpkg-deb を起動する。
コマンド
-b, --build directory [archive|directory] directory 以下のファイルシステムツリーから debian アーカイブを作成する。 directory には、control ファイルなどの制御情報ファイルのある DEBIAN サブディレクトリが必ず存 在しなければならない。 DEBIAN ディレクトリはバイナリパッケージのファイルシステム・ アーカイブには含まれない。代わりに DEBIAN ディレクトリ以下にあったファイルはバイナ リパッケージの制御情報エリアに置かれる。 --nocheck を指定しないかぎり、 dpkg-deb は DEBIAN/control を読み込んで解析する。 dpkg-deb は、文法エラーなどの問題のチェックを行い、ビルド中のバイナリパッケージ名を 表示する。 dpkg-deb は、 DEBIAN 制御情報ディレクトリにある、メンテナスクリプトなど のファイルのパーミッションもチェックする。 archive が指定されない場合、 dpkg-deb はパッケージを directory.deb という名前で作成 する。 作成するアーカイブが既に存在している場合は、上書きする。 2 番目の引数がディレクトリの場合、 dpkg-deb は package_version_arch.deb または package_version.deb (パッケージ制御ファイルに Architecture フィールドがない場合) と いうファイルを作成する。ファイル名の代わりにディレクトリを指定するときに は、--nocheck オプションを使用してはいけない (dpkg-deb は、使用するファイル名を確認 するために、パッケージ制御ファイルを読み込んで解析する必要があるため)。 -I, --info archive [control-file-name...] バイナリパッケージアーカイブの情報を表示する。 control-file-name が指定されていない場合は、制御ファイルの一覧と、パッケージの概要 を表示する。 control-file-name が指定された場合、 dpkg-deb は指定された順でファイルの内容を表示 する。指定したファイルの一部が存在しない場合、存在しないファイル各々について、標準 エラー出力にエラーメッセージを表示し、そして終了ステータス 2 で終了する。 -W, --show archive バイナリパッケージアーカイブの情報を --showformat 引数で指定した形式で表示する。デ フォルトの形式では、パッケージ名とバージョンがタブで区切られて 1 行に表示される。 -f, --field archive [control-field-name...] バイナリパッケージアーカイブから制御ファイル情報を取り出す。 control-file-field が指定されていない場合、control ファイルのすべての内容が表示され る。 control-file-field が指定されている場合、dpkg-deb は指定されたフィールドの内容を制 御ファイルに記載されている順に表示する。control-file-field が複数指定された場合、 dpkg-deb は、各々の前にフィールド名 (およびコロンとスペース) を表示する。 指定したフィールドがみつからない場合でもエラーにはならない。 -c, --contents archive パッケージアーカイブに含まれるファイルシステムツリーの内容を表示する。現在は、tar の冗長表示 (-v オプション) の形式で表示する。 -x, --extract archive directory パッケージアーカイブから、ファイルシステムツリーを指定したディレクトリに展開する。 ルートディレクトリにパッケージを展開しても、正しいインストールにはならないことに注 意 ! パッケージのインストールには dpkg を使うこと。 directory (親ディレクトリは含まない) は必要に応じて作成される。 -X, --vextract archive directory --extract (-x) に --verbose (-v) を付加したオプションと同様だが、実際にファイルを展 開して一覧を表示する。 -R, --raw-extract archive directory パッケージアーカイブから、ファイルシステムツリーを指定したディレクトリに展開し、制 御情報ファイルを、DEBIAN サブディレクトリに展開する。 指定したディレクトリ (親ディレクトリは含まない) は必要に応じて作成される。 --fsys-tarfile archive バイナリパッケージからファイルシステムツリーを展開し、標準出力に tar 形式で出力す る。 tar(1) と組み合わせて使用することで、特定のファイルをパッケージアーカイブから 取り出すことができる。入力のアーカイブは、常に 1 つずつ処理される。 -e, --control archive [directory] パッケージアーカイブから制御情報ファイルを指定したディレクトリに展開する。 ディレクトリが指定されない場合、カレントディレクトリの DEBIAN サブディレクトリに展 開する。 指定したディレクトリ (親ディレクトリは含まない) は必要に応じて作成される。 -?, --help 利用方法を表示して終了する。 --version バージョン情報を表示して終了する。
オプション
--showformat=format このオプションは、--show の出力の書式を指定するものである。書式は、一覧表示される各 パッケージの出力を制御する文字列である。 文字列は "${field-name}" 形式であらゆる status フィールドを参照することができる。有 効なフィールドの一覧は、対象のパッケージに -I を使用することで簡単に確認できる。書 式オプションの網羅的な解説 (エスケープシーケンスやフィールドでのタブの使い方を含む) は、dpkg-query(1)の --showformat オプションの解説を参照のこと。 このフィールドのデフォルトの書式は "${Package}\t${Version}\n" である。 -zcompress-level パッケージのビルドの際に、圧縮を行うバックエンドのプログラムに引き渡す圧縮レベルを 指定する (デフォルトは、gzip および bzip2 の場合 9、xz および lzma の場合 6)。指定 可能な値は 0-9 であり、gzip の場合 0 は非圧縮に対応するが、bzip2 の場合 0 は 1 とみ なされる。dpkg 1.16.2 より前では、すべての圧縮プログラムにおいて、レベル 0 は非圧縮 と等価となる。 -Scompress-strategy Specify which compression strategy to use on the compressor backend, when building a package (since dpkg 1.16.2). Allowed values are none (since dpkg 1.16.4), filtered, huffman, rle and fixed for gzip (since dpkg 1.17.0) and extreme for xz. -Zcompress-type Specify which compression type to use when building a package. Allowed values are gzip, xz, bzip2, lzma, and none (default is xz). --deb-format=format Set the archive format version used when building (since dpkg 1.17.0). Allowed values are 2.0 for the new format, and 0.939000 for the old one (default is 2.0). The old archive format is less easily parsed by non-Debian tools and is now obsolete; its only use is when building packages to be parsed by versions of dpkg older than 0.93.76 (September 1995), which was released as i386 a.out only. --new This is a legacy alias for --deb-format=2.0. --old This is a legacy alias for --deb-format=0.939000. --nocheck dpkg-deb --build の際に通常実施される、アーカイブの内容のチェックを実施しない。これ により、アーカイブの内容に問題があっても、アーカイブをビルドすることができる。 -v, --verbose 詳細な出力を有効にする。現在のところ、これは --extract に --vextract と同様の挙動を させる場合のみ有効である。 -D, --debug デバッグ出力を有効にする。これはあまり面白いものではない。
環境変数
TMPDIR TMPDIR が設定されている場合、dpkg-deb は、一時的なファイルやディレクトリを作成する ディレクトリとして使用する。
参考
dpkg-deb でソフトウェアをインストールしようとしてはいけない!すべてのファイルの適切なパスへ インストール、パッケージのスクリプトの実行、ステータスや内容の記録を確実に実行するため に、必ず dpkg を使うこと。
バグ
dpkg-deb -I package1.deb package2.deb は適切に動作しない。 .deb ファイルには認証という概念がなく、単純なチェックサムすらもない (APT のような高レイヤ のツールは、指定されたリポジトリから情報を収集することで .deb パッケージの認証をサポートし ている。また大半のパッケージは近年debian/rules によって生成される md5sum 制御ファイルを提 供している。しかし、これらは低レイヤのツールが直接的にサポートしているものではない。
関連項目
deb(5), deb-control(5), dpkg(1), dselect(1).
翻訳者
高橋 基信 <monyo@monyo.com>. 喜瀬 浩 <kise@fuyuneko.jp>. 関戸 幸一 <sekido@mbox.kyoto- inet.or.jp>. 鍋谷 栄展 <nabe@debian.or.jp>. 倉澤 望 <nabetaro@debian.or.jp>. 石川 睦 <ishikawa@linux.or.jp>. 鵜飼 文敏 <ukai@debian.or.jp>. 中野 武雄 <nakano@apm.seikei.ac.jp>.
翻訳校正
Debian JP Documentation ML <debian-doc@debian.or.jp>.